出会う以前にはなかった考えばかりが己を侵食していく。
大丈夫、大丈夫だと、何度も
もうしらばく、待ってください。
必ず、あなたを救い出します。
失踪していた作者は、久しぶりに執筆した文章を疑うばかりだった。
- 騒音苦情の登場
決意を抱き、レジスタンスキャンプの仲間たちによる協力も得て、アイテムの補充、チップの更新、及び装備のアップグレートも済ませた。ポッド255から転送されたデータに基づいて、目的地へ向かうはずだったが──
廃墟都市を高速で徘徊し、調子外れた
「…!2B、あれ!」
「機械生命体──じゃない?」
ラズベリー色とダックブルーに近い色をしたあの機械はなんなのか。疑問を思った9Sはすぐにデータベースにアクセスした。調べ上げると、かつて人類が発明し、創造した『三輪自動車』であると知った。それをベースに胴体や足とし、首には装飾を意味してるであろうスカーフを巻き、頭部であろう部分は機械生命体ではない、なにかの丸い物体。
視認する限り、とてつもなく機械生命体に近い外見をしてるはずが、人類の努力の結晶を寄せ集めた謎の生命体とは到底思えなかった。なにより、あのおかしくてならない歌が2Bたちの調子を狂わせる。流れてる音楽は、はるか昔の人類が作りそうなものだが、歌っている音声はどうしてこうも調子がよく、適当な歌詞を当てられるのか理解できなかった。
戸惑ってばかりではいられない。すぐにでもアカネを救出するために、歩を進めるべきだ。だが、やはり気になる。あれをさきに確認しなければ、気になって救出作戦に集中できない予感がする。未だ廃墟都市を高速で徘徊する生命体を横目に、2Bと9Sは目を合わせ、互いの意思を確認し、頷く。
そこからの行動は素早かった。歌を放送しながら駆けまわる生命体を全速力で追いかけ、ポッドによる射撃も合わせたおかげか、なんとか足を止めることに成功。撃たれた拍子で空中に打ち上げられ、地面に二回ほど衝突してようやく着地し、走行を停止した生命体に近づく。
「いたたたた……あっ!あなた方は……先日の!」
正面に回り込み、頭部であろう丸い物体を見た2Bたちに声が降ってきた。少年に似た声を発したのは紛れもなく不思議な顔をした頭部で、記憶領域を探った二人の脳内に浮かべたのは、つい先日こなしたとある依頼で発見した、機械生命体の頭部の中から出てきたあの丸い物体。ボディはともかく、あの丸っこい頭部を間違えるはずもなく、完全に一致していた。
とはいえ、当時はアカネも現場にいたことで、さらにはこちらを攻撃する意思も見せなかったので放置し、構うことはなかった。さきに発見したのは2Bたちだが、この生命体も二人に気づいてるのは当然だろう。なにせずっと視線だけを投げ、動きを見せなかったのだから。だが、その生命体はなぜこんなところをうろうろしていたのだろう。
「初めまして。僕の名前はエミールといいます。見ての通り、ショップを営んでいます」
「ショップ…?」
「はい!色々と集めたり、たまにレアな素材も拾えたりしますので、良ければ何か買っていきますか?」
「ま、またあとでお願いします……今は急ぎの用事があるので」
未知の生命体、もといエミールと名乗る彼はどうやら機械生命体ではなく、敵対な態度もなく、むしろ友好的に接してくれた。胴体に乗った商品を見せようとするエミールを制止し、片手をあげて手のひらを見せる9Sの動きを見て、「そうですか…」と残念そうな声色で話すエミールだったが、すぐさま気を取り直して「ではまたのお越しをお待ちしてます!」と告げた。
振り返り、再び目的地へ向かおうとする二人を見て、なにかに気づいたエミールは堪らず声をかけ、呼び止める。
「すみません、あの……黒髪の彼女は、一緒じゃないんですか?」
黒髪の、彼女。きっと彼が示してるのは、間違いなく、アカネのことだろう。表情が変わることのない丸い顔は好奇心と、憂う感情が纏っていた。一度しか見かけたことがなく、けれどすぐさま自分たちと同じくアンドロイドではなく、血肉を持った人間だと気づいたのか。なぜ分かったのか気になるが、それよりも真実を伝えるべきか、迷ってしまう。
中立的な態度を取り、さらには敵意もなく接してきたエミールはおそらく、敵になることはない。アンドロイドでも、機械生命体でもない彼はどのネットワークにも存在せず、ある意味独立とした存在、あるいはどちら側にも加担しない中立組織として存在している。真実を伝えてもいいが……敵に情報を渡す可能性もあるゆえ、うまく誤魔化したほうがいいだろう。
脳内で結論に至った9Sは一人で頷き、アカネが危機的状況にあることを伏せ、敵の仕業であることも話に挟まず、ただ迷子になった彼女を迎えに行く、とだけ伝えた。
どう答えればよいか、悩んでいた2Bはスラスラと嘘を交え、けれど真実味を帯びた話を口にできた9Sに助けられた。口数があまり多くないため、もしかすれば相手に怪しまれる態度を取ってしまうかもしれない。相手は気前のいいはずであろうエミールでも、初対面ではどうも上手くいかない。
現にエミールも9Sの話に納得し、気遣うかのように励ましの言葉と、別れの言葉を口にし、エンジンを発動させて離れていったのだから。
「では気を取り直して……どうしたんですか、2B?」
「……あぁ。行こう、9S」
やはり9Sはすごいな。いつしか口にした覚えのある言葉は、そっと胸の内に留めた。今はただ、アカネの救出に専念しよう。考えるのは、それからだ。
- 拭いきれないモノ
ポッド255が転送した位置情報によると、攫われたアカネは廃墟都市にある地下洞窟、エイリアンシップへ通ずる道とは異なり、分岐となった道のさき。先導するポッド255のあとを追い、日光に照らされることなく、闇に飲み込まれた洞窟のさきには人工的な明かりが一つ、ぽつりと佇んでいる。
「あれは、エレベーター…?」
「警告:これよりさきは未知の領域、また、特別個体『アダム』との交戦を予測。推奨:万全な状態での侵入」
このさきに、アカネと、元凶であるアダムがいる。その事実だけで2Bと9Sはさらに気を引き締め、警告を渡したポッド255を見つめる眼差しも、さらに意志の固いものへと変わっていく。
「2B」
「問題ない」
短い会話、たった一言の会話だが、十分すぎるものだった。このエレベーターに乗れば、
二人の決意に気づいたのか、あるいは再度の確認を済ませたからか、ポッド255はエレベーターの扉から離れ、横にあったボタンを押した。
扉が閉まり、完全に密閉とした空間になったエレベーターが動き出し、さらに下層へと目指していく。洞窟の天然な造りとは違い、人工物であると示すかのように平坦とし、金属で覆われたエレベーターがかつての人類の歴史が刻み込まれていた。錆びてもなお形を保ち、動力である電源も未だ生きており、
アカネさんを救出し、アダムとの戦いの直前だというのに、まさかエレベーターのことで人類の話にまで繋がってしまうなんて……得意な情報収集と解析が、厄介だと思う時が来るとは思わなかった。自身のスペックに苦笑いし、大切な彼女を心配するあまり、9Sはらしくもない自虐をしてしまった。
今はそんなことを考えてる余裕なんてないのに、現実から目を逸らそうとしてる。大昔の人類も、厳重な案件を前にして、思わず現実逃避したくなる気持ちを理解した気がする。だが自分は
エイリアンが作り出した機械生命体、その中でも特別個体として生まれたのが『アダム』、およびアダムから生まれた『イヴ』。以前、砂漠地帯にあるマンモス団地の最奥で生まれ、恐ろしいほどに急速な成長を遂げ、アンドロイドの厄介な敵として阻んできた。エイリアンシップで交戦した時、彼らはすでに独自の進化を遂げ、
準備が万全とは言え、無傷とまではいかないだろう。なにより、相手は
人類の神秘を知ろうと、暴こうとするアダムなら、
一体アダムはなにを知りたがり、なぜ人類に拘り、アカネを誘拐したのか。本当のことを理解しようとする9Sは考えを巡らせた。
ちらりと、隣にいる2Bに視線を向ける。軽く体を解し、準備運動をしている。ゴーグルを装着してるので、目元が見えないが、揺るぎない意志が宿ってるのを感じる。きっとなにがあっても、義体が酷い損傷を負い、破壊に至ることがあっても、大事なアカネを救うまでは活動を停止しようとはしないだろう。
あぁ、そうだな。今は、アカネさんを救うことに専念すべき。ならば思案するべきことは、彼女を救ってからにしよう。
停止したエレベーター、数秒遅れて開かれた扉のさきに視線を向けるアンドロイドとポッドは、意を決して外部へと進んむのだった。
半年も失踪してようやく更新できました…
嫌なことがあると無意識に記憶を消す自分がもはや憎い。
いいところまでか書いてあるのに、頑張ってプロット書いたのに続かないのは罪ですよ
(自分に語り掛ける)
コロナの影響もあり、こういった重い話(?)を投稿してもいいのかと悩みましたが…
半年も失踪してしまい、いい加減気を取り直して書かないと…書かないと……
レプリカントがPS4で遊べる時期になっても話が終わらない!!!
皆様も、お体を大切になさってください。
二次創作しか能のない私ですが、皆さまが楽しい自粛生活を送れるように願っております。
(日本語がおかしくてすみません…この気持ちだけでも届けられれば嬉しいです)