あの日あの場所あの時から。   作:如月の夢

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いやー、私事ですがCLANNADをようやく見始めました。


ふーこー!!!!!!


実力÷期待≠現実

翌日から始まった文化祭実行委員。

全ては順調に進んでいた。

まぁそれは、"結果からすれば"の話だ。

計画を進める中、何かしらの問題が起きる事は必ずあるもので、その問題が起きる度に見事彼ら実行委員は解決していった。

しかし、議事録を書きながら気づく事がある。

それは解決案を提示しているのが副委員長である雪ノ下だと言うこと。

会全体で見れば、結果からすれば、大した問題では無い。

しかし────

「…………。」

隣から袖を引かれる。

「どうした。」

「実行委員会─順調、けど」

けど、その先に俺は何があるのか分かっている気がした。

「依頼─問題あり」

やはりか。

「雪ノ下さんが─焦っている?」

「あぁ、そんで大方理由は」

「城廻会長のあの一言。」

「はるさんの妹なら─ってやつか」

「その通り。」

「ま、あの魔王と比べられたらな……」

「その口ぶりからするに、会ったことがある?」

「あぁ、なんていうか完璧超人だった。」

「貴方がいう程と言うことは、異常な程だと判断する。」

「まぁ、異常って言えば異常だな。」

「記録的に残る成功だと聞いた。実際3年生には雪ノ下陽乃の妹、と見られてる以上彼女を見る目の先にはお姉さんの姿がある。」

そう、それが雪ノ下を焦らしている要因だ。

「まぁ、実際に来ていないだけましなんだが。」

「………………。」

「どうした。」

「今の言葉で条件が達成されていなければいいけど。」

「どういう事だ」

「……一言で表現するのなら」

 

 

───フラグを踏んだらさようなら────

 

 

 

翌日。

「なん、だと…」

俺は黒板の前で絶句していた。

文化祭の出し物であるミュージカル。

そのキャスティング欄に問題がある。

王子様の欄には当然のごとく葉山の名前。

ここまではいい…

しかし飛行士(ぼく) 比企谷

これは大問題だ。

葉山も苦笑いである。

その反応に気づいた腐った女、もといい腐女子が熱弁をふるうものの、実行委員であることを反論資材にし何とか切り抜けようとする。

そしてここで思わぬ助けが入る。

「その配役には問題あり。」

まさかの福田である

「お前…」

「迎えに来た、嫌な予感がする。」

まさか…

「ちょ、ちょっと、問題って…」

それでも食い下がる海老名さん。

あ、名前出しちゃった。

まぁいいか。

「普通に考えてみて。

比企谷君について、まず仕事をこなすということに関して彼は能力が高い。

よって、主役級でも間違いなく演じることは間違いない。」

「だよね、だったら…」

「しかし、さっき彼が述べた通り、彼には実行委員として大切な仕事がたくさんある。」

「う…」

「そして何より」

するとゆっくりと右手を上げ俺を指すと。

「この目では観客が寄ってこない。」

どやぁあ、なんて顔で言い切る彼女。

そんなにだめですか…

「確かに。」

いや、納得するのかよ。

「そう、だからさ一度考え直してみたら、王子様とかさ」

いや便乗するなよ。

 

結局、飛行士が葉山に、王子様が戸塚に代わった。

なんだそれ葉山やっぱ変われ。

ふと袖を引かれる。

「比企谷君、行く。」

「あぁ悪い。」

やっと実行委員へ行ける。

そんな半ば芽生えつつある社畜精神に背を押される。

 

「はは、ちょーうける。」

そんな声を聴きながら。

 

嫌な予感とは大抵当たるもので、起きてほしく無いと意識すればするほどその確率は上がる。

何が言いたいかというと。

実行委員会に魔王が現れた。

何やら話をしているようだが、あれに関わるとろくなことがない。

「ごめんなさーい、クラスの方に顔を出してたら遅れちゃいましたー。」

なんつうタイミングだよ。

てか、君しゃべってただけだよね。

「はるさん、この子が委員長ですよ。」

「あ、相模南です。」

なにあれ、虎の前に放置されたチワワみたいなんですけど…

「ふーん…文化祭実行委員長がクラスに顔を出して遅刻。へぇ。」

「あ、あぁ」

相模もたじたじである。

しかし

「やっぱり委員長はそうでなきゃねー」

 

それから流れは最悪だった。

いい気になった相模が見事暴走。

クラスの方へ向かう生徒が日に日に多くなっていく。

それに比例するように、雪ノ下のデスクは資料が重なっていった。

 

 

「有志の参加の希望に来たんだけれど。」

何しに来たのあいつ。暇なの?

「やぁ、」

「何ナチュラルに話しかけてんの。」

「あはは、相変わらずだな君は。」

相変わらずと言われるほど、君に評価されたつもりは無いですけどね。

「だがしかし、大丈夫なのかこれは……」

「さぁな、下っ端の俺は自分の仕事で精一杯だよ。」

「その割には雪ノ下さんの仕事がかなり多いみたいだけど、手伝おうか?」

「雪ノ下さん、手伝ってもらおうよ。」

葉山、やはり貴様は甘い。

確かにこの状況で手を差し伸べることは間違いではないだろう。

しかし、相手は雪ノ下だ。

今まで1人で頑張ってきたことが否定される。

それを考慮できていない。

今まで雪ノ下は自分の力で頑張ってきた。

そこへ、遅くなっているから手伝うという行為は言わば"君ひとりてはできない"と発言しているのと同義である。

傍から見たら素晴らしい心遣いも、相手によったらありがた迷惑、というものである。

……?

「…………。」

「どうした。」

「これはあくまで個人的な見解。

今雪ノ下さんにかかっている負荷は相当のもの。

よって、何らかのアクシデントの可能性あり。

そして、これ以上の自体に悪化する危険性あり。

つまり、この申し出は受けるべき。」

「これ以上…か、雪ノ下あんまり無理はするな。

プレッシャーをかける訳では無いが、事実お前が倒れたらこの文化祭は確実に終わる。

それに、俺は俺以外の人間が俺より楽をしているのが嫌いだ。

そんな奴のせいで俺が楽してやってきた仕事が無駄になるなんて御免だ。」

だから、俺にできない、周りに助けを求めてみろ。

「君は最低だね。」

そう言う城廻めぐりさんは、何だか嬉しそうだった。

「……分かったわ。葉山くんお願いします。」

「あぁ。」

 

「……これで危機的状況を回避できた。」

「そうだな。」

「けれど、まだ足りない。」

「あぁ、何とかしなくちゃな。」

このままだと、文化祭は終わる。

それ以前に依頼を達成出来ず雪ノ下は……

 

後日、スローガンに対する問題を指摘されたことをきっかけに、文化祭実行委員が久しぶりに全員集まった。

新しい意見を紙に書き集計していく方法だ。

ONE FOR ALL,ALL FOR ONE───

思わず鼻で笑う。

「お前だろ葉山。」

隣にいるリア充の王に問いかける。

「ご名答、だな。」

「よくもまぁ、こんな状況であんな歯が浮くような言葉が出るもんだ。」

「しょうがないだろ。君にもわかっているはずだ。」

「……まぁな。」

「君はなんて書いたんだ。」

「人、よく見ると片方が楽してる文化祭。」

「君らしいな……でも、なんで持ったままなんだい。」

「出そうと思ったんだがな、」

そう、出そうとしたのだが。

そう思った矢先、ひょいと取られたその紙はビリビリと千切られていく。

「何度やられれば気が済む?」

そして若干キレ気味な福田の姿。

「もうやらないって。」

「貴方はさっきもそう言った。次やったら実力行使する。」

「お前がどうやって。」

「平塚s「すいませんでした。」分かればいい。」

ファーストブリットもその先も勘弁して……

「まぁこんな感じだ。」

「驚いたな、君がこんなに話しているなんて。」

「馬鹿言え、俺は元々よく喋る方だ、喋る相手がいないだけ。」

「私といる時も、そんなに喋らない。」

「そもそもお前とふたりってシチュエーションが実行委員の時にしかないだろ。」

「なら今度出かける。」

「いや、そういうのいいから。」

そういう勘違いに発展することはしないでくださいね。

良いですか、気安く喋らない、ボディタッチをしない笑顔を向けない、守ってください。

「…………………………………………。」

「わかったよ……」

いや、泣きそうになるって反則だ。

どうすればいいんだこれ。

「はは、比企谷がやられているってのは面白いな。」

「うっせ。」

しょうがないだろ、こいつなんだし。

………………なんでしょうがないんだ。

俺はなんで、ここまでこいつの侵入に不快感を感じていないんだ。

どうして……

 

 

「あの比企谷が仲良くする女子生徒か……」

 

 

「(どこに行こうかしら、図書館とか……)」




という訳で、次回は原作から離れる予定です。
次は早めに……(フラグ)

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