ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
待ってた☆?
…ベルカの帰りが遅い。
日が暮れる前には帰ると聞いていたが、もう窓から見える夕焼けは若干黒い。
まあ、考えすぎだろう。
こんなところまであの竜共が追っかけてくるとは考えづらいし、第一だれも俺らを恨んではないハズだ。
…あの野郎も、本当に殺しにかかるならもっと早く仕掛けるハズ、そう、そのハズだ。
「…」
まあ、何か思い入れがあるのかもしれない。
…俺にとっては何でもないが、死んだであろう王女サマの事があるのかもしれない。
きっと…何かあるんだ。
「…ハァ」
抽象的な言葉しか出ないのは疲れによる眠気のせいだ…そのハズだ。
あの時確信したんだ、もう誰にも邪魔されないと。
―――俺、なんで外に出てるんだろ?
心配することじゃないだろ?危険なんて、ないんだから…。
なんで足跡探ってるんだよ。
スカウト紛いの事なんざしなくても…。
…気が付けば、森の奥深くに居た。
草をかき分けてまで、アイツの痕跡を辿っている。
無意識のうちに強化人間の機能は9割ほどオフにしていた。
こんな事してるが、真実を知りたくないのが実情―――なのかも。
きっと今じっと見てる木の根元なんかも、実際には見えてないように思える。
いや、絶対見ちゃいない。
だって見たくないし…事実を知りたくない。
だからってずっと帰らなかったら…もう言い訳が出来ない。
逃げられたなんて嫌だし、死んでたらもっと嫌だ。
でも…――――。
一瞬、一瞬だけセンサーやレーダーを稼働させた。
これで何もなかったら、諦めようと言い聞かせた…のに。
5m右側にある落石の跡。
…見つけてしまった、いや…彼女だと決まったわけでは無い。
けどそこに居る…誰かだった死体が。
「ッ…」
今、岩山に手を伸ばそうとする俺自身の神経が分からなかった。
なんでだよ…分かりきってるのに。
一つ、一つ…片手で持てる石から少しづつどかした。
…わずかではあるが山が形を崩していく。
―――見えた、人の肌。血にまみれた人の肌。
見覚えがあるなんて気のせいだと思った…少しづつ、外側から解体していく。
指先が見えた。
見た所左手のようだ…手の甲から第2関節までが岩で隠れている。
コレをどければ―――いや、絶対そんな事は…!
だが、自然とソレをどけてしまった。
薬指に見知った指輪がつけてあった。
青い目の猫を模った、銀の指輪…飛行兵だった彼女に安全祈願も込めて、あの日に渡した指輪…。
これ以上どかしてみたが、左腕の肘関節から先は千切れていた。
…これでは、中の身体等がどうなっているのか想像するのは―――。
どっ、と…身体中の力や魂が抜けたような気がした。
「あ、あああ…」
…こんな事、こんなクソッタレな―――!
「あああ…うぅ――――ッ。
なん、で…ぅ…うそだ…いやだ…やだよ…」
何で…!!!!
「クッソオオオオオッ!!!!
何故だッ!何故邪魔するんだよ!
何で…何で!俺を放っておかないんだ!
死に神とは…縁を切ったハズなのにッ!!!」
どうせ泣き叫ぶ声など、誰にも聞かれない…もう、世界に誰もいなくなった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「ッ!!!!!!!!!!!!」
目が覚めるとベッドに居た。
いや…あの状況で寝てしまったのか…違う。
そもそもが可笑しい、何で…左腕があるんだ?
まてよ、そもそもこの部屋…マイキャッスルの一室じゃないか!
何故だ…3年も経ってるはずなんだぞ、それが全部夢だなんて!
――――いいや違う、3年どころじゃない。
何度も何度も、同じ時間帯を…同じ時期を繰り返してッ!?そんなまさか!
じゃあ、まさか透魔に着いてからいつも感じてた既視感ってのは!
…思い出した。
ああ、思い出しちまったよ。
何故か、アイツが―――ベルカが死ぬ度にある地点まで戻されてたんだ、いっつも。
まるでゲームの周回のようだ。
いや、『人生と言う名の糞ゲー』って言葉をよく表した…というより、過剰に盛り込んだ糞の中の糞だ。
可笑しいよな?ゲームって楽しいモノだろ?
なのに…コレ、ちっとも面白くない。
寧ろ苦しい、苦痛…激痛だ。
はは…聞けよ、またベルカ死ぬんだってよ。
「また、アレが繰り返される…」
なんのための激痛なんだろうな?
もう、何もやる気が起きなくなってきたよ。
ったく、誰がレベルデザインしたってんだ…こんな糞ゲ…―――――――――ッ!!!
「いる…仕組んだヤツが、全ての元凶が…!」
アイツだ…アイツだ!
そうだよ、アイツがいる…あのクソッタレが!
「奴が、歪み…俺の世界の、歪み…ッ!!」
やる気が起きないと言ったな、すまんありゃ嘘だ。
いる…いる!何故か場所が分かる!
奴が呼んでいるのかどうかは知らんが、とにかく場所が分かる!
ベッドから飛び出して、すぐに装備一式を揃えていつものグレートソードを担ぎ、その場所へと駆けだした。
そう、奴さえ殺せば!
【Dルート・新たなる円環】 完
ナニカサレタ男 第二章、完。
次回、最終章。
ご期待ください。