ガーディアンが行く場所 オレは臆病な君を守り続ける 作:孤独なバカ
目が覚めると懐かしい感触がした。
温かいふわふわしている。
そしてなぜだか締め付けられて動けないけど悪い気はしない。
そして後ろから微かながらに笑い声が聞こえる。
「……サチ、起きているんだったら離したら。」
すると後ろから小さな声で
「……ヤダ」
と聞こえた。オレはウインドウを開き時間を見る。
すると時間は昼過ぎを回っていた。アスナとキリトとケイタは多分攻略だろうし、サチと二人きりだ。
「……でも驚かないんだね。」
「まぁ、昔はずっとサチはオレの部屋で寝てたからな。もしかしたらって思ってた。」
オレは苦笑してしまう。
サチの優しさに救われてきた。
オレとサチの関係はまったくわからない。だからオレはサチとの関係についてはっきりしときたかった。
「……なぁ、サチ。」
「何?」
「……オレと付き合ってくれないか?」
サチがオレを抱きしめる力が一瞬弱くなるが強く抱きしめられる。
「……」
「……」
少しの間オレもサチも話さなかった。何も言わずに無言の時が過ぎる。
正直ムードもないし、シンプルな告白だった。
だけど、今すぐにサチに気持ちを知って欲しかった。
朝起きて、サチがいるだけで嬉しくて、心地いい。抱きつかれると暖かく手放したくない。それにこの世界でも現実世界でもサチの隣にいたい。
そんな気持ちに押しつぶされそうになる。
何分、何時間のように感じる。しかし後ろから微か泣き声とともにはっきりした声が俺に届いた。
「……はい。よろしくお願いします。」
と。
昼食だか朝飯だか分からない飯を食べてからオレたちは少し話をしていた。
まずは、サチについてだ。
サチのスキルには、もう戦闘スキルは残ってないらしい。その代わり計算スキルと料理スキルなどのサポート専用のスキル構成になっているとのことだった。
レベルも攻略組に比べて低い。しかし計算スキルや交渉スキルがずば抜けて高かった。
経理面や取引面でギルドメンバーは支えていたのだろう。
そしてサチにオレのレベル、スキル構成について、全部公開した。
オレのレベルにはサチも驚いていたが、何も言わずにオレの話を聞いていた。
だけど、最後に笑ってお疲れ様。とサチが頭を撫でてきた時はかなり照れくさかった。
そしてギルドメンバーについて、
どうやらキリトが鈍感らしくてアスナがまったく報われてないこと。
ケイタが前よりも頼りになること。
本当に他愛のない話で二時間話続ける。
「そういえば、もうそろそろマイホームでも買いに行くか。」
オレはメッセージをアルゴに送る。
「そういえばなんでユニバースはマイホームを買おうと思ったの?」
「……攻略組から離れるためかな?」
オレはため息をつく。
「オレこの世界に入ってからちゃんとした休暇はほとんどとってないんだよ。だから少し疲れたと言うかのんびりしたくてな。レベルも高すぎてもこき使われることはあるしな。それに、」
オレはそっぽを向く。
「……少し甘えたくなっただけ。」
するとくすっとサチが笑う。
「そういえば、家はもう決めたんだったよね。」
「あぁ、22層のログハウスで空いている家があってな。湖が多くていいところなんだよ。何だろう。本とかの知識しか知らないんだけど軽井沢の別荘みたいな感じ。」
「へぇーそんな階層あったんだ。」
「……経験値効率が悪かったからレベリングの時は外していたんだよ。あのときは。色々あるぞ。四層だったら水路の街だし、綺麗だったなぁ。」
するとくすっと笑い声が聞こえる。
「なんかユニバースって子どもみたい。」
「……そうかもな。」
オレも少し苦笑してしまう。
「ほんとは誰かに弱さを見て欲しかったんだ。多分、誰にも頼らないで生きてきたから。」
オレはサチの頭を撫でる。気持ちよくて心地いい。
サチには泣き顔も、照れた顔も全部見られてしまったし、恥ずかしい姿は全部見られてしまったからな。
「……悪いかよ。」
「ううん。うれしい。」
「……なら良かった。」
そしてメッセージが届く。
用件は取引人の件で今すぐ会えないかと言う話だった。
「行こうか。サチ。」
「うん。」
オレたちは手を繋ぎ歩き出す。離れないように強く、そして優しく。
「……よろしくな。サチ。」
「うん。よろしく。ユニバース。」
ずっと支えていきたい女の子の隣で笑いあえるように。