ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
「ひとつッ!!!次!」
今更少数量産機がなんだ、ナインボールがなんだってんだ。
これ以上迷う気もないし立ち止まるだとかそう言うのだって論外だ。
折角のエース級揃いのようだが、サクッと落ちてもらう。
――まあ、この2機連続はまぐれみたいなものだけど。
「ふたつッ!!
もういっちょ!!」
2機目を貫いたブレードを引き抜き、3機目に近付く。
…だがあの機体、思いのほか中距離の火力が高かった。
俺は立ち止まらないとは言ったが、振り返らないとか後ずさりしないとは言わない。
今まで、納得いくまで同じ道を行っては戻りを繰り返した…躊躇いはない、それで俺とあいつ等が生きていられるってなら!
「ちぃいッ!
弾幕ぅ…!!」
想定以上に濃い弾幕のせいで、機体損傷率が20%まで達した。
さっきまで1パーセントにも満たなかった損傷率だぞ、カイザーの装甲が…だぞ!
「こなくそ…ッ!
コイツも確か、元はネクストのはず…ッ!!」
ならばコジマ兵装の1つや2つくらいあってもいいだろ、何か…何か!
―――あった、一つだけ!
「コジマ…コジマ、何だ?これ英語じゃねえな、なんて読むんだよ!」
スペイン語かイタリア語かなんだか…バグったようなアルファベットの羅列に兵装の機能が予測できない…だが、こういうのは大体感覚で分かる!
そういう機体だ、そういう身体だ!
「でぇぇええええええいッ!」
イチかバチか、自分の勘に任せて機体を動かす…!
――――するとどうだ?
たちまちカイザーの真横で、何とコジマが電磁誘導による加速を始めた。
それも、何もない空間でだ。
…成程、コイツはそういう事か。
「予測不可能の…オールレンジ攻撃ってか!」
生成された、コジマの弾丸を3番目の機体に向けて発射する!
…成程、弾速も申し分ない!
直撃するや、3番目の頭部は吹き飛びコアには大穴を開けて下へ下へと落ちていった!
「良し!みっつだッ!
…のこり6機、逃げられると思うなッ…」
生憎、この身体はマルチタスクにはめっぽう強くてね。
たったの6機…成程、100体以上をミサイルロックした時よりも遥かに簡単だ。
「コイツで仕留める…!」
―――――ターゲット、オールロック。算出完了。
―――――Pアーマー生成、Iオービットチャージ。
―――――ブレード内臓K(コジマ)ビームライフル、スタンバイ。
―――――脚部変形。内蔵型Kキャノン、スタンバイ。
―――――オールスタンバイ!オールファイア!
「踊り狂え…余を楽しませィ、マルキュー共…!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
~とある場所、司令塔~
「………ダメ、何を操作しても変わらないわ」
「…そう」
「母さん?大丈夫?
意識がうわの空だけど」
「え、え?
だ、いじょうぶ、よ…うん……」
「母さん心配することもないよ、だってあの父さん…だよ?」
「そう、ね…」
「―――ゴメン。私、嘘ついた」
「…」
「父さん、絶対無理してた。
結局いつも一人だけで何でもかんでも…」
「…ええ、そうね。
ずっとずっと、一人で頑張ってくれた」
「…」
『―――…ぇ…ゼぇ…ッ。
ななつ、あと…機―――…――かフッ―…―……』
「ッ!!」
「ねえ!聞いた!?」
「聞こえたわッ!
…マーシィ!」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
『―――……―――…シィ…!」
「!、繋がったか…!」
多少ノイズがうるさいが、ここまで聞こえれば調整も出来るだろう。
「ベルカ…無事か?」
『ッ!ええ、何処にいるのか分からないけど襲撃とかは無いわ、今の所』
「そか…良かったよ。(そこんとこは財団共に感謝だな)
終わったら迎え行くよ、そこで待ってろ…!」
『わかった…。
でもよかった、とても元気そうで』
「ああ…。
でもな、さっきは驚いたぜ?まさか無線の先がお前なんてさ」
『ダメだった…?』
「バカ言いなさんな、根暗とイカレがオペレートするのなんかより、ずっと心強いし嬉しいさ」
『ありがとう…。
ねえ、実は…――――』
「ん?何?」
『―――ううん、やっぱりいい。
続きは帰ってきてからにする』
「そうか。
――――ッ!そうだな、帰ってきてからにしよう…!」
『…帰ってきて、絶対』
「分かってる。
俺は、死なない…」
最後の最後だけ、カッコつけるだけカッコつけて……でもそれでいい。
死を恐れちゃいねえが死ぬ気もねぇ、ほんと…こんなになるまで、俺って…!
「―――――――ッッッッ!!!!」
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【BGM/Thinker -reprise-】
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落下する中戦っている内で、ただただ清々しさだけを感じた。
…こんな気分で戦ったことなんか無かった。いつも俺の戦場にはどこか「黒」があった。
それが今は、無い…何だろう、ここまで突き抜けてサッパリしたのも違和感がある。
けど気持ち悪さは、やはり無い。
全くそれでいい…いいじゃねえか!気分いいんだぜ!?理由なんざ考える必要も無ぇ!
「ははは、ハハハハハッ!!!」
翼に粒子が纏わり、羽ばたく度に何かを放ち続けている。
ソイツが何かは知らないが、残った2機へと飛んだソイツは片割れの1機を粉々に砕いた…!
最後の1機がレーザーブレードを展開して斬りかかりに来るのに合わせて、ブレードパイルの火薬を装填する。
「ぁあああああああアアアアアア!!!!!」
――――すれ違った刹那、レーザーブレードの熱がカイザーの装甲を焦がす。
―――――しかし同時に、こちらのパイルが奴をぶち抜いた!
ダメージは此方が勝った!
…だが奴は傷口からボウボウと黒煙を吹きながらも、まるでかすり傷かのように平然としていた。
成程、そういえばコイツはリーダー格の機体だったな。
そして、どうやら“底”も見えてきた。
翼で落下の勢いを相殺し、奴もブースターで宙に浮いている。
この風景、そうか…ラストレイヴンで死ぬほど、というか死ぬ度見たフィールドだ。
ただ一つ…おそらく動物性由来の蔦状がそこらに張り付いている事を除けばだが。
到着か、インターネサイン中枢に。
―――竜の姿が無残にも傷だらけで満身創痍となりつつあるカムイもいた。
「マーシレス…ッ!
気を付けてくれ、あれは…ッ!」
「喋らんでいい、言葉は無用だ」
…その時、壁の至る所からハイレーザーが放たれた!
その全てをブレード一振りで撃ち消し、終えて一度深呼吸をする。
仕切り直しで、周囲に収縮コジマ粒子を複数用意した。
…カムイの汚染が気になるが、まあ神の竜の子供だろ?
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- in the end - 道の果てに…
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……蹴った、地面を。
近づけば、互いのブレードが刃をぶつけ合った。
実体とレーザー、質は違えども平等に…どちらかの刃が欠ける事もなく平然とぶつかり合える。
相手の突きのモーションに合わせて、あの光の刃…その根本に手を添える。
奴の突きが不発に終わった瞬間に添えた手でそのブレード装置をガッチリ掴み、そのままブレードを奴の首筋へと突き立てた。
深々と駆動系を破壊した感覚を覚えて、直ぐにブレードを引き抜く。
続けて蹴りで穿つことを試みるが、流石に手足を破壊してないので易々と避けられた。
再び奴との距離が空くと、破壊した首が何気もなく平然と動いた。
――――成程、セラフって奴か!
第2ラウンド…!ブレード先端を開きビームをバラまく、その先々は全て空撃ちで終わり壁に激突した。
けど最初からセラフなんか狙っちゃいない、後ろのレーザー砲が邪魔だったんだ。
…つまりインターネサイン本体はもう自衛手段を持たない。
それにヤケを起こしたのか、セラフがパルスキャノンを鬼かと思うほど連射してきた。
さっきまでの戦闘で心得てる…アレ喰らえばカイザーが落ちる!
うまい事ジャンプ連打で躱し、次に用意してきたショートバレルのレールガンをギリギリ躱す。反撃で脚部に仕込まれた可変速ビームキャノンで両肩を撃ち抜く…!
奴の両腕が音を立てて爆発した!
機械にも動揺があるのか、そのまま動く気配がない!
…だから、本能のまま“ブレード”を振りかざした!
加速含めたブレードレンジからは大きく離れている…でも、絶対に届くと自信があった。
「ッッッッッッ―――――――!!!!!!」
ただ、ただただ…思うがまま、全力で…出し惜しみなく。
やれるだけの、出せるだけのパワーで大地を蹴った…!
その勢いのまま我武者羅に、ブレードを…………
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◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
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◆ ◇ ◆
横一文字に抉られた空間、何もないハズの底が爆発に塗れる。
その中でコックピットを降りて、あのセラフの残骸へと向かう。
手に、いつもの剣を持ち…ソイツの切先を引きずりながら。
セラフの断たれたコアパーツ…その腹から、何かが吐き出された。
紫色の炎…を、纏うハイドラだ。
機体と同じ様に身体の上下を斜め45度に切り離されて、その上半身がコックピットより飛び出してきたのだ。
「ガァァぁぁ…ッ!マーシレスっ…」
「…てめえ、もう終わりだな」
「何を―――――ッ!!????」
一撃、先端をそのまま振り下ろして背中に刺した。
刃の真ん中まで、一度に深々と刺さったソイツを更に…じっくりと、差し込む。
「ァ”ァ”ァ”ァ”…………ギャァアッ!!????」
二撃、向きを変えて刺した。
一度目の痕と組み合わさり、それが十字に見える形になった。
最後……ハイドラから一歩引いて、剣を大きく振り上げた…!!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ッ。
気付けば…剣は地面に深々と埋まり、周囲が紫と水色に燃えていた。
…そっか、終わったのか。
あの…地獄の繰り返しが、こうして終わりを実感してみれば短く感じた。
ふと思い出し、義手の左手を右手で探る。
…ああ、やはり。結婚指輪が無かった。
得も言われぬ虚無感のなか、手を下す。
…帰る場所を思い浮かべながら、自らのカイザーを眺めた。
……ベルカ……………。
「…ゴメン」
カイザーが、ぼやけていく。
もう一つの身体が、霞んでいく。
何かが噴き出しそうなまま、早歩きで機体へ歩む。
再び視線を下し、両手を眺めた。
…今度こそ、膝から崩れ落ちた。
眺めていた両手で、自らの顔を覆った…。
目の奥が熱い…ああ、ああああ……。
「ッ…」
――――もういいんだ!苦しまなくても!
求めて求めて焦がれ続けたものが、もうすぐそこにある!
ただただ、ただただ安心のうちに彼女と添い遂げられる日々が――――ッ!!
「っっっっっっ―――――!!!!!」
言葉もでない、思いつかない。
その感覚が…ソレだけの感覚が、非常に重かった。
もう、もうッッッっっっっっっっっ…………
「ォォォォ、ううっ……ぅああああああああああッ…!!!!」
這うように、這うように…機体へとたどり着いた。
数あるコードをかき分け、ただ一つ…無線機を手に取った。
「…っ、ただいま。終わったよ…全部………!」
『おかえり。
…いままで、ありがとう。これからも―――――――』
次回、本当に最終回。