ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
あれから間もなくして、戦闘になった。
敵はスキュラやら蛇人やらクリスタルゴーレムやら、シース由来のモブで構成されていた。
結局の所、普段と変わらない戦闘だった。
スミカと攻陣を組みつつ、剣を振って、なんか斬って、次の目標見つけて…これをずっと繰り返すような戦い。
最初の頃は体を動かす事と素早い判断を求められることから、かなり動きがあるように感じたけど、ここ最近はその全てが単調に感じてきた。
身体が慣れたとか、きっとそういう物なのだろう。
パッと周囲をみただけで情報は全て入ってくるし、それを全部処理すりゃ方程式も見えてくる。
…今までの、戦う度に一種の興奮を覚えてた自分は何だったのだろうか。
ただ単純に疲れたのだろうか。
ってか、こいつら敵なのか?むしろ只の的なんじゃないのか?
俺には必ず敵がいるハズなんだ、そういう生き方しかしてない…なら、ならば、俺の敵は何処だ!
そもそも、何のために戦ってるんだ?
本能?いや、それを否定した手前あり得ない。
じゃあ…なんだ?
――――――そう自問自答した時だった。
一瞬だけ、その一瞬のうちに冷たいナニカが身体中の神経を駆け巡った。
何かが俺に警告を告げた…強化の産物じゃあない。
もっと、本能的なモノが突発的に俺の身体を動かした。
そうだ…今さっき否定した本能だ。
…気がつくと、俺の左手に極太の大矢が貫通し、その先端の遥か先にはベルカが居た。
俺から彼女までの距離は大体3m前後…ギリギリ一瞬で助けに行ける距離だ。もう少しでヤバい事になってた。
(…そうだったな)
何か、吹っ切れたような気がした。
空一杯の雨雲の中、ほんの僅かだけ晴れ間が見えたような気分だ。
ダラダラと御託並べるより、もう本当に気が楽だと…それだけだった。
そうだった。俺は誰よりも何よりも、ベルカとスミカ…家族だけを護れれば良かったんだ。
俺の見る狭い世界にゃあの2人しかいなかったんだ。
その他は何だってよかった…勝手に死んでくれ。
その瞬間、俺の敵はグッと絞り込めた。
俺と、俺の家族を傷つける奴らが敵なんだ…!
俺の敵は、決して協力し合う“赤の他人”に剣を向ける奴じゃない!
「神にだって、俺は…俺は…!」
目の前に迫るスキュラを右と左に斬り分けた。
ああ…最高だ、この全身に巡る殺る気。
やっぱり、やりたい事をやって生きるって大事だわ。
「はっきり見える…敵…ッ!!」
たった今、大弓で狙撃してた蛇人…否、芋虫の位置を割り出した。
どうやら撃つ度に移動しようとしない、ハイエナ上等の芋虫だったようだ。
そういうヤツは自分が標的になった途端、草食獣未満の生き物となる。
先手必勝(このスキルは持ってない)、剣を思いっ切り大弓蛇人にぶん投げた。
幅の広い特大剣は奴の頭から長い首を両断して飛び貫き、すぐ後ろの地面に突き刺さった。
剣の回収をしようか迷ったが、そんな事しては一瞬のうちに彼女らを助ける事などできない。
仕方なくソウルからグレートクラブを取り出して、グレートクラブを取り出しソレで前方2m地点に居るクリスタルゴーレムを粉砕した。
「あ…こっちの方が使いやすいな、こりゃ」
なんか刃とか無い分、角度とかに気ぃ使う必要が無くて楽だわコレ。
狩人の悪魔が好む理由も分かる気がするな…!
ぶった斬る感覚が無いのが慣れないが、これはこれでアリだ。
「はは、ははは!
…と、前に出過ぎた」
素早く二人を護れる地点に飛び、その間に2人に近づく敵“のみ”をクロスボウで狙い撃つ。
…心なしか、今のはいい射撃だと思った。
射撃と言えば俺、闇術使えるんだった。
素早くクァトの鈴を手に持ち、敵を見渡して“俺ら”に向かって来る奴ら“だけ”を素早くソウルの大きな共鳴でブチ抜いた。
…で、手前の敵を右回し蹴りからのかかと落としで〆た所で、敵の全滅を確認した。
近辺を見渡すと、普段傷を負わないような化物(リョウマとか)ですら割と傷だらけだった。
ま、今回妙に多かったからな。
一人じゃ俺もきつかったわコレ…。
「…楽勝か」
「何を言うんだクソカラス。僕には一切援護寄越さなかったくせに」
大丈夫だ裏返しグラビア(だからグラry)、自分の家族以外に寄こしたつもりはない。
「ああ…手錠の事、今になってスッゲームカついた」
「ああそう。僕はお前の態度にムカついてる」
「戦争終わったら指名手配かね?俺」
「お望みならそうしてやる」
「やってみろ」
この裏返しグラビア()に中指立てた両手を突き付けて、さっさとベルカ達が居る所まで歩いた。
しっかし、何か疑問はあるような気がするが…ま、今はこれ以上ない程いい気分なんだ。
「あれ?父さん顔色いいね、久しぶりに。
何かあったの?」
「別に。終始どうでもいい事だったよ」
「ふーん」
背負うモノも捨てた分だけ軽くなった。
その分だけ、足取りも軽くなった。
現在のマーシレスの追加ステータス。
・「おまかせ」のみ。プレイヤー(カムイ)による指示は不可。
・特定キャラのみ攻陣可能。
・自動的にスキル「攻防一体」発動。
やったね、この主人公ホントにエゴを強化していったよ。
もうライフルの狙撃じゃ殺せないね。