ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
何なんだよ今日は…いくら不幸体質ったって……あんまりじゃねえか。
俺が何をしたって言うんだ、なんで俺の周りばっかりが…!!
やっと抜けた腕の拘束もまた復活して、今度は「此処で指を咥えて絶望してろ。あ、咥える指ねえわ」とでも言わんばかりに串刺しにしやがった。
「クソおおおおおおおおおおオオオオオオ!!!
抜けろ、抜けろオオオオオオオ!!クソ!クソ!クソ!クソ!ザケんなアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
…もう、腹くくるしかねえな。
「許せよ…
GAAAAAAAAAAAAAAAAAYYYYAAAAAAAAAAAAAッッッ!!!!」
ぼきゅ…って、本来なら鳴っちゃいけない音が鼓膜を劈く。
使えねえなら捨てる。
まずは両肩の骨を外してやった。
次は肉を千切る。
「UUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAARAAAAGYUUUUAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッッッ!!」
ぐちゃっ…どすっ…ぐりゅっ………やはり肉が抉れる音が煩い。
4割ほど千切れた所で止まった。
千切るのはここいらで限界、ならば切る。
ダガーを咥え、それを千切れかけた左腕に刺す――――――というか潰すように先端を叩きつけた。
「GYEE!GYAAAAAAA!GiY!GUAA!」
耳には自分の呻く声よりも、ぶちっ…びちっ…びりっ………と肉の裂ける音がよく響いていた。
とうとう左手が身体からオサラバした。
それを右手にも施し、遂に両腕のないスマートな身体になった。
痛み?そんなもん何処かに捨てられたよ。
気が付けば怪物共は10mほどにまで迫っていた。
2度も奪われたんだ…3度目はねえよ!
「…aaa、aaAAA、AAAAAAッ!」
…クソ、奴らに挑発の一つでも言ってやりたいがあんまりキレたモンで言葉が全部うめき声に代わっちまう。
これじゃあ気合入んないが…気にしてる場合じゃねえや。
もう一度、しっかりとダガーを噛み締め力なく横たわるベルカの隣に立った。
来やがれ…大量出血で死ぬ前にお前らを全滅させてヤんよ。
「GYAAWEEEEE…YAAAAAAAAAAAIAAAAAAAAAAA!…SYAAAAAAAAAAAAA!
AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!」
最後に、腕の無くなったことで崩れそうだった身体のバランスを強引に整えるための咆哮が、開戦ののろしとなった。
とにかく、身体を滅茶苦茶に動かした。
噛みしめたダガーを化物の脳天に突き立て、脚で踏み潰し、背中でどつき飛ばし…訳が分からなくなる程我武者羅に暴れた。
その度に化物の骨やら牙やら何やらが食い込む。
どうでもいいけど。
普段だったらこの雪崩の様な群れ、生き物と戦っている気がしなくなりそうだ…普段ならな。
今ぁ?知ったこっちゃない。
なんだっていい。俺達さえ無事なら全部滅んだっていい。
というかその程度の代償でベルカが救えるってなら安すぎる。
…なんてお買い得なんだろうって叫んでやる。
もう火継ぎも闇の時代もハッピーエンドも御免だ、そんなもんの為に俺らが貧乏くじ引かされてるのはもう我慢ならん。
足に奴らの触手が巻き付いた。
それで硬直した瞬間に背後からタックルをかまされ、思わずダガーを吐き出した。
「AAAAAAGGAAAAA!WOOOOOOOOOOO!」
これだから軟体動物は嫌いだ。
足に汚いモンを巻き付けたクソをそのまま引きずりまわし、あらゆる方向に振り回してついでに他の奴も片付けた。
ある程度振り終わったらただの肉塊になってた。
後ろから大ジャンプで砲弾の様に飛んできた奴も、首に噛みついて勢いでジャイアントスイング。適当な方向に投げ飛ばした。
真正面から堂々と突撃してきた大型個体は全身を使ってのタックルを繰り返し、倒れたら顔面を食いちぎった。
口内の血の味も何時しか気にならなくなっていた。
まだだまだやれる、俺はやれるようだ、もう全て滅茶苦茶になってしまえ、俺達はそのカオスの上で生き残ってやる。
突然、身体中の力が一気に抜ける。
ああ…此処までか。
と、諦めようとした時にベルカの姿が目に映った。
やはり立たなくては…どんなに間抜けな姿や醜悪な姿でも、とにかく護れ、護り通して見せろマーシレス。
「aaa…gaaaaaaa…
GYA!?」
突然、身体中が鋭利な何かを貫いた。
その痛みがトドメとなり、遂に倒れた。
…なんて屈辱だ。
意識はとてもゆっくりと消えていく。
全く動けやしない。
消えゆく意識の中、ベルカが怪物に姦されていく姿を只々眺め、己の非力さを涙と共に呪った。
覚醒は突然だった。
目の前には怪物を固めたような肉の山。
そうだ、そこにまだベルカが居る。
「…gyaaaaaaaAAAAAAAA、
RAAAAAAAAAAAAAAAYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAッ!!!!」
今度こそ、化物に噛みついて山から一枚一枚引きはがした。
まだだ、まだだ、まだ終わらん。
奪われてばかりでいると思うな、クソ野郎!
テメエはどうやら俺を引っ張り回したいみたいだが、もうそろそろテメエに抗ってやるよ!
「GAAA…ど、け…ッ!じゃmぁ、だッ!」
テメェもだ!
お前が気まぐれで運命選ぼうが何だっていい!だがその度にお前に向ける牙が増えていくと思え!
テメーがクソッタレた道筋を作り続ける度に、あらゆる物を俺の様に失っていくと覚悟する事だな!
「…ッ!い、た…ッ!いま、たす…ッけ」
左手が見えた。
その指にはネコをかたどった指輪が。
しかしその手を握ってやれる手を、自分は持ち合わせていない。
「ごm、ぇん…」
その手首を咥え、思いっ切り引っ張った。
案外楽に抜けたのが幸いだった。
引きずり出したベルカをどうにか背負い、その場から全速力で逃げた。
ああ、よかった…わずかだが脈を感じる。
よかった…よかった…よか…
でもまだだ!
奴等はもう追い付いてしまう…もっと、もっと速く!
身体中の痛みを超えてでも、何処までも走り続けなくては…
◇ ■ ◇
どれだけ走っただろう?
いつの間にか祭壇の様な場所に居た。
背負った彼女を、棍棒と鎌の様な両手を使って降ろした。
…え?
両手?なくなったはずでは?
と、咄嗟にソレへ目をやるが確かに棍棒と鎌の様な腕が付いている。
それだけじゃない、身体中がグリグリと捏ねられているような感覚もある。
「なに…が…」
胸あたりを見ると、何か炎の様なモノが揺らめいていた。
…ソウル?何の??
揺らめくそれは、意識してみればそこから痛みを発しているのに気づいた。
何か、鏡の様なモノを…!
近くに結晶があった。
そこに映る自分の姿が、一時信じられなかった。
「あたま…みっつ…?」
汝、握った断頭斧の責を持たれよ。