ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
…右手に剣を、左手に触手を。
こんな状態で戦うのはこの世界に何人いるんだろうか。
エピネフリンが決壊したダムのようにあふれ出てくる中でそんな事を考えつつ、奴と睨み合いを続けていた。
どうでもいいだろ?意味あるのかって思うだろ?
そうだ深い意味は無い、ほんの一瞬…ただそう思っただけだ。
極限状態でしょうもない考え事をするって、それ自体が異常なのかな。
自分でも何故考えたかよく分からない…こういう時は決まって「強化人間になったせい」と片付ける。
言葉は不要だとか、意味を成さないとか…そんな言葉自体が意味の無いモノと化したのが今この瞬間――――俺は奴に仕掛ける次の攻撃と一緒に、奴にぶつける文句だか何だかを考えている。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「…ッ!」
しばらくの沈黙を破るコッチの一撃。
準備していた言葉は出なかった…出してたら舌噛み千切ってただろうが。
「ッ!ガァアッ!!
まだ、まだぁ!!」
「ッ!、このォ!」
「まだ続けるのか!お前は!
無意味、無意味なんだよ!」
「小賢しいッ!テメーの文句は死んでから聞く!
無論…テメーがなァ!」
「チィイッ!
舐めるなァァァ!」
「ゴッフぅ…ッ!
どの…口、がァアッ!!!」
「何!?―――ッブごッ!」
鳩尾に例の杭を一発受けちまったが、思いのほか至近距離で喰らったのが幸いした…全力で顔面殴り飛ばしてやったんだ。
「テメエは、良いかもしれんがよぉ…コッチはたまったもんじゃねえよ!
俺は俺だ!俺達だ!俺達の勝手にさせろ!」
「エゴだ!お前の!」
「ッ――――…フウ。
偶にマトモな口開いたようにするが、よう…返ってんだよッ!!全部!」
「ッ!?ァアア”ア”ア”ア”!!!」
奴の右手が宙を舞った。
全力で投げた斧(何の斧かは確認していない)が丁度、奴の右肩をそぎ落としたんだ。
「エゴだと言われる筋合いは無ェ!
特にエゴにエゴ塗りたくった、癇癪野郎のお前には!」
「それも言えたことかァ!」
「ッから!お前は喋るなッ!」
俺も奴も、数十mあった間合いなど直ぐに詰めた。
―――奴が残る左手に持った曲剣の刃が、俺の右脚の太股中間あたりをザックリと骨ごと断つ。
しかし、切断される前にこちらの剣が奴の胴体をぶち抜いた。
…刃の奥まで沈み込んだ所で、こちらの右脚も身体とオサラバしてしまった。
「がッ――――――」
「いい加減に、しろってんだ…ッ!」
奴が刺さった剣を、山なりに高く放り投げる。
…追い打ちに、先ほど投げた斧を触手で掴み――――
「落ちろ…地獄の、果てまで…ッ!!」
触手を伸ばし、奴が舞う空よりも高く振りかざして勢いをつけて…後は単純に振り下ろした。
ザクリ、って…これまでにないほどの手ごたえを感じた。
…と同時に、ザクリ、って…さっき感じた感覚を数倍早くしたソレが薄く全身を奔る。
――――そして世界が上に動いた。
「あ、れ…?」
というか自分が滑り落ちた。
見えたのは自分の脚…2つ。
そうか、あの瞬間か…投げたんだろうか?曲剣を。
俺の脚はとうとう無くなった。
…まあ、アイツ敵に回してタダで済むとは思ってなかったよ―――認めたくないが。
落下して死んだハズの奴に目を向けると、何事無かったかのように直立していた。
ただ直立しているわけでは無い、細かく痙攣しながら…肉体をグロテスクに変貌させながら…まるで出来の悪いB級映画のワンシーンをそのまま切り取った光景を見せられている。
「…奴らは、レジスタンスの連中は、俺の事を俺によく似た特殊兵器になぞらえて『MiV〈marquis in Vortexまたはman in Vortex〉』と呼ぶ…」
奴が人の姿を形以外ほとんど失う頃には、背中から盾だかバインダーだかのような翼が生えて、それが分離したかと思えば奴の周囲を浮遊した。
…奴が自称する通り、男版LiVであることに間違いない形相だ。
アレに勝った試しがない…というか、微かに残る記憶ではデビガン中二で挑んだっけ?
「正直何十年もかけた計算が狂うから使いたくなかったが…キレちまったよ、お前に…」
ウソだろテメー…。
兎にも角にも無抵抗では駄目だ、左手の触手で対抗しようとした…瞬間、その左腕がとんでもない衝撃に包まれた。
気が付くころには、左腕は「ひ」の字すらなかった。
何されたんだ?と疑問に思ううち、奴がどんどん姿を滅茶苦茶に変えていく。
「もう、お前には止められない…―――――――
死ね」
あっ、と…気が付くころには数十mの距離感が無い物のように一瞬で詰められてしまった。
そして浮かぶ盾のようなアレの一枚が、俺を引き潰そうと更に浮かびあがる。
左腕も、脚も無い今抵抗する術がない。
とうとう死ぬってのか…と。
少しづつ沸き上がる感情が、また醜態を晒すのか…と、俺に絶望を叩きつけてくる。
ああ…こういう瞬間に限ってスローなんだ、世界が。
人間辞めた人間でも、こういうのは変わらないんだなぁ…。
――――――そしてそのスローの間に見えたのは、奴がはじけ飛ぶ姿だった。
…長い事ボケっとしていた。
というか、そうするしかなかった…あの巨体が現れるまでは。
再びいつの間にか現れた、薄いピンクの巨人。
全長約10m…そして流体的なデザイン…。
そして強化人間の機能が弾きだした結果。
「(アーマード、コア…しかもネクスト!?)…は?」
アーマードコア…それは、作業用ロボットをコアという胴体パーツを中心に様々なパーツを取り付けることで汎用性を持たせた戦闘用ロボット。
目の前に居るのは、ソレを環境汚染を引き換えに更に兵器として高性能化…先鋭化させたネクストと呼ばれる上位機種“のような”機体。
これだけでも十分だが、俺が間違ってなければビックな情報をもう一つ付け加える事になる。
アレはそのネクストを操るパイロット…リンクスの中でも「オリジナル」と呼ばれるいわばベテランのエキスパートの一人…が操る機体。
機体名「シリエジオ」・リンクス名「霞スミカ」または「セレン・ヘイズ」
「奴は………そういう事なのか?―――ッ」
突然、『メールが入った』という知らせが視界を妨げた。
…メール?そんな機能あったのか。
さっきから上位者といい、LiVといい…果てにネクストやオリジナルといい、荒唐無稽のガトリング砲が俺を休ませてくれない。
そんな叫びを無視して、俺の視界は送られてきたメールの文章でいっぱいになった。
「ハァ…何々?『そこの旧式強化素体、動けるか?』…見りゃわかるだろう」
「そうか…だが私は男二人を抱えられるほど力が無いのでな。迎えが来るまでそうしてもらおう」
「!…出てきてるし、聞いてやがったか」
いつの間にかネクストの肩に立つ霞スミカ…いや、セレン・ヘイズ?
あの距離でも聞こえるのか…と、全く関係ない所に感心していた。
やっと出せました!ACFAのEN組!
この後少佐ことウィンDやマイブリスも出ますぜ!
あ、実は首輪付きだったウラシマは死んでませんよ。