ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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先ずは暗夜方面です。


僕達の中の英雄・天が分かつ時

 

嘗て、偉大なる男がいた。

何よりも民を護り、国を繁栄へと導くことを理念とした男がいた。

 

 

彼の人生は、表面ばかりが美しいドロドロとした道のりであった。

自らの欲と名誉しか頭にない貴族たちに翻弄されるような少年期、そんなときにこそ友がいた。

 

友は、自分と同じく生真面目でありながら、どこか彼と違い豪快で剛胆な一面があった。

 

 

やがて彼が王子から王になると、そんな友だからこそ任せられる事が増えた。友の心には“忠”と“親”…“誠意”と“友情”、その二つこそが力強く燃えていた。

 

…だからこそ、彼に老いの兆しが見えた頃、あの一連の事件―――友がいたからこそ、王として乗り切れた。そんな友だからこそ、あの役割を任せることができた。

 

 

 

 

 

 

―――そして今、再び彼と友とは共に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「良し…我々はココを死守するぞ!」

 

軍の半分の指揮を受け持ったマークスが、声を張り上げた。

無数の化物相手に軍を分けるのは少々骨の折れる事ではあるが、彼らは一人50体の割り当てだろうが何だろうがやってのける精鋭中の精鋭部隊だ。

 

英雄は一人ではない、それぞれ一人一人の中に居る。

 

 

 

英雄たち(ヒーローズ)の連携が鉄壁の防御をみせる。

たとえ地を空を埋め尽くす暗黒の破壊者達が相手でも、決して揺るぎはしない。

 

 

 

 

…その厚い壁に、突如巨砲が備え付けられる!

 

 

 

『ウォオオオオッ!!』

 

突如飛び出した金色の人型が、雷を左手に持ち巨漢の透魔兵の背中に飛び乗る!ガッチリと右手と両足でしがみつくと、左手に持つ雷を巨漢の背中に突き刺した!

 

鳴り響く轟音!それは音だけにあらず、巨漢は瞬く間すらなく灰燼に帰す!

 

「何だ…!」

 

 

『アンタらか、久しいな…っと、覚えてもないか』

 

「なんか…見覚えがあるような気がするわ…」

 

「奇遇だなエルフィ君、私もだ」

 

「あたしも~」

 

エリーゼ以下、臣下二人は過去(周回単位)の記憶があるのかないのか、微妙な反応を見せた。

 

 

『どうした、手が止まってるぞ』

 

金色―――太陽霊の背後からファ―ナム装備の白霊が素早いステップで飛び出して、竜断の斧で透魔兵の背中を切り付けた後、素手で傷口から臓物を抉り出した!

 

『なんだその技は。

お前、さてはあの町に…』

 

『御託はいい、さっさと目的を果たそうか』

 

 

 

「…増援?」

 

まさか、といった口調で白霊と太陽霊にレオンが問う。

 

『そんな所…いや、そのまんまだ。

あとでもう数人くる』

 

「それは有難い。この数もそろそろ鬱陶しくなった所だ」

 

 

マークスがジークフリートの一薙ぎによる光波で敵を一掃しつつ、レオンがブリュンヒルデの木で矢と結晶魔術を防ぐ。

 

 

木の成長速度を利用した太陽霊が勢いで上空まで飛びドラゴンナイトの透魔兵を太陽の槍で打ち落とす。

落下ダメージは地面が灰なので問題ではない。

 

その真下では白霊が盾のジャブで怯ませた後首をはねて、真後ろの敵へと斧を投げて脳天をかち割る。

そして斧の回収が難しいと踏んだら、次にルーラーソードを取り出す。

 

 

『全く、この乱戦で重い武器ってのは…』

 

「あら?今は選り好みをする時ではないのではなくって?」

 

背後からカミラの魔竜がクリスタルゴーレムの頭部に噛みつき、顎門でゴリゴリと砕いた後、ハンマー状の尾で彼方へとブッ飛ばす。

 

『…全くその通りだ、ご婦人』

 

「ええ…。

それと貴方、大剣を持った男をしらないかしら?」

 

『ここに居るが?「もっと巨大な剣よ」…奴か』

 

「何か知っているのね………ッ!」

 

『…アイツならば心配ない。

自らの戦いを、ずっと続けている。ただそれだけの話だ』

 

「そう…。

あの子にも安心させてあげられるわ」

 

『なんだ、アレにも理解者が多くいるものだな…―――っと、油断してる場合ではない!』

「ええ、分かりやすいもの…――――そうね、ちょっと厳しくなってきた…!」

 

 

盾を投げ捨てた白霊が、上段に構えたルーラーソードを振り下ろす。

一刀両断になったゴーレムの先に、多くの悪鬼羅刹が待ち構えているのが見えた。

 

 

というか明らかに数が倍になっている。

 

『チィイッ!無限湧きか!』

 

「私達だけではないようだ、後ろも大分地獄絵図だ」

 

マークスの言う通りカムイと白夜一族も中々の苦戦を強いられている。

あの虹色の巨鳥が放つ光弾が地上を荒らしまわっているようだ。

 

 

『しょうがない、灰瓶がもったいないから控えたかったが!』

 

太陽霊がロスリックの戦旗をとりだし、周囲の味方へ力を渡す。

 

「これは…」

 

『一時的だが効果はある!』

 

再び迎撃戦が始まった。

勢いを増した透魔軍は、より強烈な攻撃をカムイ軍に仕掛ける。

 

流石のマークス達もそろそろ限界が見え始めた。

このままでは押し切られてしまう。

 

 

『ッ!しまった!

避けろ!』

 

太陽霊の真上をクリスタルゴーレムが大跳躍し、暗夜王族たちのいる所へと飛び掛かる!

 

 

「何だとッ!」

 

慌ててマークスが構えるが、既に遅い。

 

 

 

―――影が迫る!

どこから?後ろから。

 

――――――いやまて!クリスタルゴーレムは前だ!

じゃあこの影は一体?

 

 

 

「ウォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

けたたましく気高い声!

その声と共に、マークスの頭上を巨大な斧が掠める!

 

 

 

突き放たれた斧は、まっすぐにゴーレムを貫いた!

 

 

 

「(この斧…!)まさか!」

 

 

 

 

   「待たせたな!」

 

暗夜王ガロンが、今到着した!

 

 

『やっと、やっと薩摩弁縛りおわったぞおおおいッ!!』

 

遅れて上級騎士装備の白霊も到着する。

 

 

「ち、父上!?」

 

「どうして、ここに…!

というか向こうの指揮は!?」

 

「無事であったか!マークスにレオン!

どうも我が子が心配でな、レジスタンスを全部メルヴィルとミラーに押し付けてきた!」

 

「お父様…!

来てくれたのね…!!」

 

「やったー!お父様だー!」

 

「おぉ、カミラにエリーゼ…!

―――さてと。お前達はカムイの援護に回れ、アレの残りは儂が引き受ける!」

 

 

ガロンは戦場での子供たちとの出会いを喜んだ後、とんでもない発言をした。

 

「なッ!?

父上、相手は「わかっとる、たかが地下を埋める程度だろ」ですが…!」

 

「なあに心配には及ばん。

長らく王としての役目をしていなかったのでな、それでは民に示しがつかんぞ」

 

「でも…!」

 

マークスが、少し弱気な言葉を発してしまった。

 

 

 

しかしガロンの目に込められた魂は、確かに子らへと伝わっている。

 

「…分かりました」

 

「すまない…」

 

「どうか、無事で…」

 

 

 

 

 

『国のためとか言って、ホントは自分の子供がピンチと聞いて来たくせにさ。まあ、なんか親子の絆的な奴で理解してくれたみたいだけど…』

 

『まさかネクストに乗ってくるとは思わなんだ。よく身体が持ったな』

 

「それほどヤワではない。『時速1000超えだよ?』さほど変わらん」

 

 

『さて…俺は付いていくぞ。望みはないが、出来る限りアンタを生かして帰さなくてはならん』

 

「そうか…世話をかける」

 

『俺もついてくぜ、そこの杖蠅兄貴じゃあ心配だ』『こっちは心外だ』

 

 

「ありがとう、協力者たちよ!

いくぞッ!!!!」

 

 『『オオオッ!!!』』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   【Heavens Divide】

 

 

暗夜王の斧、ヴェルベルクの人薙ぎは突風を巻き起こし、周囲の怪物を次々と薙ぎ払っていく。

 

操られかけた際、手に入れた竜の血の賜物だ。

 

 

―――――王は吠える。

彼は理解していた…最早自分は未来を担う人材ではない。

 

あのメルヴィルとして活動していた時ですら、歳からくる心臓の病気は少しづつ身体を蝕んでいた。

 

 

いくら手を施そうとも…否、それこそが愚行ではないかと己に問うた。

 

あの時、身体の強化を提案した「企業」と「財団」なる者たちの誘いを断った。

 

 

 

それが正解だと知れたのは、つい最近の事だ。

 

―――久しぶりにメルヴィルと出会った。

友は自分の影武者として、ハイドラに操られる暗愚王としての汚名を自ら引き受けた。

 

それから解放された後、友からマークスの話を聞けた。

 

 

 

「(間違いない、あの子たちこそが、儂の…暗夜の、未来だ!新たな光である!)ウォオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアッ!!!!」

 

 

 

―――突然、ガロンの身体を結晶槍が貫く!

 

『なッ!』

 

『大丈夫か!』

 

「なんてな…!」

 

ガロンはまだピンピンしているが、またがっていた重装甲の白馬は既に息絶え絶えである。

 

 

程なくして、十数年来の愛馬は息を引き取った。

 

「…すまんな、後で会おう」

 

『後でって、アンタ…』

 

「…行くぞ」

 

王は、今度は自らの脚で大地を踏みしめた!

傷や老体などどこ吹く風で、巨斧で敵を薙ぎ払っていく!

 

 

『全く!とんだじいさんだ!』

 

カタリナ一式の白霊が愚痴をこぼしながら、呪術2種類を合わせて大爆発を起こす。

 

 

しかし、先ほどよりも速いペースでダメージが蓄積していく。

 

『クッ!こんな事なら、あの奇跡野郎引っ張って来ればよかった!』

 

『ないモノねだりか!貴様らしいな!』

 

『ッ!言うな!』

 

白霊二人が庇うが、それでも間に合いそうにない。

 

 

 

―――――再び、結晶槍の束がガロンに突き刺さる!

 

「オオオッ!!?…ガはッ!」

 

『ガロン!』

 

ガロンの動きが止まり、鍛え上げられた身体が前に倒れかかる…!

 

 

 

 

 

 

「(ッ!!)ォオオオオオオオッ!!!」

 

倒れそうな身体をヴェルベルクで支え、雄叫びで気合を入れ直し再び進撃を始めた!

 

小手先の技などない、我武者羅に斧を振るう。

 

 

 

―――途中、斧にヒビが入る!

 

 

『おい!斧が…!』

 

――――時に遅く、ヴェルベルクが柄の真ん中から折れた。

 

 

「ッ!まだだぁ!」

 

ならば!と、今度は剣…特に貴重なわけでもない、ただの鉄の剣を抜く。

…幼き頃、彼はこれで剣術を磨いた。

 

使い込みならば、ヴェルベルク以上に信頼が出来る!

 

 

 

先程の様な大嵐こそないが、ガロンの剣劇は怪力無双のソレであった。

透魔兵を断ち、結晶を割り、大地の草木を巻き上げる剣筋が、怪物の軍隊を押しのけている!

 

最早気力だ、気力だけが老体を動かしている!

 

 

――――そうだ、今までやり通してきたではないか!

 

ならばこそ、最後の最後までやり通すのが漢!

それが国王!人の上ではなく先に立つ者ではないか!

 

 

 

 

――――全身に、大量の矢が刺さる

 

『ッ!もういい!下がるんだ!』

 

しかし王は戻らない。

たとえ肉が千切れ飛ぼうが、骨が砕け散ろうが。

 

 

 

 

 

 

 

――――遂に、王の脚が止まる。

 

肉体が限界に達し、超大型のクリスタルゴーレムを前にして動かなくなってしまった。立っていられるだけでも奇跡だ。

 

 

ゴーレムが脚を振り上げる。

標的は動かない、いくら溜め込もうが避けられはしまい。

 

 

 

―――――だが。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――しかし、ここで終わってなるものか!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――せめて報いてみせよう!

 

 

 

 

 

 

 

ぉおおお、おおおおおおおおおッ!!おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!

 

誰もがまさかと思った瞬間、ガロンが剣を振り上げた!

 

 

 

 

ただの鉄剣に、一瞬で大量の嵐が纏われる!

その嵐を、大地に、怪物どもに向けて解き放った!

 

 

 

 

 

 

すさまじき轟音!

あまりの風圧に周囲は弾け飛び、爆弾にも似た熱量ですら発生する!

 

すべての巨格を落とす大嵐の力が暴走し、全てを巻き込んだ!

 

 

 

 

視界が晴れた頃には、ただ一人の男が立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

彼は、剣を振り下ろした瞬間のまま動かない。

あの瞬間に、全てが燃え尽き…しかし、身体は倒れることなく王の威厳を放っていた。

 

そうだ、王は死んだ。

未来のため、持つ力全てを犠牲にした。

 

 

 

その遺体は、巻き上げられた灰で、燃え尽きた様にも感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――暗夜王ガロン・戦死

 

 

 

 

 




活動報告は明日の午後で。
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