ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結)   作:エーブリス

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 【エボニーカイザー・シックステール】

エボニーカイザーが更なる改修…否、“進化”をした姿。
ジェネレータ内ににコジマ粒子と共にある「とある宇宙線」の他に、「もう一つの虚無」と呼ばれる場所より力を受けて超常的、非科学的を更に極めたモンスターマシン。

ただ、AMS(の様な何か)による操作だったマーシィのBKとは違い、一般的なレバー操作なので反応速度は劣ってしまった。
それに伴い、コックピットの仕様も大幅に変化しており、そのおかげで耐G性能等も多少変化している。







【泡沫の記憶編】シックステール【EP2】

 ◆  ◆   ◆  ◆   ◆  ◆

 

小さい頃、父はバカみたいに不死身だと教えられた。

母がいつも言っていたわ…「戦場のど真ん中を一人で走り抜けては、かすり傷も負わずに帰ってくる」と。

そんな仕事場での父の話と、実際に見る…ちょっと訳の分からない面白さの父を見比べて家族みんなで笑うのが誕生日の楽しみだった。

でも、私のいる“秘境”は時間の進みが父さんや母さんとは違う……幾つの頃からか、二人共私の誕生日に来なくなった。

世話係の人がフォローしてくれたけど、もう死んだものだと思う事にしたわ。その内ホントに死んだと思い込んでたから、再会したときは驚いた。

 

不死身の伝説も終わった。

その伝説を受け継ぐのは…もしかすると私かもしれない。

ゴーレムの虚無が…そう告げている。

 

 ◆  ◆   ◆  ◆   ◆  ◆

 

 

 

 

 

―――目覚めると、ゴーレムの腹の中だった。

 

…いや。もうゴーレムなんて、どんくさい呼び方はやめよう。

この子にも名前がある、【エボニーカイザー・シックステール】…長いわね、取り敢えず【ライノドッグ(犀犬)】と呼ぶことにするわ。腹の中(“コックピット”と呼ぶのを知ったのは後の話)の壁に書いてあったの。

 

犀に、犬…確かにそんな顔してる。

いや…それよりも、あれだ…本にあった大きい猿……―――そう、ゴリラ。

何となくアレに似てる…。

 

 

「…そうでもない、かな?」

 

さっきのゴリラはナシ、やっぱ似てない…ゴツいだけ。

 

 

 

 

それはともかく、此処、暑い。

外に出たいのだけれど…どうやって開けるのかしら?

 

 

「…これじゃ、ないわよね。

それじゃこの…?」

 

あれこれと弄っていると、急に開いて外の空気が流れ込んできた。

何もやってないのに…。

 

 

『ハッチの開閉なら私が管理している』

 

「J…あんた友達居る?」

 

『私にはそのような性格も友も必要とされていない』

 

「あっそ…」

 

 

このぶっきらぼうな使用人(みたいなヤツ)を放って、外に出た。

ライノドッグは跪く形で鎮座していた。

 

お蔭でそっと飛び下りるだけで外に出れたし、戻る時も多少よじ登るだけで済みそうだ。

 

 

…目の前は湖だった。

秘境から此処まで必死に逃げてきたから全く気がつかなかったけれど夜はとっくに明けていた。

 

ちょっと汗を洗い流そうかと思ったけれど、昼間じゃ他に誰かがいるかもしれないし…そういう気分じゃなかったから顔だけ洗う事にした。

 

 

 

とても綺麗で、澄んだ水だ。

…とは言っても秘境にあった湖も同じような水質だったし、新鮮さは何もない。

 

父さんは別だったけれどね、いつの日か秘境に来たとき「ほとんど真水だ」とか言ってはしゃいでた。

あの人は私が小さい頃一度だけ故国の海の水質の悪さについて語っていた。ほんと可笑しかった。湖と海を比べるというのも何か違う気がするし、そもそも彼の話は本当だったのだろうか?抽象的な言葉ばかりでしかも直ぐに言葉の詰まる…要するに下手な説明のおかげで、今じゃ信じる気にもなれない。

 

 

 

「…フゥ」

 

顔だけ、やっとべたつきが取れた。

 

「…背中かゆ」

 

…やっぱり誰もいないから、一度全身を洗うのもいいかもしれない。

もう一度、辺りを見回してみたが先程と同じく人影らしい人影は見受けられな―――――まって、今一瞬誰か…。

 

 

「気のせい、よね?」

 

そうであって欲しい、きっと樹木かその影を人と見間違えただけだ。

幽霊なんて…其れこそ論外よ。

 

 

「誰…?

何処にいるの…?」

 

決してその姿を見た訳ではないけれど、それでも声に出して“ソレ”の正体を探らずにはいられない。

 

 

 

 

 

『――――――…―――……ここ、よ…』

 

「ッ!?」

 

軸がブレたような、でも美しく掠れた声が聞こえた。

同じ人間が二人、片方がワンテンポ遅れて全く同じことをしゃべっているような…そういう声。

 

そんな不気味さ全開の声がする方向を振り向くと、不気味…とは真逆の神聖さを感じられる青白い霊体…?の女性が居た。

 

 

綺麗…というのが彼女に対する率直な感想。

 

 

「だれ…?」

 

『…ごめんなさい、それは言えないの。

でも…貴方の敵ではないわ』

 

「…」

 

確かに、敵のような感じはしないしそうも見えない。

 

…けれど信用しきる事はできない。

これも父さんが言ってたことだけど…曰く、例え「100%」信用できる話でも相手に最後の「1%」の信用を示させて「101%」信用できる話にしなくてはならない…だそう。

 

 

……多分出まかせね。

父さんは面倒が出てくるその都度潰してその他何もしないような杜撰な人だから。

 

今はそれすら懐かしくて愛しい……何を言ってもしょうがない。

 

 

 

しかしその教えが此処で生きてくるかもしれない。

その「1%」の証明をさせようとした、その時……。

 

 

 

『――――…――…ッ』

 

突然、女性がブレた。

何を言っているのか分からないかもしれないけれど、私にはそれ以外の言葉が出せない。

 

 

本当に“ブレた”わ、一瞬。

 

『――…虚無のせいね―…あまり長くは…いられない…――…悪いけれど、手短に話すわ…―――』

 

「え…え?

虚無?」

 

彼女は何を言っているのか…。

 

 

『――…貴方の自由よ、全ては…―――きっと、知る事になる…―――5番目―――――…―――………――――…』

 

 

 

ほとんどが砂嵐のような雑音に紛れ聞こえなかった。

そのせいで要領の得ない言葉になってしまっていた。

 

…5番目、それと虚無。

何の事かしらね。

 

 

 

 

  ◆  ◆    ◆  ◆    ◆  ◆

 

 

「ただいま、敵とか来てない?」

 

『約5分前から機体周囲19kmにかけて敵が疎らに出現している。

内数体がこの機体であれ脅威となり得るパワーを持つのを確認…対処するなら早急に済ませるがいい』

 

「ちょっと!

なんでそんな情報速く伝えなかったのよ!」

 

『無線を置いていったのは貴様だ』

 

「言い訳していいわけ!?

大声で叫べばいいじゃない、何よムセンって!」

 

 

ライノドッグに帰って早々これよ。

ホウレンソウってのを知らないのかしら、この無神経野郎は。

 

『スピーカーはこの機体に搭載されていない。

無線は左上のヘッドホンだ、頭部に装着しろ』

 

「何…これ?このティアラだかカチューシャみたいなの?

――――…こう?この付け方であってる?」

 

『………それでいいなら、問題はなかろう』

 

「なんなのよ!問題あるの『脅威個体が此方に感づいた、早急な殲滅を推奨する』ッ!ええい

!どうにでもッ!」

 

何か腹立つけれど戦わなければ。

…ライノドッグ、右手の……あれ?こんな武器見たこともないのに自然と使い方が…。

 

 

ともかく、「そういう事」って奴…なのよね。

 

「まあいいわ…“狙い定めて、ぶっ放す”、それで十分ならッ…!」

 

 

 

ライノドッグを空高く飛ばして、上空からの索敵を開始した。

 

――――居たわ、コッチとほとんど変わらない大きさの奴。

アイツが脅威個体とやらね。

 

「先手必勝…喰らえッ…!!」

 

3体いる内の1体に狙いを定め、右手のレバーのボタンを押すと…ライノドッグが持つ右手のデカブツから巨大な光弾が打ち出された。

 

避けるのも馬鹿らしくなるような速度で飛来したそれが1体の敵に当たるや否や、ソイツは跡形もなく消滅した。

 

 

こんなものが、もし自分に向けられたらと思うと震えが止まらない。

 

「自分が持っている分には…最っ高ね!」

 

もう一度、今度は二体目に向けて撃ったけれど…流石に躱された。

こんな速度の飛び道具を躱すあたり、脅威なんて呼ばれるワケも分かる。

 

 

「だったら当たる距離までッ…」

 

『止めろ、この機体は中距離での射撃戦を想定したものだ。

近接戦闘では分が悪い』

 

「じゃあどうやって!」

 

『…初撃をノーロックで当てたのは褒めてやる』

 

 

突然、目の前の景色の情報量が増えた。

出てきた印とか何やらは、敵に対して狙いを付けているかのような表示だった。

 

それに反応して、ライノドッグの右手も勝手に動いているみたい。

 

「…なんだ、勝手に狙ってくれるじゃない!」

 

『引き金は貴様自身が引け』

 

「言われなくても!」

 

 

カチカチと引き金を何度か引いて牽制射撃…のつもりだったけれど、相手はそんなのお構いなしにガンガン向かって来た。

 

というかあいつ等、いつの間に翼なんか生やしたのよ。

 

「チッ!

やっぱ近づいたほうが速い!」

 

『………勝手にしろ』

 

 

こっちも猛スピードで飛んで殴り込みにいこうかと考えたのだけど、その前にまた新しいライノドッグの機能を“知らされた”。

 

もうこの現象が何なのかは気にしないけど、(もしこの機体のせいだとして)あまり人の頭を勝手に出入りしないで欲しいものね。

 

 

「“瞬間移動”って…こんなの反則じゃない」

 

全くいい、それでいいわ…これで一気に後ろに回り込んで、2体とも一発でブッ飛ばしてやる!

そう思った矢先、奴等が変な光弾を飛ばしてきた。

 

あんまり遅いから、普通に身を翻したって避けれそう。

 

「このッ…!

当たらないわよッ…!」

 

丁度2体の奥を狙うつもりで、ライノドッグの左手をかざすとあっという間に瞬間移動を行えた。

 

 

機体をぐるりと180度回転させて、右、左、と奴等を狙い撃ちにした…当然一発よ。

 

「やったッ…!

J、他のは?」

 

『脅威個体は確認できない…だがここいらは敵の歩兵が多い。

領域を脱出しろ』

 

「ええ…!」

 

 

空を飛んだまま、地上に蠢く奴等を見下ろしつつその場から去った。

 

コレで戦ったのは初めてだったけれど…やれる、私…やれてるハズ…!

生き残れるわ、何があっても…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも、それだけの力かしら…?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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