時系列としてはエイミィさんがジャミングONした辺りから。
三千半文字ぐらいでできあがり。
ここは時の庭園とやらの、とある一ヵ所。
まさか人間大サイズの傀儡兵がいるとは思わなかった。
柱の陰に隠れつつも、こそこそりと『目的地』へと私は急ぐ。
まぁ、そんな私がなんでこんなところにいるかと言うとだな――?
<>
『αチーム同行後、ジャミング完了の合図と共に目的地へ向かえ。
――あとはデータを全て
……おかしーな、私は
誰が言ったか○○泥棒。盗んだのはあなたの心ですってか。やかましいわ。
まぁ、試作とはいえタダ同然でデバイスフレームが手に入るのは嬉しいが……
『侵入者発見! 侵入者発見!』
『即刻排除! 見敵必殺!』
『
『アァン? オキャクサン?』
『ファッ○ュー』
『カニニナリタイネ』
「そらガードロボ的なやつらもいるよなーあははちくしょーっ!」
某最終幻想にでてきそうな一つ目機械がなのはたちの様なシューターを次々と撃ってくる。
通路の曲がり角に隠れているが、このまま持つとは思えないしなぁ……
……しゃーなし、使うか!
<>
まりが取り出したのは手首を覆うほどの黒い布製のグローブだ。
グローブを両手にはめると腰にぶら下げた英単語カードの束の一つから二枚引っ張り出す。
(空気中の魔力は十二分、あいつらの下に投げ込めば勝機はある!)
指に挟み持つ二枚には詳細こそ違うものの、精密な回路図が描かれており、裏には『炸』と『壁』とそれぞれに記されていた。
その『炸』と記された硬質タイプの英単語カードを球体ガードロボの真下に投げ込む。
――まり自身が言ったように、彼女は錬金術師だ。
基本法則『理解・分解・再構築』によって1を別の1に変える技術。
土を彫像に、鉄を武具に、血を鉄に。物理法則、質量保存のもとに書き換える技術であるが――まりの錬金術は異質であった。
あらゆる形に変化できる、形の無い魔力を素材とし、錬金術の根底を覆した『改式錬金術』だ。
本人は知らないが、これはつまり本来デバイスの役割である『魔力による魔法の形成演算』を【無意識】に行っているということになる。
まり自身の学校の成績は上の中。天才などではなく、自らが築き上げてきた努力の結晶。
錬金術も父親から教わったことで、無論最初こそよくあたふたしていた。
――しかし、まりの才能はそこではなかった。
ある日に魔法を知ってから、錬金術に転用できないかと考えたのが、そもそもの始まり。
魔力の扱いを習い、解りやすい回路を作り、英単語カードに描いた線列記号による演算術式と考えてミリ単位の回路変化による多彩な単発消費魔法を作り出した。
この繋ぎ方はこう設定し、この繋ぎ方とこの繋ぎ方を一緒に書くとこうなって、とパズルのように楽しんでいたまり。
だがそれは無意識による魔法演算を形に表しているということ。
それをデバイスのサポート無しの、小学三年生のが、それを成したということ。
話を戻そう。
まりが投げた『炸』の英単語カードの効果が文字通り『炸裂』である。
それは周囲の魔力濃度により威力を変貌させ、任意のタイミングで爆発する魔法爆弾。
投げ込まれた先は球体ガードロボの真下。
未だ曲がり角に向かってシューターを放っているガードロボの一機が投げ込まれたカードを見やる。
不思議そうに
カードを見つめていると、表側に描かれた記号回路術式が輝き出し――爆発した。
シューターの魔力残滓と時の庭園を漂う魔力に呼応して爆発は大きくなり、まりのいる曲がり角まで爆炎が迫りかけるが、爆発の瞬間にあるはずのない『壁』が、ガードロボと爆発を瞬時に閉じ込めたのだ。
――そう、壁を素材としてシェルター防壁を形成させたのは、二枚目の『壁』と記された英単語カード。
……まぁ、爆発の威力までは想定外だったけど。
元から爆発を閉じ込めるつもりだったが、もし閉じ込めるという選択肢が無かったら……という嫌な想像が頭をよぎり顔を
いやいや今は、と右手で壁に触れて形成された壁を触れたところから崩していく。
このまりの装備している両手のグローブは魔力で構成された物のみを分解する記号回路術式を濃紺の糸で刺繍した特殊グローブである。
「某上条さんもびっくりな
今後どう改良しようか。はたまた魔力を分散させるマフラーでも作ろうかな、と考えながら、そのまま奥へと歩いていくまりだった。
/>
目的地――誰かの研究室へと着いたまり。
そこそこ埃が溜まっており、期間は長いが定期的に掃除されていたような形跡が見受けられた。
中央には円柱型の大きなシリンダーが鎮座しており、過去にこれを中心に研究活動が行われていたのだろうとまりは推察する。
シリンダーの手前に置いてある機材の電源を押すと、幸いにもエネルギーが通っていたのか起動する。
その画面に、渡された紙に記入されているファイルを開き、起動コードとパスワードを入れると、複数の文章データと映像データが入っていた。
大半は日記のようだ。しかし年号が魔法世界側であるが故に、今一ピンと来ないまりだが、最後辺りに何か書かれていないかと開いてみる。
赤の他人の日記を覗き見るのは少し気が引けるが、気にならないと言えば嘘になる。
「御開帳ーってね」
<>
――新暦64年 ○月 ○日
何とか契約期間内に完成できた。
色々な参考書を引っ張り出しての、ほぼ四徹……
大好きなお昼寝さえも我慢した甲斐があったと言うものだ。
でもこれは可愛いフェイトを思えばこそだ。
『フェイト関係か。まぁ家代わりって言ったたもんな、確か』
アルフもいろいろしっかりしてきたし……食欲を除けばの話だが。
ここ数日でエンゲル係数がかなり上昇して眩暈が起きたのは記憶に新しい。
仕方ない。明日は久々にテスタロッサ式『おしおき』をしよう。間食は敵だから。ええ、不倶戴天の敵ですとも(遠い目)
『……何があったんだこの人に……』
そういえば、ついでに協力してもらった科学者の人にもお礼を送っておこう。
確か……そう、ジャイロ・アリエッチィだったはず。
『違う。多分違う! 何か知らんが多分違う!』
ああ、でもフレームハードしか完成してないあれはどうしようか。
ソフトまでは手がいかなかったから……見てくれは良いから棚に飾っておこう。可哀想だし。
フェイトに聞かれたら『昔むかしのお話に出てきたデバイスのレプリカですよー』と言っておこう。
仮とはいえ名称予定は地球の神話の『イチイバル』って弓から取る予定だったから
『フェイトェ……』
さて、そろそろ私は
あの『ヴァイスリヒト・アイゼン』とかいう怪しい集団と手を組むと言い出したときは、主の苦手なトマト尽くしを夕飯に出してやったが、主は黙りなさいの一言だった。涙目で。
愉悦? してませんよそんなの。ええ、してませんとも。……本当ですよ?
『ウソくせぇ……』
さてさて、これを見ているであろう誰かさん。
私こと、プレシア・テスタロッサの使い魔、山猫のリニスは、恐らく無念に思うでしょう。
フェイトに教える事はまだ多々あったし、自分から『白い』なんて言ってる怪しい集団は油断ならないし。
ですので、フェイトの利になることを教えましょう。
私の日記データ諸共、映像データ込みでお持ち帰りください。
管理局に元データを渡してはだめですよ? 消されますから。あなた諸共。
コピーしたものを渡し、協力してもらえる強力な味方と共に生きなさい。一種の巻かれ主義ですよ、ええ。
『……』
最後に、フェイト、アルフ、バルディッシュ。
あなた達は、私の最高の生徒でした。
強く、優しく、己が心の信じるままに生きなさい。
さようなら。
<>
重くなる気持ちを無理やり上げつつ、全てのデータの保存を確認したまりは戸棚に飾ってある一丁の銃を手に取る。
「未だ眠る神話の弓、か。伝えるついでだ……依頼料として受け取るぜ。リニスさんとやら」
部屋を去る直前、
【デバイスは
という声がした気がしたまりは、少し部屋を見回し、部屋から去って行ったのだった。
・インテリ脳筋
ひなた「インテリ893と言え」
はやて「むしろ性質悪いわ」
・ガードロボ
ネタを挟まないと死んじゃう病が(震え声)
・英単語カード
別名『
文殊とか概念とか言っちゃいけない。
・テスタロッサさん家のリニスちゃん
山猫のリニス……いったい何者なんだ(棒)
・イチイバル
クリスちゃんマジ天使。
以降、まりはクリスちゃんの声で書いていくつもりです(迫真)
辿り付いた先の闇。
抑えきれぬ内の赤が視界を覆い掛ける中、思考はただ静かに回り続ける。
殺してなるものか。死なせてなるものか。貴様には生き地獄こそ相応しい。
次回、回転割砕の
三十話「拳 ―KOBUSHI―」
悲しみはいらない。怒りも恨みも憎しみも。
やるべきこと、思うべきことはただ一つ。
目の前のクソ野郎を一発ぶん殴ること、ただ一つ。