ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
“答え”の残骸は、支配者の意思が抜け、抜き身の“魔剣”と化した。
そこに、一つの肥えた邪竜の意思が入る。
魔剣はその花弁をもう一度開き、殺人花と化した
ドッゴーラを落として安心したのも束の間、突如爆炎が吹きあがり轟音が辺りを包む!
『爆炎…?敵はシース製の武器だけを使ってるわけじゃないのか!?』
「この攻撃…七重の塔の…!!」
『おい!第二射くるぞ――――――!!』
上級騎士白が警告を言いかけた途端、2回目の爆風にかき消された。
「白騎士さん!?」
『奴の心配はするな!ああ見えて結構タフだ!
それに我らは今死んでも問題ない』
「…訳ありのようだが、それどころではないな。
どうする?私の天馬なら軽装備3人くらいは行けるが…」
『空はダメだ、障害物が無いから帰って狙い撃ちにされる。
地面の起伏や民家の残骸を盾に、どうにかして敵の位置を割り出す他ない』
元ハベルの提案に、ヒノカは疑問をぶつける。
「しかしあの威力だ、壁や砂山程度貫通しそうだ…」
『バレなければ我々を撃ちようもない。
天馬は待機させろ、正直足手まといだ』
「あ、ああ…」
かくして、3人の隠密行動が始まった…
◆ ◆ ◆
…その頃吹っ飛ばされた上級白は。
『ぐ、ぬぬぬ…なんじゃいあの爆発。ハベル盾がなかったら死んどった…
で、何処ぞ?ここ…えらく近代的じゃが…』
◆ ◆ ◆
◆ ◆ ◆
所変わりカムイら数人。
彼、彼女らの傍には、布一枚の…最早私服と評しても何ら可笑しくない薄布を纏った双剣双槍の白。
『ああもう!一年戦争からザンスカールの時代まで!モビルスーツ博物館開けるわボケェ!』
「あの白い彼…どっかの誰かさんと同じ匂いがするわね…」
「もしやマーシレスの故郷って、あんなのばっかりなのかな?」
とんでもない風評被害である。
この白霊は前回、他の者達と共に侵入したのだが、思わぬアクシデントに見舞われご退場を余儀なくされた悲しき不死である。
しかし、それなりの…最低限の技術を持っているのも事実。
敵の
紙装甲とてやられるだけが能ではない!
平凡だが無抵抗にあらず、曲がりなりにも巡礼者なのだ!
『にしても向こうはシューティングソウルですかねー!拳でしろオラ!」
「やっぱり同類よ、アレ」
「そういう人種なのでしょうか?マーシレスさんといい」
「今は…戦いに集中しよう…」
『アッハハハハ!けど所詮は量産機!場数がちがわい!
俺を倒せる奴はいねえのか!』
…と、かの地では成し得なかった完璧無双状態になった技量バカ。
果たして、この勢いがどこまで続くのか…
――――――と、その時だった。
現れたのは緑の四葉、王位の名を持つニュータイプ専用機。
地球を核の冬から救った英雄の機体をも上回るジェネレーター出力を持つその名は…
『クシャトリヤ…あ、待って、NT機はちょっと。反応速度的な問題で』
現時点を持って、技量バカ無双終了を告げるッ!
◆ ◆ ◆
視点は戻り、元ハベルとモズメとヒノカ。
謎の砲撃から身を隠しつつ、音の出所や着弾地点から砲手の場所を割り出していた。
廃墟から廃墟へ、大岩から大岩へと、静かにそして素早く飛び移るの繰り返し。
「…あんまり隠れられてる気がせえへんわ」
「同感だ。何となく待ち伏せられている気がする…」
『しかしまあ…機械人形がそんな回りくどい方法を取るかな。場所が分かっているなら、あの貫通力で先手を打てるだろう…』
「それもそうだな…」
「せやったらええんやけど…」
何十もの物陰を飛んだ時、それは見えた。
『二人とも、息を潜めろ…』
((あれは…))
そこにあったのは、巨大な戦車…というか、戦車に人の上半身に見える何かが砲塔付きでくっ付いてる代物だった。
そして、もうお決まりなのか顔にあたる部分には、赤く光るモノアイ。
『ヒルドルブ…何故あれだけ実物サイズなんだ…』
「実物…?どういう事だ?」
『さっきから戦ってるあの人形共、本当は20m前後あるモノを人間サイズにまで小さくしたモノだ。本来は人間が乗る兵器であってな…』
「…アレなら乗れそうやな、人」
ほとんどが人間サイズのパチモンである中、ヒルドルブのみが実物だという…(もし本物だとして)一体どこから来たのか…等々、疑問が尽きないがそれどころではない。
「あんな鉄の化物、どうやって倒す?」
『…間違いなく剣や槍では力不足だな』
「火炎壺でボンッとやれないんか?」
…なんだかモズメの発言が少々物騒だが気にしてはいけない。
原作とは違うのだよ原作とは。
『無理だ、装甲を飛ばせる火薬じゃない』
「それでは…お前が先ほど投げていた雷は…」
元ハベルはその言葉を「名案だ」と言いたげに振り向こうとするが、しかしまた考え込む動作に戻った。
『確かに…当てれば機能は一時的にも停止するかもしれないが………この距離ではな…』
彼は自身の腕前を懸念する。
スペルは数日前に使い始めたばかりで、近接での命中率はともかくノーロックなど理力白じゃあるまいし、期待出来るほどではないのだ。
下手に飛び出して太陽槍を投げようものなら、それよりも早く主砲が炸裂する。
尚、件の理力白は現在、奔流でロリバスしてたりする。
「なるほど、近づければいいんだな…。
私の天馬ならば素早くできる」
『しかしそれでは…撃ち落とされるだけで…』
「安心してくれ、そんなヤワな飛行はさせない」
「そんなに心配やったら、あたいが陽動するで」
『なッ!?無茶な事を「さ、決まりや。行くで!!!」お、おい!!』
否応なしに事は進められ、元ハベルは無理矢理天馬に乗せられた。
ソレが飛び立つより早く、モズメは物陰から走り出してヒルドルブの視線を誘導する。
彼女の後ろに遅れて発生する砂柱。
旋回性能が、彼女の俊足に追いつけていないのだ…!
ヒルドルブは主砲は通用しないと判断し、両手のマシンガンを掃射するがその前に岩陰に飛び込まれてしまう。
飛び込んだ反対側に照準を合わせるが、予想外に飛び込んだ方角からモズメが飛び出した。
再度銃口を向ける――――――前に、モズメはヒルドルブに急接近し、モノアイに火炎瓶を投げつけた!
おそらくはカメラが焼き付いたのだろう…ショベル・アームユニットを我武者羅にぶん回した。
『想像以上だ…私らの業界でも十分――――――いいや、トップクラスだ』
「だろうな…!この前、手合せしたが負けるかと思ったぞ」
『もうアイツだけでいいんじゃないか…?』
しかし、これほどにヒルドルブを翻弄してるモズメも、決着の為の手段を持ち合わせていないのも事実。
結局のところ、元ハベルの太陽槍で沈黙させる他ないのだ。
「近いぞ、準備しろ!」
『言われなくとも…!!!』
モズメが引き付けてくれていたおかげで、苦も無くほぼ一直線に近づけた。
そしてヒルドルブの真上に到達したのを確認すると、すぐさま元ハベルが天馬を飛び降り、奇跡を詠唱した。
右手の聖鈴が、徐々に帯電していく…。
その金色の細かな電子達が、1本の大きな雷槍を作り上げる!
その様子はまるで、雷神たちの祝福ッ!!
兵を、兵の闘士を祝福するような怒りの雷撃ッ!!
『砲撃のお返しだ!』
一瞬だけ、全身を烈しく揺るがすような爆音が轟いた。
何かを――――――命を、一瞬で蒸発させるような、より殺人的な爆発音。
神々しい光を伴いながら、死神の鎌の様な寒気のする一撃。
“ソレ”が、何処で放たれたのだろう…
いいや、音の根源を辿れば分かること。
そも、我らは辿るまでもなくその場所を知っている… 既にッ!
『ハァ…ハァ…思わず…3度詠唱してしまった…』
爆音の正体は、落下時間を使い詠唱を三段重ねした【太陽の光の槍】だった。
火力はでるだろうが、しかしスタミナもその分だけ多く消費する。
加えて、着弾の衝撃ではるか遠くに吹っ飛ばされ、背中を強打した。
『少し…疲れた…休ませて、貰うぞ…』
元ハベルは横になりながら、沈黙したヒルドルブを見る。
―――――――――――――――――――――いや、本当に沈黙していてば良かった…
再度、モノアイに光が灯る。
オマケに背後から多くのヅダの群れ。(こちらは人間サイズだが…)
『冗談じゃ…フリーデも、デーモンの王子もこんなに酷い追い打ちはしなかったぞ…』
その絶望を見上げながら、驚愕と諦観を心の内で混ぜ合わせる。
この距離では、十分に離れられていない。間違いなく奴の射程範囲内だ。
「おい!しっかりしろ――――――ッ!!」
何かの影が、太陽を遮った。
そのシルエットは全体的に四角く、そしてヒルドルブと同じ様に巨砲と無限軌道があり、そして太く短い“手”があった。
その手から吐き出された弾丸と火炎が、そして側面から打ち出されたミサイルが、周囲のヅダを薙ぎ払った…!
“ソレ”の巨砲は、ヒルドルブを狙う。
しかしそれはヒルドルブも同じ、自身の砲で“ソレ”――――――【陸戦強襲型ガンタンク】へ照準を合わせている!
向かい合う砲身、鉛と火薬のお見合い。
――――――砲撃は、同時だった。
片や左のキャタピラーをすっ飛ばされ、片やモノアイごと頭を消し飛ばされた。
決着は、たった一発で着いた。
勝利者のガンタンクは左にバランスを崩す。
ハッチが開き、出てきたのは上級騎士白だった。
『お前かよ…』
『なんじゃい、アリーヌじゃなくて不満か?』
『いや…一発ありゃ十分だったな、と』
『当たり前ぞ』
◆ ◆ ◆
『ぶっ壊れたクローンが!俺が…貴様ごときに…!!』
技量バカは幾多のファンネルに袋叩きにされ、秒で消滅した。
その様子を見ていたカムイは、オールレンジの容赦ない波状攻撃に戦慄する。
360度全方位から無数の結晶槍が飛んでくる地獄…(とはいえそれは別の時間軸で彼らは経験したのだが…)
「どうやって避けろっての、あんな攻撃…ッ!」
「次は僕達のようだ………来るッ!」
遂にカムイ達をオールレンジ攻撃が襲った。
何処を見回しても青白い閃光。
反撃の余地などない、回避だけで精一杯。
「そこッ…!」
アクアが松の木でファンネルの一機を破壊したが、それでも残り23機。
サイコミュで機敏に動くソレを倒しきるには多すぎる数だ。
地を飛び跳ね転がり走り回る様は、ファンネルを除いてみたら滑稽で間抜けな姿でしかないだろう。
そんな様子を見下すクシャトリヤだったが、突然何かを感じ取ったように明後日を見る。
何も無いはずの虚空…その先を見つめ、飛び去ったのだ。
それに伴い、ファンネルの攻撃も共に消える。
「攻撃が…止んだ…?――――――ッッ!?」
カムイがその静けさを訝しく思った瞬間だった。
邪悪な気配が、全身の神経を逆撫でするように奔る。
彼は咄嗟に身構えた。
何かがくる…何かが…とてつもなく強大な何か…
まさかハイドラ…?
だが何故ここまで出向く必要が…
思考を巡らす途中で、強大な何かの正体を理解した。
空に浮かぶ巨大な、崩れ行く“傘、あるいは花”だった。
◆ ◆ ◆
『何だァ?何か死にかけのメカが出てきたぞ…?』
『油断するな、ああいうヤツは大抵ロクなモノじゃない』
『そうだけど…なんかでっけぇ花みたいでヘンテコだな…』
『鏡見ろ鏡』
タマネギと理力白は、崩れ行くソレを(多少警戒しながら)観察していた。
その周囲にはMSモドキの残骸が散らばり、小さな山の様になっていた。
そんな即席の高台は、遠くを見るのにちょうどよかった。
―――――――――――――――――――――
もしかすると前座で気付いている人もいるかもしれないが、この傘あるいは花の様な機械は、とある世界で【アンサラー】と呼ばれた超大型兵器だ。
“企業連”と呼ばれる支配機構の答えとも呼ばれ、ソレが稼働するだけで発生する超高濃度汚染は空へ逃げ去った企業連達の、「もう地上に用はない」という答えの表れなのだろう…。
―――――――――――――――――――――
そんな超兵器が、自分から崩れた残骸を地上に落としながら、その形を変えていく。
――――――壊れてゆくのではなく、形を変形させているのだ。
その僅かな異変に気が付いた者は少なからずいた。
壊れかけの様でも、よく見れば「脱皮」の様にも感じれる。
『…なんか、変化してねえか?』
『そうだな…だが、一体…』
『こんなタイミングだ、何かのMAの途中経過か何かじゃねえか?』
『しかし、あんな形のMAは覚えが…』
「あ、白い人たちだ!」
悩む白霊二人の後ろから、エリーゼとサクラが現れた。
『む、召喚主か…』
『二人共あぶねーぞ、此処は離れてたほうが――――――「タマネギさん!後ろ!」え?』
急遽、崩れ行くソレが黒いナニカを吸引した。
ある程度吸った所で溜まりきった動作を見せ、その反動で黒い炎を伴いながら大爆発を起こすッ!
その衝撃は戦闘領域全てを包み込むように広がる。
人間も、MSモドキたちも等しく動きを封じられた。
『な、なんなんだ!…ぬをッ!?破片が!』
『うわぁ!?アッシマー(の残骸)が!?』
「「きゃあっ!」」
突然の暴風にエリーゼとサクラはスカートを抑え、理力白は飛来したグフの頭によろめき、タマネギはMA状態のアッシマーの残骸にブッ飛ばされた。
しかしそれは前触れでしかない。
ソレは更なる変化を見せていた。
最早、傘だとか花だとかそんな曖昧な姿ではない…完全な、完璧な
『嘘だろ…奴ら正気か――――――!?』
ラフレシアの花弁より伸びた触手が、理力白たちを襲う!
その先端は、一本一本にチェーンソーやビーム砲が取り付けられた殺意の表れで、直撃などすれば即死は免れないだろう。
凶悪な一撃を、彼は背後の二人を抱えながら飛び退き避ける。
理力白の背中で残骸の斜面を滑り、土の地面へと突っ込んだ。
『ぐう…冗談じゃない、どう倒せというのだ…!!』
「魔法使いさん!」
「い、今治療します…!」
『我々にソレを使うのは無駄だ!別の誰かに使え!
…流石にあんな高く飛ばれては奔流も届かんぞ…』
エストを飲み込みながら、どうにか策を練る理力白。
しかし敵は容赦しない…触手の更なる攻撃が彼らに迫る…ッ!
『あぶねえ!さっさと立ちやがrぶごぅうッ!?』
復帰したタマネギが、触手と理力白たちの間に割り込み、ツヴァイをガードの形に構えて立ちふさがるが、触手はツヴァイのガードを綺麗にすり抜けタマネギの鳩尾に直撃した。
『あのバカが…!』
「た、タマネギさん!」
『畜生…だが、流石カタリナなんともないぜ…!』
「思いっ切り傷ついてるよぉ!」
『なぁーに、軽傷よ軽傷』
『その程度で済んだならさっさとアレを落とせ』
『無茶言うなアホ、近接でどうしろと』
ごもっともである。
だが、そんな無茶を言ったり実行したりしてでも切り抜けられるか分からぬ事態なのだ。
ラフレシアは各地に触手攻撃を無差別に加え、その奥から増援としてバグも出現した。
奴は…奴らは、人口の9割を死滅させる気だ。
◆ ◆ ◆
ラフレシアとバグは無差別攻撃を開始した。
誰もが等しくビームの雨にさらされ、チェーンソーで少なからず傷を負う。
カムイ一行に死者が出ていないのが奇跡だ。
恐怖、それがこの戦場をかき乱す物質だ。
その前には、機械であるMSモドキすら恐れおののいている。
バグとラフレシアの猛攻をかいくぐりながら、MSモドキが恐怖の内に死んでいく様な光景をカムイ達は目撃する。
「あの人形さん達…こわがってるみたいです…」
「…」
機械たちが、ブースターを燃やし、その脚で駈けり、得物を振り回しながら恐怖におびえている。まるで魂が恐怖…いいや、争いの恐怖を覚えているように見えた。
その様は…本当に、
(人間と何も変わらないじゃないか…)
…そう、「人間臭い」。
目の前で、一機のザクがブースターに不調を起こし地面に顔から大激突した。
それと同時に、数体のバグがザク――――――彼を狙っていたのだ。
ザクは最後のあがきでマシンガンをバラまくが、早くも寿命が来てしまった。
残るはヒートホークのみ。
恐怖に錯乱したのか、ソレを滅茶苦茶に振り回す。
最早、機械がとる行動ではない。
――――――誰もが繰り返す戦争に疲れ果てていたのだ。
あの蝶々が全てを終わらせるまで続いた幾多の戦争に。
バグの一体がヒートホークを持つ手を切断し、もう一体が(コックピットのある)胴体目掛けて飛び込む。
――――――ザクの内部で、誰かの悲鳴が聞こえた…
カムイはバグを夜刀神で両断した。
ザクを助けたのだ…もしかするとザクの内側にいる誰かの声が聞こえたのだろうか、そもそも彼が元よりお人よしな性格だったからか…しかし、助けたという事実があるのだ。
しかし現実は彼を苦しめ続ける。
ラフレシアの触手が、ビーム砲でザクを消し飛ばしたのだ。
「…そん、な」
――――――だれも、救えないのか?
クリムゾンも…マーシレスも…そして…
…何かが、カムイの腕を掴む。
暗くて、陰湿で、引っ張るような力。
「折れてしまえばいい」…そう囁く悪霊たち。
「抗うだけ無駄だぜ」…諦めを進める弱々しい霊。
――――――どうせ人が歴史を作り続けてもこんな悲しみばかり生むんだ。
――――――何もかわらない、繰り返すだけだよ。
カムイを絶望へと押し込む死霊たち。
先に見えるのは、楽園の幻想。
いいや、楽園に見えるおぞましき何か。それがカムイの一歩先にあった。
…どうするんだ?
…お前は選べるぜ
このまま無様に抵抗して苦しんで野垂死にするか、一瞬で蒸発して楽になるか。
…ほら、よぉくみろ、あるじゃないか。
「YES」と「NO」が。
(僕は…)
嘗て、これに似たような選択を迫られた時があった。
それこそ、この度の始発駅だった。
(そうだ、あの選択があったから…真の敵を知ることができた。暗夜と白夜が手を組んだ。そして…)
そうだ、全て「3つ目の選択肢」を選んだから。
…そんな選択肢、見つける前に果てるぜ。
…ってか、そんな物あったって何の意味もない。
…お前も、薄々気が付いてるんだろ?たった一人の自己中野郎のせいで地獄が繰り返してるって。
…どーせ、存在するだけして消えてく無駄なモンばっかりの世界だぜ?
(それでも…)
「それでも…ッ!!!」
絶望が絡みつく中、温かい何かがカムイの腕を動かした。
その熱は、周りの絶望を好き飛ばす。
そして、彼の手に何かを握らせた。
「諦めるな」…そう告げるように。
その手には、竜石が握られていた。
温かな光を放つ、奥の手が。
僕…行くよ…
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
~BGM・UNICORN~
突然ラフレシアの虐殺を止めたのは、それと同等に…いいや、それ以上に巨大な竜だった。
いいや、実体ではない…何かのエネルギーが竜の形をした…そんな物だ。
腕でラフレシアの花弁を掴む。
ラフレシアもその存在を重く見て、あちこちに伸ばした触手をこの竜に集中させた。
しかし竜は、それを物ともせずラフレシアに掴みかかる。
巨大な植物と巨大な竜の激戦…まるで創作物の世界のようだと、その場の皆が感じた。
突如、ラフレシアが黒い瘴気を爆発させ、出力を一機に上げる。
竜は奇襲で優位に立てていたが、突然相手の力の上昇で少しずつ押され始める。
しかし、数分と待たずしてまた押し返した。
…彼の力だけではない………他の、幾多もの力が…
それを見ていたものはこう告げる。
「人形(MS)が、あの竜に加勢した」…と。
“温かな光”に包まれた彼らは、ブースターやジェネレーターの限界など超えてラフレシアに取り付き不思議な力で押し返しているのだ。
だがその力はいくら集めても強大な2体には及ばず、弱小とも評すべきものだった。
少しづつラフレシアの瘴気に負けて大破する者も居た。しかし…
“この世界が駄目になるかならないかなんだ!”
“やってみる価値ありますぜ!”
“あの悲劇を…あの絶望を…俺は…!俺は!”
“もう一度、力を貸してくれ!”
彼らは、自身の身体が崩壊することも厭わずに竜を…カムイを支援した。
その意思に応えるように、カムイが吠える。
元の細く繊細さを感じる手足ではなく、太く力強さを感じさせる…「王」と表すべき手足と力でラフレシアの瘴気を押し返す。
その光は、徐々に強さを増す。
一機、また一機とMSが集まる度、絆が彼の力の源だと表現するように…
そしてついに、光がラフレシアを包んだ。
周囲を…いいや、世界そのもの、そして未来を照らす眩い光。
一瞬だけ…ほんの一瞬だけだったが。
それでも、その一瞬だけ…
気が付くと、ラフレシアも竜も、MSも消えていた。
◆ ◆ ◆ ◆
『何処までやる気なんだ…』
『だが…まあ………』
『言葉にしなくてもいい。皆、同じ気持ちだろうさ』
『そげんこっより主ら、もう時間じゃ』
『あらら…なんか心残りがあるが…』
人知れず、白霊たちは使命を果たし帰っていった。
あれ?最終回?
取り敢えず…おくれてすみませええええええん!