回転割砕の魔導右腕(ライトアーム)   作:変色柘榴石

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笑えよ、ベ○ータ。
また5000文字近くだぜ……?
尚、次回は再びあの人たちが……?


十六話「陰陽と錬金と聖遺物」(Part:B)

 アースラから降りた日の晩。

 日野家(inはやて)では……

 

 

「なるほど――

とりあえず、アースラとかいう宇宙船を仮拠点に……ということやな?」

「うん。一応、種集め中は協力関係より上下は無いようにしたいし、

どちらかというとあの人ら情よりだし」

 

 夕飯を終え、互いに緑茶を飲みながら向かい合う。

 俺が考える目的は『種集め(ジュエルシード収集)』のみ。

足し序で(ついで)ではあるものの、なのはと聖刃、ユーノは『種集め(ジュエルシード収集)』と『フェイト一味の接触、若しくは対話』。

 管理局側の目的は『種集め(ジュエルシード収集)』と『貨物船襲撃者、それに準する犯罪者の逮捕』だ。

 正直言えば、さっさと回収して事件を終えてしまいたいところだが――

いかんせん、それだけでは終わらない気がする。

 

「そういえば、夕方ぐらいに(すず)ちゃんから電話があったんよ」

霊峰(たまみね)から?」

「『明日、海浜公園に来なさい。手を貸してあげるわ』って」

「(手を貸すという辺りから項垂れている)」

 

 裏表のない霊峰の性格なら、今回の件に適当な協力者が来るのだろう。

 何故知っているのか、などの考えよりも先に――

『霊峰鈴に借りを作る』という事実に頭が痛くなる。

 

「だ、大丈夫と思うんよ! 何がとは言わへんけど……多分、きっと」

「生きるも地獄、死ぬも地獄……か」

「め、目が虚ろに……! あわわ……レオ、どうにかならへんかな!?」

【死せるその瞬間(とき)まで、私はマスターの鎧で在り続けます】

「こらぁだめや……」

 

 見返りに金銭が無いのは霊峰の良心……なのだろう。

 しかし同時に(ふところ)や背筋が涼しくなったり、

精神とか背筋が擦り減るような見返りを要求されたのはイイオモイデ(性質の悪い悪夢)だったのは、この身が一番覚えている。

 今回は事が事だ。

 何を求められるか分かったものじゃない。

 

「流石の霊峰も、生死に係わる見返りは求めないだろう。」

 

……ただし精神を除く、と注意書きが付くが。

 

 何にせよ、事は明日の出来事。

 今は風呂を済ませ、歯を磨き、明日に備えること他ないだろう。

 

……なにもかもさっぱりしたいしなぁ……

 

 

 

 

 

聖結晶準機関(SCサブエンジン)――稼働率十二……『あれ』の稼働には至りませんか】

 

――今はただ、明日を待つばかり。

 

 

 

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 管理局地上本部。

 第一管理世界『ミッドチルダ』に聳え立つ(そびえたつ)、『陸』の本拠点。

 

 その中で活動する、管理局技術部地上支部の奥。

固く閉ざされた鋼鉄の扉がある。

 その中央には『槍と刀、弓が交差し、その中央にAと描かれた』エンブレムがある。

 このエンブレムは、かつてここ地上支部で猛威を振るった天才の象徴であった。

死した今も尚、エンブレムが刻まれた扉は開いていない。

 

 管理局新人の中で噂の一つになっているこの扉のことを、ある地上支部新人が問うた。

 

「あの、先輩。自分たち新人の間で有名なんですけど、あの扉は……?」

「あー、やっぱし気になっちゃう?」

 

 技術者と同時にBクラスデバイスマイスターである先輩技術者は、

天才にして人当たりの良い同僚だった『少女』を思い出す。

 

「あの扉は、かつてこの管理局技術部地上支部一の天才の『世界』であり――

()()』だ」

 

 曰く、『両親が死した数日、一度もこの扉の外には出なかった』

 曰く、『死亡する数日前に、故郷の次元世界に何かを送った』

 曰く、『気分転換にと外出した矢先にテロに巻き込まれ死亡した』

 曰く、『以降、あの扉が開くことは一度もなかった』

 

 小さな天才の呆気ない最期に、当時の地上支部の者達は看取ることすらできなかった。

そして――

 

「以降、オレら時空管理局技術部地上支部は『戦う技術』ではなく『()める技術』を日々研究してるんだ」

()める技術、ですか?」

 

「おう。あいつはな、『平和平和言ってんなら武器持ち出すなダァホ!』って毎回言っててさ。じゃあどうするんだって問われた時にゃ――

『家族と過ごせ友と過ごせ恋人と過ごせ、武器を捨て日常を謳歌しろ!』ってさ。

『人間がいるうちは争いは無くならないから、争いを争いで返したら堂々巡りスパイラルだろ常識的に考えて』って愚痴ってたっけなぁ」

 

「だから『戦う技術』ではなく『()める技術』を……?」

 

「まぁな。でも一つおっそろしいこと言ってたな……『争いを手っ取り早くなくす方法は生命体が欠片残らず死滅すること』だとよ。

――ま、いかに早期決着で二次被害等を抑える物を創れるか、が最終目標ってわけ」

 

「な、なんだか一気にスケールダウンしましたね……」

 

「身の丈が一番なんだよ。

――ほれ、お前さんも働け働け!」

 

「わ、わ、押さないで下さいよ先輩!」

 

 

 争いのない世界など幻想であることは解っている。

 生命体(闘争本能)がある限りなくならないことだって理解している。

――あの傍迷惑な戦争も、失禁しそうな笑顔の持ち主の悪鬼王も。

 だから俺は、いの一番に、貴女に賛成したんだ。

 『物語』も、『世界』も知っている『俺たち』だからこそ、心から賛同したんだ。

 

 英雄も悪鬼もいらねぇさ。

 これは――『人間』の『平穏』を目指す物語(人生)なんだからよ。

 

 『あの人の世界』は、アンタを待ってるぜ……『日野ひなた』さん。

 

 

 

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「協力者?」

「そ。地球特有の魔法……なのか? まぁ、そんな不思議団体関係の協力者が来るわけだ」

 

 海浜公園に集まる地球魔導師組とクロノとカガミ。

 早速アースラに乗り込もうとした皆をひなたが引き止め、協力者……霊峰鈴(たまみねすず)達(?)が来ることを伝えたのだ。

 

「地球にそのような団体が……」

「誰が魔法体系が一種類だと判断した? 大昔は火だって魔法のように感じただろうし、現代じゃ証明できない『失われた技術(ロストテクノロジー)』だって地球にあるかもしれないからなー」

 

 クロノが静かに驚く中、ひなた得意げに語る。

 その様子に引きつつも、聖刃はひなたに賛同する。

 

「だよなー。架空かどうかは別として、妖精だの妖怪だの神様だの……どこから拾ってきたそんな知識、みたいなことは多くあるからな。次元世界があるんだ。そんな摩訶不思議現実もあったのかもな」

「いるかどうかは別として信仰そのものはあるもんね……神社とかお寺とか教会とか」

「つくづく『なのはたちの世界』(地球)って不思議だよね……」

「頭が痛くなってくる……」

「これがクールジャパン……!」

 

 何故か誇らしげなカガミを除いた次元世界出身の二人は思わず『誰だこの世界を管理外なんて指摘したの』と項垂(うなだ)れていた。

 

 そんな中、黒い高級車が海浜公園の入り口で止まる。

 見慣れているなのはは、友達二人ではないことを祈っていたが、それは杞憂――否、それ以上に驚愕することとなる。

 中から出てきたのは少女四人に少年一人、

 

「よーう! なのは! 元気にしているかー!」

 

 天野(あまの)まり。

 

「良いジュースだった」

「感動的だったね」

「「実に有意義だった」」

 

 (ふみ)ゆう と 文ゆな。

 

「――このような対面になるとはな」

 

 新谷巡(あらやめぐり)

 

「待たせたわね、ひなた。そして直接はお久しぶり」

 

 そして、霊峰鈴(たまみねすず)

 

 

 なのはが驚いたのは言わずもがな、聖刃も同様に驚いていた。

 無理もない。方やクラスメイトが。方や己が師と友人二人、さらにどこかで見たような容姿でどう接しようか迷っていたクラスメイト二人だったのだ。

 本人たちにとっては、今回の件に欠片も関係ないと思っていたのだ。

 

「す、鈴ちゃんにまりちゃん!? それにゆうくんにゆなちゃんも!? 巡ちゃんまでッ!? ど、どーなってるのー!?」

「師匠に双子まで!? 霊峰に天野も!?」

 

「……君らの間で情報が錯綜しているようだが?」

「単に伝えなかっただけですしおすし」

「伝えるべき……そうすべき」

「時既におすし」

「オ・ノーレ」

「何を遊んでいるんだ君らは」

 

 ネタまみれなカガミとひなたの会話にツッコまざるを得ないクロノであった。

 

 

 数人(?)が落ち着いたところで、互いに自己紹介が始まった。

最初は協力者組から始まる。

 

 初手は白衣を着こんだ快活そうな金髪の少女。

自作のアロマパイプを吹かしながら自己紹介を始める。

 

「天野まり。なのはのクラスメイト兼錬金術師だ。まぁ、規則性のある物理変換魔法使いとでも――「まりちゃんタバコはだめなの小学生は禁煙なのです!」――自作のアロマだヒトの自己紹介遮るなフラワーヘッド(脳内花畑)!」

 

 錬金術? とクロノが首を傾げるがカガミに後でと言われる。

 続いては洋服のような巫女服を身に纏った黒髪の少女。

首元をポリポリかきながら気怠そうに自己紹介を始めた。

 

「あー……霊峰鈴。そこのボロ布と黒いのと女顔以外の同級生で、神社の巫女と陰陽師をしてて、ここらの霊地管理の一人よ。本来なら管理局カエレって意見が多かったんだけど、そうもいかない状況だから協力しに来たわ」

「貴様……――ッ!」

 

 管理局の部分で怒りを露わにするクロノを、カガミが制す。

カガミが視線を送る先には鋼鉄に覆われた人間大の団子虫と天道虫(テントウムシ)の姿。

 

「それとさらに紹介。陰陽師には前鬼と後鬼ってのがいて、まぁ……魔導師なら簡易的使い魔って言えばいいかな。一根、二枝」

《《諒解》》

《前鬼、一根(かずね)と申す》

《後鬼、二枝(ふえ)です》

《《以後、お見知りおきを》》

 

 団子虫は一根と名乗り、天道虫は二枝と名乗る。

そこで聖刃は気付いた。

――同じ名前の少女二人が、クラスでいつも鈴の後ろに居たことを。

 しかし、それに気付いたのか、鈴が聖刃を睨む。

『面倒だから黙ってろ』と言わんばかりに。

 

一方で、クロノが鈴へそのまま言い寄っていたらかなり驚いて……その後の恥ずかしさを考えたらカガミに感謝したくなった。

 

 次は双子。

二人とも動きやすそうな服ではあるが、ゆうは緑黒のボーダーシャツ、ゆなは薄紅色のニーソックスを履いており、二人の首元には紅色のクリスタルペンダントが掛けられている。

 

「文ゆう。兄の方で、魔導師と言う名の装者デス。デバイスはこの子、『イガリマ・キリカ』」

【よろしくデス!】

「文ゆな。妹の方、以下同文。デバイスは『シュルシャガナ・シラベ』」

【……よろしく】

 

 地球魔導師組(聖刃除く)再び驚愕。そして静かにカガミも驚きを露わにしていた。

なのはとひなた、ユーノは身近に同じ魔導師(?)が二人もいたことに。カガミが驚いたのは、二人のデバイス……自分のデバイスのルーツ(元ネタと出所)が同じであることに。

 

 しかし、とカガミは思った。

今は聞く時ではなく、共に協力し、この事件を終わらせることが先決とすることにしたのだった。

 

 最後は尊大な雰囲気を持つ彼女。

黒地に赤線の蝶柄の和服に白磁のような肌と漆黒の長い黒髪と言う容姿に、クロノは思わず息が止まるほどに見惚れてしまう。

――カガミの小指踏みで回復するが。

 

「――くくっ。いや失礼……(われ)の名は新谷巡。とりたてて特徴のない童女だが、無駄に知識経験はそろって故。何か役には立てるだろう」

「ちなみに俺の師匠ね」

「そうなの巡ちゃん!?」

「然り。なのは、お主にも師事してやろうか? 主に頭のをな」

「おおなのはよ、しんでしまうとはなさけない」

「なのは? ああ、いいやつだったよ」

「「ばいばい、なのは」」

「この双子不吉すぎるの師事は遠慮するのー!」

「はい茶番終了」

「「「「はーい」」」」

 

「何なんだ君たちはッ!?」

「俺らの同級生ですが何か」

「(ああ言えばこう言うッ!! と言いたそうに顔を歪ませる)」

 

 

 カガミは思う。

 これならば、原作の悲劇は回避できるかもしれない。

 起こりうる惨劇を回避できるかもしれない。

――しかし、心のどこかでそれを否定する声がする。

 原作以上の悲劇になるかもしれない。

 もしかしたら、この人たちだって。

 言い始めたら止まらない。

とめどなく心を蝕む不安が――じわり、じわりと染み込んでくる気がして。




あの日からずっと頑張ってきた。
例え離れた後でも、あの人は笑ってくれると信じてるから。
全ては記憶の中にある、あの人の穏やかな笑顔を見たいから。

 十七話「疾風迅雷のデスサイズ」

心の誰かが叫んでいる。
何を言っているのか聞こえないけど、その声はとても悲しそうで
――何かを止めたそうにしている。

待て、しかして希望せよ。
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