とある過負荷の禁書目録   作:なっち様

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遅くなって申し訳ありません、いろいろ忙しくてアレでした


第2話

学園都市。東京西部に位置する完全独立教育研究機関であり、あらゆる研究機関・研究組織の集合体で総人口は約230万人、そのうちの8割を学生が占める学生の町にして外部より数十年進んだ最先端科学技術が研究・運用されている科学の街。さらにこの街では人為的な超能力《スキル》開発が全学生に実施されており、超能力者の街とも名高い。しかし、必ずしも全員が能力者ではなく、むしろ学生の約6割が無能力者《レベル0》であり彼らは冷遇され、それをコンプレックスに思う者も少なくない。一方でこの街の頂点である7人しかいない超能力者《レベル5》は高待遇で多少の無茶も許され奨学金もレベル0とは雲泥の差だ。最先端の科学の街と言われ羨望されるこの街でさえ、幸せ者《プラス》と不幸な者《マイナス》は存在する。

 

『まったく、世知辛いよ』

そう呟く男、球磨川禊の足下には屈強な男達が倒れ伏している。ただ全員に大きな螺が刺さっているとういうなかなかにショッキングな姿でだ。風紀委員や警備員などの治安維持部隊がこないのはひとえにここが目の届かない路地裏だからだ。

『あのさー』『君達ってスキルアウトってやつだろ?』『君達みたいな弱い奴が僕みたいなの弱いのをカツアゲするようになったら僕達弱者は終わりだと思うんだけど。』

『弱い僕らが潰しあったって何の得にもならない。』『むしろ強者を喜ばせるだけだ』

「うるせー!何が弱者だ!能力を持ってる癖に、能力者はいつもそうやって俺達を見下しやがる!」

そう威勢よくスキルアウトの1人が叫ぶ、手足は螺でとめられているので顔だけ上げた状態でだが。

『能力?』『違う違う』『僕のそれはそんなプラスのものじゃないよ』『こんな物は手品みたいな冗談でしかないさ。』

球磨川まるでこんなもの大したものじゃないと伝えるが持たざる者の彼らには持つ者の球磨川の言葉に我慢ならない。

「馬鹿にすんじゃねえ!そんな高学歴が勉強より大事なものがあるって説明するみたいなこといいやがって!」

「やっぱ能力者は俺達のことなんて分かってない!」

『分からないくせに分かってもらおうとするなよ』

やれやれ、と肩を竦めながら球磨川が告げる、その両手には螺が構えられていた。

『それに忘れてないかい?今君達の生殺与奪は僕が握っているんだ』

『あーなんか僕の正義の心が迷惑なスキルアウトを殺せって言ってる気がするぞー』

「なっ!?カツアゲしようとしたぐらいで殺すなんて有り得ねぇ!」「冗談だろ!?割にあわない!」

『うん冗談!』

そういう球磨川の手にはいつの間にか螺がなくなっていた。出したり引っ込めたり自在な四次元ポケットのような便利さ、どこにその巨体な螺をいれてるのかは球磨川本人しかしらない。

『いやーやっと分かって貰えたよ』『今いる学校は最近転校してきたんだけどさー自己紹介でスベっちゃって、まさに事故紹介ってやつだったんだよね』

やっぱ冗談ってのは受け取る側の感性って大事だよねー、と呑気にピクニックでもいくように言うとスキルアウト達もほっとしたのか項垂れる。

死ななくて良かったそんな雰囲気が場を包みかけた瞬間、ドスドスと全員に螺が突き刺さった

「がはっ!?」「なんで!?だって!」

『言ったさ』『僕のスキルは手品みたいな冗談でしかないって』

『でも、僕の過負荷(これ)手品(それ)と違って取り返しがつかない』

安心してよ!冗談を体を張って受け止められる君達のことは明日くらいまでは覚えてるから!そう言い残し場をを後にしようと踵を返すがその直後

ドスッと何かが倒れるような音がした。音のした方を目で辿ると

「あ、ああ、ひっ、ひぃぃ」

完全に怯えきった少女がいた。どうやらたまたま通りかかったらしいが運悪くこの惨状を見てしまい、あまりの恐怖にペタンと腰を地につけ座り込んでいるようだった

「あ、う、な、何よこれ。男の人の頭にね、ねじが刺さってし、死んでる?何でこうなってるの?何これ何これ何なのよこれ!!!!」

手で頭を抑えながら赤子がいやいやをするように頭を振り回す少女。桜の髪飾りが今にも外れて飛んでってしまいそうだ。

誰がどう見ても弱りきってる少女に球磨川は返り血を服や顔といった至る所に付けているのに堂々とした足どりで近づいていく。

『ねえ、君』

「ひぃ!な、な、きゃあ!な、なんですか!?」

あまりの混乱に球磨川が近づいていたことに気づかなかったようで、いきなり話しかけられた事に驚いた少女は球磨川の顔を見てまた驚いた。

『勘違いしないで欲しいんだ』

いきなり話しかけられた事もそうだが、この惨状の原因であろう人物が自分に声をかけてきたとういう事実が少女を恐怖させる

(こ、殺される!?)

少女はそう思い逃げようと思ったが腰が動かない。人は本当に恐怖した時に体が動かなくなることを少女は知った。こんな事を実体験で知りたくは無かった。そんなことを少女は泣きそうになりながらおもった

(ええい、逃げられないならしょうがない!佐天涙子覚悟を決めろ!!)

少女ー佐天涙子ーは覚悟を決め返事をする。

「な、なにをですか?」

『うん、もしかしたら君は僕をこの惨状の犯人かと思ってるかもしれないけど』『勘違いしないでちょうだい』『僕が来た時からもうこうなっていたんだ』『つまり』『僕は悪くない』

ゾクゾクゾクッと佐天の背中をムカデが走り回ってるような怖気が走る。

(この人、終わってる、まともじゃない!!初春に連絡しなきゃ!)

後ろ手に携帯を持ち親友であり風紀委員でもある初春に連絡を取ろうと佐天は試みるが

ガシッ!!!

と手を球磨川に掴まれる。

『まあ、待ってよ』「~~~~~~!!!!!!」

球磨川に掴まれた所から手を切り落としたくなるような衝動にかられ手をおもいきり振ると球磨川の手は離れたが携帯も飛んでいってしまった。

『そうやってすぐ風紀委員に連絡とろうとするだから』『僕のこと犯人ですって通報するつもりだったろ』『通報する前に1つ聞いてちょうだいよ』

「こ、来ないで!!」

後ずさりをするも狭い路地裏すぐに背が壁についてしまう佐天。

『わかったよ』『僕はこっから動かない』『可愛い女の子の頼みだ!もちろん聞くよ!』

「ほ、ほんとうに?」『うん』『もちろん』

『だって本当に誤解なんだって』『ほら見てよこれ』『僕の学生証さレベル0ってなってるだろ?』

そういって佐天に投げ渡すが力が足りず佐天より少し前に落ちる学生証。いちいち細かい演出の効かない男である。佐天も少し躊躇しながらも学生証を拾った。

「え、えと、ほんとうだ!?球磨川 禊レベル0って書いてある!?」

『でしょ?』『だから、僕にはあんな事無理なんだよ』『これで証明になった?』

いけしゃあしゃあと大嘘をつく球磨川だが、学生証自体は本物だ。どうやら球磨川の過負荷(マイナス)は学園都市の機材にはスキャンされないらしくレベル0認定されている。

「す、すいません!!!私ってばてっきり」

バっと頭を下げる佐天。完全に球磨川の言っていることを信じきったようである。

『いいのいいの!』『信じてくれれば』『じゃあ』『僕帰るからあとはよろしく!』

そう言うと本当に帰ろうとする球磨川を慌てて佐天が引き止める。

「ちょっ、ちょっ、ちょっと待って下さい!ジャッジメントへの状況説明とかあるから残んなきゃダメですよ!」

慌てて説明する佐天だが

『いや、だってさ』『僕のこの格好みたら絶対犯人扱いされちゃうだろ?』『説明は君がやっといてよ』『僕が来た時と変わってないから』

「ええーー!!?うっ、でもまぁ確かに絶対疑われるでしょうね」

佐天はそう言うと、ハァとため息を1つつくと笑顔で言った

「しょうがないですね、私がやっておきますから帰っていいですよ」

この瞬間、球磨川は歓喜の笑みを心の中で浮かべた。佐天に帰ることを許可されたことにではない、佐天が自分の嘘を信じきった事にでもない。

佐天が人が死んでいるというこの異常な状況で笑顔を浮かべたことに対して歓喜したのだ

(『彼女は人を疑ってしまったという自己嫌悪と』『人の死という過負荷』『さっきまでの死の恐怖というものに心負けている』『もしかしたら彼女には過負荷(マイナス)の才能があるかもしれない』)

「どうしたんですか?帰らないんですか?」

心の中で過負荷扱い寸前とは露知らず佐天が球磨川に声をかける。

『おおっと』『そうだね帰らせてもらうよ』『じゃあね!またいつかとか!!』

後ろに手を振りって去っていこうとする球磨川の目の前にヒュンと音がしたかと思うと

「ジャッジメントですの!!!大丈夫ですか!佐天さん!」

といきなり現れた少女の声が響き渡った。

球磨川は携帯は止めたはずじゃ?と先程佐天が投げ飛ばした携帯を見ると電源がついており通話中になっていた。幸い距離があるため会話の内容までは分からないだろうが、ぶつかった拍子に通話ボタンを押しそれがジャッジメントの詰所に繋がるという佐天にとっては奇跡、球磨川にとってはマイナスという事態が起きたのだ。なんという佐天の強運、負け続ける星の元に生まれた球磨川には起こりえない奇跡だった。

「これからあなたをこの惨状の参考人として連行します」

先程現れたテレポーターであろう桃色の髪の少女が球磨川に話しかける。

球磨川は独り静かにごちた

『やれやれ』『また勝てなかった』

 




学園都市の学生証にレベルが書いてあるのこちらの捏造設定です
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