ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
「まだ、まだだ…ッ!絶望ヲ、そして母なる同胞の力により人間どもをワレハ…ッ!そして再び…ッ!」
パルヴァライザー…いや、アレの中に潜むような「何か」がうわ言のような言葉を発している。
ただ聞き取れるのはどこかで聞いたような破滅的な単語の数々。
――――そも、声にすら聞き覚えがある。
『嘘でしょ、この声って…まさか…』
ベルカが何か感づいた。
いや、俺も薄々分かっていることだ。
…きっと“あの竜”を知っているのならば、誰だってそう思う。
「この声…ハイドラ!?
チクショウ逃がしたのかカムイ!」
『いいえ、ハイドラはあの時確かに倒したハズ…!』
『そうよ!あの時穴の中に落ちる途中、でっかい剣で喉元刺されてるのを見たわ!』
「だがこうして復活…―――いや、食われたのか?」
適当な憶測だが、何故かそうとしか思えない。
しかもハイドラだけじゃない、シースも…更に言えば、奴の発した単語からギムレーすらいるんじゃないかと思われる。
…もしもあれほどの存在を、いや………クソ、何も分からねえ。
『トウヤ!考えるよりも手を動かせ!』
「ッ!…言われるまでもねえ!」
だよな、どうせ敵なんだ…倒せばいい!
例えどんな罠があったってこの機体なら…。
「あまり皇帝の名をナメるんじゃねえぞ…ッ!」
腰から折りたたまれた竿状武器を取り出す。
機体全長と同じぐらい長いソイツを握り締めると、片側面から黒色の刃が飛び出して【鎌】となった。
ブラックサイスってか?いいねえ…マーシレスの名前にピッタリだ。
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【BGM・ Legend of Kaiser】
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いいぜぇ、地獄の果てまで戦ってやる!
掛かって来いよ!
「ウォオオオオッ!!」
初手、ハイドラ(パルヴァライザー)が翼を生やして豪速でこちらにすっ飛んできた。
あの肥大化した腕の爪、喰らったら不味いな。
「ちぃ!」
振り払われた腕をしゃがんで避け、反撃で石突を下から突き刺す。
衝撃で真上に飛んだハイドラを追いかけ、こちらも翼をブースター炎に変えて追いかける!
「でぇえあッ!」
「ッ!!」
空中で振るった鎌は、瞬時に手に持った両刃剣に阻まれた。
そこから剣戟が始まった…!
刃と刃がぶつかり、切先が切先を払い、打撃が打撃を弾く。
「失セロ!」
「なッ、うあああああッ!?」
途中、奴が翼を思いっ切りはためかせて突風を起こして俺のエボニーカイザーを吹っ飛ばした。
野郎…!そっちが使うなら!
「こっちの方が…汎用性は上だ!ッ!」
ブースター炎で再び翼を形作る。
翼というよりは魔人の腕の様なソイツはまっすぐに伸びて、5本の指と掌でガッチリとハイドラを掴んだ!
掴んだ手をそのまま古城に叩きつけ、空に放り投げる!
もう一方の翼で握り拳を作り、重力と勢いの狭間で停止したハイドラを殴りつけた!
再びブースター炎として、宙に飛び出す。
その間、早くもハイドラは翼で体幹を回復し両刃剣を構えた。
ノーモーションで放たれた突きが機体を掠めるが、逆に奴の刀身を掴む!
対処される前に思いっ切りソレを引っ張り、体勢を崩した隙に回し蹴りを頭部に打ち付け、更に膝蹴りでコアパーツ下部を突き上げる。
吹っ飛びそうなハイドラを鎌の刃で引っ掛け急降下…地面が圧倒的速度で近づいていく。
「よう、今日で泥を舐めるのは何度目?」
地表が目前に迫った直前に90度、急速旋回して地面ギリギリを飛び、そして鎌に引っ掛けたハイドラを地面に押し付けて引きずる!
いっちょドライブとしゃれこもうか!
「この先カーブが続きまーすッ!!!」
グネグネと、蛇を描くようなカーブを繰り返す。
更にブースター出力を上げて殺人的な速度でハイドラを引き回した果てに、そのままハイドラを切先から投げ飛ばした…!
奴は、ゴロンゴロンと勢いよく地面を転がり装甲は更に砕け、土と灰と瓦礫に塗れた。
十分転がり回りようやく止まったと思うと、よろよろと起き上がってきた。
まだ死んでなかったのかと思った矢先、翼を広げた。
何をするのか…そう思ううちにその翼は紫電を纏い、皮膜が剥がれていく。
「グァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
奴が吠えた瞬間、翼の紫電は一気に解放されて莫大な放電を起こした!
それは認識したのか瞬く間にカイザーを狙って飛来する!
「言ったよな…皇帝の名をナメんなって!」
コイツの力は伊達じゃない!
数十mほど跳び上がり、前方で鎌を高速回転させて即席的なシールドを作る。
紫電は全てその鎌に吸われ、鎌は紫電を纏って更に回転数を上げた!
後は手放しでも勝手に回る…ソイツを頭上に持っていき、まるで気ナンとか斬見たいな状態になる。
「聖ウァレンティヌスの命日はとっくに過ぎたし、お前から貰っても嬉しくないが…!3倍、いや、3000倍ぐらいにはして返すぜ!」
―――鎌を持っていた腕を思いっ切り振り下ろし、紫電を纏った鎌を投げ飛ばした!
まっすぐにハイドラ目掛け、籠った殺意を解き放ってソイツは飛ぶ!
「ッ!
ッアアアア”ッ!!」
間一髪、ハイドラは鎌を躱しやがって。
…全く無駄何だけどな!
「逃がしてやるかよ…!」
前にかざした右手を、思いっ切り引っ張った。
―――刹那、逆加速した鎌がハイドラを断ち貫く!
『嘘だろ!オイ!
完全にファンタジーじゃねえか!』
「へッ!今更だよ!」
親父が本当に今更過ぎる発言をする最中、鎌が目前まで戻ってきた。
うまい事柄を掴んで再びカーブをかけて投げ、追いかけるように右手大型ブレードを展開し駆け出す!
先程の引き回しのような蛇行をする鎌と並行してカイザーも走り、空気を切り裂いていく!
「うぉぉおおおおおおおおおおおおッ!」
奴との距離、およそ数百m!
直前あたりで大きく跳躍し、ブレードを触媒に闇術【闇の刃】を使い更に巨大な刃を成形する!
そこにオマケで、奴の紫電が落ちる!
反撃したつもりだろうが、却って自分の首を絞めたな!
「テメェ、このッくたばりやがれ!!!」
鉄塔のような剣を振り下ろし、チェックメイトを駆ける!
もう避けられねえな!
『ッ!後方斜め上に反応あり!注意して父さん!』
「ハァ!?」
スミカの言う通り振り向くと、確かに紫電を纏う何かがいた…!
…しまった!ハイドラは1体だけじゃ無かったのか!?
「ッ、うぉおらッ!」
咄嗟に上空のハイドラを切り払う!
…しかし先ほどまで戦っていたハイドラに隙を与えてしまった!
再び振り向くと、もう紫電…ではなく魔法由来と思われるエネルギー弾をチャージする奴の姿があった。
「まっずい…!」
「ぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!」
ハイドラの真上から、何か落ちてきた!
落ちてきた竜人を思わせるソレは、ハイドラにのしかかると巨大な右腕を押し付け奴を粉砕した!
「え…え!?」
その右腕の先端、よく見るとチェーンソーの束だった。
いや、グラインドブレードかよ。
そしてチェーンソーに竜…つったら、アイツしかいないじゃん…ッ!!
「カムイ!?」
「無事だったかい!マーシレス!」
「無事も何も何でいるんだ――――――ッ!」
気が付けば、ハイドラがそこらじゅうに出現していた。
全く、1匹見たら30匹いると思えってか?
『マーシィ、あなたとカムイ様の周囲に多数の敵が…ッ!!
出現範囲も大きい、見える以上に居ると思って!』
『おじいちゃんからデータが送られてきた!
一体ずつは、さっきより弱いけどこの数じゃそれ以上に手こずるわ!』
「クッソ!
ア・バオア・クー…というより、エンドレスワルツかよ!」
『敵が人間じゃ無い分、劇場版ダブルオーかもな…ッ!!!』
「あんたいつまで他人事なんだよ、全くさ…!」
『もうそんな事は言わせないさ…こっちもファットマンが早急に予備パーツで替えのACを組み立て次第持ってくるとの事だ!』
「老体が、無茶するなら後進に道譲れよ!」
『後進がアテにならんのではな!』
増援はあるらしいが…それでも少ないな。
「…という事だ、カムイ。
分かったな?百体斬りなんざ比にならねえぞ」
「よく分からないけど…。
それなら一人500体の割り当てならいけるか…ッ!!」
「いいや?一人5万だ…行けッッッ!!」
続く