ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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続くか分からないけど、取り敢えずって事で予告も兼ねて。


【泡沫の記憶編】シックステール【EP1】

 

生きた心地がしない。

何だろう、死後の世界があるなら…こんな気分になってしまう場所なのだろうか。

 

終わりの喪失感…なんて言えばいいのか、私には理解できない。

独力だが学問には力を入れてきたつもりだったのに…世の中は知り得ない事ばかりだ。

 

 

…本当に、自分の世界が崩れていくのは瞬く間の事だった。

慣れ親しんだ土地が、庭が、家が、ドアが、窓が、ベッドが、本が…今は焼け焦げて、塵芥と成り果てた。

 

 

私の父も………きっと目の前で…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――あの時、父は巨大な鉄のゴーレムの腹に居た。

書物で見たゴーレムとは違う…私の家が2つか3つ分程の高さで…攻撃的な装飾の6本の尾を持った…ほぼ完全な人型だった。

 

『誰だッ…!?

スミ、カ…何でお前…』

 

『父さん…?

何、やってる……の…』

 

『…』

 

 

ゴーレムの腹から見下ろす父は、何も答えなかった。

ただただ目線を落として…。

 

 

『ずっと…ここに居たワケ…?』

 

『…』

 

『ねえ、何か答えて…!

ねえってば!!』

 

『…悪かった、再起動に、手間取って――――』

 

『何よ!再起動って!

言い訳のつもり!?それならアンタ、バカよ!痛いバカよ!』

 

『ッ…』

 

 

言い過ぎてしまったかもしれないと、今でこそ思うが…あの時はどんなに言ったって足りなかった。

 

ほったらかしの男が今更になって、しかも私が必死で、3人の世話係すらも見捨ててまで生き延びてきたという時にこの男はずっと家の地下で呑気に立てこもっていたと言うのだ。

 

 

 

でも、本当は…本当、は…。

 

 

 

 

 

 

 

…鼓膜が破れそうなほどの爆音が響いた。

もう此処もバレてしまったのか、母に教えてもらった隠し通路も。

 

焦っていた私は、どうすることも出来ずにいた。

もしかしたら“魔術”で防壁を張るなり槍で迎え撃つなり…どうとでも出来たかもしれない。

 

 

そうする前に、私の背後にガランッと…梯子が下りてきた。

 

 

『…上がれ』

 

父はそう、冷たく言った。

 

『なんなの、どういうつもり?』

 

『上がれ』

 

 

『何?やっぱり暴力で解決するのが好きなわけ?』

 

聞き返してもただ、それだけしか言わなかった。

流石に(というか最初から)腹が立って、また感情に任せた言葉をぶつけてしまった。

 

根拠も何もないような暴言だった。

けれども父はただ…。

 

 

『…上がれ、速くッ』

 

静かだが、先ほどよりも強いトーンで言い放った。

気圧された私は、言葉に従って梯子に手と足をかけた。

 

その時、今までで一番大きな爆音が轟いてきた。

 

 

すると父は持ち前の馬鹿力で私ごと梯子を引き上げるのだ。

流石に驚いた。

 

 

あっという間にゴーレムの足元が遠くなり、腹部がすぐ頭上に来ると父が手を差し伸べてくれたが、彼の力を借りたくなかった私は強引に払いのけ、残りは自分で這い上がった。

 

…腹には座席があった、そして何かよく分からない装置の数々も。

 

 

 

『J、来たぞ…俺の後任だ』

 

『娘に業を背負わせるか…』

 

何処からの声だったか…あの時は考えている暇が無かった。

さっきから「?」の印で頭がいっぱいなのだ。

 

『コイツ程頑丈な装甲を、他に知らなくてな』

 

『ちょ、ちょっと…何話して――――』

 

 

 

また一段と、大きな爆発がした。

 

『時間ねぇな。

―――スミカ、コイツ…エボニーカイザーは…お前のモンだ、さっさと乗りな』

 

言い返す間もなく、父に押されてゴーレム(エボニーカイザーというらしいが)の腹に押し込まれた。

 

 

座席に座ると、父が顔をのぞかせた。

そしてこう言ったのだ。

 

『…例え何がお前を待ち受けても、何がお前を……とにかく、コイツは邪魔するモノを何もかも跳ね除けて、そして蹴散らせる。

そうするのはお前の意思だ…俺もお前も、どの世界の人間も世界を回す歯車でしかないが、歯車だからこそ“意地”というのがある。

生きようとする、生きて目的を成そうとする意地だ…』

 

彼は最後に私を指差し…その【鋼鉄の左手】で自らの右胸を叩いた。

 

 

『…無くさないでくれ、絶対に』

 

 

 

 

その言葉を最後に、父さんは飛び降りてしまった。

足場だった部分が迫り、私のいるゴーレムの腹の中を密閉する。

 

 

 

―――――数分後、父さんの断末魔と爆音が至近距離で鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…涙?

私の…?」

 

頬で何かが伝った感覚がしたので、目元を擦るとジワリと湿っていた。

 

 

『そうだ、貴様は今泣いている。』

 

「ッ!?

だ、誰!?」

 

『紹介が遅れたな…私の事はJと呼ぶがいい。

今、この瞬間から、前任パイロットの希望により貴様の“生存”をサポートする』

 

「ぜん、にん…?」

 

『特殊構成物質ボディ被検体、SCNTB-Ty.D-02Mの事だ』

 

「誰よ本当に」

 

『…マーシレス、そう呼ばれていたな』

 

「マーシ…ッ!

父さんじゃない!ホントさっきから何なの!このゴーレムだって!」

 

 

『騒ぐのはいいが…敵反応が近づいているぞ』

 

「ッ!?」

 

『この機体の装甲を破るような敵は居ないが…ここに居座ればどのみち死ぬ』

 

 

 

…父さんには、助けてもらいたくなかったけど…助けてもらいたかった。

何を言っているのだろう、何を考えているのだろう自分は。矛盾だらけだ。

 

 

 

 

 

 

 

嘘だ、嘘ついた。

助けてもらいたかった…お父さんに、お母さんに。

 

それだけじゃない………そうじゃ、ない……。

 

 

 

 

 

 

 「父さん、母さん……」

 

今この瞬間は、自分が「泣いている」と認識できた。

 

 「……行くわ、私」

 

 

 

目の前の、左右の鉄のような棒を握り、ゴーレムの仕掛けをガシャリと動かした。

 

まるで最初から、昔からこの機械に慣れ親しんでいたかの様に。

 

 

 

「(これが、望み…だったのよね…!)生き残るわ、例え何が邪魔してきても…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーレムが歩き出した。

まるで私の意地に賛同してくれたみたいに。

 

 

 

 

 【EP1、黒檀の帝王・完】










シックステールの名前は、【泡沫】というDLCタイトルからだったりする。
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