ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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因縁

 

「―――――――よう、何年振りだ?」

 

 

 

『トウヤ…!?』

 

 

十何年ぶりに聞く、親父の声だ。

いや、十年ほどアンタの記憶はぶっ飛んでいたがな。

 

だがアンタと言葉を交わすつもりはない。

 

 

「面貸せよ…親父」

 

『…』

 

腕、足、首、後頭部…あらゆる場所に刺さったコードを抜き取り、先ほど読み取った操作方法を元にハッチを開く。

 

思えば義手と義足はそのまま何だな、誰かのを移植されたかと思ったぜ。

 

 

ようやく外に出ると、既に親父はACの上に居た。

ああ…そうだ、コイツこんな顔してたな。多少老けてはいるが、あの男だ。

 

 

俺が地に足を付ける頃には、親父は此方に向かって歩いている。

 

 

「どうよ、見捨てた息子を十数年ぶりに見た感想は…!」

 

「―――デカく、なったな…」

 

「ああ、デカくはなったさ…!

こうして、アンタを十分に殴り飛ばすために、なッ!!!」

 

 

1、2回のステップの後、思いっ切り親父の顔面をぶん殴った!

遠投の要領で放った拳は強化人間の身体のおかげもあってか骨が軋むほどに――だが親父は踏ん張りをきかせたのか、その場でのけ反るだけだった。

 

 

 

「…テメエ、何がデカくなったな、だ!

ふっざけんな!俺はアンタに育てられた覚えは無い!」

 

「…」

 

「俺はもう忘れねえ、アンタに散々無視を決め込まれたのは!

それでも親かよ!お前、何とか言えよすっとこどっこい!また無視決め込んでるつもりか!」

 

 

「…」

 

 

まだ何も喋らないつもりかよ…!

いつまで、いつまで無視してやがるコイツは!

 

 

腹立つから、今度は左手でぶん殴ってやった。

鋼鉄で出来た義手の拳が側頭部に直撃し、親父は軽く出血した。

 

マズイ―――と内心焦ってしまったが、それでは示しがつかない。

だからそのまま、動くことをせずに、立ち上がってくる親父を見ていた。

 

 

「…話せよ、おい…おい!聞いてんのか!

耳だけ見た目以上に歳取ってんのかよ!このクソッタレ!」

 

 

 

 

「すまん、かった…」

 

「ッ!?コイツ―――――ッ!」

 

何、何謝ってんだ今更。

今日この瞬間になってやっと降参かよ、コイツは一体何がしてえんだよ…!

 

 

「ッ!野郎ッ!!」

 

親父の首根っこを義手で掴んで、上に引っ張り上げる。

それでも顔色一つ変えないこの男が心底腹立つ。

 

 

「お前ぇえぇ…おぉおまえええええッ!!」

 

鳩尾に拳をねじ込む。

とうとうコイツは「ウグッ」と、苦悶の声を漏らした。

 

流石に効くよな?強化人間のボディーブローだぜ?

 

 

 

「今になってかよ!

テメエ何様のつもりだ、テメエ遊んでんのか!?

次ふざけた口きいてみろ、その脳天に風穴開けてやる!」

 

ああ、穴ぶち抜いてやるとも。

生憎ナイフぐらいならあるんでね、それで穴空くまで突き刺し続けてやるよ!

 

 

 

「…そうでもないと、いや…それでも、お前の痛みには届かないんだろな…」

 

「ッ―――――――――――!!」

 

 

もうコイツにはかける言葉どころか、殺す価値すらないと悟った。

同時にブちぎれた。

 

気が付いたらただただ右手で親父を、何度も殴りつけていた。

 

 

 

「クソ!クソ!クッソ!クッソ、くっそ!くそ!くそが!くたばれ!」

 

殴る度、心がどんどん虚しくなって行く。

…一発…いや、気が済むまで親父を殴りたかった。本当に自分はそれだけだったんだなと、嫌でも分かった。

 

 

「くそ…!、くそ…!。

くそぉおおおおッ……!」

 

虚しさが達した時、親父の胸倉から手を離していた。

 

 

 

「あんた、これで分かったよ…俺が、俺が…邪魔だったんだ。

どうせ中小企業のヒラだもんな、子供二人なんて養えるような給料もらってねえもんな。

ハッ、悪かったよ。無駄飯食ってよ」

 

此処から先は、もうタダの負け惜しみだ。

 

 

もうあの時点で、俺は親父に負けている。

親父が突き抜ける所まで突き抜けたクズなら、俺は勝っていた。

 

けど…もう、知ってる。

腐っても親父だった…あの親父は。

 

 

それが気に入らない。

 

「どうせヒラの、社長だか部長だかに顎で使われる犬だもんな。

まあいいさ…犬何かに……飯食わされたくねえ…!」

 

 

 

―――今度こそ、マズイと感じた。

ああ、流石に言い過ぎたか…。

 

かなりの後悔が身体中を駈け廻ってる。

 

 

肝が冷えるって、こういう事でもあるんだな…って、改めて感じた。

 

 

「…」

 

心なしか、親父の顔が険しくなっている。

 

 

 

「…チッ!」

 

やってられなくなってきた。

もういいや、勝手にしててくれ。

 

 

 

『あー、お取込み中の所悪いけど…』

 

「何だよ」

 

突然、財団が連絡を入れてきた。

コレを口実に逃げれることを期待してる。

 

 

『未確認の機体がソチラに向かってるんだ、迎撃してくれないかな?』

 

「…わかった。

だがアレ、動くのか?」

 

『装甲が拉げただけだからね、内部は無事さ』

 

 

 

まあいいさ、何でも。

…もうこれで昔の家族とは会う事はない。

 

――――そうだ、俺は…今の家族のために身を捧げているんだ。

 

 

 

速くよく分からん仕事を済ませて、二人の元に帰らねば。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――

  ◆  ◆  ◆

 ―――――――――

 

「―――…ったく、腐食が酷い。

これじゃ一回きりだな」

 

「一回で十分なの?」

 

「ああ…それで消えるべきモノは消える。

そして―――ここからまた、別の場所に移動する」

 

「どれだけ不安定なのよコレ」

 

「いや…それも計算の内だ。

本当は俺だけだったが…まあ余裕がある、お前も来るか?」

 

「…遠慮しとく。

取り残されそう」

 

 

「―――その先に親父がいるって言ってもか?」

 

「ッ…!?

何でそんな…」

 

「俺がテメエの親父に用があるんだ、きっと母親もいる。

――――もう一度聞く、来るか?」

 

 

 

 

 

「ええ、ついていくわ」

 

 

 

 

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