ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
圧倒的じゃないか。
マーシレスがデーモンと血塗れの激闘を繰り広げているその頃。
カムイ達はブロック状の橋を渡り、透魔竜ハイドラの待つ透魔城へと行脚を続けていた。
一行はマーシレスというあまりに大きな力の一端を失った事で大小様々な不安を抱えていた。
とりわけ彼女――――スミカの心情はあまりに複雑であろう。
「…」
「スミカの奴、あれから元気ねえなぁ…」
「仕方ねえだろグレイ。親父が…その、アレなんだからさ」
「最初は誤魔化してるだけかと思ったが、あらマジらしいな」
「元からそんな一面あったけどさ…」
「それ以前にあの高さから落ちて生きてるのか?」
「生きてたって言われても流せる自信があるぜ…」
一瞬、水面が揺れたような気がした。
「ねえ、カムイ」
「何だい?アクア…」
「さっきから見られている気がするのだけれど…」
「…実は僕もなんだ。
一体どこから…」
カムイ達は気が付かない、水面から大きな影が姿を現した。
…巨大な頭部に一つの目。そして熊のぬいぐるみのような身体の甲冑。
その爪のある右手を長く伸ばし、背後からカムイの心臓を狙う。
静かに、一切の物音を立てず爪の狙いを澄ます。
巨体からは想像もできない隠密だ。
カムイが動きを止めた。
“今だッ!”と、甲冑は爪に力を込めた。
…その時の音で、カムイは振り返った。
気配を感じ、神経を研ぎ澄ましていた彼は死角からの一撃を未然に防ぐ事に成功したのだ。
遅れて他の皆が甲冑に視線を向けた。
「…ッ!これは!」
「なんだあの鎧、戦う気あるのかい?」
「アクア、透魔王国にはあんなものがあるのか!?」
「そんなはずないわ…私も初めて見た」
甲冑は暗殺失敗を悟り、一目散に逃げた。
しかしその動きはよちよちしていて、あまりに…その、なんというか、アレだ、シュールであった。当然遅い。
「逃げられると思うな………ッ!!」
タクミが風神弓を引いた瞬間、何かが降り注いだ。
それは青白い閃光、ソウルの矢の群れだった。
「これは、スミカの…」
「いいや違う!スミカはまだ何もしていない!」
「ではこれは一体…」
突然の奇襲に甲冑を逃がしてしまう一行。
その頭上には新たな甲冑達が接近していた。
先程よりもスリムな見た目。緑色の身体に光るモノアイ、肩にはトゲのある肩当てとL字の盾。
手には赤熱する斧を持つ個体もいれば、奇妙な鉄塊を持つ個体まで千差万別。
「な、新手か!」
「さっきより多い!
例の魔法を飛ばしてくる奴も居る!」
一行は奇襲を喰らい陣形を崩す。
しかし彼ら彼女らは個々が優秀な精鋭ぞろいの一団、数だけの雑兵如きに後れは取らなかった。
「案外弱いぞ!こいつら!」
「ああ!これで20体目!次!」
されど数だけは以上に多い。
斬っても殴っても貫いても、まだまだ多くいる。
本当に数だけは多い。
さらに追い打ちとして増援が現れた。
今度は青い身体に砲筒の様な指の左手、その腕には大型の盾。
右手には大型の赤熱したブレードを持っていた。
「なんだ!また新しいのが来た!」
「気を付けろ!緑とは違うぞ、緑とは!」
青色は左指からソウルの矢を高速で発射し、カムイ達をけん制する。
その射程は緑の謎の鉄塊よりも短いものの、近接戦闘の愚ともいえる「一瞬の無駄」を廃するほどのアドバンテージを秘めている…大型の盾とブレードとも相まって、青色は白兵戦特化とも言えよう。
「ああもう!どんだけいるんだよ!」
「リョウマ兄さん!そんな突撃してはダメだ!」
「何を言っているカムイ!俺はここだ!」
「え!?じゃああの赤い鎧は…ッ!!!???」
カムイが気が付いた時には遅かった。
赤い甲冑は緑色と姿形は体色以外変わらないが、その動きは約3倍ともいえる驚異的な速度をたたき出していた。
そんな速度でカムイに迫り、そして勢いのまま飛び蹴りを放った赤色。
鳩尾に足がねじ込まれ、カムイは後ろに大きく吹っ飛ばされた。
「がッ!ぐはぁあッ!!?」
「カムイ!貴様ぁ!」
赤と赤が、刃を交えた。
武士道と彗星の激突…誰が夢見たことか。おっと、今は関係ない話だ。
電撃を熱が互いにスパークし、とてつもない花火を生む。
何度か互いの体を得物が掠めても、薄手にもならない紙一重の戦い。
あらゆる速度がものを言う、エース同士の戦い。
1mにも満たぬような間合いで、一瞬の無駄を見せれば即斬。
互いの額には、閃光が奔っていた。
◆ ◆ ◆
ところ変わって第二王女2人。
彼女らも互いの臣下と共に、覚えたての戦い方で持ちこたえていた。
「ああ!まだ出てくるの~!!」
「はい…これ以上は――――――きゃッ!!」
「サクラ!」
「サクラ様!
やばいわ、ツバキ!戻るわよ!」
「はーい!」
「どういう事だ!この鎧達急に空中分解したぞ!」
「不幸が移ったのかしら?」
何故かありもしない整備不良がハロルドの不幸で生み出されたようだ。
幼い彼女らも、重力戦線の下で武器を持てば立派な兵士だ。
そんな中サクラが不意の攻撃に躓き、倒れた先に見たのは白く光るナニカ。
それをよく見れば文字の様にも思え、しかしその形は彼女にとって未知のモノであった。
しかし何を思ったか、彼女はその白い文字に手を伸ばす。
――――――何かが問いかける。【召喚しますか】
――――――サクラは迷わず答えた。【はい】
彼女は後にこう語った。
…今思えば、何故迷わずに『はい』と答えられたのか分からない。
けれど、こうすれば皆助かると感じた。
ただ、戦況が少し良くなったのは事実だ。
…文字は消え、代わりに文字と同じ色の人型が出てきた。
『…宿主よ、よくぞ我らを召喚した』
『サーヴァント・オニオン、召喚に応じ参上した』
『ようやっ出番かい、遅いのう』
『一つのサインで全員同時召喚か。よくやった、隠れ家の鍵をファロスに作らせたドジは挽回だ』
『まだ言うのかソレ』
――――――Bに続く――――――
驚愕の事実!シースはジオン驚異のメカニズムを採用していた!?
これにはザビ家の皆もニッコリ!
そしてホントに久しぶりの(元)闇霊たち。
ええと…使って、おk?