回転割砕の魔導右腕(ライトアーム)   作:変色柘榴石

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2013/09/05:後付伏線を最後に追加
2013/12/17:あとがきJS計算修正 13→10


八話「語らいは茶の間の中で」

小高い丘の上に建てられた神社、霊峰神社(れいほうじんじゃ)

霊峰の名の如く、一定以上の高さに位置する場所に造られるのが定められており、ここ海鳴市にある霊峰神社は本殿とされ、それほど大きくはないものの霊障関係(陰陽師、巫女、錬金術師、魔術師など)には少なからず顔が知られており、それなりに融通の利く立場の神社だ。

 

そんな神社の奥。

母屋の縁側に面した茶の間に、二つの影があった。

 

方や、黒髪に赤いリボンが特徴的な霊峰神社が巫女:『霊峰鈴(たまみねすず)

方や、セミロングウェーブの金髪を流した白衣の錬金術師:『天野まり』

 

二人が目を向けるのは縁側寄りに設置されたテレビの画面。

そこには姿を変えた同級生と、半球に囲まれた同級生、そして砕け消えゆく三つ足頭蓋骨が映っていた。

 

 

「どう見る?」

とは、鈴の言葉。

その目には、あからさまに『面倒なんだけど』と言う意思がありありと見えた。

そんな様子の鈴に、まりは苦笑一つ。すぐに真剣な表情に戻して意見を述べた。

 

「明らかに『次元』関連だな。ロストロギアーっとか聞こえるし、情報じゃ死んだ両親と姉も局員だったみたいだ」

「そーよねぇ、やっぱし……。ましてあそこってばこの前アンタと私がクレーターとか修復した場所じゃない」

 

クレーターと言うのは、昨日魔法戦があったことと、封時結界などの異相結界を張らなかった物的証拠でもある。

霊峰神社は裏側としての管理者の面を持ち、霊地としては最良の土地としても有名な海鳴市の裏側関連の仕事の一部を鈴が受け持っているのだ。

親友である同級生、まりの役割はその手伝い。

錬金術師として、研究に材料は必須。

その材料集めをする際に繋がった情報屋との連絡網は、鈴としても役に立つものであった。

その中には『次元世界からのお客さん』もいるが故に、魔導師や管理局関連のことをひっくるめて、『次元関係』と二人は称している。

 

既に二人は、画面に映る同級生二人を含めて『八つと21の魔力反応』を知っている。

『21の魔力反応』の内、三つを既に二人は収集してある。

札が一枚貼られた透明の箱の中に三つの青い宝石。

それは紛れもなくジュエルシードの姿であった。

 

「今更ながらに鈴が封印術得意でよかったと天野さん思うんだぜ……」

「アンタのは封印と言うより『隔離』だものね」

「面倒事は後回し主義なんでな」

「同感」

 

同意した鈴を訝しげな顔で見つめるまりだが、当の本人は知らん顔だった。

まりは溜息一つ。再びテレビの液晶へと目を向ける。

そこには潰れた車椅子に落胆しつつ帰ろうとする二人の同級生の姿。

封時結界展開前であったが故にほぼ修復不可能な車椅子の姿に思わずまりは苦笑する。

 

……あの二人は色んな意味で大変だなぁ、オイ。

 

後で知り合いに頼んで修復させるか、と密かに思うまり。

その一方、鈴の方は片肘をつきながらノートパソコンを使っていた。

その画面をのぞいてみると、そこにはとある電脳掲示板のスレッドの一つが映されていた。

 

「『外部』の奴と情報収集か?」

「ええ、何気に知識は豊富だし。それなり役立つわ……かなり偏ってるけど」

「なのはのとかの一部周辺情報だもんな……これでストーカーじゃないとか詐欺だぜ」

「”あいつら”曰く『イエスロリータ・ノータッチ』だそうよ」

「小学生に何語ってんだよこいつら……」

 

『外部』

それは鈴たち裏側の人間が定めた『特殊状況の者達』の総称だ。

由来は『特定状況”外”からの来訪者』とのことらしい。

本人たちは、自らをこう呼んでいる――

 

「『転生者』に――『憑依者』、ね」

「確かに輪廻転生の概念とかは聞いたことあるけどさ、未だに半信半疑だぜ?」

「それでも、ロストロギアの墜落、なのはの魔導師としての覚醒など、大筋は同じようにつながっているし差異があっても大差ないはず――だったんだけど」

「最大のイレギュラー、か。それが私らとかか」

「まるでFF(ファンフィクション)とかその領域よね……私たちが、まったく別の作品の登場人物にそっくりだなんて」

 

『外部』の人々曰く、鈴とまりはSTGの主人公にそっくりだと言っていた。

無論、差異はある。

鈴は裏表のない性格で巫女ではあるが、脇は出さないし空も飛べない。

まりも男勝りで努力家ではあるが、魔法使いでも箒で空も飛ばないし本も死ぬまで借りない。

しかし、それは互いに別世界故に。

その差異は仕方のない物なのだ。

 

「それはまぁ、置いといて……少しあとには世界が壊れかける事二回、半年後に壊滅しかけること一回……そのしばらく後に偽物騒ぎがあるかないかで少し変わるが……」

「この霊地呪われ過ぎィ……」

「ガンバッ☆」

「道連れ余裕でした」

「くそうっ!」

 

自称と存在が入り混じった、この世界。

鈴は、砂粒のような不安を僅かに感じながら、テレビの画面に映る同級生二人を見つめるのだった。

 

 

 

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 薄暗く近未来染みた場所。

それなりの広さがある場所の中央に、三つの影がいる。

 

「そう、これで確実なのね」

 

 違えることは許さないといった声色の女性の影。

その声色は、どこはかとなく耐え忍んでいるようにも感じる。

それを知ってか知らずか、対する男の影は大げさに肩を上げて薄く笑みを浮かべる。

 

大丈夫(だ~いじょうぶ)ですよ。このGIAS(ガイアス)Type:M(タイプ:エム)、『機械騎士ギアナイト』。命名こそは別人ですが、開発者の手は信用に足るものです、よ」

 

 男の影の目線は、女の影から離れて2mの鎧の影に移る。

女の影も同様に2mの鎧の影に視線を移す。

 女の下にあるような魔導機械とは比べ物にならないスペックと底知れぬ威圧感。

 

女の顔に汗が流れる。

女の顔は、意図せず苦虫を噛み潰したかのような苦々しい表情をしていた。

 

……だけどもう、後戻りはできないから……ッ……

 

 世界は着々と、別の線路を辿って行く……




現在のジュエルシード保持数

・なのは組
3個(初回戦)

・フェイト組
2個(初なのは戦・道端)

・ひなた組
1個(玉頭骨戦)

・聖刃組
2個(双子が拾ってきたのを回収)

・すずまり組
3個(自力探し+『外部』情報)


残り:10個
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