ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
国宝「葉隠」と神器「雷神刀」が神速で刃をぶつけ合う。
空気すら分断する一撃が何度も続き、空気が戻る勢いで辺り一帯に力場が発生していた。
しかしその力場すら二人の刃は切り裂く。
真空の中で行われる親と子の決闘。
「成程!随分と腕を上げたな!」
「ああ…!」
交わす言葉は最小限でいい。望んだ形でないにしろ、今はとにかく剣で語らう時だ。
リョウマが雷神刀から飛ばした光波を、スメラギは葉隠で散り散りに払いつつ突撃する。
その間彼は左手の葉隠を逆手に持ち、上半身を左に捻る。
リョウマはこの動きを知っている。
だからこそ、中段に構えた今の状態を保ちつつ、柄をより強く握り締めた。
「行くぞッ!」
「来いッ!」
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ミコトの跨る怪金鵄「アオイ」の猛攻が地表を荒らし尽くす。
タクミの風神弓とサクラのシャイニングボウで牽制かつ光弾を撃ち消しているが、雨の様な弾幕を前に2割も相殺出来てはいない。
加えてゴーレムに透魔兵が全くいないワケではない、数こそ暗夜組(というより殿を引き受けたガロン)が抑えてくれたおかげで大規模でこそないが多い事に変わりはない。
加えてミコトに持たされた魔弓【スカディ】は破格の射程距離と火力を持つ常識破りの手本のような弓で、下手に隙を見せようものなら容赦なく撃ち抜かれる。
現に、そのスカディがタクミから5m右斜め後方の大岩を撃ち砕いた。
その衝撃から身を護るため、彼は前方に飛び込んだがその先は足場の悪い瓦礫地帯…今、彼が平地の様に立ち回れているのは風神弓の恩恵であろう。
「タクミさん!」
「問題ない、大丈夫だオボロ!
…ついてこれるか?」
「はい!」
タクミとオボロが防陣を組み、射撃位置を変える隙にカムイが右腕を竜化させてブレスによる砲撃でアオイを牽制する。
虹の賢者より託された【古竜のソウル】により力強くなったブレスは、まるでパリ砲等と言った超巨大質量砲を思わせる一撃。
衝撃波でアオイの弾幕を数多く吹き飛ばしていた。
「何があったか…見違えるような迫力だ。
しかしあの金鵄、やけに素早い…デカい癖に」
最も遅い弾速で、新型の戦闘機すら素足で逃げだす機動力を持つアオイを仕留められるかと言えば、また話が別なのだが。
―――そして事態は更に混沌へと向かう。
高速で飛ぶアオイを突如無数のパルス弾が襲った。
弾幕の間をするりするりと器用に躱すアオイだが、遂に1発が右方翼に被弾してしまった!
翼を撃たれ落ちていくアオイ…弾幕の主は――――。
「アレ…アーマードコア!?」
「味方の援護射撃か―――」「いや違う!」
カムイが声をあげた。
彼は戦いの前、幾つかの資料に目を通した…その中に【蒼き粉砕者】と呼ばれる危険機体があったのを彼は覚えていた。
―――あろうことか、この戦いに乱入してきたのはパルヴァライザー。
「アレは敵だ!ジャックさんの資料にあった…アレの攻撃は無差別だ!」
「何!それじゃ――――危ない!カムイ!」
アオイの墜落を確認したパルヴァライザーは、次なる高エネルギー反応…【古竜のソウル】を宿すカムイへと目標を変更した。
構えたパルスライフルがカムイを狙う―――が!
「させるかぁーーーーーッ!!!!」
灰色の巨体が、パルヴァライザーの上空より落ちてきた!
“岩の様な”装甲はパルスライフルすら防ぎ、そのままパルヴァライザーの頭を掴んだ!
「その鎧…ハベルの!」
「カムイとやら!貴公はその巨鳥を頼むぞ!
我はこの蒼いのをやる!」
「はい…!
頼みました!」
ハベルはパルヴァライザーを地面に叩きつけた後、何処か遠くへ投げ飛ばした。
それに対して彼も大型のブースターを吹かして落下地点へと飛ぶ。
そして乱入者の登場はまだまだ続く!
『きぃさまらぁああああああああああああッ!!』
怒髪冠を衝く、という諺を音で表したような怒号が、吹き溜まり全体に響き渡る!
―――声の主を、カムイ達は知っている!否!忘れる訳がない!
怨敵ハイドラ!奴がこの戦場に現れた!
自ら出向くとは彼らの想像を上回ったが、それでもいずれ戦うはずだった相手、多少想定外だが戦うしかない!
『どいつも、こいつも、このハイドラの邪魔をォォォ!
ころぉす!人類なぞ、もう生かしてはおけぬ!』
何があったか、途轍もない怒りを見せるハイドラ。
どうやら相当キているようで、辺りをやたらめったらに巨体で殴り散らす。
(カムイ様…!)
その時、リリスがカムイに呼び掛けた。
…まだミコトとアオイも残っている。
「(ああ!)来ォい!リリスゥーーーーー!!!」
カムイが空に向けて手を突き上げた!
空が、割れた!
そして青炎が舞った!
「∀」の形に割れた時空が、一気に大穴へと変わり何かが飛び出した!
――蝶、金魚、竜、この3種類の生き物を合わせればきっと彼女になるのだろう。
月光蝶のソウルで更なる強化を果たしたリリスが、ハイドラに向かって突撃する!
『リリスゥ!貴様までもがァ!
もういい!出て来い!“地制邪竜ギムレー”!!!』
この瞬間、混沌は極みへと達した。
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――――――刹那、スメラギの脚が止まる。
―――――――――そして、瞬く間にスメラギが消滅した!
リョウマから見て左から迫る葉隠の刃!
手前の右手の刀の奥に、もう一本左手の刀が見える。
リョウマはその右手の刀を、雷神刀で迎え打った!
その後ろから左手の刀が迫る!
それこそが奥義「交叉」の真髄!一度ぶつけた刀の背をまたもう一本の刀または棍棒で叩き、生まれた衝撃と両腕の力で盾や刀ごと敵を叩き切る剛の技!
しかしリョウマはそれを承知で迎え打ったのだ!
対の刀が近づく!
雷神刀は無事であれど、リョウマを上回るスメラギの腕力は雷神刀を押し切ってリョウマを断ち切ってしまうだろう。
それも分かったうえで、一撃目を受けたのだ!
――――――――――――刹那、対の刀が一撃目の刀の背を打つ!
――――――――――――――――――しかしその瞬間、刃の先に雷神刀は無かった!
想像を絶する力が加わる直前、リョウマは刀ごと大きく身をひるがえした!
鍔迫り合う相手を失った二振りの刀は、スメラギごと、その強大なパワーに返って振り回され、大幅に空を切り、大きな隙を生んでしまった!
ソレと時を同じくしてリョウマは、居合の態勢に入った!
この一瞬が全てを決する、対するスメラギも素早く態勢を立て直そうとする。
…しかしリョウマは既に半人前ではない。
一瞬の隙でバッサリ切り捨てる程の居合は既に習得し、今は嘗てはスメラギも使っていた雷神刀の恩恵もある。
文字通りの「雲耀の剣」であるソレは………今!確かにスメラギの胴を切り裂いた!
……眷属と化した肉体は血しぶきこそ出ないが、身体には傷跡は残る。
「強くなったな…」
「…貴方のお蔭だ、父上」
スメラギはその場で倒れ、ゆっくりと消滅した。
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自らの剣で、死にゆく者がいる。
彼はただ、薄れゆく意識の中で光と竜を見続けていた。
――長きにわたる時の間、しがらみの内にいた。
しかしそれも、これで終わり。
彼は、終わり逝く老体に無茶させることなく運命を受け入れた。
彼の名はギュンター。
竜の絶望から、復讐を見出した男。
しかし竜の光から、希望も見出した男。
カムイのリリス召喚ポーズは、ナラティブポーズ(ヨナ)みたいな感じでご想像願います。