ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
…なるへそ、こりゃ最悪だ。
こんなんじゃ疲れ果てるのも無理はない。
しかし、結局果てで真に求めたモノはあるか?
その先に休息はあると確信できるのかい?
俺の残滓が何を見せたのか、予想するのは簡単だった。
まったく気の毒にな。
いずれにせよ、また道をなぞる。
それ以外を俺は許さない。
最後に残ったモノを奪った奴を、俺は許さない
―――――――――………・・・
自分がつくった、まだ温かい死体と血塗れの両手を見て事実を確認する。
俺には以前の記憶がない、だがこれが初めての殺人だ…と。
「ッ………クソ」
落ち着かない。
激しい寒気が神経をゾクッとなぞる。
なぜだ…なぜだなぜだなんでなんでわからないなんでだよ。
気が付くと親指の爪をかじっていた。
どうやらイラつくと親指の爪を噛むのが俺の癖らしいが今はそれどころじゃない。
「そもそも正当防衛だ、なんも悪くねえ…」
そもそもなんだ?暫定悪人ぶっ殺したくらいでこんなに動転するか!?
可笑しいだろう!クソが!
もう考えても直面している現実に対する罵倒しか出てこない。
もうやめだやめ、そういえば何処からか水の音が聞こえる…川があるのかもしれない。
取り敢えず身体を洗い、頭を冷やそう。
この血液のべたつきが鬱陶しいことこの上ない。
~ ~ ~
音の方角へ行ってみれば、やはり川があった。
上流なのか流れが速く、少し冷たいそれが上半身の汚れを一気に洗い流した。
そして落ち着いた。
初めて人を殺した感想は?と聞かれれば、今ならコンマ数秒で最悪だと言える自信がある。
アレは悪夢だった…とにかく現状を優先する。
音をたどる途中、人に出会ったのだがその人の話を聞いて驚いた。
俺の現在地、白夜王国…
間違いねえ…それファイアーエムブレムIFのヤツだわ。
何故か自分の素性の記憶以外は綺麗に残っていたりする。
記憶喪失ってのは普通こういうモノなのか?
で、その人の話と自分の脳内に残るゲーム知識を照らし合わせた結果何だけれど、今は本編の10年以上前だと予測できた。
…まあ結局は平和に向かう世界だ、将来の心配が一つ消えたことで少し何かが和らいだ気がしたがそんな物はすぐに消えた。
もしもを考えてしまった。
というよりも…言葉にするなら目に見えないナニカに考えさせられたような気分だ。
ああ、そうだ。
もう一つの現状があった、こちらの方が重要だ。
俺の身体、明らかに異常だ。
数体の死体を生み出す結果になった先程の騒動。
元は武装したガラの悪い男たちが絡んできたことが始まりだった。
それで俺は自己防衛…そう、自己防衛で…
「クソ!クソクソクソ!―ッソが!」
なんで思い出すんだ!
とにかく、俺は誰かにナニカサレタヨウダ…
そもそもただの高校生の俺がナイフだか短剣だか、そんな小さな刃物(何故持っていたかは知らんが)で剣やら斧で武装したモリモリマッチョマン共を倒せるのが可笑しいんだよ!
それに受けた傷も何故か全く綺麗に治ってる!
更に…なんか脳内かなんかに張り付く謎のマップらしきもの!
「ハァ…ハァ…何なんだよ結局…クッソ…」
何かそんな設定があるゲームがいくつかあった。
…真っ先に思い出したのがアーマードコアだった。
そう言えば負債5万以上でクッソ狭いレーダーや構えなしでキャノンが撃てたりする特典がついてたな。
あーもー、滅茶苦茶だ。
疲れたから寝る。
…こんばんわ、知らない天井だ。
そもそも天井じゃなくって真っ暗な天空だ…スキルじゃなくって。
そして起床早々のバッドニュース、敵(多分)に囲まれた。
情報のソースは強化人間レーダーから。
さっきのゴロツキよりも格段に数が多い。
「…こんな短小じゃ身を守るのも無理があるか」
ナイフ1本でこの数を相手にしろって?バカ言え、そんなのダクソ世界を走る変態にやらせろ。
とにかくもっと武器として役立つモノを探そう。
「木の枝…中々長くて太いけど脆そうだ…丸太は腐ってる…また木の枝…木の枝…木の枝…グレートソード…きのえ………
は?」
もう一回
「木の枝、腐った丸太、木の枝 木の枝、木の枝、グレートソード………はい?」
色々と驚きたいがとにかく身の危険が迫っている。
ガッツプレイでも何でもいい…構えよう。
(おい待てよ…さっき殺しまくって酷い目あったのは誰だよ)
…そうだ、もうあの気分だけは勘弁だ。
(チッ…もう敵を人とは思わねえ…)
そうして戦闘になることを躊躇していたら俺を軸に囲む集団の輪郭が見えた。
巨体のソレは一瞬人にも見えたが人と言うには余りにも太く大きすぎた。
(そうか…ノスフェラトゥか。テメェの存在を忘れていたよ)
「死に続けて俺に詫びろ化物!」
◆ ◆ ◆
「片付いた…?」
身体と得物が異常なおかげで苦も無く倒せたがまだ残っているとレーダーが告げている。
…感じる。
後ろだ、後ろだ、後ろだ。
範囲に入ったらすぐぶっ殺してやる!
「うらあああああッ!」
「え?ちょっt…」
…え、人間?
ビビらせやがって、ふざけんなよ!
…
「…クソ!!クソ!
ああああああああチクショウ!何なんだこの嫌悪感は!
あああああああ!くそがあああああああ!がああああああ!ああああ、あああああああああ!うぜんだよおおお!うぜえんだよおおおおお!
クソ!クソ!クソ!クソクソクソクソクソクソ!
俺だけがこんな目に遭わなきゃいけない理由があんのかよ!
くそおおおおおおおお!
あああああ!あああああああああ!ああああ!あああああぁぁぁぁ!ぁぁぁ…ぁぁ…ぁぁぁ…ぁ…ぅぁ…ぅぅ…
誰か、助けてくれ…」
こんなの嫌だ。
俺は別に望んでこんなことになってるわけじゃ無いんだ。
こんな…行き場の無い怒り、よくわからない苛立ち…どうしろってんだよ。
ああクソ!クソ!クソ!
クソッタレがああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa…・・・・・
―――――――
ハッ、結局そうなったか。やっちまったな、草生える。
あんな状態で送り出すから…そういや今死んだ奴の名前ってアン…何だっけ?
とにかくこれで立派なクズ人間だな。
そんなに否定したいか?勝手にしろ、けれどそいつは覆らない。
ま、現実逃避のやり方だけ教えてやる。
それで無様に逃げ回りな。
休息なんて絶対に許さない
冗談抜きで精神的にヤバい奴、それがプロローグのマーシレスです。
旧プロローグとリメイクの設定的な関係性は
どちらかが『事実』
どちらかが『錯乱したマーシレスの滅茶苦茶な記憶』
となっております(どちらがどっちかは皆さまのお好きな様に…)
さて、次は1章序盤か…