ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
結局、俺は死にたくなかったらしい。
昔、自分で「死にたい、死にたい」ってうわ言のように繰り返してたけどあんなの嘘だ、理不尽に死にたくなかった。
そうだ、今も昔も…死にたいなんて思っては無かった。
―――だから今見えてる走馬灯に危機感を覚えてる。
やめろ、こんなモン見たくもない!見せるな!まだ、俺は…!
しかしもう意識が持たない、誰か、誰か俺を呼んでくれ…!
…無理だよな、サヨナラ――――――
『―――――…ッ!!…――――ッ!』
誰だ、誰の…声?
死にかけってんで、お迎えが痺れを切らしたのか?
『…――――ッ!――――ッ!!!
―――……――――ッ!!!』
いや、ちげえ…お迎えなんかじゃない!
呼び戻しだ!誰かが…でも一体――――――
『返事をして…!
まだ終わりじゃない、こんな所で終わってしまうあなたじゃない…!
今、すぐ…目を覚ましてッ!』
嘘だろ…。
ベルカお前なんで、そこに…?
いや、お前だったのか…お前で、本当に良かった。
ありがとう。
もう大丈夫だ、自分でやってみる…ッ!!
「―――…ッ!!あアアァァァァァァ!!! アアァァ!! だぁァッ!! うェあ”ァァァァッ!! アアァッ! クソッ、チックショーがああああああああぁぁっぁああああああッ!!!!!」
クッソ!覚醒した途端に痛みがぶり返した!
痛ぇ!超痛ぇ!
『ッ!!???』
「ゼェ…ゼェ…完全復活…。
待たせた、ベルカ…」
『っ!良かった…!』
「ああ、熱烈なラブコールだったんでな…。
思わず目を覚ましちまったよ…ありがとう、お前がいてくれて本当に良かったよ」
こんな言葉を使った自分が今になって恥ずかしい…。
―――いや!恥ずかしくない!全く、恥ずかしくねぇ!相手はアイツなんだ、ベルカなんだ!アイツになら、どんなに甘ったるい言葉だって言えるさ!
『ねえ、ちょっと?
惚気るのはいいけどさ…実の娘の前でやる?普通』
「あ…スミカ、居たのか…」
『何?悪い?』
「そういう事じゃないっつの…」
なんであれ、家族が揃ってる…。
こんなに嬉しい事もないが、まあ…このタイミングだと複雑だ。
「お前達、何処にいる?
場所が近いならすぐ離れろ、アレは…パルヴァライザーは危険だ」
『その必要はありません、彼女達は十分離れています』
『あらら、これで遅れちゃったみたいだねぇ俺達』
「ッ!…」
また変な奴等が――いや、この声は分かる!
ええと、ええと…思い出した!
「主任と、キャロル・ドーリー…!」
『どうやら記憶は正常のようですね』
『覚えてくれてたんだ!嬉しいなぁ!ギャハハハハ!』
いや、今思い出した…。
『それで?そのボロ雑巾でどうするんだい?
もう内部が完全にダメになってるから、動けるなんて思わないほうがいいよ?』
思い出したかのように財団が顔を出した。
…しかし、言われてみればそうだ。
今の状態はシステムが完全に停止した挙句、機体損傷も80%を超えている。
…これじゃ、打つ手無しか。
―――――いや待て?そういえば、あの時の墓参りで…。
「…いや、打つ手はある。
イチかバチかの賭けだが、やってみる価値は十分にある…!」
『なんだなんだ?
人が命からがら帰ってみりゃ、随分と騒がしいな?』
あ、そう言えば親父もいたわ。
…その様子だとパルヴァライザーにフルボッコされたか、ザマァみやがれ。
「何だよ、くたばって無かったのかよ」
『エイリーク様様だな、取り敢えずお前からアレは離しておいた。
お前も無事だったようだな』
そうか、今奴は遠くに居るのか。
それはそれで好都合、準備が楽にできる。
「ああ、嫁のラブコールで息を吹き返した」
『そうかそうか、ソイツはよかっt…。
―――は?嫁?』
「そう、嫁」
『…え?マジか?見ないうちに成長したと思ったら、もうそんな所まで!?』
「ああ、とっくに20過ぎた『はぁあああああッ!?』ッ!?うるっせ、叫ぶな!」
『叫ばずにいられるか!』
何だろう…このバカ加減見てると、怒りもなんか…忘れる様な、そうでもないかな?
まあ、今になっては親父の気持ちも分からんでもない。
…俺だって、あの時既にスミカが結婚してたら多分同じ反応してただろうな、と。そんな自分が嫌になってくる。
『おい、ラブコールと何とか言ったな?つまり無線繋がってるんだな、お前のカミさんと!』
「そうだよ…!」
取り敢えず“秘策”の下準備だ。親父の相手はそのついでだ…。
『繋げ、いいから繋げいいな!』
「は?嫌だよ、どうせセクハラするんだろクソ親父」
『するか!できるかァ!
いいから!はよ、ちょっち頼む!』
これが大人かよ。
…よし、これで身の回りは片付いた。
次に先ほど読み取った機体の詳細を頼りに、必要なコードを必要な場所に繋ぐ。
全く、どんだけ組み合わせがあるんだコレ。
ああそうだ、ベルカにも一応聞いておかないと。
「社会人だったのかよこれでも。
―――あー、聞こえてた?ベルカ」
『ええ…』
「―――いい?」
『構わないわ。
ちょっと話して見たかった…あなたの両親と』
『私も、おじいちゃん…でいいんだよね?
お話してみたいなぁ…』
「そ…。
―――よかったな、大方ノリノリだぜ?」
コードの接続が完了した。
取り敢えず右手は自由だ、【アレ】を投げるには十分。
ついでに親父とベルカ達の無線を繋いだ。
「さて、どんな話をするのか気になる所ではあるが…!
…財団、もしくは主任!パルヴァライザーの場所は?」
『うーん、コレ確かに離れてるっちゃ離れてるけどさぁ。
中途半端って奴だよね?これ』
『確かに。
君が何をするつもりか知らないけど、何かを察知したらすぐ飛んでこれる距離だって事を留意しておくんだよ?』
「げ、あの親父…」
全く、移動感覚で答えやがったな?
奴のスピードとサイズを計算に入れろやバカヤロウ!
…おかげでギャンブルがもう一つ増えちまったじゃねえか。
『まあ、ハッチを開くよ…?
何をするにも、無駄な事は止めてくれ…その機体と君の身体、随分手がかかったんだからね』
「問題ねぇさ…成功すれば機体の方は、元通り以上にして返したるからよ…ッ!!」
…コックピットに光が差し込む。
さほど明るくないが、それでも十分だ。
――――【ソレ】を、ソウルから取り出した…!!
『ギャハハハハ!!
何を出したのか知らないけど、それから出てる高エネルギー反応に釣られてアイツ向かってきてるよー!!』
「何秒後だ?」
『後16秒後です』
「十分すぎる!」
カムイ含めて、皆コイツを使って来たのに俺だけ最後の最後で使う羽目になるたぁな。
いいや、最後の最後だからこそ映えるのかもな。
ソレ―――【マスタープルフ】を、勢いを大幅に付ける。
…奴が見えた、パルヴァライザーだ。
だが十分間に合う!
「ッ!!
ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!」
マスタープルフを、空高く全力で投げた。
…俺の腕力で出せる限界高度まで上がった時、眩い光が周囲を包んだ。
そして全身で、そしてコードを通じて感じる「進化」の実感…!
『おい!トウヤッ!!』
『マーシィ!』『父さん!!』
俺は、賭けに勝った…!
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間一髪、ブレードでパルヴァライザーの一撃を防いだ。
ああ、とんでもねぇパワーとスピードだ。負ける気がしねぇ。
「ブッ潰れろぉ!!」
手始めに一発、袈裟切りでズッタズタにしてやった。
気分いいぜェ!
「覚悟はいいんだな…?」
次回、最終回(前編)