あの日あの場所あの時から。   作:如月の夢

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どうも、死亡説が流れていたしずねは最かわっ☆です!

うん、流してくれる人すらいないな。
いやー、遅くなった言い訳ねぇ。
いやあるんですよ色々。
まぁなんだ、色々言いたいけどとりあえず。




マジですいませんでした。


本+睡眠+赤面=─────

後日、今は大きな図書館に来ている。

男女のデートで行く場所ではない気がする。

いや、それを含み考えればある意味正解なのか。

現在、福田は楽しそうに読書している。

周りから言わせれば表情の変わらない福田も、本を読んでいるときに限っては百面相と言って過言ではない。

読んだことのある本なら、今どのへんを読んでるかわかりそうな程だ。

昼過ぎから来て、かれこれ二時間経つわけだが…

自分の持つ本へ視線を落とす。

1/3しか進んでないページは何を示すのだろうか。

本に集中出来ていない理由は。

気付くと福田を見ている。

この感じは何だろうか。

恋ではない、そう思う。

いや、そう言いきれない。

しかし……

時間を確認するふりをして、スマホの画面を覗く。

そこに映る目の腐った少年は、何だか幸せそうなものだった。

そんな考えを途中で止める。

俺には無縁の話だ。

福田には悪いが、このまま読書を続けても頭に話がはいりそうにない。

そう思った俺は、本を閉じ背もたれに寄りかかりながら目を閉じた。

耳に残るのは本をめくるときの静かな音だけ。

 

 

 

 

 

次に目が覚めた時、既に閉館時間の10分前だった。

ここで、体が縮んでいた!?

ってなったら面白いんだがな。

因みに、迷宮しかない迷探偵だ。

そういえば福田は……

正面の席は空席だった。

寝たことに呆れて帰ったか。

「ん、……。」

…………いや…なんで君、寄りかかってるんですかね。

寝ぼけてるのか、腕まで組んじゃってるよ!?

そしてようやく気づく。

図書館のスタッフさんたちからの冷たい目線に。

八幡に効果は抜群だ!

八幡は倒れ……ない!

「おい、福田起きろ。」

可及的速やかにこの場を脱出するべく、腕を振りほどく。

「……………………!?」

どうやらお目覚めのようで、顔を真っ赤に怒ってらっしゃる。

え?俺が悪いの?

「……これは、違う!」

あ、俺が悪いんですね。

 

 

 

あの後、図書館を出てからと言うもの気まずい空気が流れていた。

どちらとも話さない無言の時間。

─────────いや、俺らなら普通だな。

ふと、隣を見ると福田と目が合う。

目と目が合う瞬間、好きだと気づくのは二次元の世界であって、この世界、元いい俺相手では

「!?」バッ

逸らされる。

はぁ……

「福田、なんだその……すまんかった。

そんで、俺も気にしてないから、"何も無かった"って事で」

すると福田はなぜか少し寂しそうな顔をしながら頷く。

「何か不満でも思わせちまったか?」

「いや……その。」

珍しく言い淀む彼女に疑問を持つ。

「どうした。」

そう聞いた瞬間、漫画やアニメなら頭上にアテンションマークが付きそうな反応をする。

そして少し恥ずかしそうな顔で

「事実は事実、つまり、あれは実際に起きたこと。

その事実は覆せないなら。」

「通報はしないでください。」

おっと、一転してゴミを見る目ですよ福田さん。

「貴方って人は……」

んん、と咳払いをして話をリセットする。

再び顔を赤らめ肩に手を置く。

何事かと思っている間に引き寄せられ、耳元に囁かれる

「ふたりだけの秘密。」

そう呟き即座に離れ、ニッコリと微笑む。

 

 

はっ!

破壊力高すぎだぞこれ……

昔の俺なら惚れて告白して振られていた。

振られるんだよなぁ……

その日の夜に枕を濡らすことのセットで。

 

「俺と秘密作っても得なんてないだろ……」

気持ちとは裏腹に、心にもないことを言う。

反射的にルートを潰す。

正直にいえばこいつとの関係は好きだ。

だからこそ、この関係が崩れることを恐れている。

だから、こんな勘違いはする前に…

「そう?私は得しかないけれど。」

やめろ。

「貴方との秘密は割と重要。」

そういうことを言わないでくれ。

「私を分かってくれる、そんな貴方と秘密も共有できる。」

違う。

「これ以上の得は無いと結論。」

ダメだ。

「だって私は「福田!」!?」

失いたくないんだ。

これが最低だとわかっている。

分かっているが、止められない。

「暗くなってきたし、帰るぞ。」

強引な止め方になってしまった。

福田はさみしそうな顔をしながらも。

「─────分かった。」

罪悪感でいっぱいになった。

鼓動が苦しい。

それでいいのかと叫んでいる。

いやいいんだ。これが正解なんだ。

俺は、俺は……

「……………………」

本当にすまん。

 

 

 

気が付くと家の玄関前に着いていた。

身体がだるい。

ドアがひどく重く感じる。

いつも異常に開閉に時間がかかるドアに疑問を感じたんだろう、リビングから小町が出てくる。

「なんだ、お兄ちゃんか。」

お兄ちゃんで悪かったな。

普段なら、そう悪態を返していただろう。

しかし、俺の口はその言葉を発そうとしない。

さすが妹と言うべきか、すぐに異変に気づく小町。

「お兄ちゃん?どったの、大丈夫?」

大丈夫だ。

たったその一言すら発せない。

そして、

「何かあったの?」

その一言で俺の頭はパンクした。

視界が眩む。

耳に残るのは自分が倒れたであろう音と、小町の悲鳴だった。

あぁ、兄失格だなこりゃ。

 

目が覚めると時計の短針は11を示していた。

時計を見る時に首を動かしたからか、タオルが額から滑り落ちる。

それを拾い上げて気づく。

自分はリビングのソファに寝かされていたこと。

小町が運んだのだろうか。

小町は、自分の腹部に頭を預け寝てしまっていた。

世話になったのだろう、そっと頭を撫でる。

「すまんな。」

少し安心したような顔つきになる小町。

「おう、起きたのか。」

声の主に驚きつつ振り返る。

「親父……」

「はは、なんだその目は相変わらず腐ってるな貴様。」

「実の息子にいうセリフかよそれ。」

「安心しろ冗談だ。─1割は」

「9割本音じゃねーか」

「まぁ、そんな事より。」

そんなこと扱いしやがった……

「お前、小町大泣きしてたぞ。

俺に電話してきた時もパニクっていて、お兄ちゃんが、お兄ちゃんが!しか言わなかったんだからな。」

「すまん。」

「まぁ、何が原因で倒れたかは知らんが、あんまり無茶はするなよ。」

「どうしようが俺の勝手だろ。」

「勝手だな、勝手だが、その結果倒れこんなになるまで心配させたんだぞ。」

「……………」

「お前の考えは変えなくてもいい。

だが、お前が倒れたりすると心配するやつがここにいるってこと、忘れんじゃねーぞ。」

そう最後に言い残し、親父は部屋に戻って行った。

今日は帰ってこない予定じゃなかったか。

心配かけたんだな。

 

 

小町を部屋に運び、自分も風呂を済ませ布団に着く。

向き合わなければいけない。

それから逃げていてどうするのか。

福田との関係は、どうやら俺の思っている以上に深いものになっているらしい。

福田との関係。

文化祭で終わらせてしまう方がいいのだろうか。

自分の気持ちは……

 

 


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