ナニカサレタ男がFEifの世界で色々するだけの物語(完結) 作:エーブリス
先ほどは闇霊の侵入という、想定外の事態が起こったがどうにか撃退には成功した。
だが結局奴らが侵入してきた理由は分からなかった。
誰かの人間性、または残り火につられたのだろうか?
それともシースかハイドラか…
若しくは全く別の、第三勢力の仕業だろうか…
◆ ◆ ◆
「エドモンの旦那に感謝だな…」
行軍中の僅かな休憩時間、それを使い連射クロスボウに手入れを施す。
このクロスボウ、エドモンの旦那が珍しく親切心で整備しやすいようパーツをある程度ユニット化してくれたのだ。
まあ、AKの様な感じだ。
オマケに壊れにくい。
とは言っても2日に一回の手入れを一度でも欠かすと壊れるのはどうかと思う。
「泥水につけても動くくらいのタフネスさは欲しかったぜ」
旦那の事だ。これ以上は望めん…
整備も終わりに近づいてきたころに、カムイが話しかけてきた。
「何かな?王子サマ」
「マーシレス…一つ頼みたい事があるんだ」
「頼みたい事?」
「ああ。なんていうか、言いにくいというか言葉にし辛いというか…何故か向こうに何かがあるって感じるんだ…」
向こうに何かが…?
そう言えばそろそろ本来ならばロンタオが本性を現すシーンがあったな。
確か呪詛の地下遺跡…だったっけ?
とにかくそこで何かが起きるんだ、多分。
「つまりアンタは直感的に何かを感じたが確証が無いから、そこんところに謎の理解がありそうな俺を同伴者に選んだ…ってことか?」
「いや、そういう…違う訳でもないけれども」
「じゃ、さっさと行くぞ。面倒は早めに処理をしておきたい」
「ああ…」
◇
「なあカムイ。例のガキについてだが…」
「ガキ…ロンタオがどうかしたの?」
不意に、思ってもいないことをしゃべっていた。
特に聞きたい事もない話題を何故か口が勝手にしゃべっていた。
おかしなことを言っているのは分かっている。
でも実際そうとしか言えない。
だが喋ったのも事実。
とにかく何か話題を引き出すか…
「あー…お前、気が付いてたか?」
「気が…付いて……一体なにを…?」
マジかよ…よく生きてたなこの王子。
「おいおい…お前、後少しであのガキにケツ掘られる所だったんだぜ」
「え?」
「ああ、言い方が悪かった…あの大弓の攻撃が無かったらもしかするとお前の腰には刃物が刺さってたかもな」
「それって…!」
「そうだ、ロンタオはお前の命を狙ってた。言わばハイドラとシースの手先…いや、捨て駒ってのが正しいかな?」
「そんな…」
そうだ、ここいらの下りをすっ飛ばされていたのか。
まあいい…王族に代わって言っておくか。
「俺を仲間に入れた時もそうだったがカムイ、あんたは少々人を信じすぎだ。
それでもお前は『怪しいと言うだけでは人を疑えない』というだろうがね、何も世の中善人だけって訳じゃあない。
むしろ悪人が大半だ…お前の良く言ってお人よし、悪く言えば世間知らずなのを利用する輩は腐るほどいる…まあそんなのは既に腐っているだろうが」
「…」
「とにかく、お前はリーダーなんだ…そこんとこ注意しておけよ…」
ここまで説教を垂れてきたが…正直、自分で言ってて吐き気がしてきた。
何を分かった様な口をきいているのか俺は。
むしろ世間知らずは俺も同じじゃねーかよ。
後先考えず、ただ鉄塊を縦横に振り回すだけの暴力装置。
そんなのにあれこれ言われる筋合いなんて誰にもない。
思想家の真似事は一人でやってろ、他人を巻き込むな。
お前はただ、いつまでも自動人形の役を演じてりゃいい。
「それはそうともう一つ、右…いや、左に気をつけな。
腐れネズミが押っ取り刀で駆けつけてきたぜ」
「…へ?」
カムイが間抜けな声を出した直後、壁が吹き飛んだ。
『ギュアアアアアアアアアア!!!』
そこから飛び出したのは人の膿…人の膿ロンタオだ。
「さっきから脳味噌の機械がうるさくってな。いつの間にか条件反射でこいつを握るようになってたぜ…同類!」
その、条件反射で握りしめた火炎壺を、ロンタオに思いっ切り投げつけた。
また、甲高いやかましい声が響いた。
早く、Bルート…