ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
今回は、サブタイトル的にFEだけを目的に見ている人には肩透かしになってしまうかもしれません…。
―――――――――――――ま、コレ見てくれてる物好きにそんな人が10人いるか怪しいです。もうこの作品FEの面影は灰と火継と啓蒙とコジマとその他添加物に潰されてますからね。
言うまでもなくケミカルな小説だと感じます。
(自分で言うのもなんだけど)
パルヴァライザーが現れたのはいい、いや良くない。驚いた…それっきり、何もない。
敵すら来ない。
俺らの周囲には、遠くより雷鳴の如く微かに響きわたる激戦の音楽以外なにもなかった。
しいて言えば周囲に立ち込める謎の霧。
最初は『致死の“水銀”』かと疑ったが、その予測を裏付ける成分が一切検知されなかった。
それどころか、透魔軍やシースの手先すら気配がない。
感じられる気配は、背後のベルカのみ。
さて…どうした物か。
「…上、行くか」
「私もそう考えてた」
咄嗟にベルカはドラゴンを呼び、俺は…俺は…オレ…おれ……。
―――しまった、垂直上昇手段がない。
彼女のドラゴンに乗せてもらおうにも、ドラゴン自体が軽量よりの中量級なので加速はともかく出力が足らん。第一、剣をソウル収納できない分
崖を登ろうにも、浮島だしな…。
「…仕方ない。
ベルカ、俺は回り道する。先に合流していてくれ」
「分かった、気を付けて…」
「そっちこそ」
ここで一度別行動をすることになった。
真上は無理でも、横にならある程度長距離に飛ぶくらい訳ない。
剣が重くて烈風城のようにはいかないが、時間をかけてでも…いや、あまり時間をかけるべきではないかもしれない。
何か、ベルカの…あいつの元にずっと居なくちゃいけないって、何かが胸で叫んでる。
だが下手に近道をしては足を滑らせる程バラつきのある足場だ。
急がば回れ、なんて言葉最近はめっきり縁がなかったハズだけどな。
「とにかく…邪魔は斬るだけ!
ぉおおおおおオオオオオオオアアアアアアアアアッ!」
アーマーナイトを普通の振り下ろしで両断して、作った道をまた突き進み剣という
とりま前に進め、話はそこからだろ。
「クソ!ソウルシリーズは無双ゲーじゃないんだぞ!」
グレートナイトを馬ごと味噌田楽にして剣を抜いた後に、周回で大量に溜まったアヴェリンを湯水の如く使い捨てにして射撃牽制を行った。
あらかじめボルトを装填していたソレを、撃ってソウルから取り出しては撃って投げ捨て新たなアヴェリンを取り出して…というサイクルをアヴェリンがなくなるまで続けた。
連射射撃武器はエドモンの4連装と連射クロスボウ、あとゲール爺のオンボロもある。アヴェリンなんて出る幕ないんだよ。
「だったら此処でたった一回の出番十分に使い切って!そして散れ!4月中旬から月末にかけての桜のように!」
似たような使い方をショットガンでやるヤツを対戦型FPSで見たような気がするが知らん!今それどころじゃない!
残る敵も後少し…と言う所で、遂にアヴェリンが切れてしまった。
クッソ!だったらグレソにガトリング内臓して変形で撃てるようになりゃいいんだよ!
「こういう時に単発火力重視は使えねえな!だから雑魚殲滅ミッションに散バズ使わないんだよ!」
というか俺は何を関係ない文句言ってるんだ!
クソ、テンションが完全に結婚前じゃねえか!
落ち着け…いや、落ち着く前に走れ馬鹿野郎。
ったく、敵が多くて何処をどう進んだのか分かったモンじゃねえ。
一応上には進んでいるはずだ…何故か霧が薄くなっているのはその証拠だと思いたい。
見通しは良くなっている。
だが、たった今初めてレーダーの狭さを実感したのも事実だ。
眼では例のパルヴァライザーを捕らえているのに、ギリギリレーダーに映らない距離で状況が分からない。
クソ、いつもなら出来る光学ロックも射程外か。
あれが無きゃ射撃はノーコンだってのに!
「俺のショボい射撃センスで狙うしかないか」
精密射撃は無理だ…俺には出来ない。
ホント散弾で良かったと思うよ、当たる。
「って訳でぶっ壊れ――――――はしなくとも片腕貰うぜ!パルヴァライザー!」
もうバラけるからって、碌に狙いも付けずに引き金を引いた。
…だが、それが一番まずかった。
当たらなかったわけじゃ無い、むしろ偶然拡散のど真ん中に奴を捉えてた。
けど、忘れてた。
まあ…ラストレイヴンは碌にやった事なかったってのもある。
そもそも人型だったからっていう先入観もあった。
忘れてた、パルヴァライザー最終的にエネルギーバリア装備するって事。
「弾かれ…ッ!!しまった!」
たった今、奴のバリアの存在を思い出した。
そして奴は自衛兵器…自身の危険は徹底的に潰す無差別マシン。
そのカメラアイがこちらを向いた瞬間、自分のせっかちさを呪った。
何だって、流石にアレを破壊できる瞬発力も破壊力も俺にはない。闇術も多分通じない…呪術の火は論外だ、自分の命を同時に削ってちゃ奴には勝てない。
今回は遠回りがどうとか、そういう次元の問題じゃなかった。
立ち向かえないし逃げれない更に盾にできる他人もいない…所謂、手詰まりだ、ここ10年感じてなかった絶望感。
自分の巡り合わせの悪さも呪った。
あと数年早く奴と出会っていれば、喜んで瞬殺されに行った。
死にたくない。
何たってこんな…こんな…ッ!、やっと家族が出来たって時に…!
ふざけんなよ…ふざけるんじゃねえよ!
好きでクソッタレな運命辿った訳じゃあねえよ!俺にも人並の幸福感じる権利ぐらいあるだろうが!
何なんだよ…これならば現代日本の方がよっぽどマシだったじゃねえかよ…こんな苦しいし悲しいってなら…ッ!!!
「チックショオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
もうヤケクソだった。
腹いせに周囲の地面に剣を叩きつけ、何もいない空間を断ち切った。
どうにでもなって良かった。
玉砕覚悟で突撃した…潰えた未来を悔いながら。
――――――ただ、そのヤケクソってのは長続きしなかった。
一閃の光が、俺を正気に戻した。
奴のエネルギーバリアを撃ち破る一筋のレーザー。
並大抵の火力ではないソレは、確かにパルヴァライザーの装甲を抉った。
奴はレーザーが飛んできた方角を振り向く。
そして直ぐにその方へとすっ飛んで行った。
自分も遅れて振り向くころには、途轍もなく速いスピードで光学ロックとレーダー双方の範囲から瞬く間に消えていた。
一瞬だけ見えたのは薄いピンクカラーだった。
何だありゃ?パルヴァライザーより早えぇ…。
そして正気に戻って、先ほどの自分を恥じる事になった。
正直あんなまっすぐで避け様のない“死”は初めてだった。
強化の恩恵によるスキャンで奴のスキの無さを知ったのも要因の一つだったか…。
とにかく、あの時の自分、感じた事、思った事丸めて全て忘れたかった。
あんな醜いなんて…あれが本性だなんて。
いや、そもそも人間ってのは―――――
「…うさん、とうさん…父さん!」
「!、スミカ…」
「また無暗に突撃して!頭空っぽにも程があるっての!」
「ああ…本当に悪かった…」
「…何?もしかして珍しく心から反省してる?ちょっと何があったの?」
「あ、いや…そうじゃなくって…お前、今日タコ焼きか焼きそば食ったろ?」
「え…え、え?、あ!まさか!
何処!何処に青のりが!?」
「歯茎」
「うっそお!…って、そんな所絶対見えてないでしょ!」
「わりぃ、本当は上唇」
「ちょっと………どう?とれた?」
「いや、少し残ってる」
「ああもう!」
かなり久しぶりに、自分が嫌になってきた。
もしかするとあの時の醜い姿は他の奴も見ていたのかと思うと…いいや、この距離だし、でも…。
「行こうか。待たせちゃ悪い」
「待って!もう!」
…何故か、帰る足が重かったのは気のせいだと思いたい。
別にね、白夜第二王女が活躍する話じゃないんです。
サクラってそういう意味じゃないんです。
ただ、今回のマーシィのセリフに桜に関するものがあるって、そういう事なんです。