ガーディアンが行く場所 オレは臆病な君を守り続ける 作:孤独なバカ
オレはサチが泣きやむまでずっと側に座っていた。
泣きやむことには、夜中の11時をまわり日が変わる前だった。
オレはケイタにメッセージを送り、サチは3日間の狩りの休暇をとることになった。そしてサチを寝室に休ませて、オレの全ステータスとレベル、スキル情報をキリト、アスナ、ケイタに公開した。
アスナとキリトはエクストラスキルの情報を知っていたとはいえその効果に驚いていた。
ケイタはただ驚いていたが、サチの状態を聞いてきた。オレはサチがオレに狩りの前衛を任せたことで攻略の邪魔をしていると思い込んでしまったという嘘をついた。サチからの希望だったのでオレは嘘をついたのだ。
結局全部終わったころには日付が回っていた。
オレが宿屋の部屋に向かうと少女がオレの部屋の前で立っていた。
「サチ、どうした?」
オレが後ろから話しかけると
「えっと、ちょっと眠れなくて。」
水路のことを思い出す。怖くて最近眠れないと言っていた。多分今日もそうなんだろう。
オレはドアを開ける。
「んじゃ入るか?飲み物くらいしか出せないけど。」
「うん。」
オレは部屋の扉を開けて灯りをつけアイテムウィンドウをいつもサチが飲んでいるドリンクをオブジェクト化して
無言でサチは受け取りベットに座り込む。オレも一つ持って備え付けのソファーに座る。
「……ねぇ。ユニバース。」
「なんだ?」
「…私、死なないよね。」
「君は死なない。死なせはしない。」
オレはサチの隣に座る。
「…大丈夫。オレがキミたちを守るから。」
「うん。」
オレにもたれかかってくる。そしてしばらくたった後スースーと寝息が聞こえてきた。どうやら眠ってしまったらしい。
オレはケイタ達にメッセージを送りアイテムウィンドウから寝袋を取り出す。寝てしまったものは仕方ないのでオレは床で寝よう。そして一番の問題は
……明日なんてケイタ達に説明しよう。
翌日、オレがアラームの音と共に起きるといい匂いがした。そしてほのかに温かく、心地よい。
目を開けると視界がぼやけている。
「あっ。起きた?」
オレの目の前から声が聞こえるが寝ぼけていて視界がはっきりしない。オレは寝ぼけ眼をこすり身体を伸ばす。そして視界がはっきりしてくる。オレの目の前にいたのは、
「おはよう。ユニバース。」
サチがオレの目の前にいた。
「……おはよう。」
オレは今の現状を確認する。昨日サチがオレの部屋で寝たことは覚えている。だけどなんでオレは今膝枕されているんだろう。
サチは昨日よりも顔色がよくなっていた。寝不足が少しは解消されたのであろう。というか
……気づかなかったけどこいつ凄くかわいかったんだな。
顔色がよくなっていたのと初めて近くでサチの顔を見たからだろう。不覚にも少しドキッとしてしまう。
するとクスクスとサチが笑いだす。
「なんかユニバースっていつもは頼りになるのに、寝顔は凄く子供っぽいよね。」
「……それほめてないだろう。」
オレはとりあえず寝袋から出てソファーに腰をかける。「いつから起きていたんだ?」
「6時くらいかな?」
「……早いな。眠れなかったのか?」
「ううん。目が覚めちゃっただけだから。」
下を向いているところを見ると嘘をついていたことはすぐに分かった。だけどオレは何も言わずに立ち上がる。
「そろそろ朝食だし下りるぞ。」
「うん。そうだね。ケイタ達に謝らないと。」
「あぁ、ちゃんと謝っとけよ。心配してたからな。」
「むぅ。分かっているよ。」
オレもこの状況がバレたら十分まずいけどな。
でも多分当分の間、サチは誰かがいないと寝れないだろう。
「……サチ、アスナと部屋共同にしてもらうか?」
「えっ?」
「今回はオレの部屋に来たけどさすがに男子の部屋で寝るのは不安だろう。」
「……ユニバースがいい。」
「だから、ってえっ?」
いじけながらサチが怯えながら
「だからユニバースの部屋がいい。」
「……」
オレは少し考える。そして
「……もしかしてお前。いや。なんでもない。」
もしかして、サチオレが近くでいないと寝れないのか。なんて言える訳がなかった。
「……んじゃ飯食いに行くか。」
「うん。そうだね。」
オレとサチは下の食堂に向かった。
結局サチは狩りの時間は弱音も吐かずずっとついてきた。ケイタ達の腕も上がり狩りの効率も上がった。レベルもスキルの熟練度も上がりつづけているらしい。この調子だったら後一週間で最前線まで上がれるはずだった。
前と二つだけ違うところある。一つ目はサチがあれから毎日オレの部屋で寝るようになったことだ。
君は死なないとオレが言うとどうにか寝られると言っていたのであれからもずっとオレの部屋で寝ていた。
そして2つ目はサチとの共通ウインドウを作ったことだ。理由を聞くとポーション類の受け渡しが楽だからと言っていた。オレは別に良かったのでサチだけの共有タブを承認した。
そしてちょうど月夜の黒猫団と出会って1ヶ月だったある日キリトとアスナがボス部屋を見つけたからボス攻略戦に参加して欲しいと連絡があった。
オレはもともとリーダー格だったため参加しないといけなかったことは確実だった。
そしてそのことを月夜の黒猫団に告げるとケイタも了承した。そしてケイタ達もサプライズを用意していたのだ。
共有ギルドハウスの設立。
月夜の黒猫団がオレ達にお礼がしたいと言って計画していたらしく、オレ達はかなり嬉しかったものだった。
ここまでがオレがまともであった時の話だ。
あれから半年か……
オレは幸せだったときのことを思いだしていた。
オレは映像記憶用結晶を見ていた。ボス攻略戦前に撮った最後の映像だ。
何度も何度もこの結晶を見て泣き、これを見て自分の罪を責めた。
後一週間でクリスマス。
サチたちは元気だろうか。
オレは昔のギルドメンバーとパーティーメンバーのことを思いだす。
キリト、アスナ、アルゴ、サチ、ケイタ
オレは泣きそうになる。だけどそんな暇はない。
オレは今日もアリの巣に向かう。
死んだ3人の蘇生をするために。