ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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タイトルで察した?
…まあ、楽しみにしていて下さい。


誰が知っている?

デカい…デカすぎる。

いくら何でも規格外だ、背中に大勢乗れる程とは知っていたが、それでもデッサンが狂ったとしか思えねえ。

 

 

こんなのが通る所全てを破壊しに来るんだ…そりゃ絶望と謳われるのも頷ける。

 

 

奴…ギムレーを良く知る3人はただ、驚いていた。

 

「ウソでしょ…!あの時、皆で倒したハズじゃない!」

 

「そうだぜ…俺も消滅したのをしっかり見たんだ!」

 

「あり得ない…こんな…嘘だ!」

 

それぞれが思い思いの感情をぶちまけていた。

無理もねえ。苦労と犠牲がすべて泡になったんだから…

 

(ホント、冗談じゃねえよ…どう見たって強化されてるじゃねえか!)

 

 

 

 

怯えるしかない俺達を笑うように、ギムレーが雄叫びを挙げた。

…心なしか本当に高笑いの声にも聞こえる。

 

 

 

 

「カムイ…」

 

「分かってる!

全員逃げろ!逃げるんだ!」

 

カムイが全力で指示を出し、それに応えて皆ギムレーから遠ざかっていく。

 

 

――――――奴はソレをただ、見つめている。

 

 

(俺達の哀れさを蔑んでやがるのか…クッソォ!)

 

俺の剣だって、アレは流石に無理だ。

そもそも闇に闇ぶつけても効果薄いだろうし、そもそも唯一の手段であるファルシオンもココにはない。

 

ってか、あったとしても効くようには見えない。

 

 

だから、ただただ走って、逃げた。

逃げて逃げて、逃げまくった。

 

ただ、次はぶっ殺してやると思いながら、ずっと逃げた。

 

 

 

 

響く、唸り声。

そして、巨大なモノが動く轟音。

 

 

それが気になって、振り返った。

…奴は上を向く顔を、下に向けようとしていた。

 

斜め下とか、やや下向きとかじゃなくって、マジで垂直に下を向く。

 

――――――そしてゆっくりと、その口を開いた。

 

 

おいおい…そういうのはやめろよ。

テメエみてえな怪物に限って、そんなのは本当にシャレにならねえ…

 

 

 

ギムレーの口は少し少しと角度を広げ、180度前後になったところで、更に下顎が真っ二つに割れた。

 

次に上顎が割れて、その全てが更に本を開くように広がった。

まるで竜の頭に巨大な花を乗っけた様だ。

 

 

 

(つ、次に…何が来やがるッ!

大爆発か?天変地異か?)

 

どれも来てほしくないが…

 

 

 

 

だが、その時は来た。

吐き出される瞬間を、己の動体視力はちゃんと捉えた。

 

 

 

 

 

吐き出されたのは、濃い灰色の煙だった。

それが暴風の様な勢いで、もう数百メートルは離れたであろう俺達の元へと襲いかかった。

 

…いや、マジでただの煙だった。

少々魔力か何かが含まれているのかピリピリするが、それ以外はマジで普通の煙だった。

 

 

スキャンしても、毒と思われるようなモノは出なかった。

 

 

視界は圧倒的に通らなくなったが、それでもただの煙であることには変わりない。

 

 

「煙…ッ!?」

 

「何をする気だ…」

 

 

「どっちにしても…!」

 

 

とにかく前へ進んだ。

ただまっすぐ進んでいれば変な方向に行くことは無い。

 

 

 

 

 

――――――突然、オレンジの光と共に背中が死ぬほど熱くなった。

 

 

「やべぇ!んの野郎火ィ吐きやがった!!」

 

「止まるな!走り続けるんだ!!」

 

カムイの指示も、どれだけの人数に届いているのか。

 

 

俺達の周囲は一気に焼け野原と化した。

その中で酷いやけどを負う奴がいた…火だるまになって死ぬ奴だっていた。

 

俺がそんな阿鼻叫喚で感じたのは、仲間が死ぬことに対する悲しみじゃ無かった。

心に大きな空洞が出来ていく感覚だ…まるで、何もかもが終わってしまったかのような…

 

 

 

ギムレーは上空に向けて、火炎を吐き続けている。

俺達のいる地獄を、地上にも作り上げようとしてるのか…

 

ああ、燃える…燃えてしまう…

 

 

しかし、その炎は少しづつ収縮していく。

やっと息切れか…ここまでにどれだけ死んだか…。

 

「カムイ、もう大丈夫だ…奴はそろそろ限界らしい。

ここの近くに洞窟があったはずだ…そこに逃げ込んで――――――」

 

「違う…違うんだ…」

 

は?

 

「ど?どうした?まさかびびっちゃった?」

 

「まだ…あの竜はまだ…」

 

「何を―――――――――――――――――――――」

 

 

 

 

ただ一言、終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【BGM・Who will know】

 

 

 

 

 

いや、確かに収縮って言葉は正しかった

だけどそれは火炎放射が終わるって意味じゃねえ…広がった炎が集まるって意味だ。

 

 

何言ってるか分からねえよな?まあ…扇子を畳むのを想像しろ。

つまりそういう事だ…火力がたった一点に全て集まっていくって訳だ。

 

 

 

 

 

今、俺の…俺達の目には炎という扇子が閉じて一本の光になる光景がある。

ただただ、巨大な極光が、天を貫いてる。

 

 

破壊どころの話じゃない…滅亡だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――今、奴が首を下したッ!

 

 

「あぶ――――――ッ!」

 

警告はした…けど遅かった。いや、奴が早すぎた。

 

 

 

言い切る前に閃光が横切る。

極光の軌道に居た奴らは皆等しく消えた…死体も残さずに。

 

 

それから、滅茶苦茶な動きで射線上の人間を次々と消し炭にした。

一人一人…時には二人三人同時に消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…今、レオンが消えた。

 

 

…今、リョウマが消えた。

 

 

…今、サクラが消えた。

 

 

…今、カミラが消えた。

 

 

…今、マークスが消えた。

 

 

…今、エリーゼが消えた。

 

 

…今、ヒノカが消えた。

 

 

…今、アクアが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

レーダーが全てを教えてくれる。

誰が死んだか…

 

もう、ここまで絶望が過ぎると嗤うしかなかった。

あははは…って。もう、誰も死なないなんて信じられないよ。

 

 

…でも、それでも。

 

 

 

 

 

「ベルカ…お前は…死んだり、しねえよな?」

 

「大丈夫、一人では逝かない…」

 

 

 

 

 

それは…よかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、カムイが消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

あの極光は全てを奪った。

でも…奪っただけだ。まだ炎は燃え尽きてはいない。

 

 

残酷な話だ、どうやってこの舞を続けろというのだ。

鍵となる人物が皆、死んだというのにどうやってこの曲を締めくくれと言うのだ。

 

 

誰が知るのだ…こんな…

二人の迷い人だけがどうやって…

 

 

 

反逆者達はまだ動けない。

あの迷い人が“空”を手放すまでこの話は続く。

 

 

 

 

終わらぬ円舞曲とはよく言ったものだ。

 




王族総辞職ビーム

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