突発作品,1作目になります。
「よ、待たせたか?わりぃ」
待ち合わせ場所に着いた。
「べっ別に待ってねーし。アタシも今来た所だし・・・」
このテンプレツンデレガールは神谷奈緒。
俺の幼馴染だ。
今日はこの奈緒と映画を観に行くのだが、先日、
『観たい映画があるんだ。もし土曜日暇なら一緒に来てよ。ってか暇だろ?暇だよな?なぁ?』
と言われたので来た。
加蓮ちゃんとか凛ちゃんとか誘えばいいじゃんって言ったら、
『断られた・・・』
ってしょぼくれられたので、流石に可哀相と思い俺が行ってやる事にした。
で、幼馴染で家が隣同士だから、一緒に行けばよいと思ってたのだが、
なんか買い物があるから先に出るとかで、
『12時に駅にある時計台の前に集合な。忘れんなよ!!絶っ対遅刻すんなよなっ!!』
との事で、今に至る。
「そうか、じゃあさっそく映画に行くか。んで何を観に行くんだ?
あの~あれか?幽体離脱フルボッコちゃんとかって奴か?」
こいつは大のアニメ好きだ。
俺もどちらかと言えば好きな方だが、奈緒ほどでは無い。
これは某ファーストフード店のセットに付いてくる、
オモチャを欲しがるようなレベルでは無いって意味だ。
「違うよ。この前一緒に仕事した小梅が主演の映画が上映中だからそれを観に行きたいんだ。
小梅に絶対観るって約束したしな」
「お?小梅ちゃんって事はあれか?『
まじで?俺も観に行きたかったんだよー。あれ?でもホラーだぜ?ホラー。
お前ああ言うのダメじゃなかった?いやぁ、そうかぁ・・・泣き虫奈緒がホラーねぇ・・・
変に小梅ちゃんと約束しちゃった手前、引っ込みがつかなくなった感じか?」
「うっせぇ!!それにその呼び名で呼ぶなぁ!!」
『泣き虫奈緒』昔っから泣き虫で、俺が良く奈緒の事をそう呼んでいた。
ちなみに俺の記憶だと、こいつはホラー系は大の苦手だ。
夏の心霊特集とか、始まる前のCMからすでに涙ぐみ、始まったら泣き出す位に嫌いだった。
高校生になったのだからそろそろ治っているのかもしれない・・・
「よし。なら、今日泣かずに最後まで見れたら返上してやるよ」
意地悪に言い返しておく。
「ふんっ。見てろ、観終わった後笑い飛ばしてやるからなっ!!」
「はいはい、期待してマース
適当に返事をしておく。
「
「よーしっ、映画館へしゅっぱーつ!!」
「あっ、コラ!!まてぇ~!!!」
8X―・・・・・・・・
「しっかし、あの小梅ちゃんと一緒に仕事かぁ・・・
奈緒って本当にアイドルだったんだな」
率直な感想を言う。
「本当にってなんだよ。信じてなかったのか?
アタシなんかじゃアイドル出来ないって思ってたのか!?」
「うん」
「即答っ!?お前ちょっとひどくないか・・・」
なんだ?めっちゃ落ち込んでるぞ?
「だって、俺らが生まれる前から親同士長~いご近所付き合いで、俺と奈緒の誕生日は一日違い。
飯だって家族ぐるみでよく一緒に食うし、もはや親戚兄妹レベルだろ?
俺たちだって幼稚園から中学まではず~~~~~~~っと一緒で、
俺は長い事お前の面倒見てきたんだ。性格だって良く知ってる。
だから正直現状に驚いているし感心してる」
「へ・・・へぇ・・・そう、なんだ・・・」
うん?なんか歯切れ悪くないか?
「映画館到着ー、やっぱ話題作だけあってポスターとかでかでかと張り出されてんなぁ」
『こ の 学 園 に は 《 噂 》 が あ る ―――――――』
群がるゾンビ?群の中心、小梅ちゃんを先頭にメインキャストである5人が、
正面の何かに恐怖するような面持ちでボウリングのピンよろしくV字に並んでいるポスター。
所々の血飛沫や、臓物が飛び出して転がっている死体など、
ちょっと色々問題ありそうな構成。しかしリアルだ・・・
「そ・・・そうだな・・・」
「なんだ?ポスター見てもうびびってるのか(笑)?」
奈緒を挑発する。
「びびってないっ!!ぜんっぜんっびびってない!!」
ふむ、ポスター見ただけでこれか。
これは苦手克服出来てないな。
そう思いながら、券売窓口に並ぶ。
ちなみにネットで、この映画のレビューを見たんだが、
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聖靴学園の七不思議 レビュー
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20**年**月**日
小梅ちゃんの演技が演技に見えない!!
★★★★★_5.0
(コメント734 いいね5226)
20**年**月**日
マジで本物の霊が映ってる。視聴後お祓い必須!!
★★★★★_5.0
(コメント688 いいね7447)
20**年**月**日
色々シュールなシーンがあるのに怖い。とにかく怖い。
★★★★★_5.0
(コメント591 いいね10982)
20**年**月**日
マキノ様踏んでくださいorz
★★★★★_5.0
(コメント1 いいね23731)
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とまぁ、色々気になるレビューも多かったが、怖さはぴか一みたいなので、
この調子だと奈緒はほぼ間違いなく泣くだろうと予想。
『お次の方どうぞー』
「あっと、『聖靴学園』学生2人でお願いしまーす」
『はい、学生証拝見いたします。はい大丈夫です。
では3000円になります。席は指定席となりますので』
「はい。まっ、席はしゃーないね、話題作だし」
金を払う。
「お・・・おい、自分の分は自分で払うよ。2人で3000だから・・・1500だな」
「良いって良いって。昨日バイト代入ったばっかだし、今は特に欲しいもん無いし。
それに奈緒は午前中
「いや、誘ったのはアタシだし、買い物だって・・・」
こう言うとこ律儀な奴だよな~。
「良いから良いから財布しまっとけ。
トップアイドルになって大金持ちになったら、
そん時には豪華なもん奢ってもらうから」
「なんだそりゃ!?まぁ・・・その・・・アリガ・・トゥ・・・」
「ん?なんか言った?」
最後の方がよく聞き取れなかった
「なんでもねぇよ!!」
「ほい、奈緒のチケット。よし、ポップコーンと
フードコート側に移動する。
「おう。あっアタシキャラメル味のポップコーンな」
「そいつは聞き捨てならねぇ・・・ポップコーンは塩だろ
「お前の常識なんて知らねーよ。すいませーん、ポップコーンセットで、味はキャラメル。
飲み物はコーラで。ねぇ、飲み物なにすんの?」
「ちっ、今日はお前の意見に甘んじてやるか・・・俺アイスティー。ガムシロ1つお願いしまーす」
「なーにかっこつけてんだよ、似合わねぇ」
「うっせ。普通にアイスティーが好きなだけだよ」
「お会計900円になります」
「はい、えーと・・・」
「ほい、じゃあこれで」
「あっ!?」
「はい、1000円お預かり致します。100円お返し致します。
商品準備致しますので、左側のカウンターでしばらくお待ちください」
奈緒が財布を出すのに手間取っている間に支払った。
こっちの支払いは奈緒がするつもりだったのか、俺を見つめながらむくれてやがる。
「なーに、怒ってんだよ」
そう言って奈緒にでこピンした。
「あたっ!?なにすんだよー!!それに別に怒ってねーしっ!!」
「怒ってんじゃん」
「それはお前がアタシにでこピンするからだろー!?」
「そーかそーか、それはわるぅござんしたー」
「きー!!いちいち腹立つ反応しやがってぇ!!ふんっだ」
今どき女子高生は『ふんっだ』って口でちゃんと言うのか・・・
などとくだらない突っ込みを脳内で入れていたら頼んだものが来た。
「ポップコーンキャラメル味とコーラ、アイスティーでお待ちのお客様ー、
お待たせ致しましたー」
「ほいほーい。さ、中入ろーぜ」
「あ・・・あぁ」
商品の乗ったトレーを受け取り、奈緒と移動を開始する。
「しっかし、映画館で売ってるポップコーンとか飲み物って、
ほんっとぼったくりだよなぁ」ポリポリ
「あーっ、アタシのポップコーン!?何勝手に食ってんだよ!!」
「お前のなのかよっ!?まじかよっ!?二人で1つだと思ってたわ。
お前、なに!?このバケツみたいなサイズのポップコーン一人で食うつもりだったの?
何?まじかよっ!?太りたいの?」
「お前なぁ!!女子に向かって太りたいの?ってなんだよ!!」
「突っ込みそこだけかよ!?他は肯定なのかよ!?まじかよ!?
ちょっと席着いたら俺の分のポップコーン買ってくる」
俺も映画観てる時はポップコーン食べたい派なので、
独り占めしているポップコーンを奪われるのが嫌なのはわかる。
「えっ、ちょっ・・・」
「さっさと席に行こーぜー」
「いや、あの・・・べ・・・別に、食っても、良いよ・・・」
ん?
「ん、良いよ良いよ。奪われるの嫌な気持ちわかるから」
「食って良いって言ってるだろ!!
それにほら、これ全部一人で食べたら、映画出た後になんか食えなくなるし・・・」
「ツンデレ乙」
「ツンデレじゃねーよっ!!」
「まぁ良いや。わかったわかった。ありがとな」
「う・・・別にお礼言われるような事じゃ無いし・・・そもそもお前のおごりだし・・・」
そう言えばそうだったな。
しかし、映画終わった後すぐになんか食うつもりなのか・・・
「よし、じゃあ問題も解決したしさっさと行きますか。
それよりさー俺って、割と映画のCM好きなんだよなー」
「あ、それわかる。CM観ておっ面白そうって思って、
いざ観に行くとつまんなかったりするヤツな」
「そうそう」
くだらない話をしつつ席へ向かう俺たちだった。
8X―・・・・・・・・
「ゾンビが・・・ゾンビが・・・来るっ!!」
「いやぁ!!!!来ないでぇ!!あっち行ってぇっ!!!」
「こ゛お゛お゛お゛う゛め゛え゛ぇぇぇぇぇぇ」
「え・・・・マキノ・・・さん・・・」
「小梅ちゃん!!後ろっ!!!危ないっ!!」
「えっ?」
「響子さんっ!!!???」
8X―・・・・・・・・
「ぎゃあぁぁぁぁっ!!!!(大声)」
「おい、静かにしろっ!!(小声)」
周りの視線が痛い。暗くて見えないけど痛い。
なんとなくこうなるとわかって居たけどツライ・・・
8X―・・・・・・・・
「んん~~~~~~っ!!」
映画が終わり、席を立たず伸びをする。
「いやぁ、面白かったぁ。まさか、あの子が浴室で牛乳まみれで死亡するとは・・・
しかし小梅ちゃん、テレビで見るのと偉い印象が違うからびっくりだなぁ。
ちなみに小梅ちゃんって普段はさっきの感じなの?」
「・・・・・・・・・・・」
声をかけつつ横を見ると、小刻みに震え、
口から魂みたいな白い
「おーい、奈緒さーん。だーいじょーぶでーすかー?」
「・・・こ・・・」
「こ?」
「こんな怖いなんてっ!!小梅の奴から聞いてないぞっ!!!!」
おーおー乱心乱心。
「落ち着け落ち着け。どーどー」
「どーどーって、あたしは馬かっ!?」
大丈夫みたいだな。
「よし、元に戻ったみたいだし、出ましょうか?奈緒さんや」
「へっ?出ましょう?」
本当に乱心して居たみたいで、映画が終わった事にすら気付いていなかったみたいだ。
「奈緒・・・お前もしかして・・・気絶してた?」
「ばっ・・・ばばっ・・なっなに、なに馬鹿な事言ってるんだよ。
きっききっ・・・気絶なんてすっすすすするはず無いだろ!!
高校生にもなって!!はっ・・・ははっ・・・」
「おい、顔が笑ってないぞ」
顔色も良くない。
「まぁ、積もる話は後だ。そろそろ出ないと迷惑になりそうだから行くぞ」
席を立つ。
「あ・・・」
「どした奈緒?ほれ、はよ行くぞ」
立ち上がらない奈緒。
どうしたのか?
「あ、いや・・・その・・・」
まさか・・・
「お前・・・まさか・・・」
「いや、違うっ!!違うよっ!!」
「漏らしたのかっ!?」
「ちがわーーーーいっ!!!!腰抜けて立てないんだ~~~~~~!!!」
「え?」
「・・・・・はっ!」
はは、腰抜けだって。昔よりホラーダメになってねぇか、ソレ?
「ぷっ・・・あっはっはっはっはっはっはっは!!!」
「笑うなぁ~~~~!!」
涙目でプルプル震える奈緒。
はぁ。
「くっくくく、ホレ、手貸せ。俺の肩貸してやるから。おんぶで出て行くのは嫌だろ?」
「う・・・うん」
まったく世話が焼ける。
「よいしょっと。うし、行くか。顔色も余り良くないから、
外の椅子で休んでから別んとこ行こうな」
「ああ・・・なんかごめん」
「別に謝る事でもないだろ。お前の面倒を見るのにはもう慣れたよ。
それに、想定外だが予想内だ。いつかはこんな日が来るんではと思ってたよ。
まぁ、それが高校生になってからとは思わんかったが」
「うぐっ・・・」
「今日一緒に行くのが俺でよかったな。加蓮ちゃんが一緒だったらどんだけ弄られてたか」
加蓮ちゃんは、意外に茶目っ気たっぷり気質でよく奈緒を弄る。
俺も負けてはいないが、女の子同士で同じ学校な所為か、
なかなかに長期に渡り弄り倒す事もしばしば。
「そうだな・・・加蓮が居たら、クラス中にバラされてもおかしくなかったかも・・・」
話しながら移動する。
「ほい、そこ座ってろ。ちょっくらゴミ捨てて飲み物買ってくっから」
「・・・ほんとごめんな・・・」
申し訳なさそうな眼をしてまた謝ってきた。
「ていっ」ピシッ
でこピン。
「あたっ。だからなにすんだよっ!!」
「はは、やっぱお前には
奈緒がおでこに手を当て、俺を見つめながらボーとする。
「・・・・・・・」
「じゃ、行ってくる」
ぼーっとする奈緒を残し、ゴミ捨てとジュースを買いに離れた。
8X―・・・・・・・・
「ほいっお待たせ。オレンジでいいよな?どうだ?少しは落ち着いたか?」
奈緒の隣に座り、ペットボトルを手渡す。
自分で買ってきた紅茶を開け、飲む。
「あぁ・・・ありがと。うん、大分落ち着いた・・・」
「ぷはぁ。体調は?どっかおかしいとこ無いか?気絶プラスに腰を抜かしてたんだ、
なんかあったら怖いしな」
正直、気絶した人間も腰を抜かした人間も今まで出会った事は無いので、
どうすればいいかわからないから、気にかけておくに越した事はない。
「あぁ、もう大丈夫だ。あの・・・ほんとありがと・・・な」
「おう。もはや付き合いが長すぎて慣れたわ」
「あの・・・さ」
鞄をごそごそとあさり始めた。
「うん?どした?」
「これ。こんなタイミングで渡すべきじゃ無いと思ったけど・・・」
鞄から赤いリボンの付いた小包を取出し、
それを俺に差し出してきた。
「なに、これ?」
「やっぱり・・・昔っからそうだからなんとなく予想はできてたけど・・・
今日は何日?」
「今日?15日じゃなかったっけ?」
おでこに垂直に指先を当て、困り顔で問いただしてくる奈緒。
「正解。で、今は何月?」
なんだ?どした?
「えーっと、9月かな?」
ん?
「そこまで自分で言っといてまだ気付かないのかよっ!?」
「9月15日・・・」
「だ~っもうっ!!さっき映画館に着く前に誕生日の話してたから、
もしかしてって思ったけど・・・今日はお前の誕生日だよっ!!ったく・・・
なんで毎年毎年こうも器用に自分の誕生日を忘れられるんだよっ!!」
あーそっか。
「なるほど。って事はあれか、コレ、俺へのプレゼント?」
「そうだよ。午前中はコレを買いに行ってたんだよ。まったく・・・」
ブツブツと小声で文句を垂れ続ける奈緒。
そっか・・・
奈緒からプレゼントを受け取る。
「ありがとな、奈緒。中見て良いか?」
「あぁ・・・ただ、期待はすんなよな・・・?」
「大丈夫だ、今まで奈緒から貰ったものでハズレは無かったからな。
さすが兄妹って感じだぜ」
「!?・・・兄妹・・・ね・・・」
「?」ガサゴソ
俺の言葉を反芻する奈緒を見ながら首をかしげつつ、
さっそくリボンを解き、包装紙を綺麗に剥がしていく。
男友達から貰ったらビリビリに破ったりするが、
流石に奈緒からのプレゼントはそんな事できるはずもなく・・・
「お、こいつは・・・ストラップ」
俺のイニシャルと小洒落た模様の彫られたシルバーのプレートストラップだった。
「お前のスマホってなんも付いて無くて質素だから・・・それにした」
「そういえば、最近ストラップ買おうかなって思ってたの忘れてた。
ありがとう、素直にうれしいよ」
盛大の笑顔で感謝を表した。
「~~~~~~っ!?」
「どした?」
顔を背けられてしまった。
「大したもんじゃなくて悪かったな!!」
「そんな事誰も言ってねぇよ。最大限感謝してるつもりだよ俺は」
しかし、そうか・・・すっかり忘れてたな・・・誕生日。
毎年そうだ。
俺の誕生日に奈緒からプレゼントを貰い、
次の日の奈緒の誕生日に俺がプレゼントを急いで準備し奈緒に渡す。
この一連の流れがいつからか続いていた。
うん。
「そうだな・・・今日は一緒に出掛けてるし、趣向を変えてみよう」
「ん?」
「なぁ、奈緒。今欲しいもんあるか?
これからショッピングセンターに行ってお前の欲しいものなんでも買ってやるよ」
「はぁ!?良いって別に!!あっ、お前自分で選ぶの面倒だから楽しようとしてるだろ!?」
少なからずプレゼントを選ぶのは苦手だ。
言われてちょっとだけどそれも思ったが、
毎年の迷惑のことを考えて出てきた案だ。
俺が適当で選ぶものより、奈緒に直接欲しい物を、
俺が買ってあげれば奈緒もそれが良いのでは無いかと。
「そんな事は無いぞ。センスの無い俺が、変なものプレゼントするよりは、
奈緒が奈緒の欲しい物を選んだ方がどう考えたって良いだろ?」
どう考えたって良いだろ。
「いや、お前が買ってきてくれてる時点で・・・
その・・・アタシは十分嬉しいと言うか・・・」
へ?
「そうなん?まぁ、奈緒はアニメ好きだからな。
それ関連買ってくればまぁ大丈夫だろうと踏んでる俺は、
あながち間違いではなかったのか!!流石俺!!」
「あ・・・いや・・・そう言う事じゃ無くて・・・はぁ・・・まぁ良いや」
「とにかく今回はお前の欲しいもの買ってやるよ!!
フィギュアだろうがマンガだろうがグッズだろうが!!どんと来いだ!!」
「なぁ、お前にとってのアタシのイメージはそれしか無いのか?」
「うん」
「即答!?」
「うん」
「もう良いよ。わかった、ウンっと高いもの買って貰うからな!!」
大きく出たな。
「学生のバイト代なめんなよ!!あの・・・手加減してください・・・」
「はははははっ、やーなこーったっ!!」
俺たちは立ち上がり映画館を後にした。
8X―・・・・・・・・
某大型ショッピングセンター内
「あのー奈緒さんや。あたしゃどこに連れて行かれるんだい?」
「良いから黙って着いて来い」
黙々と前を歩く奈緒。
やはりと言うかなんと言うか、アイドルなので伊達メガネにハンチングを着用している。
なんか知らんが、ちょっとした優越感を覚えてしまうと同時、
少しの寂しさみたいな感情も自分の中にある事に気づく。
「はぁ・・・」
なぜか知らんが溜息が出てしまった。
「おい」
え?
「うわぁ!?」
気付いたら顔の目の前に奈緒の顔があって驚いてしまった。
「なーに溜息なんてついてんだよ。そんなにアタシといるのが嫌か・・・?」
変な勘繰りをされてしまった。
いや、これは申し訳ない事をしたと思う。
「いやいや、これからどんな高い物を買わされるのかと考えていたらつい・・・」
よし、ナイスごまかしだ俺。素晴らしいぞ俺。
「なんだ、そんな事か。安心しなよ、いくらになるかは
なんのこっちゃ?
「つーいた。ここだよ」
目的地に着いたらしい。
見ると服屋のようだ。
メンズからレディースまで取り揃えており、
服からアクセサリーから靴から時計まで、
ここに連れて来られてお代は俺次第って事は・・・
「まさか、俺にお前の服を見積もれって事か?」
「そのまさかだよ。ちょっと服が欲しくてさ。
んで、自分のセンスじゃなくて他の人のセンスで着てみたくって」
おいおい、まじか。
「お前それ、かなりの博打だぞ?俺のセンスは無いに等しいんだからな?
服なんて基本、お前のセンスか兄貴のお下がり又はマイマザーセンスなんだからな?」
「知ってるよ。でも、アタシは金がかかんないし、
奇抜なら奇抜で、それ用のコーディネートをアタシなりに考えるよ。
だから気軽に選んでくれ」
なるほど。
その辺も考慮済みとは流石。
俺の事は把握済みってやつですか。
「そこまで言うなら・・・何でも買ってやると言ったのは俺なんだ。男に二言はない。
お前の服、選んできてやる・・・覚悟しておけよ」
「服に覚悟って、明らかに変なのは選ぶんじゃねーぞ。フリじゃねーからな!!」
それを言うとフリになってしまうと教えておいた方が良いのだろうか・・・
否!!断じて否!!
なぜかって?それはその方が面白いからである。
まぁ、それはそれとして、今回はまじめにやる。
「とりあえず俺が買って来るまで見るんじゃないぞ?わかってるな?」
「あーいよっ。期待しないでまってるわー(棒)」
「お前っ!?そのセリフ棒読みにしたら期待してるって事になるじゃねえか!?
やめろ!!ハードルを上げるな!!」
「いってらー」
ちくしょーー!!
8X―・・・・・・・・
あいつはいつも長ズボンとか短パンとかパンツスタイルのイメージあるし、
ここは思い切ってスカートにでも挑戦してみるか?
うむ、奈緒のスカート姿か・・・
想像してみたが、思いつかん。
まぁいいや、やるだけやってみよう。
8X―・・・・・・・・
「お待たせ」
結構長い事待たせちまった。
「いや、別にだいじょーぶ。そこのアニメグッズの店でずっと時間つぶしてたから」
こいつ、俺が気付いて無いとでも思っているのか?
ずっとここに座って俺の方チラチラと見てたくせに。
「別に俺に気を使う必要なんてないぞ?
いつもみたく「おっせーなのろまっ」とか言ってくれても俺は気にしないぞ?」
「なんだ、やっぱり気づいてたのか・・・ってアタシはそんなこといった覚えはないっ!!
でも気にしててくれたんだな・・・流石・・・」
ん?なんか寂しそうだな。
「ほれ、約束の品だ」
買い物バッグを差し出す。
「ま、明日だけど良いだろ?誕生日おめでとう」
「あ・・・ありがとう・・・」
「ん」
なんだろう、非常に照れ臭い。
「よしっ!!」
「どした?」
突然立ち上がる奈緒。
「ちょっとここで待ってろ」
「あ、トイレ?」
「アホかっ!!女子に気安く『トイレ?』とか言ってんじゃねぇ!!
デリカシーの欠片もないのかお前は!!まったく。いいからちょっと待ってろよ」
「あーいよ。まぁなんかあったら携帯で連絡するわ。お前もなんかあったらすぐ連絡しろよ?」
「わかったよ」
そう言いながら、荷物を持って離れて行った。
8X―・・・・・・・・
「おっ・・・お待たせ・・・」
携帯でアプリをやりながら待っていた俺に声がかかった。
「おう、どこ行ってたんだ?えらく、時間が・・・」
奈緒の姿を見て驚いた。
「・・・どう・・・かな・・・?」
さっき俺が見積もって買った服に着替えてた奈緒が立っていた。
ひざ下30㌢位のクリーム色のシンプルなワンピース。
6分袖でショート丈のデニムジャケット。
茶系でオープントゥのブーツサンダル。
そして紫の帯が特徴的なキャペリン。
なんとなく直感で選んだのだが・・・
「おいっ!!何とか言えよコラ!!」
「あ・・・あぁ、すまん」
「どうせ、似合ってないとか、らしくないって言いたいんだろ!!
アタシだってこの服見たとき「なんでっ!?」って思ったよ・・・」
「いや、すげぇ似合う」
自分のセンスにも脱帽だが、着こなして居る奈緒は更にすごいと率直に思った。
やはりこいつはアイドルに選ばれるだけあるな・・・と。
きっと、この服を見て、この短時間でわざわざ髪型を変えたり、
オープントゥの靴に合わせてペディキュアを塗ったのか、
それとも元々塗ってあったのか・・・
それならばそれで見えて無い所にも気を使う女性らしさ、
そういったものも垣間見えてしまった。
「え・・・あれ・・・?え?」
「うん、似合う。かわいいよ」
素直に言葉に出てしまった。
「ちょっ!?ばかっ!!ぜんぜんかわいくねーし!!
お前大丈夫か?アタシだぞ!?かわいい所なんて一つも・・・」
「いや、かわいいよ。別に他の誰かがそう言ったとしても、
お前本人がそう思っていたとしても、俺は今ここに断言しておく」
もうどうにでもなれ。止まらん。
「かわいい」
「っ~~~~~~~~~~~////」
8X―・・・・・・・・
「いやぁ、なりふり構わずにあんな場所であんなこと言っちまったぁ。
はっずかしぃ!!」
あの後、周りに野次馬がおり、なぜか拍手喝采を受ける事になった。
その状況に冷静さを取り戻し、二人で赤くなりその場からそそくさと退散した次第です。はい。
「びっくりした~・・・まさかあんな事になるとは思ってもみなかった・・・」
「いやぁ、TPOって大事っすね」
「あのさ・・・」
「なんだい改まって」
奈緒は口を開き、立ち止まった。
「・・・ありがとう。こんな
それを言った奈緒の笑顔が凄く綺麗でかわいくて、
居ても立ってもいられなくて、
思わず奈緒を抱きしめていた。
「えっ、ちょっ!?なにっ!?おいっ!!ちょっ待ってっ!!なに!どうしたんだっ!?」
「奈緒・・・」
「えっ・・・」
『―――――――――・・・』
「・・・うんっ」
8X―・・・・・・・・
「ねー奈緒ー、最近やけにスカートはいてるよね?なんかあった?」
「べっ別になんでもねーよっ!」
「でも確かにスカートはく事増えたよね、奈緒」
「凛までそんなこと言う!!別に大した事じゃねーよ!」
「あーやっぱなんかあったんじゃん。ねー教えてよー」
「だーっ!うるさーい、なんでも無いったらなんでも無い!!」
おっ奈緒発見。
「おーい」
俺が奈緒とお出かけするだけの話 ~ Fin ~
最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。
このシリーズは、思い付いたら書いて行きます。
では失礼致します。