ガーディアンが行く場所 オレは臆病な君を守り続ける 作:孤独なバカ
「空太、今日の夜ご飯何がいいかな?」
「別になんでもいいや。でも肉系統で。魚は食べ飽きてるし。」
俺たちはギルドハウスの中で電子メモ帳に追われていた。
休業してから約20日がたった。
50層攻略が終わりキリトとアスナもケイタも無事だったらしいが、やっぱり犠牲者は多かったらしい。
六人が死に、また攻略組二つの小規模ギルドの撤退
少し悩ませる結果となってしまった。
「……はぁ。ってかなんで改善策を俺に押し付けてくるんだよ。」
KoB副団長から改善案を出せと言われていた。そんなこと簡単にできるならもうやってるというのに。
「……はぁ。デスクワークってこんな面倒だったんだな。昔の俺よくやってたよ。」
「それはデスクワークじゃないと思うけど…」
「仕事しないって伝えてたのに…本当にウザい。どっか遊びに行きたいな。」
結局攻略組は自分のためで精一杯なのか面倒ごとを押し付けてきた。
キリト達が反論してきたがさすがに迷惑をかけるわけにはいけないと思い引き受けたのはいいが
解決策がほとんど思いつかない。
本当に手詰まりなのだ。
攻略からもう一年経っているので新規の攻略ギルドはほとんど少なくなっていた。
それにどんどん攻略組の雰囲気は悪くなっており、対立しているグループが多くなっていた。
ガーディアンにも対立しているグループがいる。
主に血盟騎士団と聖竜連合などの大型ギルドだ。
攻略だけではなくて下層の支援を行なっている俺たちの存在はやは気になるのか、あらゆることで面倒ごとを押し寄せてくる。
今回の一件もその一つだ。
しかし下層の人達や中規模、小規模の攻略ギルドには親密な関係を維持している。また商人ギルドの信用も得ておりクエスト情報を提供したり、関連クエストに協力するかわりにポーションを格安で売ってくれていた。
なので大型ギルドはあまり大まかな嫌がらせはできなくなっているのだ。
「……はぁ。ギルドでももう三人戦闘メンバーほしいところだし、サポートもサチ以外にもう一人欲しいな。サチも働きすぎだし、もうそろそろローテ組めるようにしないと。」
「……どうして?」
「今前衛2、後衛2のバランスだろ?アスナも一応前衛として活躍できるけどスピード特化だしキリトも多少筋力パロメーターは上げてるけどやっぱりスピード型だ。……ここメイン盾俺しかいないんだよ。」
「……あっ!」
「それにさすがにここから上層になるにつれてやっぱり火力やスピードは大事になってくるだろうし。何よりモンスターに挟みうちにされたとき、誰かの死に繋がる可能性が高い。後前衛が二人と後衛がもう一人きたらもう一パーティー組める。そうしたら週3攻略、週3下層の見回り、一日休暇とバランスよくできるんだよ。前衛ができてスイッチできる人がいてサポート要員がいると結構ありがたいしな。」
俺もいつまでこの硬さを維持できるかわからないし、アタッカーとしてでないといけない時もある。そうした場合俺の他に筋力パロメーター重視の人材がやっぱり欲しい。それに休暇は今の所不定期でとっているので定期的に取れるようになると疲れも溜まりにくいだろう。
「……後衛2、前衛1でもいいんだよなぁ。アスナとキリトは経験豊富だから俺のところにもう一人つければいいし。全員で行動するとなれば盾2でも普通のパーティーなら回せる。階層ボスでも十分回せる。火力より耐久とサポート要員が少し欲しいな。うち火力特化ばっかりだし、それに突属性武器と打属性武器を扱える人が欲しい。いくらなんでもスケルトン系に弱すぎる。」
「うん。それにアスナ、お化け系統苦手だもんね。怖がりってキリト前口滑らせてアスナに怒られてた。」
「……あのバカ何してんだ。まぁメイル系の盾役とできれば短剣のサポートメンバーこの二人は欲しいな。なぜかSAOは六人パーティーの仕様だし。」
「……どんどん目標が小さくなってるね。」
「仕方ねぇだろ。あんまりギルド人数増やしたくないんだよ。」
元々信頼できる人しか加えていないギルドだ。人柄、性格など多くの項目でクリアした人しかいれていない。
「……はぁ、レッド対策するついでに下層に探しに行くか。せめて一人くらいは見つかるだろ。そういえばサチギルド資金は今どれだけあるんだ?」
「今は300Mぐらいかな?かなり削れるところは削ったから。」
「……よくそんなに貯めれたな。」
サチは家計とかのチェックもしていたらしく、計算スキルがなくても節約できるところは削ったりしてギルド資金は豊富になっていた。
ポーションが結晶アイテムは基本的にギルド資金から出していたが、下層の支援をドロップ品の中から、下層で使えるものを安価で売ったりした結果らしい。
「……それじゃ、一応ギルド人数増えても大丈夫かな。少しくらいなら余裕もあるだろうし。」
「うん。でも、戦闘以外の人を雇う余裕はないと思う。最近少し支出が多くなってるから。」
「…50層の時結晶アイテムとポーションをかなり消費したって言っていたからな。しょうがないか。」
俺が夜少し手伝えばなんとかなるだろうし、
「……はぁ。大型ギルドがもう少し下層の支援に目を向けてくれていたらなぁ。最近なんか軍の動きもおかしくなっているらしいし、少し考えていかないと。」
「でも、攻略組ってやっぱり雰囲気はよくないよね。特に聖竜連合は大型ギルドだけど、KoBとガーディアンが最強ギルドだと思われていることが、嫌みたい。何度も引き抜きにきたり合併したいってきてるんだけど…アスナが本当に嫌がっているから何とかしないと。」
「引き抜きか。……正直な話引き抜きに関しては別に何も言うつもりはないつもりだったんだが…ヒースクリフと少し相談するか。牽制がわりに恩を売らせておくのもここはいい所だろう。」
案外俺とヒースクリフの仲は悪くないんだよな。攻略に夢中なヒースクリフだがユニークスキルの使い手として何度も話し合っているのがやっぱり大きい。
迷惑行為は本当になんとかしないとな。
「そういや、サチは引き抜きにあったことはあるのか?」
「三回あるけど…断ったよ。私はこのギルドからこの世界が終わる時まで離れないでいようと思うから。」
「そっか。」
サチで三回か。戦闘面で活躍できないサチでさえ勧誘がこんなにきてるってことは
……かなりまずいな。
「……結構焦ってるな。最悪強行に出てもおかしくはない。ってか迷惑かけるようなら、もう完全に敵対化した方がいいかもな。一応俺たちのギルドは下層の支援と生きるために作ったギルドであって、攻略を目的としたギルドじゃないからな。」
「……そうなの?」
知らなかったのか、首をかしげるサチ
「下層の支援は元々は俺がアルゴとやり始めたのをきっかけにしたことだけど、元々はこのギルドは生き残ることを目的としてるんだよ。一層のフロアボス攻略戦の後ギルドメンバーの命を守ることを目標にしたギルドを作ったのがガーディアンだよ。だからサチが入って戦闘職から離れて支援に回ったときも誰も何も言わなかっただろ。」
「うん。でも、それはこのギルドにいなかったからじゃないの。」
「違う。まぁ確かにそれもあると思うんだけど、元々このギルドに入る条件は普通の人なら基本攻略組じゃなくても入れるんだ。ただ意識の問題なんだよ。昔の話になるけどケイタに聞いたんだ。力を何のために使いたいかとな。ケイタは即答で誰かを守るために使いたいと答えた。最近同じことを聞いたけど全く同じだった。」
生きる。それがこのギルドの方針だ。
利益より命を大事にすること。それは仲間と自分の生きる道を最優先する。
それは何よりも大切なことだから。
失った人はもう二度と取り戻せないんだ。だからもう前を向くしかない。
「このギルドに入る条件は守りたい人や物があるか。ただそれだけなんだよ。」
恋人、友人、なんでもいい。ただ守りたいものがあるか
「まぁ、ストーカーや色目狙いの人はお断りしてるけどな。」
「ストーカーとかいたの?」
「あぁ。少しアスナの追っかけで凄く追放するのに一苦労だった。」
アスナはアインクラッドの中で5本指に入るほどの美人と言われているほど人気が高く、正直このギルドの顔と言っても過言ではない。
そのぶんこういう面倒ごとを持ってきやすいのだ。そういう案件が一件だけではないことがアスナのすごいところなんだよな。
「まぁ、そういう人以外なら別にいいんだよ。人数は俺は多分10人未満の小規模ギルドにすることは方針で決まっているから。…ってなんで関係ない話してるんだろう。サチ仕事終わったか?」
「うん。終わってるよ。」
「じゃあ今日は帰ろう。こっちはもう終わりそうにないからまた今度考える。」
「それ昨日も同じこと言ってたよ。」
サチは苦笑している。
「私はいいけど。でも空太。」
「ん?」
「わたしのことはいつになったら名前で呼んでくれるの?」
その一言に黙り込んでしまう。
「えっと、それは…」
「……」
サチは笑顔だけどその笑顔がとても怖く感じる。だから正直に言う。
「……恥ずかしいんだよ。名前で好きな女の子に呼ぶの。一回呼んだ時噛んだしな。」
「うん。でも私も恥ずかしいけど…」
「……だよなぁ。」
あきらめるか。もう。
「えっと千代。」
すると顔を真っ赤に染める。佐伯千代。苗字と名字の最初の一文字からとってサチにしたらしい。
やっぱりなんか
「恥ずかしいな。なんか。」
「でも、私は嬉しいけどなぁ。」
「ねぇ、二人とも。私ここにいるの忘れてない?後二人の世界に入るのやめてもらっていいかな?」
アスナがげんなりとしている。
「アスナ、どうしたの?今日休みじゃなかったの?」
サチが驚く。今日はギルド自体が休みだったのでアスナ達はこないと思っていた。
「キリトくんもケイタくんも下層に武器買いに行ったから、二人の仕事を手伝いに来たんだけど…」
「それは悪かった。完全に気づいてなかった。ってかちゃんと今までは仕事してたし。」
「うん。二人とも真剣な様子で仕事してたから話しかけなかったんだけど…あの、凄く言いづらいことなんだけどちょっとお願い聞いてもらっていいかな?」
すると真剣な様子で話しかけてくる。アスナ
「どうしたの?」
「えっとね。最近私のホームが聖竜連合の班にバレて。」
「アスナ。お前本当に大変だな。」
もう、この時点でもうはっきり理解した。またストーカー被害だな。
「……でもどうすればいいの?前までは鍛治師の女子プレイヤーのところに泊まってるって言ってなかった?」
へぇ〜確か噂で聞いたことあるな。でも本当に
「リズは最近48層のリンダースで欲しいお店があるからって目標の200万G集めてるから。」
「それは俺が出してやるからアスナを匿ってほしいって伝えてくれ。」
俺は即答で言うと二人は驚く。
「えっと、ユニバースくん?」
「そのリズって女の人のこと信頼してるんだろ?それならそれくらい出してやる。その代わり半額は返してもううことの条件付でだけども。ギルド資金じゃなくて俺のマネーから出せばなんとかなるだろ。」
「うん。その方がいいかも。私たち一応お金には困ってないし、まだ資金には余裕があるから。」
「でも。」
「安全を確保できるんなら、それが最優先だ。アスナは俺たちのところはさすがに居づらいだろうし。宿屋も比較的危険だ。多分ホームに戻って来てないことがバレたんなら多分最初は宿屋に当たるだろうしな。基本金貸すのはあまりしたくないんだが、状況が状況だ。最悪アスナの礼金としてはらうからいい。少しくらいは日数稼げると思うしその間に対応しておく。だからもし信頼してるんなら少しの間匿ってもらえ。団長命令だ。」
そうしないとアスナの性格上頷くことはないことはわかりきっていた。
「……はぁ。わかった。ユニバースくん本当にごめん。」
「アスナが悪いわけじゃないだろ。でも少し聖竜連合とはこれで完全に対立する。最近ちょっと度が過ぎていたしな。明後日そのリズっていう子に会いに行くから。」
「うん。じゃあ案内するけど…」
「うん。とりあえずメッセージ送っといてくれ。一応今日はうちに来た方がいいだろ。キリトとケイタも呼んで対策考えるから。サチ悪いけど。」
「大丈夫。その代わりアスナは買い物手伝ってほしいな。全員分の材料とか用意しないといけないから。」
「うん。ありがとう。じゃあリズにメッセージ送るね。」
するとウインドウを開いてメールを送っているようすだった。
「本当にここにいる限り俺たち休めないかもな。」
「うん。」
俺とサチはため息をついた