ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
あ…後、今回に限って三人称…というよりそれぞれの解説の様な形で書かせて貰います。
どうしてもマーシレス視点じゃ全員をかけない…僕の力不足です。
それと戦法の要望があった方以外の闇霊の戦法、ステ振りは適当にこちらで考えておきます。
『その一、上級騎士装備の赤ハル闇霊』
この闇霊は比較的軽い装備と、赤柄のハルバードのインファイトの強さを生かし、積極的に敵陣に突撃する言わばアタッカーだ。
時々予備のファランの大剣と持ち替え、広範囲の攻撃を狙ってくる。
「くッ!!…何なの!?あの赤いの!あんな大きな剣を担いでいるのにどうして…こうもちょこまかと…!」
「ウチにもそんなのいたねー!」
「後退を挟んで来る分、こっちの方がやり辛いわ!」
避けるべき攻撃は避け、隙あらば竿状武器のリーチで敵のレンジ外から攻撃を仕掛けてくる。
素早さの高い侍と天馬武者…カザハナとツバキが相手で会ったのが幸か不幸か、今現在激しい攻防戦が展開されていた…!
「このままじゃ埒が明かない…ツバキ!回り込んで!挟み撃ちを仕掛けるわ!」
「了解!完璧に仕掛けるよー!」
泥死合に痺れを切らしたカザハナが、現状打破に出た!
どうやらカザハナが闇霊の攻撃を捌いている内にツバキが背後から奇襲を仕掛ける作戦のようだ。
戦略としては良かった…だが、この状況では二つほど致命的な見落としがあった。
一つ…
「今よ!」
「任せてー…!」
「「これで…」」
「「終わりだ……ッ!?」
闇霊が一対多という状況に慣れていたこと。
ロードラン、ドラングレイグ、ロスリック…どの地においても闇霊は数的不利を強いられる可能性が高い…あまりにムカつく可能性だ。
だからこそ、闇霊は数的不利から生き残る術を自然と体に染み込ませ、生存率…又は侵入の成功率を上げてきたのだ!
故に、挟み撃ちは決行直後から闇霊の経験と
「くぅぅ…!またコロコロと…!」
そして二つ…
「でもそっちは崖だ、王手ってヤツだねー!勝たせてもらう……よ………え?」
「ツバキッ!!!!!」
暗夜、白夜共にハルバードという武器がなく、対ハルバード戦術に乏しかったこと。
ハルバードとは高い技量を必要とする代わり、矛で突き斧で斬るだけでなく、鉤爪で引っ掛けるという使い方もでき、某フリー百科事典には『熟練者の武器』と書かれる程に洗練された武器なのだ。
加えて両国どちらにもハルバードの様な武器は存在せず、ツバキ自身も最近まで殺人的な書類の整理に追われてマーシレスの持ち込んだハルバードを見る機会が滅多になかったのだ。
この二つの要因は闇霊にとって「攻撃してください」と言わんばかりの隙を見せている他なかった。
ツバキは低空を飛ぶ天馬から、地に引き落とされた。
「ぐあぁあッ!」
背中から衝撃が伝わり、数秒の間硬直する。
刹那の駆け引きの中で生きてきた闇霊にとってはとどめの攻撃に十分な時間だ
ハルバードが天高く振り上げられる。
それはまるで、処刑人の斧の様…
処刑台に首を置かれたツバキは、その瞬間を気付かずに待つのだろう…
ギロチンの刃は落とされた……はずだった。
「私の臣下に、手出しはさせません!」
◆ ◆ ◆
『その二、甲鉄城のタマネギ ~季節のセスタス、ツヴァイ、呪術を添えて~』
―――その装甲は、
「イくぞ!オーディン!」
「くくく…いよいよ俺の出番か…!」
その玉葱の身のこなしは、百戦錬磨の戦士のソレであった。
ゼロの放つ矢を(一般的な盾と比べ)面積の少ないセスタスで的確に受け流し、オーディンの放つ魔術を混沌の火の玉で相殺。
稀にオーディンがショートソード片手に仕掛けてくる剣術を、歴戦の中で磨かれた体術でカウンターをかます、 ――かの玉葱達の言葉を借りるならば―― アグレッシブタマネギだった。
「ぐほぉおッ!くッ…玉葱のくせに…!」
地に投げつけられたオーディンは、おぼつかない方向感覚で体制を直す。
「チッ…あの水晶の大剣があの鴉を思い出すから余計に達が悪い!」
「レオン様まだ根に持っていたんですか…とにかくあの玉葱は自分をこんがりと焼いてくれればイイんですがね…」
「そんな間抜け野郎だったら俺達は苦労してないっての!」
オーディンはまた魔法の詠唱を始め、ゼロも弓に次の矢を番える。
それに合わせて闇霊も、月光セスタスから両手セスタスに切り替え殴り合いを狙う。
「何だアイツ、拳で抵抗する気か!?」
「くそ~!、だが、今しかチャンスは…」
「やめろオーディン!魔法職が白兵戦をしかけるな!」
そう言っている間にもゼロは、矢を放つが全て闇霊の拳に弾かれた。
「一応剣の心得はあるんだけどな…」
「お前は魔法の詠唱に専念しろ、イイな!?」
「あ、ああ!」
再び詠唱を始めるオーディン。
しかし、闇霊の拳は目と鼻の先だった…!
「のぉわッ!」
咄嗟に魔導書で拳を防ぐが、その際の衝撃でオーディンは体制を崩されてしまった。
その隙を好機と捉えた闇霊は、がら空きの腹に左腕フックをねじ込む!
「ごふッ…かはっ!」
「塵になれ!玉葱!」
オーディンをカバーするようにレオンがブリュンヒルデを唱える。
気配を察知されて紙一重で躱されたが、その隙にゼロの杖でオーディンを回復させることには成功した。
闇霊はソレに腹を立てた素振りを見せるが、直ぐに体制を整え呪術の火を構える。
今度は先ほどから投げていた混沌の火の玉ではなく、苗床の残滓を放った!
「さ、さっきよりもでけー!」
「見とれてる場合か!この馬鹿が!」
漫才の最中でもお構いなく、呪術は放たれる。
「第二射来た……ッ!」
リンゴの木が、混沌を遮る!
再び放たれた残滓をブリュンヒルデで防いだ…所までは良かった。
爆炎が晴れると、闇霊の姿が消えていたのだ!
かごから地に転げ落ちて紛失した玉葱を探すが如く、必死に周囲を見渡すレオン隊。
しかし、その必死さを裏切るように闇霊は姿を消していた
いや、正確には幻肢指輪を使い、ギリギリ見えない所まで離れていただけだが…
そして闇霊は狼騎士の大剣を手に、一網打尽の機会を狙う。
地に飢えた玉葱のように、静かに機会を待つ。
時が来た!
狼の剣技の凶刃が、レオンを狙う…!
「!……なッ!?」
しかし、レオンの視界に映る赤い影は玉葱ではなかった。
◆ ◆ ◆
『守備の鋼鉄エリートナイト』
重厚にして軽快。
守勢にして攻勢。
堅実にして多芸。
この闇霊を表すならば、この単語の数々だろう。
言葉の通り闇霊は堅実な守備に重きを置き、しかし時に背後から又はパリィで弾き致命の一撃を狙う。
そしてその鎧は城壁のように重く、しかし闇霊の体力とハベルの加護はそれで尚、その高い機動力は全ての重みを忘れさせるほどに軽快。
更に闇霊の剣が持つ強い祝福は、魔竜には少々キツイ物であったようだ。
「あの剣、竜に対して特攻でもあるのかしら?」
「それよりもどんな筋力してたらあんなに大きい盾をブンブン振り回せるのよ!?」
「…そんな事、慣れっこよ」
カミラ隊は闇霊の技と筋の絶妙なバランスと高い体力の副産物である膨大な持久力による固い守りに苦戦していた。
数の差に加え全員が斧を装備できることによる総火力の高さのアドバンテージを以てしても闇霊は防御を崩さず、かといって未だ積極的に攻撃に出る様子を見せなかった。
しかし、その戦況の変化は急に訪れた。
きっかけは、ルーナが不用意に剣の刺突を繰り出した事にあった。
その刺突は見事にパリィされ、ルーナは急所を晒す羽目になる…
「…え?」
(う、嘘…よね…?。また弾かれるなん…て…)
それまで守勢を貫き通していた闇霊はここぞとばかりに大型の黒剣……黒騎士の剣に持ち替え致命の一撃を狙う。
「危ないッ!」
…が、その前にカミラ(正確には魔竜)のタックルに阻まれ、更には大きく吹っ飛ばされた!
闇霊はしかし、すぐさまロングボウに持ち替え火矢を番える。
初撃はバレルロールで回避されてしまったが二撃目を撃つ時間、そして飛行兵相手でも十分に距離を保っていられるほどの機動力を、この闇霊は持っている…!
「あれほどの技術に加え弓まで…なんて騎士なの…!」
「そうねベルカ。剣術に至ってはマークス兄様にも引けを取らないわ」
飛行兵の二人は矢を警戒しながら、闇霊との距離を詰めることを試みる。
「ああもう!何で固い、強いと来てなんで速いの!?」
決着、未だ見えず。
◆ ◆ ◆
『驚異の技量99(笑)!』
オマケ闇霊
・いつの間にか玉葱闇霊の苗床に巻き込まれ
技量に振り過ぎて体力と生命力がカスだったのが原因。
因みに達人コスだったのも原因。
◆ ◆ ◆
『進撃する岩山』
誰かがまだ歳が片手の指で数えられる頃、こう考えた。
――大きな岩山を人間大の鎧にしてみたら、どれほど重いのだろう?
――そしてその見返りとして、どれだけ硬いのだろう?…と。
月日は流れ、そんな小さな疑問は頭の奥深く、深淵へと追いやられた。
しかし、ある時その疑問の模範解答の一つを知った…
きっかけは、偶然見つけた情報。
それは、『岩のような』と例えられる最重最硬の鎧。
その誰かは感じた、これこそ岩山の如き…いや!岩山そのものを鎧にしたモノだと!
その『岩のような』ハベルを纏う闇霊は、浮かぶ大地をずっしりと踏みしめエリーゼ隊へと進撃を始めていた!
「なんて事だ!?全く刃が通らないぞ!」
「しっかり繋ぎ目を狙っているはずなのに…!」
かの霞を喰らうような荒ぶる神の化身にも似た威光。
それはいかなる攻撃も容易には通さない。
右手に持つ処刑人の大剣は、今は刃など無いに等しい。
月日のせいだろうか、それとも元の持ち主が敢えてそうしたのだろうか。
左手に持つのは、闇の眷属へと堕ちた騎士ダークレイスの得物ダークソード。
その直剣と言うには大きく、分厚く、そして重いそれを闇霊は、自らの膨大な筋力を濃く反映させるよう変質させた。
その二振りを乱雑に…しかし慣れた手つきで振るう様は、恐れを知らぬアーマーナイトのエルフィですら怯ませた!
「ぐうぅぅ…そんな、押されてる…」
「怪力自慢のエルフィが押されてるなんて…私も加勢す「ダメです!エリーゼ様!」で、でも…」
「貴方はまだ魔法を覚え前線に出たばかりだ、今ここで不用意に出るべきではない!それに、貴方を命をかけてでもお守りするのが我々の使命です」
「…わかった、私は後ろから回復をがんばるね」
「ありがとうございます………良し!!岩のような悪党め!この私が直々に正義の鉄槌を下してやる! うおおおおおおおおおおおッ!」
ハロルドは透魔の浮かぶ大地を駆けた。
向かうはハベル装備の闇霊…!
駆ける、只々駆ける。
そして自らが手にする斧を高く振り上げた、その時だった…!
いつもの不運が発動し、微妙に空いた穴に足を滑らせてしまった。
(なアッ!?持ち前の不運がここで…)
どうやら彼は女神だけでなく、神族たる大王の旧友にも嫌われているようだ。
「ハロルドッ!…っく…!」
それを心配したエルフィは、僅かに力を緩めてしまい、また徐々に押されてしまった。
「まだだ!…この私は、まだやれる!」
しかし、彼はその不運がなんだ?と言わんばかりの勢いを持ち、立ち上がる。
「うおおおおおおおおおッ!!!」
声の限り、吠えるように叫んだ。
どんなに転ぼうともいつか、たどり着くと信じて。
何度足を滑らせ挫け、転がり、方向感覚を失い迷えども。
呼吸が続く限り、前を見続ける!
しかし、闇霊を手前にしてまた石に躓き倒れてしまう。
それを闇霊は無慈悲にも顔面から蹴飛ばした。
「ぶごぉおッ!」
「ッ!よくも…!!」
エルフィはそれに怒り、一層力強く踏み込むが目の前の岩山を押し返すにはあと少し足りない。
そう、後少し…後少し。
「ぬうぅぅうおおおおおおおおおおおおオオオオオオオオオオオッッッ!!!」
ハロルドの不運、そしてタフさを侮る事なかれ。
落雷が直撃しようとも気絶だけで済まされるそのタフさは、いくら岩山の蹴りでも簡単に削りきる事は出来ない!
果たして不屈の意思は、岩山を崩すに至るのだろうか…!
◆ ◆ ◆
『“ソレ”が当たったら、終わり』
多くの人にとって、“敵が”見えないことは脅威である。
「ッ!コレは確か…鴉頭の言っていた…」
「はい、結晶魔術ですね…」
多くの人にとって、“敵に”見えないことは好機である。
この闇霊は、多くの亡者、魑魅魍魎、そして神族から奪ったソウルを自らの英知に多くつぎ込み、何時しかそれは上位者にも劣らない物へと近づいていた。
そのおぞましき業は、ソウルの魔術をより強くし一撃必殺とも言うべきものへと変えた。
――とは言っても、そのおぞましき業はどの闇霊…もといどの不死も行っているのだが
「しかし、一体どこから撃ってきているのだ?」
「前にあの鴉頭から姿を消す魔術を聞いた事があるが…」
「それは俺も聞いた。しかしそれは姿を薄くするだけだったはずだ…ましてやここまで消せることなどありえん!」
「いや、あまりそう言った先入観は持たぬ方が良い。どうであれ気を緩めるな二人共!」
「「承知」」
二人の忍びはそれぞれ手裏剣を構え、主たるリョウマは雷神刀を構える。
神経を集中させろ…さすれば殺気が読める…
此処で闇霊はあらゆる竜の指輪と幻肢の指輪をつけていた。
幻肢の指輪により遠くから見た姿が消え、静かに眠る竜の指輪により闇霊の出す音は全て消えていた。
ソウルの魔術師は、同時に暗殺者でもあるのだ。
静かに奔流を構える。
詠唱の度、蒼い結晶の杖…古老の結晶杖にソウルの力を溜め、それを放出せんと目標を狙う。
既に目標はリョウマ隊ではない…
ただ一人、スキュラの掃討に赴くマーシレスただ一人。
“消し飛ぶがいい!”
何だか闇霊の過大評価が過ぎたかな?
でもここで闇霊の方々が派手にやってくれなければAルートはこれ以上の見せ場がないんや…許してや…