三話ほど外伝を書いて、第一部は終了とし、第二部へと間が開きます故ご注意を。
あの
何故か朝早く目覚めてしまった俺とはやては、リビングで電気もつけず牛乳を飲んでいた。
「……なんやろうな」
「……ああ」
恐らく、はやてと俺の考えることは一緒だろう。
「「色々燃え尽きたー……」」
――これである。
何と言えばいいのだろうか。
テストとか、壮絶なタイムセールとか。分厚い長編本を読み終えた後でも言おうか。……まぁ、粗く言うなら激しい運動後のクールダウン中。
いわゆる、ちょっとした燃え尽き症候群だ。
ただ何と言うか……不思議と目が覚めた。
寝落ちしたのも速かったが、寝起きに至っては不思議とスッキリと起き上った。
時間は午前六時近く。規則正しい早起きの時間とも言える。
ただ静かに、そっとした朝は……不思議と会話が無い。
まだまだ暖かい春の早朝。その心地良い静寂を崩したくないからか、はたまた話さずとも解ることがあるのだろうと俺は思う。
……こんなだから聖刃とかから熟年夫婦とか言われるのだろうか。
いやまぁ確かに「あれ」とか「それ」とかで解るけども。
自然とご飯の好みとか色々諸々エトセトラ、エトセトラ……
「ひーなー、電話やー」
「あいよー」
考え事をしている内に何処からか電話が来たようだ。
――まぁ、誰だろうかなんて判ってるんだがな。
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素振りを終えて、先に制服姿に着替えておいて縁側に座る。
それと言うのも、クロノからの連絡を待っているからだ。
原作には
……とはいえ。
「……静かだなぁ」
いつもは素振りの後は
今日は不思議と午前五時半に目が覚めてしまい、落ち着かなくて日課の素振りをしていたのだ。
傍らには待機状態のセイバーズと、市販の冷えたお茶と携帯。
……思えば今まで――いや、今みたいにこうやってのんびりしていなかったかもしれない。
修行修行で、原作に対して俺は何ができるか、何が成せるか……なんてことばかり考えて。
今になってやっと、アニメとか漫画で聞くような「一度立ち止まってみる」というようなことができるようになったのだろう。
一度立ち止まる。
それは、言ってみればマラソン後のクールダウンとか、ぶっといラノベ読んだ後の余韻とか。
……まぁ、走りっぱの旅なんざ疲れるだけだしな。
たまには、「歩くような速さで」ってのも悪くないかな。
「おっと……はいはい、おはよーごぜーますですよー」
……うん。悪かない。
<>
ふと、目が覚めた。
最近にしては……ましてや私にしてはスッキリとした朝だ。
利き腕を額に乗せて、目の前に広がる天井を見つめる。
ほんと、何もかもがズレた世界だなぁ、と思わず納得する。
別に早めに来た中二病とか、そういうのじゃなくて。
瞼を落として映るのは「バカな私」で、再び開ければ戻ってきたようで移ってきた別の世界。
最初こそ戸惑ったけど、「やり直す」には……「見つめ直す」には、またとない機会だった。
……まさか歴史から違ったとは思わなかったけど。
確かに「前」よりもみんな強いし。多分「前」のはやてちゃんだったら冷静に分析して指摘して……うう、悲しい気分になってきた。
じゃあ、「今」のはやてちゃんだったら……
『なぁなぁどんな気持ち? 経験チート覆されてどんな気持ちなん?』
『ねぇねぇどんな気持ち? 逆行魔法少女リリカルなのは、未来かっこ笑いで
『『
「なんで妄想にまでひなたくんが出てくるかなぁもうッ!!」
「うわっ!? びっくりしたぁ……なのはどうしたの?」
「うぇッ!? う、ううん……なんでもない。なんでもないの、うん」
……今度戦うときはひなたくん縛り付けてスーパーバスタータイムなの……!
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「なのはよ、お前は俺に対する理不尽な怒りを覚えてはいないだろうか」
「な、ナンノコトカナ!?」
「解りやすい反応をありがとう。憶えておけ」
「屈辱……! 圧倒的、屈辱なの……!」
「解せぬ。理不尽である」
海鳴名物海浜公園。
そこでテスタロッサ一家と、クロノとカガミがいた。
「……私、忘れられてないか心配……カガミ・カンジュ、神獣鏡の主、です。最終決戦で描写されなかった、カガミです……カガミです……」
「君は一体何を受信しているんだ……」
「受信とか何言ってんのお前」
「ひなた、君は僕に対する対応がキツくないか……!」
「おーけー落ち着こうぜ執務官殿。どうせ十四歳なんて生暖かい目で見られる時期なんだ。そう気にすることは――oh……」
「スゲーな執務官。流れるようにコブラツイストがキマってら」
目の前の光景を見て、笑い合うテスタロッサ一家。
その近くには、なのはがいた。
しかし話し出そうとしてるものの、いまいち一歩が踏み出せないようだ。
そんな背中を押したのは、後から合流したまり達だった。
(いけよメイン。お前が話すこと多いだろ?)
(まりちゃん……)
(言ってこいよ高町なのは。全力全開で、な!)
(……うんッ!)
「そーれ男衆プラスアルファー! 向こうにいかねーとまり様の新デバイスの餌食にすんぞー」
「「「はーい」」」
「……君らのその無駄な連帯感はなんなんだ……」
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互いに黙り合う。
ただ静かな間が過ぎて……互いに笑い出す。
「あはは……言いたい事、いっぱいあったんだけどなー。フェイトちゃんの前に立ったらすぽーんって抜けちゃった」
「ふふ……うん。私も。話したいこと、たくさんあったのに」
一息。
最初に切り出したのは、フェイトだった。
「まず、お礼。数えきれないほど助けてくれて、数えられないほど救ってくれて……だから――ありがとう」
「……うん」
「もし君や、他の皆が助けてくれなかったら、私はどうなっていたか……自分でもわからないけど、たぶん、良くないことに使われていたと思う。
「――うん」
「真正面からぶつかってくれて、真っ直ぐに戦ってくれて、ありがとう」
「――う、ん」
「……あと、あの時の返事を」
あの嵐の戦いの中で、言ってくれた言葉。
フェイトの心に響いて、とても嬉しかった言葉。
――でも。
「でもね、解らないんだ。友達になりたいって思うのに、その……『友達のなりかた』が、わからないんだ……」
答えを返したいのに。友達になりたいのに。
フェイトは、「私も」と答えを返す他知らない。
しかし、なのははただ一言返す――とても簡単だと。
「戦うよりも、考えるよりも、ずっと簡単だよ。
――名前を呼んで」
そう。ただ、名前を呼ぶ。
なのはの「友達の作り方」は、生まれてこの方ただ一つ……「名前を呼ぶ」、ただ、それだけ。
「私は、なのは――高町なのはだよ」
「……なのは」
「……うん」
「っなのは!」
「うん!」
「なのは!」
「――うん!」
ただただ呼び合う。
確かめるように。なのはの存在を。友達の存在を。
「それでね、気付いたことがあるんだ」
呼び合う内に涙がじわりじわりと出てくる。
悲しいような、嬉しいような。
――いや、悲しみはない。悲しくはない。悲しくない。
……今は私すっごく嬉しくて――
「友達が悲しいって顔をしていると、嬉しいって顔をしていると……私も同じように悲しかったり、嬉しかったりするんだ」
「――うん。うんうん……!」
長い友達作りが終わって、今からは少しのお休み。
その物語が
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一方その頃。
近くの休憩所で集まる他のメンツはと言うと……
主にテスタロッサ一家がボロボロと涙をこぼしていた。
「あんたたちの……グスッ……なのはって子は、ほんっとにいい子だねぇ……エグッ……」
「あー……まぁ、どこから諦めない気持ちが出てるんだってぐらいの不屈の精神の持ち主だからなー、なのははさ」
「あの子の心の支柱はアダマンチウムかゾル・オリハルコニウムですかそうですか」
「それSLBやない、
「もうあいつロボでいいんじゃないか?」
「君らはホントに何を話しているんだ……」
そんな中、声もなく泣くプレシアの後ろに這い寄る影……
「プレシア女史、少しくすぐったいぞ」
「……えっ? おう!?」
プレシアの背中をどしっと掌底で突くと、どこからか――というよりプレシアから禍々しい色の飴玉が出てくる。
そばにいた休憩所の一同は巡の行動と禍々しい飴玉にうわぁ……という顔になっている。
「え、なにこれ」
「これもなにも、プレシア女史の体に及ぼしていた悪影響……薬と副作用結果で出来上がった癌細胞と悪性腫瘍を凝縮した珠じゃが?」
「すげーなお師匠……これは流石に予想外だったわ」
「医者で稼げるわよこれ」
「あかん。鈴ちゃんの目が金になっとる」
「まぁ、これが原因でこんな
「「「駄目じゃねぇかッ!」」」
人知を超えた状況に、クロノは遠い目で呟いた。
「――母さん、地球は予想以上に人外魔境でした」
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「な、何があったんだろう」
「あー……うん。いつものことだと思うの」
「そう、なんだ」
後ろの方の騒ぎは気にしない。
そう気を取り直して、二人は再び向き合う。
「ああ、そうだ――はい、これ。こんな物しか、渡せないけど」
フェイトが差し出したのは、自分の髪を二つに縛っていた黒いリボン二つ。
それを見たなのはは自分の髪を縛る白いリボン二つを
「……じゃあ、交換。『頑張って』と『また会おうね』って気持ちを込めて」
「……うん。交換」
互いに手渡して、受け取って。
流れそうになる涙を、少し堪えて。
「今度は、私がなのはを助ける。絶対に」
「……うん。頼りにしてるよ、フェイトちゃん」
「「――またね」」
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クロノが二人へ向かうのをきっかけに、全員で二人の居る場所へ向かう。
そこでフェイトはひなたに呼び掛けた。
「あなたにも、お世話になりっぱなしだったね。ごめん、そして……ありがとう」
「――良い顔になったじゃんさ。流石はプレシアさん譲りの美人さんだ」
「……び、美人!? え、あ、いや、その……うん」
ひなたの軽口に真っ赤になるフェイトだが、心と心臓を落ち着かせて言い放った。
「裁判が終わって、また
――『 』。約束だよ、ひなた」
このフェイトの一言……いや、約束の言葉が、その場に大波乱を呼んだ。
そしてこの先の未来でも、『さらなる大波乱』があるのは、また……別のお話。
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こうして、テスタロッサ一家を含むアースラ組は地球を
鈴やまりは海鳴の霊地管理集団とかなんとかに報告しなければならないそうだ。朝からお疲れ様である。
残った俺とはやて、聖刃にユーノ、そしてなのはは静かに朝日の上がった海を眺めていた。
「んー……っだぁー!
「そうだな。なんだか、どっと疲れた気分だ」
「朝ごはんも食べとらんしなー」
「余韻ぐらいは浸らせてほしいんだけどなー……」
「でもそう言われてみればお腹空いてきたかも……」
「ンじゃあマーク寄ってくか。近くに二十四時間の新しいヤツできてたし」
「マジでか。ちょっと母さんに連絡してから行こうか」
「わ、私もお父さんに連絡しないと……」
「フゥハハハーハー! ドンケツが奢りだぜハッハー! いくぞ、はぁぁぁやてぇぇぇ!」
「遅れた奴はただの奢り! ドンケツはよく訓練されたパシリや! ほんま海鳴の朝は地獄やでー!」
「ズル!? ……ってなのはお前飛行魔法でスライド移動とかひでぇ!」
「秘技! タオパイパイ飛行なの!」
「柱に乗ってから出直して来い
「辛辣ッ!? って何で追い付けないのー!?」
「それが貴様の限界だ高町なのはーっ!」
「お前ら速ぇよッ!」
結果は言うまでもなく聖刃の財布が犠牲となったのだ。
俺たちの朝飯の犠牲にな……
回転割砕の
第一部「魔砲使いの夜」、完。
第二部「境界線上のナイトブック」に続く。
・『高町なのは』
ちょこちょこ伏線が描かれたなのはさん(精神年齢(規制)歳)。
童心に帰っているものの、戻りすぎて国語が全滅しているご様子。
・忘れられたカガミン
正直すまんかった。
γ部隊(魔導炉突撃隊)の中にいたが描写しきれず無念。
・まりの新デバイス
知り合いが一晩でやってくれました(伏線)
・ゾルなんちゃら、HTBとか
某幻想入り二次創作を読んだ直後故致し方なし。
更新まだかなー
・すごいよメグリさん!
※ただし色々削る
・人外魔境「地球」
今更である。
クロノくんの胃痛の日々はすぐそこ。
・フェイトの約束
ここら辺の場面はフェイトが男らしすぎた印象が強かった故。
このときプレシアさんは魂が抜け掛け、アルフは驚き、はやてはガッツポーズをし、聖刃とクロノは吹き出したとか。
・マーク
ファストフード「
青白く不健康そうな道化師がトレードマークで、汗水働く健気な道化師の姿は不思議と老若男女を元気付けるトカ。
――さて、物語の第二幕を始めようか。
「はやてマジパネェな!」
「でも魔力蒐集が必要で……」
「「誰がさせるか阿呆が」」
「掌スクリュー!?」
新たな出会い、新たな家族。新たな幸せ。
でも……
「これはな、一種の心の病気さ」
「互いの足りない部分を他人で埋めた極地」
「寄りかかりすぎて堕ちた人の末路なんだよ」
望まぬ出会い、望まぬ再会。……あってはならなかった最悪。
「なぜなんだ! 君はそういう人間じゃ……!」
「どうして、どうしてなの? こんなことを……ッ!」
「俺たちが、そんなに信用出来ねぇか……なぁッ!」
「「「――ひなた/ひなたくん/日野ォッ!!」」」
「アタシたちが、これ以上甘えちまったら……ッ!」
「主はやて達の迷惑になってしまう」
「ここからは、私たち騎士――」
「我ら
絆、信頼。
信じたくてもできない『真実』が壁として立ちはだかる。
ただ穏やかに過ごしたいという願いを、思いを。
世界そのものが阻んでしまう。
「私自身、壊れてるのは承知済みや」
「知り合いが言ってた通りや……」
「この世はジャンルも知れない、ゴールさえも見えない、途中退場のできないベストオブクソゲーやて」
「あの日から比較的他観で見てきた世界がより客観的に見えてきた」
「プレイヤー七十億の大人気クソゲー、今まではまぁまぁ楽しかったよ? でもな――」
――こんだけ腹ァ立ったんも、今生初やぞッ!
回転割砕の
第二幕 「境界線上のナイトブック」
ご期待ください。
――意識が、オチル。
何が起きたんだろうか。
ああ、なんだろうな――
少し、眠いね……
声が聞こえるな。
ああ――誰だったかな。
二つ聴こえる……
なんだか、苦しいけど――
眠れば、治る、かな……
おや、す……
「ひなぁぁぁあああああああああああッ!!」
――日野ひなた、死す?