ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
後今回、白霊が出ますけど、鍵括弧は普通に「」を使います。
瑠璃色の蝶となり空を閃光が如く舞うリリスにまたがり、【夜刀神・終夜】を手に仇敵ハイドラへと斬りかかる。
彼らの気がつかぬ所で、幾万幾億もの時が流れた。
全てはたった一人の男の“自我”のせいで狂い、暗雲に埋もれ果ててしまった道ではあるのだが――――それも今この瞬間で終止符を打つ。
そうでなくとも、カムイ達はこの最終決戦へと向かったであろう。
『カムイ様!ぶち込みます!』
「ああッ!」
『おんのれぇぇえッ!貴様らが、貴様らなんかが存在していなければァ!』
怒り狂い、知性なき呪詛を吐き散らすハイドラは周囲に魔弾を浮かび上がらせ、リリスを迎え撃つ。
『当たるかぁーーーッ!』
最早、普段の面影の消え去った雄叫びを上げるリリスは圧倒的なスピードでソレらを一気に振り払う!
「ぐぅうううッ!」
『カムイ様!?』
しかしそのスピードから来る圧力は、数値にして25G!某殺人的な加速を誇る機体が15Gであることが、この数値の異常性を物語るだろう。
そんなGに晒されるカムイは剣を抜くどころの話ではない。
「大丈夫だ…!僕も、今から…竜化する…ッ!」
『ッ!?しかしあの竜化は!』
「問題ない…半分ならッ…!」
カムイが超Gの中、苦し紛れに竜石を掲げた!
…――眩い光の中で華奢な少年は、5m程の筋肉質な竜人へと姿を変えた。
いかつい竜の顔を持ち、まるでゴーレムか異形の巨人かと見間違えるその図体は、共に巨大化した夜刀神を雄々しく担いでいた。
『これなら何も問題ない…そっちは大丈夫か?リリス』
『ええ!ちょっと重くて、本当にカムイ様が乗っているのか疑問になっちゃいますが、行けます!』
『よかった…!行こう!』
リリスがより一層の光を放ち、遂に限界速度まで達した彼女とカムイを目で追えるものなど誰一人いなくなった。
それでも尚正確に偏差を撃ちこむ光弾を、カムイが夜刀神で弾き、その他は圧倒的速度と加速で振り切った。
だが、まるでハイドラの執念を攻撃にしたような光弾は諦めず二人に喰いつく…それらをも振り払う為に、リリスが力を溜め込んだ。
『ぅああああああああああ!!!』
彼女の翼から光の河が流れた!
それは【月光蝶のソウル】の力によるもので、しかしそれはまた別の月光蝶を思わせる虹の光子の流れであった。
月光蝶の力に曝された光弾は次々に消滅していき、空を彩る月光蝶アートの一部へと取り込まれていった。
『ハイドラ本体を叩こう!』
『はいッ!』
人類史上最速・最小旋回半径で急激にハイドラへとルートを変更したリリスの上でカムイが、夜刀神の刃の回転を更に加速させる!
『小癪なぁ!』
ハイドラも魔弾で迎撃を開始するが、対するリリスの回避速度が尋常でなく、その全てがヒラリヒラリと避けられていく。
『いっけぇぇぇぇえッ!!』
『ウォオオオオオオオオオッ!!!!』
向かい来る魔弾を全て躱し、一閃―――夜刀神の突きが、ハイドラの胴体に刺さる!…はずだった。
しかしその刃は皮膚に阻まれ、1mmも突き刺さる事を許されず静止された。
『むずがゆいわッ!!!』
図体に似合った大型の腕を振るい、リリスとカムイをはたき飛ばした!
『『うわぁあああああああああッ!?』』
強靭な一撃によって何処までも吹っ飛んでいく二人、だがカムイが身体の各所にある穴から光と水と風の混合物を高圧力で噴射し、それがバーニアのような役割を果たしリリスと共に空中で態勢を立て直す!
『そんなッ!夜刀神でも攻撃が通らないなんて…ッ!』
『単純に、威力が足りていないようですが…これ以上の攻撃力、もう私達にはッ!』
リリスは自身の感覚から分析した結果を伝えるが、その事実はあまりにも絶望的であった。
『足りないなら、増やせばいいじゃろうてッ!』
突然、老年の男性の声が響く!
いや、この声を彼らは知っている…!嘗てノートルディア公国で出会ったあの人…いや、竜!
その老いた樹木の様な“竜”は、身長だけならばハイドラに勝るとも劣らない!
竜は、ハイドラの周囲をぐるぐると巻き付けるように飛び、その間に何発かの魔弾をハイドラに放つ!
『虹の賢者様!?』
『何故ここに!?』
『何、ハイドラが悪しき何かを手にした気配がしてな…念のために作ったこれが、やはり使われることになってしまうとは』
何事かを憂いた虹の賢者の背後で、怒りが行くところまで行ったハイドラが雄叫びを上げた!
『しぃぃぃいねぇぇぇぇぇえッ――――――――何ッ!?』
またもや突然!
ハイドラの複数ある眼の内、一つに何かを突き立てようとする存在が飛来した!
『お父さんとリリスさんをいじめるなぁ!』
『カンナ!?』
そう、竜化したカンナである!
そして彼女の背中にまたがっているのは――――
「はわわわわ!?た、高いぃ…!」
カムイの妻で、カンナの母のフェリシアだ。
『お母さん大丈夫!?』
「え、ええ!私は大丈夫です!」
そう言って彼女は、腰から暗器…ではなく、日傘(に偽装したショットガン)を引き抜いた!
『何だ…それは?』
「え?あぁ、これは…あーまーどこあ?の整備をしていた人たちから貰いました!
なんでも「メイドなんだからコレ使えって」、だそうです!」
『…分からない』
まあ…おさげも丸眼鏡もないのはさておき、カンナとフェリシアは共に周囲を飛ぶ透魔兵のドラゴンナイトや天馬武者等の飛行兵を撃ち落としに出た。
天性の勘か、それとも使い方をみっちり覚えたのか、フェリシアのショットガン捌きは強烈の一言であった。
流石破壊神。
『さて、私達も行きましょう!』
『そうだね!リリs『二人とも、待ちなされ』え?』
遅れて飛び立とうとするリリスとカムイを、虹の賢者が引き留めた。
『これを持っていくのじゃ、きっと今のハイドラをも斬れるハズじゃ』
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
一方、合流した両国王族(と白霊たち)は、より数と夥しさを増した透魔兵、クリスタルゴーレムの軍隊に苦戦を強いられていた。
「父上の抑えた分も、とうとう来てしまったか…!」
「これではッ…ジリ貧だ…!」
今まさにマークスとリョウマが神器を振るい、光波で一掃してもなお倒した敵の数万分の一でしかない。
2人はカムイに代わって軍の指揮を執り、少しづつ後退していく。
カムイの軍は皆、迫る歩兵を斬り払い、急降下する飛行兵を撃ち落とし、そして大地を踏みしめるクリスタルゴーレムを粉砕していく。
それでも、それでも…敵の数は減るどころか増える一方。
加えて更に巨大なクリスタルゴーレムも出現し、潰滅は時間の問題かと思われた。
しかし彼、彼女らの物語はここでは終わらせない。
――――1機のACが飛び込んできた。
淡い紫色のレーザーブレードを両手に展開したその深海魚的デザインのACは、クイックブースト(以下QB)を駆使して瞬時に、そして細やかに間合いを詰め、鮮やかな剣技で魔剣を振るい大型のクリスタルゴーレムたちを次々と撃破していく。
そして遅れて雨の様な弾幕がクリスタルゴーレムを襲う!
数発のロケットも混ざったそれがゴーレムの体を粉微塵にして、そして弾幕の主である白いタンク型ACが上空から落ちて、1体のゴーレムを踏み潰した!
[…笑止]
[ハッハーーーーーーーッ!!!
的がたくさんだ!コイツぁ快感だぜええええええええええええええええええええええええええええええええええええええメルツェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェルッ!!!]
…最早言うまでもなく、真改とヴァオーである。
「AC…!
ったく、メルヴィルのオッサン!もっと早くよこせよ!」
「だが、間に合ってくれて良かった…」
二人の白霊が安堵していた。
[真改はともかく…ヴァオーめ、突撃しすぎだ]
[今更だろジュリアス。
そも、隊列など考えてすらなかった]
[耳が痛いな、テルミドール]
遅れて軽量二脚が2機、重量二脚が1機到着した。
その後方にも重量逆関節や四脚、中量二脚等様々なネクストが飛来している。
「増援か!」
「ああ…僕達、一応助かったみたいだ」
ヒノカとレオンが、コレを機にと一気に巻き返しを図った!
天馬にまたがり薙刀を手に突撃するヒノカとカミラの後ろからレオンがブリュンヒルデの重力操作で彼女を後押ししつつ、敵の雑兵を斥力で一気に吹き飛ばす!
後ろからエリーゼとサクラが魔法と弓で援護しつつ、最前線ではリョウマとマークスが戦神の如き戦いを見せている。
その側面でも、カムイの軍…そして、白霊(太陽霊)たちが王族たちを援護している。
「金ぴかさん!こっちに雷を!」
「分かった!」
太陽霊は両手に【太陽の光の槍】を唱え、一つ目は斜め上に、二つ目は並行に投げた!
並行に投げた槍はそのまま透魔兵3体を貫き、斜め上に投げた槍は跳躍したカザハナによる絶技【雷返し】で空中での範囲攻撃となり、多くの敵飛行兵を打雷させ墜落させた!
「そんなのアリなのか…」
太陽霊は驚愕しつつ、器用にロスリックの戦旗で透魔兵及びクリスタルゴーレムを刺し穿つ。
その背後でもカタリナ装備の白霊が断頭斧を両手に持ちぶん回している。
「どうする?マークス、全滅させるか?」
激戦の最中、第一王子二人はらしくもない軽口を叩く。
「…つい賛成したくなったが、この数は少々無理があるなリョウマよ。
ともかくだ、今はカムイ達がハイドラと戦っている。それまで持ちこたえるぞ!」
「賛成だ!」
「だとさ、鳥野郎」
「まあ…だが、俺達は別に全滅させてしまっても構わんのだろ?」
「違いないなぁ!」
「我らは、神に会うては神を斬り!」
「仏に会うては仏を斬り!」
「悪魔に逢うては、その悪魔をも撃つ!」
「ああそうだ!身体が闘争を求めるがままに!」
「「「「「「戦いたいから戦い、潰したいから潰す!」」」」」」」
「俺達に!大義名分は必要ないのさ!」
「オイなんでテメーがトリ飾ってんだよ、クソ技量野郎」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
カムイは、虹の賢者より授かった“秘策”を手にリリスと共に飛び回る。
『弾幕濃いのはいいですけど、こんなしつこく追尾するのはクソほど気に入りませんね』
『君、本当にリリスか!?』
…やはりというか、リリスの豹変に追いつけていないカムイだった。
それはともかく今はカンナやフェリシア、そして虹の賢者(竜)の援護の元、たった一度のチャンスをうかがっている。
“秘策”は確かに強力…だが、その強力さ故に一度しかカムイの身が持たない。
『ええい!透魔竜の力、嘗めるでないわ!』
とうとうハイドラが最終手段に出た。
自身の胸から一本の巨大な剣を取り出し、構えて力をためた。
『アレは…【仙者の七支刀】!?』
『知ってるんですか!?』
『ああ…過去の戦で壊れたとばかり思っとったんじゃが…ハイドラめ、何の力かは知らぬが治しておったのか!
気を付けよ、カムイ!アレは危険じゃ!』
虹の賢者の驚愕と警告に、カムイは少しの動揺を見せた。
しかし、奴が何を持ち出してきたとは言え何も変わらない。
ただ、【コレ】の一撃で決めるだけ。
『リリス…!』
『ハイドラに突撃ですね、行きますよ!!』
『よせ!あの剣は――――』
『賢者様!お父さんを信じて!』
「カムイさんなら、やれます!…きっと!」
『竜の御子、それに…』
『馬鹿め!この吹き溜まりの灰となるがいい!』
ハイドラが、七支刀を大振りに振り下ろす!
嵐を纏ったそれは、喰らえば尋常では済まぬだろう。
『カムイ様!来ます!』
『ああ!』
―――――その攻撃に、遂にカムイは“秘策”を抜いた!
秘策とはいたって単純、夜刀神・終夜を『あと5本』増やしただけ!
つまり、『6本の夜刀神』を束ねて振るう、たったそれだけではあるが、単純さ故かとても強力な秘策だ!
変形したカムイの右手は、円形に束ねた夜刀神を高速回転させた!
その姿はまるで…いや、どう見ようとも、あのオーバードウェポンの一つ【グラインドブレード】!!!
『おおおおおおおオオオオオオオオオオオオオッ!!!!』
6連夜刀神の振り上げが、巨大な七支刀をいとも簡単に弾いた!
『おのれぇぇぇぇえッ!!!』
『まだぁああああああああッ!!!』
続く右からの振り払い!
それもただ、まるで発泡スチロールのように軽く弾く!
更に左からも振り払いが来る!
今度はより一層の力を込めて、地の果てまで吹き飛ばさんとするほどの勢いで七支刀を弾き、それがハイドラを怯ませた!!!
『今です!カムイ様、跳んで!』
リリスの指示に従い、カムイはハイドラ目掛けて一直線に跳躍した!
全身のバーニアで加速を付け、その勢いは撃鉄に叩かれ、銃身を通って撃ちだされた1発の弾丸!
ぎゅららと回転する夜刀神の複刃が、獲物へと真っ直ぐに飛ぶ!
『ば、バカな…』
『うぉおおおおおおおおおおッ!!!』
―――――――夜刀神が、ハイドラの胸を穿つ!
回転刃が、神の肉を削っていく!
そこには人をチェーンソーで斬るような残虐さはなく、光となって肉が散っていく様は神々しささえ覚える。
カムイはそのまま刃を持ち上げ、頭へと持っていく!
『こんな…ッ!こんなことがぁあばぼぶぼぼぶぼbbbbbbb!?』
『終わりだ!透魔竜ハイドラ!』
何発もの斬撃に言葉を揺られ、遂に頭部を大きく破壊されていく!
そしてトドメに、巨大化した拳で思いっ切り壊れかけの頭部を殴りつけ、遥か彼方まで吹っ飛ばした!
『お、ぉおおおおおおんんのれええええええええええええエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!』
悪あがきで、もう一度七支刀を振りかざすハイドラ。
しかし―――――。
『ソレは元々儂のモノじゃ。
返してもらうぞ…ッ!』
『貴様!―――――ッ!』
虹の賢者が七支刀を取り上げ、逆にハイドラへと切先を向ける。
…しかし、賢者の身体は七支刀の力で滅びつつもあった!
『貴様ぁ!自分ごと我を葬る気かぁ!』
『そうじゃ、もう我ら竜の時代は終わった…いくら世界に貢献したとしても、害を蒔いてはタダの老害じゃろうて。共に、一つの時代に区切りをつけようぞ…ッ!』
『やめろ…ッ!
やめろおおおおおおおおおおおおおおッ!!!』
ハイドラの喉元に、七支刀が刺さる!
狂気に埋もれた透魔竜は、深い深いうろ底の更に下…力尽きた虹の賢者と共に落ちていった。
『賢者様…!』
『ええ…。
でも、ほら…戦場のクリスタルゴーレムは殆どが弱体化、透魔兵に至っては消滅したようです』
『ああ、本当だ――――』
――――――しかし、彼らに勝利を喜び合う暇はなかった。
厄災が、落ちてくる。
…その名は【三ツ首地制邪竜ギムレー】!あの太陽の長子に翼を毟られ胸を穿たれながらも、まだ生き永らえていた!
『…皆、今の僕に…近づいちゃダメだ…!』
次回 真・最終戦!
今思うのはね、リョウマとスメラギの戦いの時にね、スメラギに雷返しさせればよかったって。
あ、あとコレ、没になった奴ね。
サクラ
「私のこの手が光って唸る!貴方を倒せと輝き叫ぶッ!!
必殺!シャァァァァァァァァァァァイニィィィィィィングゥゥゥゥゥゥゥゥゥ---ッ!!――――――」
…何処で使えってんだ。