とある過負荷の禁書目録   作:なっち様

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遅くなりました。失踪したと思った人ごめんなさい!
俺も失踪したとおもってました


第3話

科学の街には似つかわしくないカツ丼と刑事を連想させるドラマでよく見るような取調べ室に球磨川禊は連行された。

『・・・なんか、こう、いかにもって感じだね。もっと嘘発見器とか心拍計みたいなのがあると思ってたぜ』

 

「無駄口叩かないでさっさと座りなさい!」

ピンク髪の少女ー白井黒子ーが叫んだ。これに対して球磨川は何処吹く風で

『おぉ怖い怖い』

と肩を竦めるだけだ。

「今回このような場所に居る理由が分からないんですの!?」

球磨川の巫山戯た態度にますます白井黒子は怒りをあげる。

彼女は実際に現場ー男たちの頭に巨大なネジが刺さっていたーのを見たのだ。正義感の強く、友達思いの彼女はこの事件の犯人であろう球磨川の取調べにも自ら志願したのだ。

その友達の佐天は球磨川の事を疑っていないどころか、信用までしているのだが…。

『んー、理由?』

はて?と首を傾げとぼける球磨川に黒子が机を叩きあげ

「あなたが男性5人の頭を螺で突き刺し殺害したからですの!!」

その理由を叫んだ。

 

『だーかーらー違うって言ってるだろ。第1皆んな生きてるじゃない』

そう、驚くべき事に球磨川が螺ふせた男達は全員生きている。

現場に黒子が到着した時、確かに5人の男が頭に螺を生やして倒れていた。誰が見ても彼らは死んでいた。生きているものを優先せねば、と黒子はすぐに佐天の下へ行き無事を確認した。その間、そのほんの少し目を離した間に、なんと彼らは立ち上がったのだ。フランケンシュタインのようになっていた頭は螺が消えて元の状態に戻っていた。

まるで無かったことになったように。

 

「しらばっくれても無駄ですわ!貴方以外にあの場には誰もいないのは確認済みですのよ」

 

『それで僕が犯人だって決めつけてるのかい?』

 

「被害にあった彼らの証言もありますわ!」

 

『善良な学生である僕より路地裏で恐喝するような奴らを信じるのかい?』

 

「そ、それに!貴方のその服!明らかに返り血ですの!」

 

『人を見かけで判断するなよ』

 

「アナタ!いい加減しなさい!!」

 

『うわ、怖ーい!!警察権のある組織の組員が善良な学生を密室で脅してるー』

 

そう言われると黒子は態度を改めるしかない、人の言われたら弱いところを突いてくる、突くのが上手い嫌な男だ。

 

「コホン、失礼しましたわ。ですが、貴方の服を預からせて頂き検査に掛けます。よろしいですわよね?」

 

『勿論!それで疑いが晴れるんなら喜んで渡すよ!だって僕は悪くないんだから!』

 

「ありがとうございますわ。では早速検査局にかけてきます、すぐに終わるのでこのままお待ちくださいな」

 

『そういう検査がすぐ終わるとこは流石学園都市だね』

 

はい、と大人しく制服を渡す球磨川。黒子はそれを受け取ろうとし、誤って手が触れてしまった、その瞬間、黒子は怖気を感じ咄嗟に手を払い除けてしまった。くしゃりと床に制服が落ちる。

 

「も、申し訳ないですの、咄嗟に体が反応してしまい」

 

『うん、大丈夫!気にしないで、慣れてるから』

 

「ご、ごめんなさいですの…」

 

事実1番驚いていたのはやった本人の黒子であった。

 

(この方と手を触れるくらいなら手を切り落とした方が断然マシと、一瞬本気でそう思いましたの…な、なんてこと考えてるんですの!?私!?)

 

しかし、球磨川と手が触れ合った一瞬。黒子は確かに感じたのだひっくり返した石の裏に奇怪な虫達がギチギチと蠢いていたような気味の悪さを、況してや黒子はそれを触ったのだ、その虫達が手を伝い首にまでくるような気持ちだったのだろう。

 

「そ、それでは検査を担当する者に預けてきますの、少々お待ちくださいな」

 

黒子はそのまま逃げるように部屋を出ていった。

 

 

1時間後

 

「ちょっと!どういう事ですの!?」

 

黒子が帰ってきた、何やら慌てた様子で。

 

『あ、おかえり黒子ちゃん。あ、名前は筆録の娘に教えてもらったよ!いい名前じゃない!』

 

言われた筆録の娘はよほど嫌だったのか、泣きそうな顔で黒子を見た。

球磨川と2人きりという事だけでも、心が折れていても不思議ではないが、さすがは風紀委員といったところか。

 

「そんなことはどうでもいいんですの!」

 

『どうでもいいなんて言うなよ!』『自分の事だろう?』

 

「そうじゃなくて!今は大事な話があるんですの!」

 

『ねえよ、そんなもの』『自分より大切なものなんてあるわけないだろ』

 

「話をずらさないでくださいまし!!」

 

『あははは、ごめんね。それで何だい?』

 

「どうやって貴方の()()()()()()()()()()んですの!?」

 

黒子が疑問を告げた。一時間前、黒子が解析班に渡す前に制服を確認したところ、不思議と血痕が綺麗に消えていたのだ。これに驚いた黒子は制服の至る箇所を隅々まで見たが血痕どころか埃すら見つからず、ならばと解析にかけてみるも、はじめから無かったかのごとく何も見つからなかったのだ。

 

「絶対におかしいですわ!私たしかにこの目で見ましたもの!この制服に着いた血痕を!!貴方がやったとしか考えられないんですの!」

 

『そんなの無能力者の僕に出来るわけ無いだろ?』

 

「じゃあ、どうやって!誰が!なんの目的で!こんな事をしたっていうんですの!?」

 

『そんなのは風紀委員の君が考えてよ、黒子ちゃん僕なんかより頭がいいじゃないか』

 

のらりくらりと詰問を躱していく球磨川に黒子の怒りがついに頂点になり、今にも球磨川に掴みかかりそうな、そんな一触即発な空気の中

 

コンコン

 

部屋にノックの音が響いた。

 

「ど、どうぞ!!」

 

筆録の娘が神の助けとばかりに応えた。黒子も姿勢を正し、咳払いをした。なんと間の悪い事だ、と黒子は思う。

 

「入るぞ」

 

入ってきたのは眼鏡を掛けた大学生くらいの男だった

 

「し、支部長!?」「何故ここに!?」

 

黒子達が驚きの声をあげる。どうやら入ってきたのはこの支部の長のようだ。

 

「ああ、本部から連絡があってな」

 

「本部からですの?」

 

『いったい何のようなんだい?』

 

図々しくも球磨川が風紀委員の2人を差し置いて2人の知りたかったことを聞いてしまう。それに支部長は驚いたようで体を球磨川に向き直した。

 

「どうやら被害も出てないのに一般人を被疑者として取調べ室に拘束していると連絡を受けてね、僕が来たというわけだ」

 

「んなっ!?」

 

この言葉に1番驚いたのは黒子であった。支部長の言い方はまるで自分達が不当にこの男を取調べしていると告げているようなものだったからだ。当然、黒子は反論する。

 

「被害が出てないなんて、有り得ませんわ!現に私は見たんですのよ!」

 

「それは現場であって犯行そのものでは無いと聞いているが?」

 

「ぐっ、そ、そうですわ。しかし被害を受けた方達からも確認がとれて」

 

「その方達はとてもじゃないが信用できるような方達ではないらしいな?直前にも恐喝を働いていたと聞いている」

 

黒子が最後まで言い終わる前に否定されてしまった。しかも、先程に球磨川が言ったこととほとんど同じことを。黒子が球磨川を横目に見るとニヤニヤと意地の悪い顔で笑っていた。

 

(こ、この男ぉ)

 

しかし、黒子にはまだ手がないわけではなかった。

 

「支部長、今から言う事を聞いてくださいまし!」

 

そうまだ制服の消えた血痕の事がある、証拠を消すなんて犯人しかしない黒子はそう思い、制服を預かり解析にかけるまでの経緯を支部長に話した。

 

「ほう、なるほど。確かにそれは不思議だ、しかも証拠を消すメリットなぞ犯人くらいしかないのも確かだ。」

 

「そうですわよね!」

 

伝わった!黒子がそう思った時、水を刺す男がいた。勿論、球磨川禊

以外に居ない。

 

『それは違うよ』

 

「どういうことかな?」

 

『考えてもみてよ、証拠を消すのが本当に犯人だけかな?』

 

「そうに決まってるですの!」

 

黒子が反論する。まずい、このまま流れをこの男に持ってかれるのはイケナイと黒子は分かっていた。

 

「黒子、君は黙っていてくれ」

 

しかし、支部長に止められてしまった。支部長直々に言われてしまっては何の位もない、風紀委員の末端である黒子は大人しくするしかない。

 

「すまない、続けてくれ」

 

『ありがとう。それじゃあ、まず犯人が証拠を消す理由に着いて考えてみよう』

 

「それは自分が犯人だと発覚しないようにでは?」

 

『うん、そうだね。』『これが黒子ちゃんの言っていた僕が犯人の理由』

 

話しながら球磨川が黒子に目線を移すと黒子はキッと睨みつけてきた。それを意に介すこと無く球磨川は続ける。

 

『それじゃあ逆に犯人以外が証拠を消す理由について考えよっか』

 

その言葉に一同は深く考え込み、しばらくして漸く支部長が

 

「犯人を助けたいから…か?」

 

と答えた。

 

『うーん、それもそうだけど求めてる答えじゃなーい』

 

「じゃあ、分からないな」

 

支部長がそう答えるが、それはここにいる風紀委員全員も同じだった。

 

『答えは』『犯人じゃないと発覚させないためさ』

 

「どういう事だ?」

 

『つまりはね、証拠って物は僕を捕まえようと考えてる人に都合の悪いものにもなる可能性もあるって事さ』

 

「ちょっと!私がやったと言いたいんですの!?」

 

黒子がこういうのも当然で、球磨川の言っていることは黒子が証拠を意図的に消したと言っていることだからだ。つまり自分は不正を働いていると言いがかりを付けられているのだ。

 

『おかしいと思ってたんだよね、僕は無能力者だって言っているのに制服の血痕を消したのがまるで僕がやったかのように詰め寄ってきたり』

 

『証拠の制服を持って行くのだって他の人に頼めば良いのに筆録の娘を1人、僕と残して自分で行ったり』

 

これは黒子は空間移動能力者なので黒子が持って行った方が誰よりも早いからであるが、球磨川はそういう細かなところでさえ相手を不利にする材料にする。球磨川はそういう隙を突いて詭弁だけで追う側と追われる側の立場を逆転させた。

そして悪びれもせずに白井黒子が犯人だと球磨川 禊(犯人)が告げているのだ。

 

『黒子ちゃん。』『君、本当は僕が犯人じゃないって分かってたんだろ』

 

『だから証拠品を解析出来ないようにしたんだろ?だってしたら分かっちゃうもんね!』『僕が犯人じゃないのが』

 

「そんなわけないですの!!貴方の言っていることはさっきから詭弁ですわ!第一、制服を持って行ったのだって私が空間移動能力者(テレポーター)だからですの!学園都市に58人しかいない空間移動能力者の私が持っていたほうが効率がいいからですの!」

 

『そんなに興奮しないでよ。かえって怪しく見えるぜ』

 

興奮する黒子に球磨川が告げたこの一言は実にいやらしい効果を発揮する。というのも、ここで黒子が下手に黙るとそれも怪しまれるようになってしまうからだ。逆にこのまま捲し立てても周囲に黒子が追い詰められていると感じさせてしまう。この事に気づいた黒子は悔しそうにギリギリと歯を噛み締めた。

 

『ところで黒子ちゃんさ、君は学園都市に58人しかいない空間移動能力者ってのは本当なのかい?』

 

唐突に一見何も関係の無いような質問を球磨川がした。

 

「え?ええ、そうですわ」

 

質問の意味が分からずに首を傾げながらも答える黒子に、ありがとう。と答えると球磨川は質問を続けた。

 

『じゃあ物質移動(アポート)は使えるかい?』

 

「…ええ、私の手に触れたものならある程度の重さの制限はありますが使えますわ」

 

『ふーん、じゃあ()()()()()()()()()()()()()は出来るよね!』

 

「!!」

 

なるほどなぁ、と探偵きどりに顎に手を当てて何度か頷く球磨川。

黒子はやっと無意味に思えた質問の意味を理解した。

しかし、気づいた頃には手遅れだった。

 

『無能力者の僕には出来ないけど、空間移動能力者の黒子ちゃんなら服の血痕を消すくらいのこと出来るでしょ?』

 

球磨川はこの街に来た時から気づいていたのだ、無能力者(弱者)の強みに、それは、持たざる者の強みは持たざること。この本質に球磨川は最初から気づいていた。持たないとという事はそれだけで証明になる、現に今その理が働いている。

 

「もういい」

 

黒子より支部長が先をついた。

 

「只今の時刻を持ってこの事件を不起訴処分とすることとする。よって被疑者球磨川禊氏の身柄を解放し、この事件を解決済みとし今後この事件について球磨川禊氏が不利になるようなことをしないことを誓う」

 

「な!!」

 

「何か不服があるのかい?黒子くん」

 

黒子は支部長の威圧するような目で今は自分が不利なのだと悟り、諦めた。

 

「いえ、なんでも…ない…ですの」

 

「分かっているとは思うけど黒子くんにはこの後特別に話を聞く必要がある。いいな?」

 

「…はいですの」

 

かくして、球磨川は詭弁だけで取調べから解放されるまでにいたった。そして、球磨川が去った後の取調べ室の空気ははっきり言って最悪だった。良いも悪いもしっちゃかめっちゃかにしてしまう男、球磨川禊。彼はどこまでも過負荷(最低)なのだ。

 

 

『ふうー。疲れたな、あの公園で一休みするとしようかな』

 

解放された球磨川は自由の身を満喫すべく、道をそれて公園へと入っていった。見渡すと砂場とベンチ、自販機しかない現代っ子には少し物足りないのでは?と思わせるような公園の全体が見えた。人は誰も居らず、ドラム缶のような掃除ロボがウィーウィーと辺りを忙しそうにしているのみだ。

 

『ここのジュースって変なのが多いんだね!』

 

まずは喉を潤そうと自販機で品定めをする。

彼が言った通りここの区の自販機は開発商品のテストも兼ねていて一般的な、あの赤くて透き通った炭酸水や淡い水色のスポーツ飲料などではなく、いちごおでんやヤシの実サイダーなどの奇妙な実験品しかない。売れ行きで客のニーズも計測しているのだ。

 

『ヤシの実サイダーにしよっかな』

 

そう言い彼は財布を開くが生憎、小銭がなかった。あるのは10000円札が4枚だけだ。自販機に10000円を入れるのは少し気が引けるがしょうがなく入れた。自販機がお金をしっかり吸い上げたのを確認し、

ピッとボタンを押すが、一向にジュースが出てくる気配は無い。

ちゃんと、押せなかったのかな?と思いもう1度、今度は強めに押すが出てこない。ピッピッピッピッ、連打してみたが効果はないようだった。

 

『もしかして、僕の10000円札飲み込まれた?』

 

彼がただ呆然と立ち尽くし、諦めムードになっていると、後ろから

 

「ちょろっとー。あんた大丈夫?」

 

事情を見ていたのであろう通りすがりの茶髪の常盤台の中学生がきた。

 

 

 

 

 

 

 




自分で言うのあれだけど3話おもしろくね?

戦闘シーンとかこのssに求めてる人あんまいないでしょ()
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