回転割砕の魔導右腕(ライトアーム)   作:変色柘榴石

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一ヶ月も空いてkonozamaデスよ。
movie1stまた借りてこなきゃ(使命感)



三十話「拳 ―KOBUSHI―」(Part:A)

「バリアジャケットのモードチェンジ?」

 

 フェイトとの戦いの三日前。

 ユーノや聖刃などの主に事件に関わる者達とで、ひなたの家に集まった時のこと。

 ひなたが切り出したのはバリアジャケットの変化による付加効果だった。

 

「そうだ。この中で最もな例は……確か聖刃の『アーマーパージ』、だったか」

 

 ひなたの言う聖刃の『アーマーパージ』というのは、バリアジャケットの装甲部分のみを解除し、その分の魔力を身体強化として扱う防御を薄くした状態での能力底上げ戦法。

 しかしこの方法は短期決着が望まれる場合でしか発揮できない。使用する場所をかなり限定された状態なのだ。

 

「まぁ、極端と言えば極端だけどな。高町や日野みたく頑丈じゃねぇし」

「頑丈言うな。防御力が高いと言え――じゃなくて、ともかくレイハさんや」

【なんでしょう? ミスタ・ヒノ】

「なのはの魔法特性は集束なんだな?」

 

 レイジングハートの返答は【Yes】。

 

【正確には『集束』と『放射』ですね。これほど『砲撃』と言う魔法が似合う魔導師は、そう多くいません】

「しゃ、射撃魔法も頑張ってるもん!」

「結局ぶっぱじゃねぇか。それはそれとして――」

 

 一刀両断とかひどいのー、ともらすなのはを脇目に、ひなたが少し待てとリビングを離れる。

 

「なのは、お前の魔力特性を最大限に生かしたバリアジャケットと、魔力特性を利用したお前の短所を補填するバリアジャケットをいくらか考案してみた」

 

 戻ってきたひなたが差し出してきたのは、一冊のスケッチブック。

 中にはひなたはもちろん、聖刃やなのは、髪形からしてはやてらしき少女のバリアジャケットのラフ絵が多くあった。  

 その中にある『なのはのバリアジャケット案』に、なのはは注目した。

 両肩に盾のような、翼のような六角形状のプレートを身につけ、普段のバリアジャケットよりも固そうな部分が増えていたりと見た目的に忙しい。

 

「む。そのページは……ああ、流石の目の付け所だ。案の中で一番極端なのを選びやがったよこの娘」

「ふぇ!?」

 

 ひなたが言うには両肩のプレートこそがなのはの特性を『最大限に生かした(イカレタ)方法』のものらしく、周囲の魔力残滓を集める際のリンカーコアに掛かる負担を軽減するためのユニットと話す。

 二枚目の描かれている肩や腰などに装甲を増やしたのは、なのはの隠し種であるSS(スプレッド・シフト)AS(アクティブ・シフト)などの射撃魔法を中心とした戦いを想定している――が、ただし、とひなたは言葉を止める。

 

「この二つ目のは緊急用に取っておけ」

 

 そのひなたの言葉に訝しげな顔のなのは。

 しかしすぐに、二枚目の注意点に気付く。

 

「えっと、ホントの本当に、アウトレンジやロングレンジでは戦えない時用、緊急クロスレンジだから、ってこと、かな?」

「――然り。流石魔法戦に関しては頭が回るな」

 

 ひなたの一言に照れるように頬をかくなのは。

 その後ろで聖刃達が苦笑していることに気付かないし、はやてが笑いを堪えていることにも気づかない。

 

「まぁその通りなのだが、あくまで装甲を増やしてクロスレンジ用の術式プログラムを用意してあるだけだ」

 

 後でレイハさんとこ送っとく、と言ったひなたがレオブロウを通してレイジングハートにデータを送る。

 それを脇目に聖刃が呟く。

 

「あいつ万能過ぎだろ、常識的に考えて……」

「にゃはは……みんなを思ってこその結果だと思うんだけどなー」

「そのおかげで僕らの戦い方も色々と広くなってるし」

「だからこそだよ。おんぶに抱っこに、ってなりそうで俺は怖いですが」

 

 目頭を抑える聖刃に苦笑するなのはとユーノ。

 その隣ではやては何かを思いついたのか、ドヤ顔で呟く。

 

「一家に一台、日野ひなたは如何? おお……これは売れるで!」

「俺を売ろうとはいい度胸だ。ハイクを詠め。カイシャクしてやる」

「アイエエエエ……」

 

 こうしてひなた達の会話は、毎度のごとく話が脱線していくのであった。

 

 

 

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 なのは、ひなた、フェイトの三人は『時の庭園』最奥部へと向かう。

 なのはの砲撃で纏めて進路上の敵を凪ぎ払い、防御の固い砲撃型をひなたが突き破る。

 背後を飛ぶフェイトは魔法を放とうとするも、ひなたに制される。

 

「魔力疲れでヘトヘトの姿をラスボスのように待ち構えてるお前の母親に見せる気か? どうせなら元気万全な姿で向かい合ってやれ」

 

 な、と言うひなたに、なのはが続く。

 

「むしろ元気なところを見せつけてやるの! 『俺はここにいる!』って感じで!」

「スケェェェイスッ! ってか。黒くて赤目で鎌で砲撃使えるとかもろフェイトじゃねぇか。バルディッシュ・スケィスに改名しないか、バルディッシュ」

【結構です】

【マスターたちが何を言っているのか分かりませんね……】

【同意。後日詳細を求める】

 

 デバイスたちの反応に、ふむと思案するひなた。

 そうだな……と切り出した提案は、

 

「帰ったらムービーつきでタイムアタックするか? 俺なのはフェイトの順で」

「ちょうど三作あるからね! あ、でも初代とリンク要らないかな?」

「初代だけでどれだけあると思ってる。その後な」

 

 会話に参加しなかっただけでどんどん話が進んでいってる。そう思ったフェイトは、

 

「――うん。絶対やろう、『みんな』で……!」

 

 異口同音だが、二人はいい声で肯定の約束をした。

 出会ったときは、何もかもが突然で、ただ戸惑うばかりだった。

 そんな始まりでも、二人は――(いや)、みんなはこんなにも自分自身に歩み寄ってくれた。

 

……もちろん、母さんは救いたい。――でも。

 

 みんなにも報いたい。

 そんな望みを持つ自分がいる。

 自分が一人なら、到底叶わない望み。

 

 だけど、今は違う。

 誰よりも力強い味方が、いっぱいいるから。

 

 

「そうと決まれば……!」

「うん! 貫いてみせる!」

 

 ひなたの両手両足のナックルスピナーが唸りを上げ、なのははフェイトとの決戦時になったバリアジャケット……『ガンナーモード』になり、両肩の変則六角形プレート『タンクディフェンダー』が周囲の魔力残滓を吸い上げて仮想砲塔を築き上げる。

 

「応ッ! 最速で」

「最短で!」

 

 ナックルスピナーの回転率が上がり、ホイールが火花を散らし、タンクディフェンダーから排出される排気魔力素の粒子がブーストのように噴き出す。

 

「真っ直ぐに……!」

「一直線に!」

 

 右腕を覆い、目の前を砲塔のように並ばされた環状魔法陣と、仮想砲塔の周りを覆うような環状魔法陣の銃身が目の前に照準を合わせる。

 

「「フェイト(ちゃん)の想いを、届かせるためにッ!!」」

 

 

――ディバインバスター・フルブラスト

――マグナムバスター・フルバースト

 

 

 拳による撃鉄と、弾かれた引き金によって放たれた二つの砲撃魔法は進路上の傀儡兵を一掃。

 その最奥にいたのだろう巨大な砲戦型さえも残骸を残し沈黙している。

 

「「行くよ(行くぞ)フェイトちゃん(フェイト)!」」

 

 手を差し伸べてくる二人に、フェイトは出来るだけ一番の笑顔で、その手に応える。

 

「――うん!」

 

 

……今までは、多分。『借り物の私』だったんだ。

 

 

 アリシアの記憶から始まって、プレシアのアリシアへの愛を受け取って。

 今の今まで、『フェイト』と言う名のアリシアとして過ごしてきた。

 だから始めたい。

 

……いや、違う。これから、ここから始めるんだ。正真正銘、『本当の自分』を!

 

 

 

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 簡潔に自分の人生を表すならば失敗の連続であったと言える。

 内政チートをしようにも自分は平民で、お人好しの領主が自分で考案し、領地が豊かになった。

 

――しかし、その功績は側近の物となっていた。

 

 もらったチートで好きなことをしようとすれば、他人が技術を流し、功績を奪われる。

 好きな人さえも。大好きだった家族さえも。ただ一人の理解者であった恩師でさえも。

 

 何もかもを、他人に奪われた。

 

 何故。何故。何故だ。

 確かにあの領主はお人好しで、自分とも遊んでくれた、底なしのお人好し。

 言葉巧みに功績を奪った側近さえも「仕方ない」と許したのだろう。

――その結果が暗殺だ。

 

 大都市への道路改善も、上下水道の開発も、あのお人好しへの恩返しとして発表しようとした。これでみんな、村の皆のように笑顔になってくれる。

――その結果が、功績を奪われ、改善が失敗し、罵倒される自分の姿。

 

 そして気付けば――私は一人になっていた。

 故郷の家族は戦乱に巻き込まれ、故郷そのものさえも戦火で失い果たした。

 

 しかし。だがしかし。

 私から全てを奪っていった奴等は、今ものうのうと人生を謳歌している。

 妻や息子に囲まれ、部下や護衛で周囲を固めた、薄汚い奴等が。のうのうと。のうのうと。

 

 だったら、私は『ダークヒーロー』になろうじゃないか。

 誰に恨まれても、ただ自分の恨みだけで、自分自身を救う。

 

 

 

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 堅く閉ざされた扉が大きな衝撃と共に叩かれている。

 ノックするような音ではない。大きな鉄の塊で力一杯殴る様な、重く大きい音だ。

 

 段々と扉が盛り上がり、歪んだ場所に隙間ができる。

 何かが歪みの隙間から顔を出す。

 

――指。鋼鉄で覆ったような、堅く冷たい指。

 数は八。力を入れて扉をこじ開けようとしている。

 徐々に開いていく扉の向こうから見えてくるのは――人影。

 

 逆光なのだろう。目の前の人物が『そう』見えるのは。

 揺らめく上と下の外装布。両手両足から唸るモーターと金属音が唸り声にも似て。

 頭の側面には二本の角。顎を覆う大きな牙。そしてなにより目立つのは背中の大きな角二本。

 

 見る者が見れば、こう呼んだだろう。

――鬼、と。

 

 

「よォこそぉぉ……お待ちしておりました」

 

 (あやし)が体を大振りに歓迎の声を上げる。

 しかし、その言葉の意味に『歓迎』という言葉の意味はない。嘲笑い(あざけわらい)、ようやく来たかという様な物言いだ。

 

「白髪頭のくそったれ白衣男の歓迎なんて、誰得だっての」

「これは失敬。ここまでご足労願ったのですから、歓迎して当然でしょう?」

「そいつぁ、ご丁寧(てーねー)にどーも」

 

 会話の間にも入ってきた人影……ひなたは両手の平の開閉を繰り返し、(あやし)は嘲る顔を止めない。

 互いに攻撃の機会を窺っているようにも見える状況の中で、(あやし)自身の目はフェイトに向けられる。

 

「ああ、お人形さんじゃないですか。道案内ご苦労さん」

「――っ」

「これで貴女の役目は終わりですよ。どうぞご自由に。死ぬなり何なりしてください」

 

 (あやし)の言葉に(いか)るなのはが飛び出そうとするも、ある腕に制止させられる。

――ひなたの腕だった。

 

「悪いが無駄話してる余裕はないんだ。主に俺がな」

「それはいけませんねェ? 人間、余裕は大事ですよ」

「悪いがそれは余裕じゃなくて――」

 

 

 ガンッ。

 堅い金属同士が大きくぶつかり合う音がした。

 

 なのはとフェイトの眼前に広がる光景は、(あやし)の背後から襲うひなたの手刀を、空間を歪ませ、間に割り込む巨大な鋼の姿だった。

 

 

「――油断、じゃあないんですよねェ~? えッヘヘヘヘヘ!」

「おっとォ……。予想してたけど予想外だぜ、こいつァ……!」

 

 まるで『向こう側』から『こちら側』に剥き出てくるように徐々に姿を現す巨大な鋼。

 それを見て手刀に力を入れ、手刀と鋼の設置面を支点として鋼を跳び越え、なのは達のいる位置へと戻る。

 

「苦手な幻術魔法……フェイクシルエットを囮に、ブリッツラッシュとフローターフィールドの多重使用で背後へと回り攻撃……実に素晴らしい戦闘技術ですよ。流石は『陸の鬼』と『海の魔女』のご子息だ」

「――チッ」

 

 ズズズ……と浮かび上がる巨大な鋼の姿になのは達は目を剥き、ひなたは思わず舌を打つ。

 四本指のクローアームを携え、(かろ)うじて人型と言えるような歪な造形のロボット。

 姿を現した『それ』は(あやし)どころか目測10mはあるだろう天井の高さに迫るほどの大きさだ。

 傀儡兵の躯体よりは小さいのは確かだ。しかし、『それ』の放つ巨大な存在感は、実物の大きさよりも更に巨大であると錯覚させる威圧感を放っていた。

 

「完全質量兵器型駆動騎兵『The.Ogre(ジ・オーガ)』。魔法に頼らない駆動兵器の実現はこれが限界でしてねー。部品さえ揃えば量産も可能……ですがいろいろとお金が掛かるんですよねェ?」

「――お金を提供する代わりに手伝え、ってことかな」

 

 この状況で言葉を発したのは、意外にもなのはであった。

 右中指でこめかみを一定間隔で叩き、何時でも飛び出せるようなクラッチングスタートの前準備の姿勢で片膝をついていた。

 

 そして、そんななのはの目はいつもと違っていた。

 普段の朗らかで優しい目ではなく。意志と不屈の火を灯した瞳でもなく――そう! まるで、『狙いを定める銃口そのもの』だった!

 

「でも正直な話、そこ取引にプレシアさんのメリットは少ない。むしろ1:9で、貴方(林育怪)にとっては願ってもないメリットだらけの話」

 

 トン……トン……

 こめかみを叩く指が、リズムを刻む。

 トン……トン……トン……

 

「プレシアさんの保険であることに対して、資金に試運転、データ諸々と報酬以上の稼ぎになる……違うかな?」

「……これは、また――思った以上に頭が回る様ですね、貴女は」

 

 (あやし)の顔は 忌々しげに (ゆが)み、対し「それはどうも」と言わんばかりの上部(うわべ)の笑みを浮かべる。

 

「でも、まぁ……関係ない事デスよ! 今はァ!!」

 

 大声を上げたと同時にジ・オーガに懐へと入り込む(あやし)

 その乗り込む様は、機械に搭乗すると言うよりも……どこか鋼の怪物に丸呑みにされるようにも見えた。

 

『いつの日も正義に理解者はいない!』

『……いつも、いつもいつもいつもォ!! 正義は常に裏切られる! 目指した道さえも悪は横から奪い去る!』

『だからこそ、私は悪を討滅させる! 正義信じる者を吐き捨て、正義背負う者を使い捨て、正義成す者を放り捨てる悪を! 私はァァァーー!!』

 

 鋼は――()えた。

 魔法要素など、どこにもないはずの質量兵器の塊が吼えた。

 それは歯車や装甲の軋む音か。それとも鋼の巨獣の心臓(動力機関)が唸りを上げる音か。

 しかし、その咆哮にはただ一つの『感情』が込められている事に、 ひなた達はこれ以上ないほど理解した。

 

――怒り。憤怒。激情。

 

 紅蓮の炎のように燃え立ち、溶岩の如く煮え滾る(にえたぎる)烈火の感情。

 世界の理不尽に対する、焦がれるほどの怒り。

 

 

――しかし。だがしかし。

 

 

「お前が悪に対する正義の怒り、ってんなら……俺達はお前の正義に巻き込まれた奴等さ。八つ当たりとその他諸々、個人的な怒りの対象になってくれよ。えぇ? ドグサレ野郎ォォォーーッ!!」

 

 

 

 

――最終決戦、開始。 




目敏い(めざとい)なのは他
魔法使い始めて一ヶ月してない小三なんだぜ、こいつら。

・スケィスフェイト
スケアクロウでもデスサイズヘルでも可。

・なのはガンナーモード
魔力集束の際に起こりうる魔力酔いや、高濃度魔力汚染を回避もしくは軽減させるための『集束特化形態』
集束時の反動をデバイスではなく、両肩の棺桶状のジェネレーターユニット『タンクディフェンダー』が肩代わりし、尚且つ魔力素の吸収量と操作限界量、及び使用魔力への変換量を底上げし物理防御機構も搭載。
別に太陽炉とか遺体入れとかではなく、機杖(ガンド)も死んだ仲間も入ってない。

・鬼ひなた
オープン・セサミ(悪いこいねぇがー?)

・吼える(ジ・オーガ)
WAだったら戦闘直前シーン。
そのイメージが固まったせいで戦闘冒頭をどうしようかと頭を(ひね)らす男一人(作者)
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