ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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…目の前で、ベルカが今にも息絶えそうな姿で横たわっていた。
それは右肩から左わき腹までバッサリと切断され、実質上半身のみが残る状態であった。

『ふふ…また泣いてる。
あの日の朝も、泣いてた…きっと変な夢でも見たのね」

 
そう言って、彼女は血塗れの手で涙をふき取ってくれた。


うそだ…嘘だ!
何処だ、何処で段取りを間違えた!?

今度こそは成功するはずだった、なのに…なんで、なんでだ!


 

 
「…もう、長くないわ。私…』
 
「そんな…!」
 
『ごめんなさいね、散々言ってた私の方が…死んでしまうなんて…」


「…俺は、お前にまだ謝ってすらいない」
 
「気にしないでいいの…別に…貴方が悪いわけじゃ無い。
…一つだけ…いい?」

 
「ああ…」

 

もう彼女が消えかかっている。
本当に時間が無い。


やめろ、やめろ…やめろやめろヤメロヤメロヤメロ!!

 
「…生きて。
私の事は、もう…――――――」



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 ◆  ◆  ◆
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 ◆  ◆  ◆
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「ッ!―――――――。
………夢か」

酷い悪夢だ…そうか、運命とやらは俺を逃がすつもりはないらしい。



空を見上げた。
画面にヒビがあるせいであまり綺麗とは言えないが、それでも青い青い空だ。

「…終わったんだよな?本当に」













エピローグ

『大丈夫です?随分うなされていましたが…』

 

「んにゃ、問題ない…」

 

両腕をピンっと伸ばし、大きな欠伸をした。

その間に鼓膜が押し込まれるような感覚を覚える…俺は人体学など詳しくないので理屈は知ったこっちゃないのだが。

 

 

『―――………ユ、帰投してくれ』

 

『了解です。

…そういう事なので、そろそろ着地の準備をお願いします』

 

「あ、ああ?あ……あぁ…」

 

 

 

 

…後何百人ものベルカを、また殺すことになるのかもしれない。

あの悪夢は、只々そういう気分にさせてくれた。

 

また「そんな事俺には関係ない」と我儘を突き通すのも考えた…しかし、何のための我儘だと考えた時、それは止めようと思った。

 

 

―――ふと、腰辺りに何か異物があるのを感じた。

纏いつくコードを一部だけ外し、ソイツを手に取ってみる。

 

 

 

「…モーゼル?」

 

『はい?何か…』

 

「いや、何でもない…」

 

いくら何でもこんな拳銃、持ち込んだ覚えが無いが…。

そもそもこの機体(正しくは進化前)に気が付けば乗せられていたのだ、もしかしたら念のためだと持たされていたのかもしれない。

 

銃身には【EX-elector】と書かれていた。

えくす…?いや、えくせ…れくと、いや、れくたー?

 

 

 

…成程、エクセレクターね。

キングスフィールドⅢに登場する月光剣、ダークスレイヤーに次ぐ第三の聖剣の名前だ。

 

俺の記憶が正しければ、Ⅲはこの聖剣を大地に突き刺したことで世界に光が満ちて終わったハズだ。

 

 

 

 

 

「…あっそ、そういう事」

 

…何に突き動かされたか分からないが、衝動的にやってしまった。

 

 

モーゼルにしちゃ中途半端に長いバレルを飲み込んだ。

銃口がしっかり脳へと向いているのを確認して、ゆっくりと引き金に手をかける。

 

思えばそうだった。そろそろ我儘にも決着を付けなければいけない…。

 

 

殺し過ぎたんだ、俺は。

今へと向かう為に…幾億幾万もの。

 

 

「(今度こそゴメン…!)ッ――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――しまった、セーフティを外すのを忘れていた。

 

そのおかげで冷静になれた。

何バカな事を考えていたんだろう。

 

 

…何か生暖かいモノが、頬の上で落ちる。

 

 

「…涙、か。俺の…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、俺は生きる。

生き残って…アイツを、ベルカを愛し続けてやるって…そう決めたんだ。

 

例え離れ離れになってでも、来る日も来る日もずっと…そうしてやるって。

 

 

何百年後、世界が滅んでしまってもいい。

今の“俺達”が、何かに怯えることなく生きれる…その一つだけを貫くと決めた。

 

もう自分を曲げられない。曲げたら最後、幸せが奪われてしまう。

 

 

 

さあ、生きよう。

それで、良いんだよな?俺―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 【魔神の剣 マーシレス】

 

 

地獄に住まう魔神が如き巨剣を振るったこの男の人生は、多くの謎に包まれている。

 

 

時代は『人類種の革命期』と呼ばれた『第一次暗白戦争』後にまでさかのぼる。

当時、最恐の傭兵とまで呼ばれた男は戦後数年間は表舞台・裏舞台共に姿を消す。

 

この期間は「異界に渡った」とか「ただ単に隠居していた」、「故郷へと帰っていた」と様々な憶測が今でも飛び交うが、事実は明らかになっていない。

しかしある時から、突然市井の間から歴史の表舞台そして裏舞台等様々な場所で細々と姿を現す。

 

彼の残した日記と思われる書物によると、どうやら生活費のために実業家として活動していたらしい。何でも、あらゆる事業を立ち上げて金が一定以上溜まる度、協力者または別の資産家等にその事業の権利をボッタくり同然の金額で売るのを繰り返していたとの事だ。

 

こうして彼から生み出され、そして手元から離れた事業はそれぞれの人物の元で様々な形で歴史に影響を与えていく。それは成功して今日まで形を変えて残るものもあれば、選り取り見取りな原因で失敗するものもあり、失敗した物の中には権利者が暴走して一悶着起こすまで発展した事業まであったという。

 

こうして事業を乱立していたら、当時妻のベルカを通じて関わりのあった暗夜王女カミラに最終通告を受けたらしく結局は金融関係…砕けたような言い方をすればサラ金紛いの仕事をやっていたらしい。(この当時サラ金は珍しかった)

 

しかし家族の身を案じて数年で手を引いたとの事だ。

 

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    ~数時間後・とある廃家にて~

 

 

「…この家、まさか生き残るとはな」

 

あの後、どうやら地上でもハイドラ・シース軍の侵攻があったことを知った。

どうやらあちこちでクリスタルゴーレムや透魔兵が暴れていたらしいが、突如【機械の神々】が現れそれらをバッタバッタとなぎ倒したとの事。

 

…うん、確かにあの面子は神々だよな。

俺の生まれ世界のスーパーヒーロー達だもん、そらシースもハイドラも勝てんわ。

 

 

で、そんな奴等との闘いであらゆる家屋が吹っ飛ぶ中、生き残った建物にあの廃家もあった。

 

 

 

普通に王女サマを通じて王宮の一室でも借りる手もあったが、まあ気分って奴よ。

 

 

 

「ねえ、ワイン飲まないの?」

 

「ん?ああ…酔えないのに飲む気分にもな」

 

「そうね…でもいい味よ?

流石銘柄の偽モノブレンドなだけあるわね」

 

そうか…まあ、せっかくのエセ高級ワインだ。

因みにこういうニセ銘ワインは同じ産地の安モノを上手にブレンドして作られる。

 

酒さえそろえば、後はブレンドする人間の味覚と才能がモノを言う。

彼女の言葉からして、随分と腕のいい奴が作ったらしい…。

 

 

「王宮勤めだと、そういう事も分かるようになるのか?」

 

「そうね…何だかんだいい酒は飲んでた…」

 

「ふーん…俺なんざ酒の飲める歳になる前に国から引っ張り出された。

ま、ワンコインで買うファンタオレンジは美味かった…」

 

「そう…」

 

でも飲むことにした。

「飲め、さもなくば出ていけ」って、ローマ人の言葉だ。

 

ま、ファンタで満足するような男に酒の味なんざ分かるわけないし、そもそも味覚が死んでるんだ…――――。

 

 

 

 

―――アレ?味がする。

何の拍子だ?それとも財団が一枚噛んだのか?

 

どっちにしろ僥倖に変わりはない、久しぶりの味わいを楽しむとしよう。

 

 

「…ゴホッゴホッ(あ、俺…ワインあんまり得意じゃないや)」

 

「ふふっ」

 

「笑うなよ」

 

思った以上にアルコールがきつかった。

やっぱり俺、ファンタグレープでもいいや。

 

 

…次第に瞼が重くなり、身体も熱くなっていく。

 

「おかしいな…もう参っちまった…」

 

「…そうね」

 

目を向けると、ベルカも十分出来上がってるようだ。

そういえば喉が渇いたのか、一杯目は一気飲みしてたな。

 

そして経過時間と飲むペースからしてこれで三杯目。

グラスのサイズからして十分かな?

 

 

つうかベルカ、こんなに飲むんだ。

 

「お前が、こんなに飲むとは知らなかった」

 

「今日だけよ…」

 

 

 

 

 

「なあ…?」

 

「なに?」

 

「俺で、良かったのかな…」

 

「…」

 

「俺って、俺ってさ…」

 

…これ以上先に言葉が無かった。

何を言えばいいのか分からない、ただ…ただ、彼女に…。

 

ダメだ、考えるだけでも言葉が続かない。

 

 

 

 

そうしてる内、彼女がすり寄ってきた。

この、一般的に「密着」と呼ばれる状態が、彼女の体温を一番深く感じられる。

 

「ダメ、そういうの…。

あなたの悪い所よ」

 

「あ…あぁ…」

 

顔が近い。

もう紙切れ一枚入らないんじゃないかと、それくらいの距離だ。

 

「今日、この時までずっと…あなたは頑張ってきたわ。

きっと明日は来る…」

 

 

…遂に唇が重なった。

思う存分互いを探り合った後、ほんの少しだけ離した。

 

 

 

「ああ…明日からは休みだよ」

 

「そう…なら、今日は夜更かししても大丈夫ね」

 

「しても問題なく仕事出来るだろ?」

 

 

 

きっとまた、思い悩む時がくるかもしれない。

…それでも、そうだとしても今は違う。

 

ただ、隣に居て欲しい女性がいる。

 

 

 

やっぱり、これでいいんだ…―――――。

 

 

 

 

 

 

 

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そんな彼も、家庭ではごく普通の父親であったようだ。

稼いだ金の半分は娘スミカの勤めていた研究所に(彼女のためだけの金として)つぎ込み、そして彼女の結婚式のために稼ぎのほとんどを使い果たす程の奮発をしたらしい。

(ただ、その時は新郎を一泡吹かすために教会に滑腔砲を数門仕込んだようだ)

 

因みに彼の父親は【機械の神々】の一員だとされる文献があるものの、事実ではないと思われる。

 

 

それはさておき、彼の一番の謎は、彼の墓が今現在も発見されていない事だ。

既に妻のベルカ、娘のスミカ等関連人物の墓石及び埋葬された遺体も全て発見されているが、彼のものだけ見つからないのだ。

 

家族愛の深かった彼が、妻や娘の隣に自分の墓石を立てないとは考えにくい。

もしも本当に、家族の遠くで果てたとして、どんな事情があったのだろう…謎はより深まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、次号のヒステリーディテクターズは【創業200周年記念!!ブラックサイス社の創立者・トーヤー】の特集だ。是非とも楽しみにしていてほしい。

 

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―――――――ただ一言だけ、ありがとう。

 

 

『ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語 おわり』




…ども、クソ作者エーブリスです。
今日この日までこの小説を読んで下さった方々、誠にありがとうございました。

さて、ここでは後書きとしてあれこれ書いていこうかと考えましたが…まあプロローグで予定以上の気力を使い果たしてもう書くことが無いという事態に陥ってしまいました。

最後まで締まりのない男です、本当にありがとうございましたゴメン。


さて、この『ナニカサレタ男』の世界のその後、どうなるかと言われるとね?やはりというか竜の門や吹き溜まり経由で流れてきた渡来者の技術でイギリスなんか比較にならない産業革命が起きるとしか言えませんね。


まあどうでもいい話はともかくですね、次回作も一応考えてます。
ちょっと前に短編で投稿した『猟兵走る!(仮題)』、今度はベタですけど覚醒の世界を舞台に超ポジティブ馬鹿野郎少年が頑張る話です。

それと同時並行で、限定公開で本編直後の話とか、物語の補填もとい後始末の話を通常投稿で書いたりとか色々考えてますが…とにかく猟兵は未定、限定公開と後始末は確定ですね。

というか後始末でやりたい話があるんです、一つ。
それが前回の最後にでたアレ、番外編で存在だけ説明した『セレン』くん。


…セレンだけど「君」です!いいね!

まあ彼を生かしておいたのは、マーシィへのちょっとしたプレゼントのつもりです。何様だよって話ですけど、マーシィ頑張ったからね?




それでは、また会う日まで!
―――え?もう顔も見たくない?やだなぁ、あと一作か二作くらい付き合って?

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