ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
「到着予測時刻は何分後だ?」
『速度からしておそらく2分…あまり時間は無いね』
「その間に起動は出来るか?」
『さっき内部は無事とは言ったけど…まあ、多少コアパーツがやられてる部分がある。
装甲は考えてなかったからしょうがないけど、とにかく1分は掛かるかもね』
「オイオイ、コイツネクストなんじゃねえの?
プライマルアーマーはどうした」
『コジマ粒子は全部ブースター系に回したよ』
「ざっけんな」
酷いマシンだと心の中で愚痴を吐いた。
もう一度コックピットに戻るや、たちまちコードが勝手に身体中の接続部分に向かって伸びて、ヤツメウナギの様にそこへ噛みついた。
多少、静電気のような衝撃が奔る。
『システムオールグリーン、戦闘モード起動…準備いいよ』
「OK!」
膝立ち状態からムクリと起き上がり、レーダーの指示するマーカーポイントへ向かって飛んだ。
『あ、変形機構は問題なく使えそうだ。
でも気を付けるんだよ?今は追加装甲が無いから巡航形態は攻撃不可能だ』
「ガトリングは飾りか?」
『撃ってもいいよ?失速して落ちるけど』
「ちぃい!しっかり設計しろ!」
欠陥ばかりじゃねえか!Zガンダムを見習え!
会敵まであと34秒、武装は両腕のレーザーブレードに肩部ガトリング砲…後VTFミサイルか。
ハバスはミサイルポッドを捨てた…いや、そもそも切らしてた。
「ならば開幕斬りかかるまで…!」
その後はヒットアンドアウェイ、ガトとミサイルで一方的に全滅だ。
後4、3…2…1…。
「見えたッ――――しねぇえええッ!」
クソ!あの機体色…形は変わってるし何か違和感あるがアレだ、パルヴァライザーだ!
だが問題ない!今の機体ならば互角以上だ!
脳天からつま先までバッサリやって――――ッ!?
いや、何で動かん!
確かに今さっき両腕を振り上げて、後はおろすだけだったハズだ!
「ッ!!動け………ッ!?」
原因が分かった。
振り下ろそうとしたその瞬間、パルヴァライザーの腕に止められたんだ。
その腕が横に引っ張られ、まるで十字架へ磔にされているような格好になってしまった。
視線の奥、奴の背中で何かが動く。
それは、一見して分かるぐらいヤバそうなエネルギーを溜めたレーザーの大砲だった。
「クソ!」
何も拘束も受けてない自由な両足でキャノン砲の砲身を蹴り飛ばし、ついでにパルヴァライザーの胴体を蹴る。
…その瞬間に左腕関節を下手に動かしてしまったらしく、破損した。
続けて頭や腕に向けて蹴りを放っていると、逆に此方の脚部装甲と関節部に限界が来た。
ライールとソブレロが合体した様な見た目だったから、まさかと思ったが脆すぎだろ!
「こうなりゃミサイルありったけッ!」
爆風が危ないがこの際だ、丸ごと真っ二つにされるより被害が少ないハズ!
首回りの装甲が開き、多量のミサイルが放たれた。
直ぐ近くで爆裂の連鎖が起こり、こちらの装甲も多少のダメージを受けたが、右手は拘束からは放たれた。
あとは左腕だが、使えないんじゃ切り離すだけ。
右レーザーブレードで左腕を切り離し、QBで距離を離した。
―――直後、再びブレードを構え、奴目掛けて一直線にOBで飛ぶ!
隙だらけになっていた奴の腹部を一閃したが、何か手ごたえが無さ過ぎる。
…振り返れば、斬った部分は穴が開くどころか装甲が解ける事もせず、ただ煤が入っただけのようだった。
「化物かよ!」
そもそもパルヴァライザーはバケモノの様な機体だが、こう叫ばずにはいられなかった。
ヤケクソでガトリング砲の斉射を放つ。
だが、あの装甲まるでスーパー系かダイナミック系のロボットかのように銃弾をそよ風のように受け、涼しい態度で立ち尽くしていた。
その内、奴は飽きてきたのかブースターを吹かしてこちらに吹っ飛んできた。
ミサイルの弾幕も追加したが、まるで効果がない。
退こうとした時には遅く、瞬く間に奴の飛び蹴りがコアパーツの損傷部分を直撃した!
「うぁああああああああああッ!!
―――……チクショウ、足が…!」
どうやら凹んだ装甲が、俺の脚を潰したようだ。
幸い義足だったので何ともないが…。
そして更に、最悪の事態が起きた。
機能停止、つまり動けねえ!
上空数百メートルからフリーフォールした先は、灰の丘…ではなく古城のど真ん中だった。
「ぐおぉおオッ!!?」
レンガの地面に押し付けられて、機体の形に合わせて出来たくぼみにずぶりと嵌った。
「クソ、クソ…!動け、動けぇ!
まだ、やれるだろうが!動けえええ!」
ガチャガチャとコードを揺らしたり、壁を動かせる範囲で叩き、身体を揺らしてシートに何度ものしかかったり…意味の無い行動は一通りやったが無論それで動くような物じゃない。
不幸中の幸いだったのは、カメラ機能だけが復活してディスプレイ経由で外を確認できた事だ。
…パルヴァライザーは近くに居た。
しかし奴だけじゃない、全身KEのV型AC…つまり親父が奴と戦っていた。
「ッ!何を…!」
余計な事をするなと必死に無線を繋ごうとするが中々通じない。
「クソ、がああああああああぁぁっぁああああああッ…!」
苛立ちで吠えている内に、奇跡か何か、親父のACへと無線がつながった。
「親父ィ!余計な事するんじゃねえよ!
さっさと消えろ!」
『うるさい!俺が去ったらどうなる、お前が死ぬだろうが!』
「何を今更!テメエが消えたせいで何度も死にかけたんだ!」
『じゃあ尚更だ!償いぐらい無駄でもさせろ!
死ぬ前に一度くらいは…――ッ!?ぐあああッ』
「お、おい!
…―――クソ親父ッ!」
再び機能の完全復活を試みるが、何も通じない。
『あー、これは不味いね…機体ダメージはまだギリギリって所だけど、内部が怪しい』
そんな分かりきった事を報告しなくてもいい!
――クソ、マジでこのまま犬死かよ…。
そんな、そんなの…ッ!!
認められるわけがない。
俺は生きてやるんだ…ッ!生きて、生きてッ…!
「俺は、生き残る…生き残って、生きて、生きてぇぇえええええええええええッ!!!!!!」
―――その一念が機体に通じたのか、再び全体が動きだした。
だが関節が逝ったのか、反応がぎこちない。
しかしそれでも、立ち上がって…あの野郎に一撃くらい入れてそのまま逃げてでも生き残る算段でいる。
「野郎…ッ!くらい、やがれって…ッ!!」
そこらにあった、古城の残骸を掴み思い切り振りかぶる。
投擲に自身のあるコンディションでは無いが、とにかく当てる…そうでなくとも近くにぶつけてやる。
「お、おおおおッ、おおおおおおおおおッ!!おおおおおおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
出来る限りの全力で、残骸を投げた…!
―――幸運な事に、奴に直撃させることが出来た。
だが、装甲は傷一つ付いてない。
オマケにキャノンが此方を向いている。
「あ、ダメだわコレ…」
奔流が掠め、衝撃で塵芥のように吹き飛んだ。
宙を舞う感覚の中、着地を認識する前に意識を手放した。
さよなら、良くも悪くも凄まじい人生だったよ。
『…―――ッ!…―き…――――――ッ!!』
…
『…きて…ッ!おきて…ッ!』
…
『起きて…ッ!まだ、死なないで…ッ!!
まだ、死ぬなぁあああああああッ!!!』
――――――――ベルカ?