ハイスクールDxD ドS戦士ロス   作:季節夏季

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ご都合展開。


「相変わらずえげつねー能力……」

 ────アメリカ合衆国(旧ブリタニア)。

 

 

 

『若! タガワのヤツが殺られた! 決定的だ! ヤツら黒ですよ!』

「黒だ白だのという話はどうでもいい。ヤツらは存在する前から悪だった。それが今回明らかな形で露見したというだけの話だ。だが、これで我々は悪に対する大義名分をまた一つ得られた訳だ。スクワラ、各コミュニティから充分ヤツらの主戦力と戦える戦力を整えろ。種族ごと滅ぼすつもりでいかねばこちら側が苦渋を舐める事になる」

『なら、彼らに応援を! 対価が恐いですがいないよりいた方が心強いですよ!』

「安心しろ。すでに連絡はしてある。こちらが動き出す頃にまた連絡をくれと言われた。協力は取り付けたも同然だ。彼らには感謝しないとな。もし、そちらでイレギュラーな事態が起こったり……いや、不測の事態でなくとも常に各コミュニティのトップと連携してことに当たってくれ。ではまた、定時に」

 

 金色の髪をなびかせ、中性的な顔立ちをし漆黒のスーツを着こなしている青年は先程まで連絡に使用していた携帯をポケットにしまった。

 青年は、ツリ目気味で鋭い視線さらに鋭くさせる。

 青年が現在位置する場所はビルの上層の一室。

 そこから夜の街並みを眺めていた。

 街の特定の箇所に火事が発生している。

 青年はずっとそこを眺めていた。

 建物が焼け落ち、炎が燃え上がっている。

 そんな火災現場を眺めている青年の瞳はまるで火災現場の炎を映してるかのように赤く、そして美しくその色を彩っていた。

 

 

 

 *

 

 

 

 ────冥界の辺境。

 

 

 

 やけに露出の多い金髪紅瞳の女性は偉そうに玉座に座っていた。

 いや、実際にその女性は偉いのだが。

 いやそうじゃなくてその空間には、その広間には玉座に座る女性とその女性の後ろに控える執事、そして玉座に座す女性に呼び出された男だけが存在した。

 呼び出された男はなんで呼び出されたんだ? と思いながらもきっちり片膝を地面につけ、頭を下げている。

 

「今日、君を呼び出したのは他でも無い。神滅具(ロンギヌス)をこれから数ヶ月間君から没収しようという話になってね」

 

 後ろに控えている執事が話を始める。

 いささか執事らしくない口調ではあるが、玉座に座す女性が許しているので周りはなんとも言えない。

 

 呼び出された男は執事の言葉に納得がいかない。納得がいくわけがない。

 男はこれまで人助けやらバケモノ退治に幾度と無くこの神滅具に助けられたのだ。

 そんな相棒ともいえるものをおいそれと素直に渡せるわけが無い。

 例えそれが自分の主だったとしてもだ。

 

「フッ、納得が言っていないという表情が隠せていないぞ。しかし、そうさな。確かにこちらの決定事項をただ伝えるだけでは納得はしまい。説明は……お前がやれ」

「ハァ、面倒だからと押し付けるのはやめて頂きたいな。しかし、了解した」

 

 玉座に座す女性にバトンをぶん投げられた燕尾服の上に赤い外套をまとった白髪褐色の執事はやれやれという風に説明を始めた。

 

「君は実績はあるのだが、確かに実績はあるのだがそれらはすべてロンギヌスに頼って事を解決していると我々は判断した。確かに、武器に頼るのは悪くない。悪くは無いのだが……そう、君が力を求めている事は周知の事実だ。事実、超常の存在に人の身で勝つという目標を君は持っているだろう。しかし、君が磨いているのは技であって力で無い。結局は武器が光っていようとも使い手がもろければ簡単にやられる。そこでだ。君は頼りの神滅具を使わず数ヶ月間体を鍛えて来てほしい。当然、国からは支援を一切しない。完全なサバイバル方式で鍛えてもらう。まぁ、団のリーダーが不在っていうのも不安を煽るだろうがそこは安心してくれていい」

「と、いう訳だ。貴様には今以上に強くなってもらうぞ? そんな顔をするな。(ワラワ)は貴様を信じて事を取り決めたのだぞ?」

 

 男は玉座に座す女性にそう持ち上げられ、テンションを上げる。

 カリスマA+は伊達ではないという事だろう。

 

「支度金くらいは用意している。最も、使い終えればそれまでなのだがね」

 

 執事は私からの餞別だ。ほれっと少し膨れた巾着袋を男に投げ渡す。

 

「我らが王の命ならば、必ずやご期待に添えるよう尽力します!」

 

 男は支度金の入っている巾着を片手にいってきまーーーーーす!!! と、大手を振って王城を出ていった。

 

 

 

 *

 

 

 

 ────で、話は戻り。

 

「君の名前は?」

「……ロスだ」

「何で冥界にいるの?」

「気が付いたらここにいたんだ」

「この衣装どう思う?」

「痛い」

 

 にこにこ顔で質問していたセラフォルーはロスの「痛い」発言でぷくーっと頬を膨らませ、御機嫌斜めになった。

 

「ひっどーい! 可愛いでしょー!? ぜーったいに痛くなんかないんだから!」

 

 セラフォルーは激おこプンプン丸だ。

 そんなセラフォルーに対し、ロスはどうしたものかと溜め息を漏らす。

 

 そんな時だ。

 

「ロスさーん! ただいまー!」

「お土産いっぱい買ってきたにゃー!」

 

 ルキと黒歌が戻ってきた。

 黒歌はどうやら街を回ってくうちに色々と吹っ切れたようだ。ちなみにまだムキムキ女性ボディビルダーの着ぐるみを着ている。

 セラフォルーはおよよ? とルキと黒歌を見て笑顔になる。

 

「それ! 私が考案したお菓子なんだよ! 絶対に美味しいんだから☆」

「えー! すごーい!!」

 

 ルキはわー! と、セラフォルーのもとに走っていくが、黒歌は浮かない顔でロスの後ろに移動した。

 ロスは一瞬「なぜ?」と思ったがすぐに合点がいった。

 はぐれ悪魔だから討伐してこないか不安だったのだろう。

 ふざけた外見と打って変わって見るヤツがよく見れば実力者だというのはすぐに分かる。

 

「あいつ、魔王よ」

「!?」

 

 黒歌はロスに冥界の魔王について説明する。

 それを聞き、ロスは納得した。したのだが……

 

「あれがトップの一人とか冥界大丈夫か?」

 

 ロスの視線の先にはアンコールをせがむルキに魔王セラフォルーは決めポーズをいくつもきゃぴっ☆と決めていた。

 黒歌はロスのセリフに同意したが如何せん冷や汗が引いていない。

 

 オレは黒歌の頭にポンッと手を置いた。

 黒歌は不安そうな顔でオレを見る。

 その顔を見たオレは黒歌の頭をクシャクシャと無造作に撫で回した。

 

「い、いい、いい加減やめるにゃ!」

 

 気恥ずかしくなった黒歌は強引にオレの手を頭から引き剥がした。

 その顔にはもう、不安さは消えていた。しかし、若干の懸念は残っているようだった。

 

「昨日も言っただろう。お前ら姉妹の身の安全はオレが保証するって」

 

 変わらず、なんてことなさそうに言うロスに黒歌は謎の安心感に包まれた。

 

「────うん!」

 

 黒歌は柔らかくはにかんだ。

 無条件でロスの言葉を素直に信じることができたのは白音が昔のように安心し切った安らかな表情で眠っていたというのもあるからだ。

 そんな時だ。セラフォルーが思い出したようにロスのもとに来る。

 

「ねーねーロスくん! もしかして君は密偵? ロスくんが所属する勢力とか陣営は何処かな。神の子を見張る者? 魔法使い? あ、天界って可能性もあるか☆」

 

 セラフォルーは魔力を放出させてロスを威圧させる。

 その魔力の圧力に黒歌が当てられた。

 白音はロスが魔法で膜を作り、睡眠中の違和感を感じさせることは無かった。

 しかし、ならばなぜ黒歌にはやらなかったのかというと、できなかったと答える他ない。

 だから、黒歌の限界が来る前にロスはセラフォルーの質問に答えることにした。

 

「オレが密偵な訳が無い。それに所属してる勢力なんてものは無い」

「それを私が信じるとでも?」

 

 先程とはまったく違う雰囲気、まったく違うオーラにロスは感心していた。

 あ、公私の分別は付けられるんだな、と。

 

「しかし……証明できるものはなぁ……」

 

 困った。

 敵で無い証拠を提示することができない。

 

 そんな時……。

 

「きゅぴーん☆」

 

 大きな鎧が大ジャンプでこちらに着地してきた。

 大きな鎧を見たセラフォルーは一瞬驚いた表情を浮かべた。

 そしてセラフォルーは戸惑いながら大きな鎧に質問する。

 

「何か用事かな? 今とても大事な話をしてるんだけど☆」

「ふむ、そうだったのか? それは済まない事をした。しかし、こちらにもこちらなりに理由はある」

「……それは?」

 

 スゴい剣幕で話すセラフォルーとは真逆で大きい鎧を身にまとっている男はとても機械的に喋っている。

 

「それは────団長の指示だ」

 

 大きな鎧の男はしゅぴーん! と、変なポーズを取りながらセラフォルーの質問に答えた。

 そこで、ロスが「団長……?」と考えるような声を漏らす。

 その声に反応した大きな鎧の男はロスに視線を向ける。

 

「む、その骨格、声音、体臭……団長の言っていた通りだったな。お前はk…もごもご」

 

 ロスは慌ててとっさに大きな鎧の男の発言を止める。

 そしてこそこそと二人で内緒話をしてからロスは黒歌のもとへ戻り、白音を抱え直す。

 その自然な足運びに他のみんなは呆気に取られ、突っ込むことができなかったが……。

 

「魔力が高い……わたしの知る魔界でもここまでの人は少ない────あなたは誰?」

 

 ルキは大きな鎧の男に恐れ戦きながらも質問をぶつける。

 

「俺は、騎士団『七つの大罪』所属。 『色欲の罪(ゴート・シン)』ゴウセル。よろしく」

「な、七つの大罪!?」

 

 黒歌が驚愕した。

 しかし、そんな黒歌の心情など知らんとキュピーン☆とポーズを決めるゴウセルは話を進める。

 

「『詮索の光(サーチライト)』」

 

 ゴウセルはふむふむ、と頷く。

 

「なるほど、状況は読めた。そこの変な服装の魔王、セラフォルー・レヴィアタンがお前達の邪魔をしているということか。なら……」

 

 ゴウセルはどこからか一瞬で妖しい光を放つ弓を二対取り出した。

 

 ────神器『双弓ハーリット』

 

「『瘡蓋の記憶(リライト・ライト)』」

 

 弓から放たれた矢の形状の妖しい光はセラフォルーに命中した。

 セラフォルーは避けようとしたが、予想外のスピードだったらしく、簡単に矢に当たってしまったのだ。

 

「あ! 今日はソーナたんの誕生日だったじゃない!? 私としたことがなんで忘れていたのかしら! はやくサプライズパーティの準備をしなきゃ☆」

 

 セラフォルーはしまったー! と、蝙蝠の羽根を背中からバサッと出してすごい勢いで街の奥遠くまで飛んでいった。

 

「俺達は通行人A、通行人Bとセラフォルーとは無縁の他人という設定にしておいた。そしてついでに今日がアイツの妹の誕生日だったという設定にもしておいた。これでやつはしばらく俺達のことを忘れているだろう」

「相変わらずえげつねー能力……」

「しかし……」

「デメリットだろ? 時間制限。分かってるよ。だから速めに終わらそう」

「了解」

 

 ゴウセルはピンッ! と指先から光を飛ばし、ロスの頭に命中させた。

 黒歌とルキが心配そうな顔をロスに向けるが、ロスはゴウセルから目を離さない。

 ゴウセルは片手を頭にトンっ! と突きつけ、ハーリットをロスに向ける。

 

「『光矢伝達(ブロードキャスト)』」

 

 ハーリットから放たれた光の矢はロスの頭を貫通し、さらに黒歌、ルキにまで続けて貫通した。

 黒歌は何を! と抗議しようとした瞬間、情報が頭の中に流れ込んできて、抗議が不発に終わった。

 

「じゃあ、俺の役目は終わった。クr……了解。お前が復活したという旨を俺は団長に報告しなければならないからな」

 

 それだけ言い残し、ゴウセルは歩いて去っていった。

 

「さて、オレ達も先を急ごう」

「待って」

「どうした」

「ロス……伝説の騎士団『七つの大罪』と知り合いとか……あなた、一体何者なの……? それにさっきの魔王は、どうして……?」

 

 ロスは表情を変えずに一言。

 

「説明は後だ。さっきの魔王が戻ってくる前に、行くぞ」

 

 黒歌は別に疑っている訳では無い。それらはただの疑問だった。

 疑心は抱いていない。説明は後だ、と言ってくれたから。後でちゃんと説明してくれるのだろう。

 取り敢えず黒歌は無駄に完成度が高いムキムキ女性ボディビルダーの着ぐるみを脱いでロスについていった。

 

 




当面の目的は北欧を目指すこと。
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