ある日突然、世界に穴が空いた。
そしてそこから数多の魔物が現れた。
────千年前、勇者クレアシオンによって封印された魔王ルキメデスが復活した。
と、考えた国王は勇者の子孫達を魔王討伐に向かわせる事にした。
*
世界に穴が空き、そこから数多の魔物が現れた。
目の前の魔王ルキメデスは、その魔物すべてを封じる為に人間界を放浪していたらしい。
「勇者の件は取り敢えず置いといて。それで、今世界に起きてる異変とやらは一体どういう事だ?」
「ポップコーンです」
「「は?」」
ロスと黒歌は物の見事に、それはもう絵に描いたかのように唖然とした。
「わたしがポップコーンを食べようと思い、間違って魔物召喚用の鍋で作ってしまい……それはもうポップコーンのように魔物が人間界に飛び出して……」
「結局お前のせいじゃねぇかにゃ!!」
冴え渡る黒歌のツッコミを聞き流し、ロスは考えた。
北欧に行かずとも、このままルキ(メデス)と一緒に行動を共にするのも現状を知る為の手段だと思ったからだ。
しかし、北欧に行って王様に現状を聞くのも重要だと思う。
だが、どうだろう……。ルキを連れて北欧に行くというのは。
その手を考えると頭が痛くなってくる。
なんせ身元不明の人間、SS級はぐれ悪魔、PTSDの幼女、魔王ルキメデス……と自身を含め、不安要素しか無いパーティになってしまうからだ。
一人増えると負担が増える。頭を抱えるしかない。
しかも魔王を王様のお膝元に連れて行くのはNG行為。魔王が危険だろうと思い、一緒に行動するのは諦めた。だが、次に会った時には魔物を封じる旅を手伝ってやろうと思った。
……思っただけ。
「そういえば魔法陣使えば一瞬で北欧にジャンプして到着すると思うけど……」
「おい」
「にゃ!?」
ロスのドスを効かせた声に黒歌がビビる。
「そんな便利なものがあるなら始めからそれを言えよ」
「は、話は最後まで聞くものだにゃん! 確かに魔法陣を使えば一瞬で北欧に着くけどそうするとここら辺の領地の魔王に私達がここにいることがバレちゃうにゃ!」
「使えない猫だな」
「にゃーーーーーーー!!!」
言っても言わなくても状況が変わらない情報だったから今、世間話ついでに言っただけなのににゃ……と黒歌が落ち込む。
その時、ルキメデスが「あー」と声を漏らし、ロスと黒歌の注目を集める。
「わたし、空間転移っていう転送の魔法を使えるんですけどー」
「にゃ、魔法陣じゃなきゃ不法出入国は欺けると思うにゃ!」
「ただしー、転送できる距離は50メートルだけなんですよー」
「使えないにゃ!!?」
「ひどい! 魔王は使われたりしないもん!」
ごもっとも。
その後黒歌とルキの喧嘩が始まったが最終的には仲良くなっていた。
そしてルキメデスとは別れ────ることはなく、一緒に目的地への進行を再び開始した。