ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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覆いなる者(守銭奴)からお告げがきた….




最新作のACは、グリプス級の可変機構があると…!


灰積もる

 

 

スミカに連れられて戻るとそりゃあ、酷い有様だった。

草木どころか岩石すらも灰燼と化した風景が、まず目についた…本当、コレは生身で戦ってたら3秒も持たなかったかもしれん。

 

 

一度、地面一体をスキャンしてみた。

…おそらくミサイル由来の火薬の跡、爆発性の化学物質、未知の合金、コジマではない謎の粒子etc。

 

粒子も別段人体に影響のあるモノではないようなので、カムイ達と合流することにした。

 

 

途中、炭化した物体を幾つか踏み潰すその感覚を心のどこかで楽しむ。これが人の成れの果てだったら笑えねえ…無論、死体が仲間でも敵でも思うモノは無いが。

 

 

 

ざく、ざく…固くて脆い物を踏む感覚が楽しくてたまらない。

先程の絶望感は何処へやら…密かに楽しんでいた。

 

そして気が付けばカムイの前へ来ていた。

 

 

 

誰かの腕を重々しく抱えるカムイの前。

 

「…誰のだ?」

 

別に気を遣うつもりはないが、ただただ冷たくそれだけの言葉を放つ。

 

 

「…」

 

「…ショックで、か…」

 

口も聞けなくなる程ショックな人死にだったらしい。

しかし腕の装備から分かる…タクミ、か。

 

 

…ま、スカディブッパされずに済んだと言うべきか。

こういうヤツらの死やらを気にするから、今までベルカを…。

 

 

 

「っ…。(また、かよ)」

 

最近、身に覚えのない記憶に感情が左右される。

『ソレが起きた』という記憶だけで、ソレがどのようなモノか…鮮明な部分はまるで抜けている。

 

 

この現象を何と呼ぶか俺は知らないし名があるかも分からん。

 

 

 

 

棒立ちで足が痺れ、ほぐすために少し足を動かした。

その時に、コツッ…と何か炭化していない物質を不意に小突いた。

 

「ん?」

 

ソレを右手に取って拾い上げ、観察する。

 

「弓、か」

 

その深い紫色のソイツは、何かの瘴気を耐えずその身から出していた。

これがタクミのモノだとして風神弓…いや、あの状態だしスカディか。

 

 

 

 

「だとしても、だな」

 

すこし…いいや、かなり形状が異なっている。

中央の持ち手以外、かなり幅広かつ薄くなっておりまるで曲剣のような―――

 

 

曲剣、か…まさか、だけど…。

 

 

「ッ!」

 

持ち手を両手でつかみ、真ん中から引き離すように引っ張った。

…案の定、左右に分離した後複雑な変形を経て、一対の双剣となった。

 

「…どう考えるべきかな?」

 

 

十数年で風化したフロム脳では何も思いつかない。

だからどうしたという話だが。

 

 

 

これは取り敢えず自分が持っておく事にしよう、クロスボウでは些か火力または整備性に不足があった所だ。

 

スカディが変化したのなら使えそうだ。

そのままソウルへと放りこんだ。

 

 

 

 

「さてと」

 

結果的に裏切った奴の遺品に構っている暇はないな。

一刻も早くベルカの安否を確認したい…。

 

 

「マーシレス…!」

 

と、いた。

 

「よかった、無事か――――――わぷッ!?」

 

「…けがは、無い?」

 

 

向こうが押し倒す勢いで至近距離まで駆け寄ってきたので危うくバランスを崩しそうになった。

 

しかし何をこんな心配…あ、パルヴァライザーに殺されかけたわ。

 

 

「安心しろ、一撃浴びる前にアレだよ。雑兵もさして苦労してない」

 

「よかった………ッ!」

 

 

突然ベルカが顔をしかめた。

 

「お、おい!どこか痛むのか!?」

 

「…擦り傷だから」

 

「そう言って…!」

 

彼女の事だ、流石に致命傷を放っておく事はないだろうが…。

 

 

(左脇腹に裂傷…しかも結構デカいな)

 

「流石に笑えない傷だぞ、早く治療を…」

 

「そうね」

 

「抱えて行こうか?」

 

「流石に…」

 

 

お姫様抱っこは拒否されたが…まあ、傷のカバーも兼ねて恋人つなぎくらいはいいって事になった。

 

俺もよく考えてみりゃお姫様抱っこは恥ずかしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ■  ■  ■  ■  ■  ■

 

さて、久しぶりの一人風呂か。

温泉が共有だったお蔭で中々一人でゆったりできなかった…ま、そんな中で自分だけだという喜びに浸れるのも温泉の醍醐味よ。

 

 

「毎度思うが…温度はもうちっと温い方がなぁ…」

 

アツアツよりも温いくらいが好みだが…この軍大半が温い湯が苦手なんだよなあ。(まあ温泉が温くてどうするかという話だが)

 

 

 

「…」

 

ま、折角の一人だしな。

 

 

 

とは言え、風呂ってのはその日の嫌な事も思い出すもんだ。

パルヴァライザーの一件…俺自身忘れたく立って忘れられない。

 

結婚前は死にたい死にたいと事あるごとに呟いては居たが…結局そんな覚悟無かっただけか。あったら戦場に殺せる奴なんざ求めてなか、己ば心臓抉りだしちょる。

 

 

 

「…なんか訛ってみた」

 

風呂場でしょうもない遊びをするのもいいねえ…

 

 

「…あー」

 

 

 

 

…うん、一人風呂って寂しいな。

上がるか、どうせ競ってる相手はいないんだし。

 

 

やや倒していた身体を上げると、急に寒さを感じた。

…もうちょっと温まるか、鴉頭でも烏の行水はダメって事かい。

 

 

 

そう言えば熱燗を持って来てたの忘れてた。

やってみたくなった、ってだけで持ってきたコレな…存在忘れる所だった。

 

どうせ飲んでも悪酔いしねえし、ってか酔わねえし。

御猪口を介さず瓶のまま風呂上りの牛乳のように飲んだ。

 

 

 

「…ジークの酒の方がいいな」

 

個人的に日本酒は合わなかった…結局ソウルから残り少ないジークの酒を取り出して喉に流した。

 

アツアツの風呂に冷たいジークの酒というコンボがこう、自分の何かを刺激する。

 

 

「あ…(そういや基本的に飲食禁止だわ)」

 

熱燗は文化的なアレでOKだったが…ビールは流石に無しよな。

そそくさと空の盃をソウルに仕舞った。

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、脱衣室から物音を感じた。

 

「(人来ちゃったか、そろそろだな)よいしょ、っと」

 

ゆっくりと風呂から立ち上がり、脱衣所へと向かった。

いつの間にか寒さを感じぬ程に温まっていた…いっつもこれくらい入っていたのか。時折うるせえ野郎共がはしゃいでる中。

 

 

 

「そういえば、な…」

 

修学旅行の温泉で無限シャンプーを喰らったのを…思い出したり思い出さなかったり。

 

 

無い記憶をエアプで懐かしみながら、更衣室のドアを開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その直後、温泉へリターンしたのは報告するべきか。

まあその後夫婦風呂よ。

 

 

 




早く最終決戦書きたい。

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