突発作品,2作目になります。
表現がうまく出来ない箇所や,
納得がいかない文章がいくらかありますが,
投稿させていただきます。
稚拙である事をご承知置き下さいます様,
何卒よろしくお願い致します。
20**年**月**日 03:24 :orz
ち~っす。ANZ先生いる~?
20**年**月**日 03:25 :ANZ
いるよ~
20**年**月**日 03:25 :orz
流石、廃人は違いますね~(・ω・)
20**年**月**日 03:26 :ANZ
この時間に話しかけてくるキミだって十分こっち側だと思うよ?
20**年**月**日 03:27 :orz
確かに(`・ω・´)
20**年**月**日 03:28 :ANZ
クエスト?
20**年**月**日 03:28 :orz
流石、話が早い。お願いできますかい?
20**年**月**日 03:29 :ANZ
うーい
8X―・・・・・・・・
20**年**月**日 03:44 :ANZ
乙~
20**年**月**日 03:44 :orz
おつ~(`・ω・)やっぱANZ先生が居ると早くて良いっすね。
20**年**月**日 03:45 :ANZ
そろそろソロで行けるようになって欲しいけどね。ま、別に構わないけど
20**年**月**日 03:46 :orz
ツンデレwww
20**年**月**日 03:46 :ANZ
じゃ、次からはソロで頑張ってね~ノシ
20**年**月**日 03:47 :orz
やめて!!私を捨てないで(`;ω;´)ごめんなさい調子に乗りました!!
20**年**月**日 03:48 :ANZ
いやいや、そういう意味で言ったんじゃないし。もう寝るよ。
明日行きたくないけど仕事なんだよね~。おやす~ノシ
20**年**月**日 03:48 :orz
あぁ、そう言うこと。安心しました。おつ~お休み~ってか仕事!?
さっさと寝なさいな!!
20**年**月**日 03:49 :ANZ
ノシ
”ANZ”がログアウトしました。
--------------------
「ふぅ・・・」
ノートPCを閉じ、一息つく。
俺がやっていたのは、世に言うオンラインゲーム。
多人数でモンスターを狩ったりするゲームだ。
さっきまでチャットでお喋りしていたのは、
顔も年齢も性別も全く知らない赤の他人。
俺がこのゲームをやり始めた頃、色々面倒を見てくれて、
気が付いたらいつも一緒に、似たような時間帯にこのゲームをするようになった。
大学に入学直後、周りの奴らがこのゲームにはまっていて、
何気なく流れで携帯ゲーム機と同時に購入。
そのままどっぷりとはまってしまい、
携帯ゲーム機のシリーズからPC版に移行、そして今に至る。
そして現状、ゲームプレイよりも、
先ほどのANZと会話をする事の方がメインに感じてしまっている俺。
互いの素性は一切知らず、
いつも内容の薄~い大した事無い会話を繰り広げるばかり。
でも、それでも、その大した事無い会話の時間が、
なぜか俺の中では日に日に大切な時間になっていた。
「はぁ・・・会って話してみたいなぁ・・・。
会って話そうって言ったらOKしてくれるかな~?」
正直な話、相手を勝手に可愛い女性と想像した事は何度もある。
実際に会って、俺よりも年上のおっさんだったらどうしよう・・・
とか考えたりもあるけど、
それ以上に会って話したいと思う気持ちの方が大きかった。
なので、思い切って今日(明日)その話を切り出そうと思う。
8X―・・・・・・・・
”ANZ”がログインしました
20**年**月**日 01:41 :orz
おっANZ先生!!待ってたよ~(^_^)
20**年**月**日 01:41 :ANZ
ん、なに?
20**年**月**日 01:42 :orz
唐突ですが、オフやらない?
20**年**月**日 01:42 :ANZ
え?
20**年**月**日 01:42 :orz
いや、ANZ先生に一目お会い致したくてですね。
20**年**月**日 01:42 :ANZ
オフかー、ギルドメンバーで?
20**年**月**日 01:43 :orz
いや、俺個人的にANZ先生に大変お世話になっているので、
出来れば1:1で・・・
--------------------
返信が遅い・・・そりゃ悩むよなー。
相手も俺と同じで俺の情報一切知らない訳だしなー。
そもそも俺男だしなー。
--------------------
20**年**月**日 01:48 :orz
無理なら良いんだ。ごめん変な事言って。
今の話は忘れてクエ行きましょうクエ。
20**年**月**日 01:48 :ANZ
あ、うん。行きたいクエ適当に貼って
8X―・・・・・・・・
20**年**月**日 02:01 :orz
おつ~(`・ω・)こいつ嫌いっす。でもこいつの素材いっぱい欲しいっす。
20**年**月**日 02:02 :ANZ
乙~。さっきの話だけどさ、おrzなら別に良いよ
20**年**月**日 02:02 :orz
まぢで!?
20**年**月**日 02:02 :ANZ
返信はやっ!?うん。ただ日時と場所はこっち指定でおk?
20**年**月**日 02:03 :orz
おこk!!
20**年**月**日 02:03 :ANZ
とりあえず落ち着こうか。ちょっとスケジュール確認してくる。
20**年**月**日 02:04 :orz
いってら~(`・ω・)ノシ
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「マジか!?」
夜中にもかかわらず、思わず声に出して驚いてしまった。
内心無理だと思って言い出した事なので、
この返事はめちゃくちゃ嬉しい。
因みに、俺は今大学生なので日時に関しては出席日数さえ足りて居れば、
何日か授業に出なくてもなんら問題はない。
なんならそこそこ優等生に部類されている程度には出席率は良いので、
全然問題は無いだろう。
--------------------
20**年**月**日 02:12 :ANZ
**日の13時に犬公前で平気?
20**年**月**日 02:13 :orz
もーまんたい!
20**年**月**日 02:14 :ANZ
了解。じゃ、待ち合わせ場所に先に居てね。こっちから声かけるから。
目印としてSP3DP持って待ってて。持ってるって言ってたよね?
20**年**月**日 02:14 :orz
SP3DP>持ってる。ラジャー(`・ω・´)ゝビシッ!
20**年**月**日 02:14 :ANZ
じゃ、今日はもう寝るよ。おつ~ノシ
”ANZ”がログアウトしました
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「うおおぉぉぉぉっ!!!」
思わず椅子から立ち上がり雄叫びを上げた。
なんか知らんがスムーズにオフが取り付けられてしまった。
オフなんて今までやった事無いから、
なにすればいいのかぜんっぜんわかんないけど、これだけは言える。
相手がどんな人であれ、俺はきっと後悔はしないだろうと。
「当日が楽しみだな」
さながら遠足前日の小学生のようにわくわくしながら心待ちにした。
8X―・・・・・・・・
当日
「犬公前・・・っと」
時間は12時45分。
実は30分前からここに一度来ていたのだが、
30分前は流石に早すぎだと思い、
コンビニで時間をつぶし戻ってきた次第である。
この待ち時間・・・好きな女子と初デートばりのソワソワ感である。
「まだ少し時間もあるし、適当に座ってSP3DPでもやって待ってるかな」
緊張を誤魔化す為、久々に起動するSP3DP。
ソフトは例のモンスター狩猟ゲーム。
まぁ、これしか持っていない訳だが・・・
「うわ、久々にやると操作感が違いすぎてやりづらっ!」
街のど真ん中。
ましてやデートの待ち合わせに使われるような場所で、
携帯ゲーム機をやってる20過ぎの男とか、
周りから見たら変な奴って思われるかもだが、
周りの目なんてどうでも良いと思っている性格なので全然気にならなかった。
「ねぇ、そこのお兄さん」
ん?
「はい?」
声をかけられた。
ANZさんかと思いそっちを見ると、
腰掛けている俺と目線の高さが同じ位の女の子が目の前に立っていた。
キャップを深くかぶり、赤縁の大きな眼鏡をかけている。
俺は冷静に対応する。
「どうしたのかな、お嬢さん?」
「あーやっぱりそんな反応になっちゃう?」
「ん?」
俺が返事をすると、やれやれと言った感じで女の子は肩をすくめた。
「
「えっ!?なぜその名を・・・ってもしかして・・・」
「どーも、
少女はぺこりとお辞儀をする。
驚いた・・・
女性って事にもだが、そんな事よりなによりも、
こんな小さな子が来ると想定していなかったからだ。
同い年から年上位と勝手に人物像を創り上げてしまっていた。
「あ~、こんな子がANZとは思わなかったって顔してるね」
「うっ・・・いや・・・あははは・・・」
ぐうの音も出ないとはこの事だ。
「まぁ、
「あんず?なるほど『ANZ』で『あんず』って読むのか、よろしく。
しかし申し訳ない。初対面で尚且つ俺が会いたいって言い出したのに、
まったくもって失礼な態度だった、本当に申し訳なかった」
心底そう思ったので立ち上がり、頭を深々と下げ謝った。
年齢だって見た目だってそんなの関係ない。
そう心に決めて会いたいと思ったんじゃないか。
なにをしているんだ俺は!!
「いやいや、気にしなくて良いよ。
ここでそんな事やられると無駄に目立つから。
お兄さん背高いし。とりあえずさ、いきなりで申し訳ないけど、
「は?」
は?
「いや、ここだとなんだから、
「は?」
なにを言い出しているんだいこの子は?
「いやいや、なに言ってるのですかあんず先生?
あ、あんず先生って呼んで良いですか?
まぁ、それはさておき・・・あなた、女の子。俺、男。
あーゆーおーけー?」
「知ってるよ。それ位見ればわかるってば。
あんずの事何歳だと思ってるか知らないけどさ、別に家に親はいないよ」
「は?」
本当に何を言っているんだこの子は?
「あのね?あんず先生、その方がむしろ問題あるんじゃ無かろうか?
あんず先生はレディース。俺はメンズ。あーゆーおーけー?」
「うん、知ってるって。
そう言う事考え付いてるって事はそこそこ理性も働くだろうし、
なんかあったらすぐ通報するから大丈夫」
そう言って小さな機械を俺に見せてきた。
最近出た護身用アイテムだ。
小さいなりに非常に高性能で、
GPSが付いておりスイッチ一つで警察に通報と現在位置情報の通知、そして大音量ブザー。
誤作動やら冤罪やら色々問題も多発しているが今は持っていない女性のが少ない。
「おーけー、わかった。そっちもそこまで考えが行っているなら付いて行こう。
でも、本当に襲ったりしないから安心してね?」
「うん。そう信じてる。だから家に招くんだし」
「そっか、ありがとう。じゃ、ぼちぼち向かいましょうか」
「うん」
なんか色々腑に落ちないと言うか、
納得いかない事が多々あるんだが、
さっきからあんず先生が周りを気にしながら、
少しそわそわしてる気がするので言う事を聞いて移動することにした。
なんでそんなそわそわしているのかわからないが、
彼女なりに何かあるのだろう。
深くは詮索しないでおこうと思った。
で、あんず先生の家に向かい二人で歩き出す。
「あ、家の備蓄が少ないから途中コンビニに寄って良い?」
「おk。さっきの事もあるので奢らさせていただきます」
そう言ってペコリと頭を下げる。
自慢じゃないが、大学生の身分にしては金は持っている方だと思ってる。
高校1年の頃からバイトをしており、
今までずっと同じ所でバイトを続けている。
しかしこれと言って何か欲しいからバイトをしていたとかは特に無く、
何となくでやっていた為、今でも貯金は増えていくばかりだった。
「本当!?らっきー。いやぁ、甲斐性のある人って良いよね~。
あんず的にはポイント高いなー」
『奢る』と言った途端、
さっきまであまり表情に変化が見られなかったのだが、
無邪気な笑顔にぱっと変わった。
かわいい・・・・・・・・・
はっ!?
いやいやいやいやいやまてまてまてまて!!
なにドキッとしてんだ俺!!
俺は別に○リコンじゃないぞ!!
確かに年上より年下の方が好みだが、
流石にあんず先生にTOKIMEKIエスカレートしたらまずいだろ!!
「えーっとさ、なんで一人で悶絶してんの?
お兄さんって危ない人?」
「ななななっーんでもあーりませんよー↑」
声が上擦った。
恥ずかしい。
「それと聞かれる前に先に言っとくね。あんずは17歳だから」
「えっ!?」
「ですよねー」
そう来ると思ってましたと言わんばかりの『ですよねー』が返ってきた。
「まぢで?」
「まじで」
まじかー!!
俺と4つしか歳違わないのかいっ!!
えぇー!!??
まぢでー!!
「お兄さん、妄想癖とかあんの?」
「いやいや、ちょっと動揺を隠せないと言うか・・・なんと言うか・・・」
「ま、そう言った反応はもう慣れっこだけどね」
うっ・・・なんか非常に申し訳ない事をした気がする。
「あんず先生の気持ちも考えないで本当に申し訳ない」
俺は立ち止まり、誠意を込めて謝る事にした。
さっき『人目の多い所ではやめてくれ』的な事を言われてたが、
俺は自分が許せなくて、何よりあんず先生に申し訳なくて、
すぐに行動に出てしまった。
考えるより先に動いてしまうのは俺の悪い癖だ。
「うわわわぁ、目立つからやめてくれぇ」
「いや、俺は本当に申し訳ないと思ってる。
だから今この場で謝罪しないと気が済まない」
「良いから、気にしなくて良いからっ!!やめろ~やめてくれぇ~」
「許して貰えるだろうか・・・」
「許す、許すから、恥ずかしいからやめろぉ~!!」
こんな事をしつつ、自分で卑怯だと思った。
こんな場所でこう言う事をしたら、
あんず先生はそう言うしかないじゃないか。
「ほんとに申し訳ない。この借りは現状備蓄の方でお返しさせてもらう。
あんず先生が納得いくまで備蓄を買ってくれ」
財布の中身が無くなろうが知った事か!!
「はぁ~・・・お兄さんは基本的に良い人だけど、
何か何処かがずれてる人だよね。
あと、『あんず先生』じゃなくってあんずでいいよ」
疲弊した感じでそんな事を言われた。
なんとなくだけど、あんず
まぁ、正直どうでも良いけど。
深くは詮索しない。これは俺の念頭に入れておこう。
ただあんず
うん。
「わかった、あんずせんs・・・なかなか抜けないな、ははは」
「ま、どっちでもいいけどさ。ただ、さっき言った事は守ってもらうからね。
最低飴10袋は買ってよね?」
「支払いは任せろ~バリバリ~」
「よぉし、そうと決まれば、さっさとコンビニ寄ってグータラ生活だー!!」
8X―・・・・・・・・
あんず先生の備蓄をコンビニで買い終え、
あんず先生宅に向かっている途中・・・
ハッピーハッピーデイズ♪ツヅイテイク~♪
「お、キャンディアイランドだ。俺この曲好きなんだよね」
街頭ビジョンでキャンディアイランドの販促CMが流れていた。
キャンディアイランドは三村かな子・緒方智恵理・双葉杏、3名の少女からなるアイドルユニット。
今流れているHAPPY*2 DAYSをたまたま聞いた俺は、この曲を好きになり、
こう言った情報に疎い俺の数少ない記憶しているユニット名とアイドル達である。
「う゛・・・」
ん?
「どうした?あんずせん・・・せい?」
「結局先生つけちゃうの?いやぁ・・・ねぇ?」
「ねぇ?ん?」
「まあまあそんな事より、さっさと行こ。ほらージュースがぬるくなっちゃうよ」
どうしたんだ?
俺を後ろからグイグイと手で押し急かすあんず先生。
さっきまではこんなじゃ無かったのに・・・
あれ?あんず?
「もしかして・・・あんず先生って」
「わー!!言うなぁ!!今言わなくて良い!!良いから~!!」
「双葉杏のファン?」
「は?」
「は?」
予想外の返答に変な声が出てしまった。
「ふっふふふ、ファンかぁ。いやぁ、お兄さんって面白いね。まぁいいや、さっさと行こ」
「あ、あぁ」
一体なんだったのか?
突如急かす事をやめ、HAPPY*2 DAYSを鼻歌で奏でながら俺の前を歩き始めた。
あんず先生がキャンディアイランドの杏ちゃんに雰囲気とかサイズ感とか似ていたので、
そこから名前を取ったのかと思ったのだが・・・
しまった・・・いきなり要らぬ詮索をしてしまった・・・
後で謝ろう・・・いや、さっき大量に買っていた飴を後で買いに走ろう。
8X―・・・・・・・・
「お・・・おじゃましまーす・・・」
「どうぞー」
デカい・・・広い・・・
って言うか、女性の家に上がるなんて人生初だよ・・・
しかし、こんな部屋を一人で借りて住んで居るのか・・・
いや、気にするのは止そう。詮索するな、深く考えるな俺!!!
「リビングは奥だから適当に寛いでて。
あっウサギチェアはあんずの場所だからそこ以外で」
「了解っす」
ビシッと敬礼のポーズをする。
「チャットの時と同じだ。ふふ、お兄さんやっぱ面白いね」
「そう?」
「じゃあ、あんずは着替えてくるから」
「うーい、って言うか俺男なんだから、
そう言うのは何も言わずに奥に通して、
『待ってて』って言っときゃ良いのに」
「うーん、まぁあんずだしぃ。
こんな感じの女の子なんてなんとも思わないでしょ?」
「そんなこたぁない」
あれ、今俺まずい事を言った気がする・・・
「お兄さんって・・・変態の人?」
俺を覗き込むように訝しげな眼を向けてくるあんず先生。
「断じて違います」
「まぁ、そう言う事にしておきますか」
そう言って、後ろ手でひらひらと手を振り、別の部屋に入っていった。
「はぁ~」
どうしちゃったんだろう俺・・・
とりあえず両手に持った大量の備蓄品を持ってリビングに入った。
「ひろぉ~・・・」
俺の住む部屋のリビングの倍はあるんじゃなかろうか?
しかし・・・
「汚なぁー・・・」
別にゴミがさんばらまきになって居る訳では無いが、
ゲーム機やそのソフトのケース、
衣類などが取っ散らかってリビングに広がっていた。
うずうず・・・
うずうず・・・うずうず・・・
うがぁ!!ダメだ・・・我慢できない!!
俺は持っていた備蓄品をキッチン内の冷蔵庫前に置き、
袖をまくり、そそくさと片づけを始めた。
俺は自他共に認める几帳面で、尚且つ掃除大好き。
こう言った状況を見ると片付けたくて片付けたくて仕方がなくて震えるのだ。
抑えきれぬリビドーの因、迷惑にならない程度に整理をしていく。
・・・・・・・・
「っ!?」
脱ぎ散らかされた衣類の下からあんず先生の下着が出て来てしまった・・・
それを見なかった事にして、畳んだシャツをその上にそっと乗せた。
8X―・・・・・・・・
「ふぅ・・・」
手をパンパンとたたき、あらかた片付いた部屋を一瞥した。
「こんなもんかな」
「なにが?」
「うわっ!?」
突然、後下方から声が聞こえて驚いてしまった。
「うわぁとは失敬な」
当然な訳だがあんず先生が俺の後ろに腕を組んで立っていた。
さっきまでキャップを被っていた所為で全然見えなかったが、
長い綺麗な髪を二つ結びしている。
しかし目を引いたのはそれだけではなかった。
Tシャツ・・・
首回りが少し依れてそこからじゃっかん覗く鎖骨。
サイズが合っていないと思われるブカブカ感。
なんと言っても『働いたら負け』とデカデカと前面にプリントがされている。
カラフルなボーダーの4.5分丈位のスパッツがシャツの裾から少し見えていた。
そして極め付け。
所々ほつれが見え、中から綿が出ていたりする、
ピンク色のうさぎ?の様なぬいぐるみを右脇に抱えていた。
「あれ?部屋片付けてくれたの?
いつもは
最近忙しいみたいであんまり家に遊びに来れなくなっちゃったんだよね~。
その所為か、部屋がごちゃごちゃしてきちゃってて・・・いやぁ助かったよ」
俺の腰あたりをパンパンと叩いてきた。別に痛くない。
「いや、勝手に触って申し訳ないと思ったんだが、
こう・・・性格上身体が勝手に動いてしまったと言うかなんと言うか・・・」
申し訳ないと思いつつも、勝手に動いてしまったので、
怒られる事覚悟でやった事だったのだが、よもやお礼を言われるとは・・・
しかし・・・きらり?うーん・・・どこかで・・・
はっ!?だから!!俺!!詮索は無し!!!
「まぁいいや。だらだらしながらゲームでもしよ?
あんずは今日はオフで仕事ないから、ゲームし放題寝放題!!」
「それは良いけど、見てわかる通りPC持ってきてないよ?」
両手を広げ何も持ってないアピール。
「ふっふっふ~、そこのノートを使うが良い!!」
あんず先生が片付けた部屋の一角を指さす。
「あれをっ!?あれを使って良いんですか!?」
部屋を片付けている時、気になっていた物を使って良いと言われた。
気になっていた物とは、某メーカーのハイエンドモデルのノートPC。
「このあんず様、遊びに関して抜かりは無いのだ!!」
「流石っす。あんず先生!!」
すげぇっす。
「だから、あんず先生はやめようよ。お兄さんのが年上なんだし」
「あっはい・・・つい・・・」
「まぁ、お兄さんっぽいと言えばぽいけど・・・」
「ま・・・まぁ、細かい事は気にしなさんな。ささ、さっそくやりましょうぞ」
「「お~っ!!」」
二人で無邪気に手を掲げ意気込む。
「あ、備蓄どこ~?あんずは飴を所望する~」
「あ、取って来ます」
「よろ~、後コーラ」カチャカチャッターン
「うーっす」ガサガサ
8X―・・・・・・・・
時刻 23:58
「そう言えばお兄さんってどこ住んでんの?」カチャカチャ
「もぐもぐ・・・ふぇ、俺は○○駅近辺だけど、どして?
・・・・・・あっ!?終電!!!」カチカチッ ガタッ
しまった・・・時間を忘れてゲームをしすぎた!!
いつもはチャットで話して居るから時間を見ながら会話してたけど、
今日は目の前にいる所為か、その感覚が欠落していた。
「あ~、やっぱり気付いて無かったかぁ。
まぁあんずの所為でもあるし、今日ここに泊まってっても良いよ?」
「いやいや、それは流石に色々まずいから、駅前のネカフェにでも行くよ。
ありがとう。気持ちだけ受け取っておくよ」
では、と立ち上がる。
「ふーん、そっか。それなら、あんずまだ眠くないからもう少し付き合ってよ」
「俺もまだ眠くないし、やっと調子出てきたから付き合いますぜ!!」
では、と座る。
「ふふふ」
「ん?どしたん、あんず先生?」
急に笑い出した。
夜中特有のハイテンションか?
「あんまりこう言う事が出来る人って近くに居なかったからさ、
なんか無性に可笑しくなって」
「俺もそうだよ。大学では基本一人だし、ゲームもソロ専だったし。
あんず先生が特に問題無ければいくらでも付き合うよ。
オフ会自体が初めてだったけど、あんず先生と話すのはすごく楽しいから」
本当に楽しいと思った。
今日(昨日)、あんず先生に会って話して、一緒にゲームして、
コンビニ弁当やお菓子を一緒に食べて、また話してゲームして・・・
楽しいから時間の流れも全く気にしなくなって・・・
今そんな事考えてたら、このままこの時間が続けばなぁとか
そんなこと考える程になっていた。
「そっか。じゃ、コレ」
「ん?」
そんな事を考えていた俺にあんず先生が、
すっと、握られた小さな右手を差し出してきた。
「手だして」
「ほい」
右手を差し出すと、あんず先生の握られた右手が開かれ、
俺の右手に何かがポトリと落ちてきた。
「ん?鍵?」
落ちてきたそれは鍵のようだった。
「うん。
「は?」
は?
「だから、
「ナニヲオッシャッテイルンデスカキミハ?」
突拍子もなさ過ぎて思考が追い付かない。
「基本的に仲の良い人に渡してるんだ・・・って言っても、
現在合鍵持ってるのってプロデューサーときらりだけだけど・・・」
「プロデューサー?」
「あー・・・お兄さんやっぱり本当に気付いて無かったんだ」
何故かにやにやしだすあんず先生。
「さっき街頭でCM流れてる時、気付かれたかなぁと思ったけど、
あれって本当に真面目に言ってたんだね~」
さっきからあんず先生は何を言っているんだ?
「あんずの名前は双葉杏。キャンディアイランドの双葉杏だよ」
そう言ってウィンクをして右手でピースをし、笑って見せた。
「・・・・・・・・・・・え?」
「おどろいた?」
「ええええええええええぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇぇっぇ!!!????」
えええええええええええええええええええええ!?
「うわぁ!?びっくりした!?ここ防音だから良いけど、声大きすぎ」
「いやいや、え?あんず先生が杏ちゃん?えぇ!?あんず先生が杏ちゃんなの!?」
「なぜ2回言ったし」
「あ、大事な事なので」
偽名とかではなく本名で、似せているとか真似てるではなく本人だったのか・・・
「って事は・・・あんず先生は現役アイドル・・・
おいおいおいおい、尚の事合鍵とかダメだろ!!
売れっ子アイドルが他人を、それも男を家に連れ込むとか」
「べっつに良いじゃん。それにあんずはアイドルをずっと続けたいわけじゃないし~」
「えっ?そうなの?」
衝撃の事実!!
「基本的にあんずはグータラだらだらその日をのんべんだらりと過ごして居たいんだ。
寝て起きて寝る・・・それがあんずの生き様だぁ(ドヤッ)。
でさ、プロデューサーに、アイドルになれば印税生活ができるーって言われたから、
アイドルやったのに、CDが出てからも仕事仕事仕事!!
だぁ~、そんな生活やってられるかぁ~!!!」
あんず先生ご乱心。
「そ・・・そうなんだ・・・」
「あ、お兄さんが養ってくれるならあんずはお兄さんと結婚しても良いよ?」
衝撃の事実
「いやいやいやいやいやいや、落ち着きなさいあんず先生。貴女とワタシ、
今日出会ったばかり。あーゆーおーけー?」
「だってお兄さん良い人そうだし。あんずは顔とか気にしないし。何よりお金持ってそう!!」
「そこかいっ!!」
「そこだよ!!安定した暮らし、安定した生活にはお金は必需品!!
そこを重要視しないで何が結婚だぁ!!あんずは週休8日を希望しますっ!!」
「あんず先生の基盤はそれなんですね。歌のままなのですね?」
「そうだよ?」
あんず先生は自分に忠実に生きているんだなぁ・・・なんか眩しいや。
「結婚の話は無視するとしてさ、やっぱり合鍵は受け取れないよ。
繰り返しになるけど、今日会ったばかりの赤の他人、
ましてや男にそんなことしちゃダメだって」
よし、俺は理性も倫理も保てている。
「あんずは人を見る目はあると自負してるよ。
今日12時間位一緒に過ごしての結論だよ。
まぁどうしても預かって欲しい訳じゃないけどさ、
掃除してくれる人が増えるのはあんず的には助かるんだけどなぁ」
チラチラと見てくる。
くそう、アイドルとわかってからか、
俺の中であんず先生の可愛さにブーストがかかりやがった。
「やっぱそこか・・・そんな気は薄々してたんだよなぁ。
うぅー・・・じゃあ・・・こうしよう。
鍵は預かる。けど、基本はあんず先生の指定した日以外はここには来ない。
で、言ってくれればその日に俺は掃除に来る。
できる事ならあんず先生がいる日にしてほしい所だけど。
今日の失態の借りのお返しって事で、家政婦紛いの事をしよう。
正直自分の言っている事がめちゃくちゃすぎて意味わかんなくなってきたけどそれでどう?」
「妥当と言うか保身と言うか・・・まぁ、やっぱりあんずの人を見る目は確かだね。
じゃあついでにあんずを養う件も視野に入れて置いてよ。よろしく~」
「はっ・・・ははは・・・まぁ、視野に入れとくだけ入れとくよ」
「あんずの事は別に嫌いじゃないんでしょ?」
「む・・・ま・・・まぁ・・・」
はっ・・・恥ずかしい・・・
「ま、いいや。じゃ、よろしくって事で、
話してたら眠くなってきたから、あんずは寝るよ。
ふぁー・・・別に泊まって行っても良いし、
ネカフェ行くなら適当に出てって行って構わないから。
ここオートロックだし」
そう言って、ウサギ?の椅子から降りたあんず先生は例のウサギ?を引き摺りながら、
目を擦り、欠伸をしつつ寝室と思われる部屋に入って行ってしまった。
広いリビングに一人取り残された俺。
『別に泊まって行っても良いし・・・
別に泊まって行っても良いし・・・
別に泊まって行っても良いし・・・』
頭の中であんず先生の言葉が反芻される。
パァンっ!!!
両頬を両手で叩く。
「よしっ」
すっと立ち上がり、リビングを片付け、しっかりと戸締りを確認。
電気を消し、玄関に向かう。
靴を履き、小声で『おじゃましましたー』と言って頭を下げ、
静かに扉を開き、静かに扉を閉め、ロックが掛かった事を確認し、
あんず先生の住むマンションを後にして駅前のネカフェに向かうのだった。
『まじめだなー、ふぁー・・・』
8X―・・・・・・・・
「うん・・・それで、今日18時には仕事終わるから。
うん、うん。じゃ、またあとでー」
「あれ?杏ちゃん?珍しいね、寝ないで電話なんて。誰と電話してたの?」
「きらりちゃん?それともプロデューサーさん?」
「んーん、ちがうよー。あんずの家のお手伝いさん」
「お手伝いさんって、メイドさん・・・みたいな?」
「んー、メイドじゃなくてボーイかな?」
「ボーイって事は・・・」
「「男の人!?」」
「そうだよ」
「いくつ位の人なの?おじいさん・・・みたいな?」
「違うよ。あんずの4つ上って言ってたかな?」
「えぇ!?あの・・・あんずちゃん、
もmっもももしかして今その人とお、おおっお付き合い、とか・・・してるの・・・!?」
「別にしてないよ?って言うかそんなに驚く事?」
「で・・・でもお手伝いさんって事は、杏ちゃんのおうちに来てるんだよね・・・?」
「そりゃもちろん。今日はもう家にいるんじゃないかな?」
「「ええぇぇぇーー!?」」
スタッフ「キャンディアイランドさ~ん、間もなく本番でーす」
「はっはいっ!?」
「ほらほら、2人とも行くよ~」
「あ!?杏ちゃんまってー!?」
Happy*2 days
いつからだろう?
この胸の中にあなたがいた
もっと傍にいたい
いつまでも私はあなたのもの
ずっと・・・ずっと・・・ずっと・・・
「とかとかなんとか言っちゃって♪」
俺が杏と会って話するだけの話 ~ Fin ~
最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。
何度も読み直し加筆修正を加えていきたく思っております。