妄想劇場 ~俺が○○と○○するだけの話~   作:PL.2G

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毎々,大変お世話になっております。

ご無沙汰しております。
皆様いかがお過ごしでしょうか?

私はやっと仕事が落ち着き始め,
色々と手が廻せるようになってきた感じでございます。

久し振りの投稿です。
稚拙な物では御座いますが,
投稿させていただきます。

今までで一番文字数が多い気がします。
ですので,誤字脱字,矛盾等見受けられるかと思われます。
ご承知おきください。

また【兄妹】です。





4.赤城みりあ 『兄妹』

昨日から長期休暇に入った社会人の俺。

今日は朝から実家に帰り、

今は、実家のリビングのソファーでゆったりと寛ぎながらテレビを見ている。

 

ガチャッ「ただいまー」

 

そんな折、玄関のドアが開き、同時に元気な声が聞こえてきた。

声の主の顔が見えたところで返事をする。

 

「おかえり、みりあ」

 

「あっ!!おにいちゃん!!」

 

「久しぶりだな。みりあは元気だったか?」

 

今しがた帰ってきた女の子、『赤城(あかぎ)みりあ』は俺の妹だ。

11歳の小学5年生。

好奇心旺盛でとにかく元気。

今日は暑いからか、ポニーテールになっているが、

普段は外ハネの、えーっと、たしか・・・

ツーサイドアップ?って名前の髪型だった気がする。

 

とりあえず話を戻そう。

何故に久しぶりなのかというと・・・

俺は短大を卒業後、就職。

就職先が実家から割と遠かった為、実家を出て寮に住む事にした。

そして今日まで一度も帰っていなかった為、久しぶりの帰郷になったのだ。

 

「おっと」

 

みりあはランドセルを背負ったまま、

ソファーに腰掛ける俺に飛び付いてきた。

 

「おにいちゃんおにいちゃん!みりあね、この前テレビに出たんだよ!!

 あとねーあとねー、みりあ、お姉ちゃんになるの!!それとー・・・」

 

「はいはい、もうちょっと落ち着いて話そうな。

 時間はまだまだあるんだ、おやつでも食べながらゆっくりおしゃべりしようか。

 ほら、ちゃんと手洗いうがいして、ランドセルも部屋に置いて来なさい」

 

「はーい!!」

 

俺から離れ、立ち上がり、手を上げて元気に返事をするみりあ。

みりあがこの場を離れたタイミングで、俺はソファーから腰を上げ、

キッチンに向かい歩いて行く。

みりあが留守の間にクッキーを準備しておいた。

ちなみにみりあは今、絶賛夏休み中だそうで、

更に今日と明日は登校日だそうだ。

「俺にもそんな時があったなぁ」と物思いに耽つつキッチンから出る。

そのタイミングで、ちょうど戻ってきたみりあと遭遇。

 

「おにいちゃん何持ってるの?」

 

みりあは俺が手に持っていた大皿を、背伸びして覗き込む。

 

「わあぁぁ、クッキーだ!!・・・あっ!?もしかしてこれ・・・

 おにいちゃんが作ったやつ!!??」

 

「みりあが学校に行ってる間に作ったんだ」

 

手に持っている皿に盛られたクッキーは俺の手作り。

俺は昔から料理が好きだった。

特にお菓子作りが大好きで、

実家(ここ)に住んでる頃は、

お菓子を作っては良く家族に振舞っていた。

 

「わぁーい!!みりあ、おにいちゃんの作ってくれたクッキーだーい好きっ!!」

 

「そうか。いっぱい食べて良いからな。

 あーでも夕飯が食べられなくなるから食べ過ぎはダメだぞ」

 

「はーい。えへへへ、クッキー♪クッキー♪おっにいちゃんのクッキー♪えへへへ」

 

謎の歌を歌いながらリビングに戻るご機嫌のみりあ。

ソファーに腰掛け、「わあぁ」と言いながら、

クッキーを1枚手に取り、とても嬉しそうに口を大きく開け、

口いっぱいに頬張りもぐもぐと食べはじめる。

 

「お~いひぃ~。んふふ~」

 

見ているだけでこちらも嬉しくなってくる。

作り手冥利に尽きると言うものだ。

 

そんなみりあを見ながらふと、先日のテレビの事を思い出し口にする。

 

「しっかし・・・実際みりあがテレビに出てるのを見たときは本当に驚いたよ。

 えーっと・・・ときめき・・・学園だっけ?あ、飲み物はミルクティーで良いよな?」

 

みりあから、「うん」と返事を貰い、

氷の入ったグラスに紅茶を注ぎ、

ガムシロップとミルクを足したものをみりあの前に置く。

 

「それと、とーとーきーらーだーよー」

 

むーっと頬を膨らませ、俺の間違いを訂正してくれるみりあ。

俺は紅茶をストレートのままで飲み、口を軽く潤してからクッキーを齧る。

うむ、今日のクッキーは84点(100点満点中)ってところだな。

 

「あはは、ごめんごめん。兄ちゃんそう言うの疎くてさ。

 でも次の日、会社の人に自慢しちゃったよ。

 うちの妹がテレビに出たんですよ~って」

 

「おにいちゃんがみりあのじまんをしたの?」

 

小首を傾げ、不思議そうにするみりあ。

 

「そりゃあするさ。自分の妹がアイドルとしてテレビに出てるんだ。

 みりあだって、もしも兄ちゃんがテレビに出たら、

 学校のお友達に自慢しちゃうだろ?」

 

「する、ぜったいするっ!!

 そっかぁ、おにいちゃんがみりあのじまんかぁ・・・えへへへ」

 

更にふと思ったことを口にする。

 

「しっかし、俺にまた妹弟(きょうだい)が出来るのかー、

 大分年離れちゃったなぁ・・・もはや俺はおじさんレベルだな」

 

絶賛、母のお腹の中には新たな生命が居る。

それと同時に自分の年齢の事を考えしばしのノスタルジー。

 

「おにいちゃんはぜーんぜんおじさんじゃないよ?」

 

これまた小首を傾げ、不思議そうな顔をするみりあ。

しかし、嬉しい事を言ってくれる。

涙が出そうだ。

 

「ありがとう、みりあは本当にいい子だな~、よしよし」

 

みりあの頭をなでなでする。

昔の癖でついついやってしまったが、

「子ども扱いしないでよ」とかって言われたらどうしよう・・・

などと考えたのは杞憂だったようで、

とても気持ちよさそうに、嬉しそうに俺に頭を預け、

素直に撫でられるみりあであった。

両手でクッキーを持ちながらもぐもぐしてて・・・

まるで小動物でも撫でているみたいだ。

しかも、みりあの髪はもこもこもふもふしてて撫で心地も非常に良い。

 

「みりあは兄ちゃんに撫でられるの好きか?」

 

「大好き!!えへへへへぇ」

 

なんかちょっとだらしない感じで喜ぶみりあ。

その顔・・・よそ様やテレビで出したらダメだぞ・・・

と、心で思いつつも、

 

「そうか、じゃあもっと撫でてあげよう」

 

止められない止まらない。

 

「んふふ~」

 

とても上機嫌だ。

取敢えず俺に飽きが来るか、

みりあが嫌がるまで続けてみよう。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

結局、母さんが返って来て夕飯の準備が始まる頃まで撫で続けてしまった・・・

みりあはそのまま眠りに付いてしまう始末。

みりあをソファーに寝かせたまま、身重の母さんの手伝いで洗濯物をしまったり、

料理の手伝いや、配膳の準備をして時間は過ぎていった。

 

その晩、母さんと俺の合作ご飯を食べながら、俺の仕事や一人暮らしの状況。

みりあの最近あった事やアイドルの仕事のこと、

くだらない話等をし、楽しい1日目はあっという間に終わりに近づいた。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

「おにいちゃん・・・今日おにいちゃんのお布団でいっしょに寝ていい?」

 

風呂上りでほかほかしたパジャマ姿のみりあが俺の所に来た。

 

「ん?もうみりあもお姉ちゃんになるんだしそろそろ一緒に寝るのは・・・」

 

みりあは昔から良く俺と一緒に寝たがる。

別に嫌では無いんだが、そろそろ年頃な女の子。

お兄ちゃんと寝ているのが同年代の子達にばれたりしたら、

冷やかされたりいじめられたりしてしまうのではと考えてしまう。

 

「だって、みりあはおねえちゃんになっても

 ずっとおにいちゃんはおにいちゃんだもん・・・」

 

さながらフグの様に頬を膨らましむくれる。

ずっとおにいちゃん・・・そりゃそうだ。

国の法律とか宇宙的な法則が変わらない限り、

この兄妹と言う状況は変わりはしないだろう。

まぁ、そこまで言うなら特に断る理由もないので、

 

「そうか。またおねしょとかすんなよ?」

 

「しないよ!!いつの話してるの!!もうっおにいちゃんのいじわる!」

 

「ははは、ごめんごめん。じゃ、俺は今から風呂入ってくるから、

 適当になんかしてて。先に俺の部屋に行ってても良いし、先に寝ててもいいからな」

 

「はーい。いってらっしゃーい」

 

家の中だと言うのに、元気に手を振り俺を送り出してくれる。

こう言う所もみりあの魅力なんだよなぁ、としみじみ思う。

例の『とときら学園』に出演したみりあを見てた時もそう感じた。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

「あー生き返るー。しっかし、みりあがアイドルかー」

 

湯船に浸かりながらそんな事を口に出す。

 

『おにいちゃん、みりあのこと呼んだー?』

 

「おわっ!!!おぼぼぼぼぼ」バシャバシャッ

 

風呂の外から急にみりあの声が聞こえたため、

びっくりして湯船の中で滑って頭が沈んでしまった。

 

『おにいちゃん大丈夫っ!?』

 

「っぷぁ!!はぁはぁ・・・ああ、大丈夫大丈夫。みりあ?なんでそこに?」

 

『おにいちゃん。バスタオル持ってきたよー。

 せんたっきの上に置いておくねー』

 

言われてみれば、下着と寝間着しか脱衣所に持ってきてなかったな。

 

「おーう、ありがとー」

 

『おにいちゃん。なんでさっきみりあのお名前呼んだの?』

 

「別になんでもないぞー。まぁ、後で話すよー」

 

『はーい』

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

入浴もそこそこに、風呂から上がり、

缶ビールでも飲もうかとも考えたが、

みりあが一緒に寝るので今日は控える事にした。

 

歯を磨き、自分の部屋に向かう。

一応みりあが寝ている事も考慮し静かにドアを開ける。

 

「おにいちゃーん!!」

 

ドアを開けた瞬間にみりあが飛びついてきた。

 

「おっとっと。こーら、みりあ。すぐに兄ちゃんに飛び付いて来るのやめなさい。

 兄ちゃんが倒れたらみりあも危ないでしょ?」

 

「はーい、ごめんなさーい。えへへ」

 

にこにこしながら謝るみりあ。

本当にわかっているのか若干不安が残るが、

素直ないい子なのできっと大丈夫だろう。

 

「ああ、そうそう。ちなみにさっきお風呂でみりあの名前を出したのは、

 みりあがアイドルになってるのが凄いなぁって思ってたらさ、

 自然と名前が出たんだよ」

 

さっきお風呂で話して居たことをベッドに向かいながら話す。

 

「みりあすごい?みりあすごい?」

 

常時にこにこ顔のみりあ。

 

「そりゃあすごいさ。兄ちゃん自慢の妹だ」

 

「えへへへへ」

 

よしよしと頭を撫でる。

 

「みりあは明日も学校なんだよな?じゃあもう寝ような?」

 

「はーい」

 

「電気消すぞー」

 

「えへへ、おじゃましまーす」

 

最初ちょっとつまらなそうな返事をするも、

もそもそと俺の右側にもぐり込み、

縮こまって眠りの体制に入る。

本当に小動物みたいだ。

 

「おやすみ、おにいちゃん」

 

「おやすみ、みりあ」

 

頭を撫でながら、俺も静かに目を閉じた。

 

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

 

 

「――――いちゃん――――おにいちゃん!!朝だっよーーーーーー!!」

 

「おぐぅっっふぅぅぅぅっ!!」

 

腹部に物凄い衝撃。

余りの衝撃に目を覚まし、問題の腹部に目をやる。

 

「えへへへー、おにいちゃんおはよう」

 

「げほっげほっ・・・あ、あぁ・・・おはよぅ・・・みりぁ・・・」

 

「あれ?おにいちゃん、元気ないね?

 もしかして・・・お病気・・・?」

 

みりあェ・・・

 

「みりあ・・・今度から兄ちゃんを起こす時・・・

 お腹の上に飛び乗るのは・・・止めようね・・・」

 

「ええぇぇーっ!?いつもこうやって起こしてあげてたのになんでー?

 ねぇなんでなんでぇーっ!?」

 

俺のお腹の上で無邪気にぴょんぴょんするみりあ。

 

「みりあ、人はね、成長するんだよ・・・うぐっ・・・みりあも大きくなったからね・・・

 とりあえず、起きたから・・・おぐっ・・・兄ちゃんのお腹から降りようか・・・?」

 

そう言って、よろよろと上半身を起こし、

みりあの脇を両手で掴んで「よいしょ」と持ち上げる。

やっぱり昔みたいに軽々とはいかないか。

 

「きゃははっおにいちゃんすごーい!!!」

 

持ち上げられて喜ぶみりあ。

だが兄ちゃんの腕は既に限界だ。

 

「ほい」

 

プルプルする腕に更に力を込め、

みりあをなんとかベッドから降ろした。

上体を起こしただけの体勢でこんな事出来るなんて、

俺の筋肉は超人レベルなのではないだろうか?

 

「おにいちゃん、もう一回やってー!!」

 

ゆっくりとベッドから降り、立ち上がる。

 

「いやいや、早く学校行く支度しなさい」

 

「ぶー」

 

「しょうがない妹だ・・・」

 

後からみりあの脇の下に手を入れ持ち上げる。

きゃっきゃっと喜ぶみりあ。

またもプルプルと震えだす俺の両腕。

そのままリビングに行き、みりあを椅子の上にゆっくり置く。

 

「えーおにいちゃんもうちょっとだけー」

 

「兄ちゃんお手洗い行って、その後に顔洗って来るから」

 

「おにいちゃんのケチー」

 

母「こらこら、みりあちゃん。わがまま言わないの。

  もうすぐお姉ちゃんになるんでしょ?」

 

「ぶー」

 

むくれるみりあ。

ここで甘やかしてしまいそうになる当たり、

俺はシスコンなのかなと思ってしまう。

 

トイレに行き、手早く顔を洗いリビングに戻る。

席に着き、みりあに質問をする。

既に答えは知っているのだが・・・

 

「明日もみりあは学校?」

 

「ううん・・・あしたは行かない・・・」

 

さっきの事をまだ気にしているのか、少し元気の無いみりあ。

俺はそのまま話を続ける。

 

「じゃあ、兄ちゃんと一緒に動物園行こうか。

 最近この辺りに新しい動物園出来たんだったよな?」

 

「いくーーーーーーっ!!!!」

 

両手をテーブルに着き、

勢い良く立ち上がり大声で叫ぶみりあ。

 

「嬉しいのはわかるけど、今のは行儀が悪すぎるぞみりあ」

 

「う・・・ごめんなさい・・・」

 

しゅんっと小さくなるみりあ。

本当にころころと表情が変わって、

言い方は良くないけど見ていて飽きない。

ただ、こう言った所がみりあの長所であり、

魅力なのだと思っている。

 

「じゃあ、今日ちゃんと学校に行って、ちゃんと勉強して、

 友達と全力で遊んで、宿題もちゃんとやって、

 良い子にしてたら連れて行ってあげよう。

 どうだ、みりあ。できるか?」

 

「みりあできるよ!!」

 

瞳を爛々と輝かせ、俺に言って見せた。

 

「そうか、じゃあ約束だ」

 

そう言って俺は椅子に座ったまま、左隣のみりあの方に身体を向け、

右手の小指を体の前に出す。

みりあは小さな右手の小指を、俺の小指に引っ掛けてくる。

 

「「ゆ~びき~りげ~んまん、ウソつ~いた~らハ~リせ~んぼ~んの~~~ます。ゆびきった」」

 

二人で声を揃え歌う。

この時、俺は自分の11歳の時の事を思い出し、少し笑った。

 

「じゃ、朝ご飯食べようか」

 

「うん!!動物園楽しみ~。えへへへ」

 

「「「いただきま~す」」」

 

「ねぇねぇおにいちゃん?」

 

「ん?どうしたみりあ?」

 

「ゆびきりげんまんのげんまんってなーにー?」

 

「あー・・・っと、確かげんまんって、漢字で(こぶし)って字に、一万の万って書くんだけど・・・

 約束を破ったら、ゲンコツ1万回って意味なんだよ」

 

俺はそう言いながら、みりあに解り易くするために自分の頭をグーでコンコンと軽く叩く。

 

「えぇぇぇぇ、ハリを千本も飲まなきゃいけないのに、頭を1まん回もぶたれちゃうの!?」

 

「そうだぞみりあ。だから約束は守らなきゃ駄目なんだ」

 

「うん」

 

実際はもっと酷い事をしつつのゲンマンで針千本だしなぁ・・・

と、本当の事を隠しつつ、他愛の無い会話と、

動物園で見たい動物の話や、

今日の学校でする事の話など、みりあは終始笑顔だった。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

母「はい、赤城です」

 

電話をとる母さん。

 

母「あ、お世話になってます。えっと、みりあは今不在です。はい。はい」

 

みりあに電話か・・・

みりあに電話?友達は一緒に学校に行ってるだろうし・・・

アイドル友達か?

 

母「わかりました。みりあに伝えます。はい。よろしくお願い致します。では」

 

母さんが電話を切る。

 

「母さーん、今の誰~?」

 

気になったので即座に質問。

 

母「みりあのプロデューサーさんよ。凄い渋い良い声の人なのよ~」

 

プロデューサー・・・プロデューサーか。

当たり前だがやっぱりみりあは芸能人なんだなぁ・・・と再認識プラスちょっと動揺をしつつ、

それを悟られないようにさらに質問。

 

「へー。で、みりあになんだって?」

 

母「なんか明日、仕事なんですって。

  せっかく動物園楽しみにしてたのに、あの子拗ねないかしら?」

 

「あー・・・まぁ、みりあだってそこはちゃんと理解できてる・・・と、思う・・・」

 

アイドルの仕事かぁ・・・

俺よりもだいぶ年下なのに既に社会人って・・・

今考えると大変だな・・・

みりあは苦しんでいたりしないだろうか・・・

なんか心配になってきたな・・・

 

ガチャッ「ただいまー!!」

 

件のみりあが帰ってきた。

 

母「みりあ、おかえりなさい」

 

「おかえり、みりあ」

 

「ただいまーっ!!っと・・・」

 

昨日と同じく俺に飛び付こうとしたのか、

瞬間、その足を止め、

 

「私はいい子だから、ちゃんと手洗いうがいしてきまーす」

 

元気良く手をあげ、洗面所の方へ歩いていく。

 

「今朝の約束をちゃんと守ってるんだな・・・俺が伝えるわけじゃないが、

 なんか言い出しにくくなっちゃうなぁ・・・なんかごめんね、母さん」

 

母「別にお兄ちゃんは気にしなくて良いのよ。

 その代わりフォローはよろしくね?」

 

「あぁ、出来る限りは・・・」

 

そんな話をしているとニコニコ顔のみりあが戻ってきた。

 

「どーんっ!!!きゃはは」

 

ソファーに座っている俺に飛び付いてきた。

 

「みりあっ!!だから飛び付くのは危ないって・・・」

 

「今、おにいちゃんは座ってるから倒れないよ?」

 

「こいつめー。そんなヘリクツを言う子はこうだっ!!

 そらっ!!こちょこちょ~!!」

 

みりあの脇をくすぐる。

 

「きゃはははっ!おにいちゃん、やめてよーあはははっ」

 

「おらおら~!!」

 

母「みりあ、楽しんでる所ごめんね」

 

母さんが話しかけてきた。

俺は手を止める。

例の話をするのだろう。

気が重い。

 

「はぁ~楽しかったぁ。なぁにママ?」

 

ソファーから降り、母さんの近くに立つみりあ。

 

母「ちょっと残念なお話なんだけど、明日、アイドルのお仕事なんですって」

 

「え?あした・・・」

 

みりあの声のトーンが急激に落ちる。

 

「でもあしたはおにいちゃんと動物園に・・・えっ?だってみりあ、ちゃんと良い子にしてたよ?

 べんきょーもちゃんとしてきたし、宿題はあとでやるけど・・・友達とだって元気に遊んできたよ?」

 

「みりあ、別に明日じゃなくてもさ、俺の休みはまだあるし・・・

 明後日で「―――だ・・・」・・・えっ?」

 

「やだっ!!」

 

突然大声を出すみりあ。

 

「だって・・・今日ずっと楽しみにしてたんだもん・・・

 明日のために、ずっと良い子にしてたんだもん・・・

 おにいちゃんと動物園に行くんだもんっ!!」

 

「・・・」

 

俯いたみりあの足元に水滴が落ちていくのが見える。

みりあは昔からあまり泣く事が無かった。

その反動か、一度泣くとなかなか泣き止まない。

 

ただ、俺はこの状況を、今のこの光景を見て可笑しくなってきてしまった。

 

「ぷっ・・・あはははっ」

 

「おにいちゃん!!何で笑うのっ!!おにいちゃんのバァカァ・・・うわあぁぁぁん!!」

 

更に泣き出すみりあ。

 

俺はソファから立ち上がり、みりあの前に跪き、みりあと同じ目線になる。

そしてゆっくりとみりあの頭を撫で始める。

 

「みりあ・・・笑ってごめんな。俺も昔、みりあと同じ年の時に同じようなことで泣いてさ、

 父さんと母さんを困らせた事があったんだ。今のこの光景が余りにも同じでさ、

 思い出したらなんか可笑しくなっちゃったんだ。やっぱり兄妹なんだなぁってさ」

 

そう、俺も11歳の夏休みの時、家族で遊園地に行く約束をし、

父さんが仕事の為、行けなくなった事があった。

あの時の事を思い出しながら、

当時、俺に対して父さんが言ってくれたことをみりあに伝える事にした。

 

「みりあ、みりあはもうすぐお姉ちゃんになるんだ。

 それは決してみりあにとって嬉しい事だけじゃ無い。

 我慢をいっぱいしなきゃいけない時もきっと来るんだ」

 

「が・・・まん・・・?」

 

「そうだ。だけど別にみりあに嫌がらせをしたい訳じゃない。

 兄ちゃんだって、父さんだって母さんだって、みりあの事が大好きだから、

 出来る限りみりあのお願いを聞いてあげたいと思ってる。

 でも、やっぱりそれでも我慢しなきゃいけない時がいっぱい来るんだ」

 

「・・・うん」

 

「だからみりあ。明日、動物園に行けなくて今はとっても辛いかも知れない。

 もしかしたら明後日も行けないかも知れない」

 

『明後日も行けない』と言う言葉に反応し、

みりあの肩がビクッと大きく跳ねる。

 

「でも、絶対に俺はみりあを連れて行ってあげるから。

 その約束を俺は絶対に守るから。

 その日が来るまで楽しみを取って置くんだ。

 そうすれば、行った時にその楽しみは行けなかった分、

 もっともーーーっと楽しいものになるから。

 だから、今は辛いかもしれないけど・・・頑張れるか?みりあ」

 

「・・・」

 

無言の時が過ぎる。

数十秒の後、みりあは口を開く。

 

「・・・わかった・・・みりあ、我慢する・・・」

 

「よし、本当にみりあはいい子だ」

 

そう言って頭を更に撫でる。

 

「おにいちゃん・・・もっとなでなで・・・して?」

 

上目遣い(プラス)涙目でそんな事を言ってくるみりあ。

こいつ、小悪魔気質も有るのか・・・

兄ちゃんちょっと将来が不安だぞ・・・

しかし・・・

 

「よーし、それ位のわがままは兄ちゃん許しちゃう」

 

やはり俺はシスコンだった。

そう言ってみりあを抱っこし、ソファーに腰掛け、

ひざの上に(実際はももの上だが・・・)みりあの頭をそっと乗せ、

頭を撫で始めた。

 

「えへへへぇ」

 

母「あらあら、みりあったら甘えん坊さんね」

 

「だってみりあはまだお姉ちゃんじゃないもん」

 

元気にそんな事を言うみりあ。

何とか事無きを得た、騒がしい2日目になった。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

「じゃあ、行ってきます・・・」

 

「みりあ、頑張れよ。兄ちゃんは約束ちゃんと守るからな」

 

「うん・・・、行ってきます!!」

 

みりあは寂しそうな顔を一瞬するも、

元気に仕事に向かっていくのであった。

 

――――――――――――――

 

しかし、アイドルの仕事か・・・

今日が何の仕事なのか聞いておけば良かったなぁ。

 

「母さん、ちなみにみりあの今日の仕事内容ってどんなのか言ってた?」

 

「さすがにそこまでは言ってなかったわね~」

 

「そっか・・・」

 

「どうしたの?」

 

「いや、場所によっては俺も見学出来たりしないかなぁ・・・と」

 

ふと思った次第だ。

 

「そんなに気になるならプロデューサーさんに聞いてみる?」

 

予想外の母さんの回答。

 

「えっ!?そんな事できんの!?」

 

「みりあの年が年でしょ?

 プロデューサーさんに、気になった事があればすぐ連絡くれって、

 番号は教えてもらっているし、それに親として娘の仕事内容を聞くのだって、

 別におかしい話では無いでしょ?」

 

「たしかに。じゃあ、よろしくおねがいするよ」

 

「はーい。ちょっと待っててね」

 

そう言って母さんは子機を片手にプロデューサーに電話を掛け始めた。

 

「あ、赤城みりあの母です~。いつもお世話になってます。

 もうみりあはそちらに居られますか?」

 

淡々と会話をしていく母さん。

 

「で、本題なんですが・・・今日のみりあの仕事内容とか場所とかって・・・

 お伺いしても?あーいえいえ、特にいつも聞いてなかったので気になさらないでください」

 

コーヒーを飲みながら聞き耳を立て、母さんが話し終わるのを静かに待った。

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

母「では、失礼します」

 

通話を終え、一息つく母さん。

 

母「渋い、良い声だったわー」

 

「で、どうだった?」

 

母さんの一言を華麗にスルーし、本題を聞く。

 

母「ふふふ、それがね・・・」

 

 

8X―・・・・・・・・

 

 

きらり「おっつおっつ☆」

 

莉嘉「まったねー」

 

「ばいばーい」

 

収録を終えた(でこ)レーション。

 

 

「――はぁ・・・」

 

き「うゆ?どうしたの~みりあちゃん。

 今日のお仕事疲れちゃった?」

 

きらりちゃんがみりあに話しかける。

 

「ううん。全然疲れてないよ。あっという間だった・・・どうして?」

 

き「溜息吐いてたから、なんかあったのかな~って」

 

り「みりあちゃん、もしかして病気?頭とか痛くない?」

 

莉嘉ちゃんがみりあの心配をする。

 

「ううん」

 

き「じゃあ・・・なんか悩み事?」

 

「私、そんなに変かな・・・?」

 

り「うん。みりあちゃんの溜息とかはじめて見たし、

 なんか今も、ちょっと苦しそうだし・・・」

 

きらりちゃんと莉嘉ちゃんが心配そうにみりあを見つめる。

 

「うん・・・今日ね・・・ほんとは、おにいちゃんと動物園に行く予定だったんだ・・・」

 

その言葉にはいつもの様な元気は無く、笑顔も苦笑いのようなものだった。

 

き&り「「みりあちゃん・・・」」

 

「でも、だいじょうぶ!!おにいちゃんは絶対にみりあと一緒に動物園に行ってくれるって

 ゆびきりしてくれたから!!だからみりあは我慢できるよ!!」

 

きらりちゃんはみりあを優しく抱きしめた。

 

「きらりちゃん・・・」

 

き「みりあちゃんは偉いにぃ・・・」

 

り「アタシもわかるなぁ、その気持ち。

 お姉ちゃんと買い物約束しても、『莉嘉ゴメン、今日仕事入ったからまた今度ね』

 ってすーぐ断られちゃうの。でもでも、みりあちゃんのお兄さんみたいに、

 ちゃんとあとから埋め合わせしてくれて、『お詫び』ってアイスおごってくれたりするんだー」

 

「へー、お兄ちゃんもなんか買ってくれるかな?」

 

き「きっと買ってくれるにぃ☆」

 

「そうだったらうれしいなぁ」

 

?「みなさん、おつかれさまです」

 

スーツ姿で高身長の、少し強面の男性が3人のところへ、

声を掛けながら近づいてきた。

 

き「Pちゃんおっすおっす☆」

 

り「Pくんおつかれ~」

 

「プロデューサー、おつかれさまです」

 

この男性は346プロダクションのプロデューサー。

 

P「みなさん、とても素晴らしい番組になったと思います」

 

り「アタシ達ならトーゼンっしょっ!!」

 

莉嘉ちゃんお得意のギャルピース。

 

P「ところで、少し気になる事が・・・赤城さん、なにか・・・ありましたか?」

 

プロデューサーからみりあに質問が飛ぶ。

 

「プロデューサー・・・」

 

き「みりあちゃん、今日はお兄さんとお出かけの予定だったらしいんだにぃ。

 だから、ちょ~っとだけ、元気がないないさんなんだにぃ」

 

P「そう・・・だったんですか・・・」

 

「うん・・・でも、お仕事は頑張ったよ。おにいちゃんと約束したから」

 

P「はい、撮影中はとても素晴らしい笑顔でした。

 それでしたら、ここ(・・)の代表の方が、閉館するまでの間は自由に見ていって良い・・・

 との事でしたので、気晴らしにゆっくり見てきてはいかがでしょうか?」

 

プロデューサーが気を利かせて言う。

 

き「ほんとにぃ!?」

 

り「館長さんふとっぱら~!!」

 

「・・・」

 

みりあは浮かない顔をする。

 

「みりあは・・・やめておく」

 

き&り「「あ・・・」」

 

二人はみりあが拒否をした理由を即座に察した。

 

ここ・・・この撮影場所こそ、まさにみりあと()が一緒に来ようと思っていた動物園なのだ。

 

P「そんなことおっしゃらずに、そちらに居ますこの動物園のマスコット、

 レッサーパンダのピュータくんと一緒に見てきたらどうですか?

 赤城さんはたしかレッサーパンダは、お好きでしたよね?」

 

「うん・・・でも、今日はいい・・・」

 

みりあは俯き、首を振る。

それを見たピュータくんは徐にみりあに近づき、跪き、

そしてみりあの頭を撫で始める。

 

「え?ピュータ・・・くん・・・?」

 

「みりあ、お疲れ様」

 

くぐもった声でピュータくんが喋る。

 

凸「「「え?」」」

 

ピュータくんはスッと立ち上がると、

両手を顎の下あたりに添え、そのまま上に持ち上げる。

 

「はぁー!!あっつい!!」

 

「えっ!?おにいちゃんっ!?」

 

「やっぱりこの季節にキグルミは大変だな。びっくりしたか?みりあ」

 

話をしながら頭に巻いていたタオルで顔の汗を拭う。

 

「おにいちゃん・・・どうして」

 

「ああ、実はな・・・」

 

 

――――――中略――――――

 

 

「と、言うわけで、プロデューサーさんの厚意によりこの姿で見学させてもらってたって訳さ」

 

り「途中からず~~~っと私達のうしろに居たよね、ピュータくん」

 

「ぜんぜんおにいちゃんってわからなかった」

 

「改めて・・・はじめまして。赤城みりあの兄です。

 いつも妹がお世話になっております」

 

体裁をある程度たてなおし、各位に頭を下げる。

 

り「でもでも、みりあちゃんのお兄さんってかっこいいね!!

 みりあちゃんうらやましい~」

 

「えへへぇ」

 

「お、ホントかい?ありがとう莉嘉ちゃん」

 

き「・・・」

 

ふときらりちゃんの方を見るとじっとこちらを見ていることに気付いた。

 

「あの・・・俺の顔になんかついてます?」

 

き「っ!?なっなんでもないにぃ!!みりあちゃんと目元がそっくり~って思ってたんだにぃ!!」

 

両手を前に出し、ぶんぶんと手をふり何故か慌てた感じで喋りだした。

 

「そうなのかな?初めて言われたな。みりあ、兄ちゃんと似てるってさ」

 

「えへへ~」

 

みりあは先程からニコニコ顔のまま、「えへへへ」と言い続けている。

 

「みりあ?聞いてるか~?」

 

「なぁにおにいちゃん?みりあちゃんと聞いてるよ?」

 

「なら良いんだけど・・・じゃ、そろそろ動物を見に行くか」

 

「うん!!きらりちゃんも莉嘉ちゃんも一緒に行こっ!!」

 

り「え!?アタシも一緒に行っていいの!?」

 

き「せっかく兄妹で約束してたんだし、きらり達はお邪魔虫になっちゃうんじゃ・・・」

 

「いえ、むしろ俺がお邪魔みたいな感じですが・・・」

 

女性に囲まれてのお出掛けなんてした事が無かったので、

ちょっと戸惑う。

 

「おにいちゃんはお邪魔じゃないよぉ」

 

き「んもぅ、おにぃさんが行かなかったら意味が無いにぃ!!」

 

「じょ、冗談だよ。約束したもんな」

 

り「そうそう、約束は守らないとね~」

 

き「それじゃあ、わたしは莉嘉ちゃんと二人で見てくるにぃ」

 

「えぇ~、きらりちゃんも莉嘉ちゃんも一緒に行こうよ~」

 

みりあが言う。

 

「と、うちの姫が仰っているのですが、お二人がよろしければご一緒しませんか?」

 

ちょっとふざけてお誘いしてみる。

 

「と、姫が仰っている。うふふふ」

 

何故か復唱して喜ぶみりあ。

 

き「本当に一緒に行って良いの、みりあちゃん?」

 

きらりちゃんは一緒に行く事を必要以上に気にしている気がする。

 

「みんなで一緒に行こうよ~、ねぇ、おにいちゃん?」

 

「ああ、俺は全然構わないよ」

 

き「じゃぁ・・・お言葉に甘えちゃおっか、ねっ莉嘉ちゃん」

 

り「行こう行こう!!あっアタシゴリラとライオンが見たい!!」

 

莉嘉ちゃんがはしゃぎだす。

 

き「こ~ら、莉嘉ちゃん。まずはみりあちゃんが見たいものからだにぃ」

 

り「それもそうだね」

 

「でもでも、ゴリラさんここからすぐ近くだからまずはゴリラさん見に行こう!!」

 

「見たいものはみりあに全部任せるよ。

 みりあが見たいものがお兄ちゃんが見たいものだからな」

 

とか言って見たものの、急に恥ずかしくなってきた。

そんな感じになっているのを誰かに見られて無いかと、

周りに目を向けると、ばっちりきらりちゃんと目が合いました。

 

「/////」ぺこり

 

何故かこう言う時無駄に頭を下げてしまう。

何なんでしょうねこれ?

とにかく恥ずかしい!!!

 

き「みりあちゃんのおにぃさんは格好良いいしやさすぃね」

 

「うん!!」

 

り「じゃあ、ゴリラの檻にしゅっぱーつ!!」

 

 

「「「「おー!!!」」」」

 

 

「あっ・・・先に着替えさせて」

 

「えー、そのままの方がカワイイよ?」

 

みりあ・・・

 

 

 

 

俺とみりあが動物園に行くだけの話 ~Fin?~




最後まで読んで頂き誠にありがとうございました。

他作品も更新できるよう,頑張って行きたいと思います。

では,失礼致します。


早速修正致しました。

徐々にではございますが,
見直し修正訂正改訂を行っていきますので,
ご承知置きの程宜しくお願い致します。
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