ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
暗夜、白夜の二国と透魔王国を繋ぐ無限渓谷の崖。
ソレを無数のクリスタルゴーレムと共に、【地制邪竜ギムレー】は6本の腕で這い上がっていく。
その脚で1歩這い上がる度に巨大な城が崩れたような爆音が鳴り響き、地上からでもその脅威ははかり知ることが出来た。
…そのギムレーを止めるため、竜狩りのオーンスタインは崖に垂直に立ち、6本腕の邪竜を待ち構えていた。
その手には愛用の十字槍…ではなく、嘗ての主が用いていた【剣槍】を手にしている。
「―――この命に代えてでも、貴様は葬って見せる…ギムレー…!」
オーンスタインは崖に剣槍を突き刺し、ソレから莫大な量の雷を発生させる…雷はたちまちオーンスタインを包み込み、やがてオーンスタインが“雷”となった!
「“雷”となった竜狩りは…無敵だッ!!!!」
オーンスタインは地球を七周半する程のスピードのまま、ギムレーへと突貫した!
【太陽纏い】…それは、あの古竜の鱗すら撃ち抜く【太陽の光の槍】ですら超越する、王のソウルを用いた技の最終奥義である。
かのグウィン王ですら生涯にたったの1度しか使う事をせず、その1度の際には自ら「死にかけた」と明言する、至って危険な技である。
しかし、見返りは十分に大きい。
オーンスタインは知っている、この技は『三十枚重ねの古竜の鱗を一瞬で穿つ』事を。
ならばこそ、この邪竜を墜とすには…この技しかない。
『ウォオオオオオオオオオッ!!!』
幾億もの閃光がギムレーの前脚をズタズタに引き裂く。
…しかしギムレーはそれで止まるほどヤワな竜ではない、その脚ですら何事もないかのように崖をガッチリと掴んでいる。
―――ならばその腕、千切れとぶまで。
オーンスタインは更に前脚に攻撃を集中させた。
周囲のクリスタルゴーレムがオーンスタインに飛び掛かるが、雷の速さで動く彼を捉えることは出来ない。
『白竜の人形が!』
それどころか、余波の放電によりゴーレムたちは塵と化していく。
『ええい!まだ耐えるか!』
…事実、オーンスタインの身体は限界に近付いていた。
神族とて生き物、永く保たれるわけではない。
それにこの技は全盛期のグウィン王ですら死に近づけた捨て身の必殺、いくら念のために出力を抑えた廉価版であるとはいえ危険はなくならない。
『こうなれば…!!』
そして遂に、かけたリミッターを取り外す!
纏う“太陽”は一層輝きを強め、ギムレーの前脚を更に穿つ!
…オーンスタインが力尽きるのが先か、ギムレーが落ちるのが先か!
―――そして遂に、前脚がギムレー本体より切り離された!
バランスを崩したギムレーは、連鎖的に中脚と後脚を崖から離し、また透魔王国の大地へと落下していく。
そしてオーンスタインも、想定以上の強度に力を使い過ぎてしまい、力なくギムレーと同じく透魔王国へと落下していった。
…かと思われた。
ギムレーの前身が突如激しく沸き立った。
まるで地獄の釜の中身のようにそれはボツボツと気泡を全身から噴き出す。
そして夥しい出血の後ギムレーのシルエットは大きく変わっていく!
前脚は第2、第3の頭となり、
中脚は身体を超える程の巨大な翼となり、
後脚はより太く、より安定感のある脚となり、
そしてソウル量も並みの魂喰らいと比べ物にならない程のモノになった。
「しまっ…!」
オーンスタインは咄嗟に槍を構えようとするが、身体が動かない。
竜狩りと呼ばれた男は、ここで皮肉にも竜に殺されてしまうのか――――
―――――突然、巨鳥のような影がオーンスタインを掴んだ!
彼は何にその身を掴まれているのか理解せず、そもそも今の現状ですらよく理解できていない。
…そして手に持つ剣槍を何者かにひったくられた。
彼は取り返そうとするが、その者の姿を見て抵抗を止め、静かに手を下した。
“後は任せろ…”
巨鳥にまたがる者の言葉に彼はゆっくりとうなずき、その者にギムレーを任せた。
【BGM/Vigilante】
『よくもまぁ…俺の直属を痛めつけてくれたものだな…デカブツ!』
ライオンの鬣のような頭髪の彼は、オーンスタインと同じく【太陽纏い】を使う!
それも、オーンスタインのより何倍も、何十倍もの輝きを放つ雷だ。
『…落ちろ!地獄の果てまで!』
ギムレー全身が一瞬、目が潰れんばかりの閃光に包まれた!
気が付けば巨大な翼は細切れにされ、その全身の甲殻もボロボロに切り刻まれた!
“彼”の攻撃は止まない。
執拗なまでにギムレーを痛めつける嵐の如き閃光はすぐにギムレーをボロ雑巾へと変えていく。
『終いだ…ぶち抜いてやる!』
…ギムレーの見上げる遥か上空、そこには嘗て【竜狩りの戦神】と呼ばれた男がいた。
その戦神の本気の一撃が、ギムレーの胸を穿つ!
あまりの衝撃に雄叫びすら上げられず、邪竜は下へ下へと死にかけの身体で落ちていった。
『やっぱり、コイツはお前が持っていろ…』
「貴方は…」
『さらばだ、また会おうぜ…オーンスタイン』
巨鳥はオーンスタインを離すと、“彼”を乗せて遥か空へと消えていった。
無名の王のキャラですけど、なんかワイルドな感じの神様ってイメージが微妙にあるんですよね。なんでか分からないけど。