サブタイよりも別の事柄がメインになった気分な今回。
気が付いた時にはそこにいた。
周りは、前にテレビで見た宇宙で見る星空のように小さな光たちが
ここは何処だろう? 直前の記憶ではひなたととヴィータの三人で川の字に寝たはず……
そう思っていると、ぐるりと視界が回り、景色が変わる。
――稀代の剣王。正道王。誠実にして堅実。国家とは民がいて成り立つものという考えの下、連なる仲間たちを、その手腕で導いた優しき覇の王。
優しくも儚げな声。
何処かで聞いただろうか。不思議と安らぐ心とは別に、この声は誰かと言う疑問が浮かぶ。
自分の中に浮かぶ疑問を余所に、再び景色は変わる。
とある王城の中庭。
一心不乱に木刀を振る桃色の髪の少女。短く切られたその髪を、飛ぶ汗が輝かせ、まるで自然そのものが彼女を鼓舞しているようにも見える。
――幼少の時から変わらぬ純粋な
父親だろうか。体躯の大きく、何より体躯以上に体を大きく見せる感覚。まるで山と対峙しているような感覚。『山』はその手を以って少女の頭を優しくなでる。
恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせる少女も、その顔は満更ではない笑顔が浮かんでおり、頭をなでる父親も少女の成長を喜んでいるようにも見える。
再び景色は変わり、前よりも大きく成長した少女……いや、今は女性だ。その女性が多くの兵を連れて、怪物や敵兵へと対峙する。
――その声、兵を鼓舞し。その剣技、兵を勇気付かせ。その姿、兵を奮い立たせる。これ以上ない、文字通りの『正道の騎士』。その力、戦う為ではなく。悲しみの涙を倒し、理不尽を打倒する守護の剣。
女性はやがて王となった。民が、兵が、嘗て仲間だった臣下が祝福する。
玉座に座るその手の中には、どこかで見たような剣十字の本。
『お前はここで見ていろ。流れ着いたお前は憶えておいてくれ。私の剣が、私の魔導が、私そのものが、どこまで国を守れるのか。変わることのないお前は憶えておいてくれ』
――ああ、憶えているとも。我が愛しき剣王よ。お前の剣が、お前の魔導が、お前そのものが導いた国は、安らかに発展した。
何処かで聞いた声同士。
しかしその景色はあまりにも残酷で、あまりにも――あんまりで。
――そう。彼女は没した。嘗て同盟を結んだ国の刺客によって。嘗て夢を語り合った男だった。いつか共に、互いの国を発展させようと誓い合った男だった。……友だったはずだった。
だが、女性は理解していた。――男は泣いていたのだ。謝って、謝って、ずっと泣いて、謝っていたのだ。
ならば、と女性は断罪を求める男に言った。
王となり、お前の国と共に私の分まで国を守ってくれ、と。
王の負担は意外と辛いぞ、と冗談交じりに笑う死にかけの女性に、男は涙を拭い、二人分だからな、と返した。
先に言って待っている。そう言って目を閉じる女性に、男はただ、ああ、約束だ、と返した。
そして、意識は段々浮かび上がって――
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九月某日。
管理局組+αが地球に着いたという連絡を受けたなのは。
直ぐに関係者を集め、仮拠点とされるマンションへと到着したものの、フェイトとアルフを除いた外世界組が意気消沈の様子を見せていた。
「り、リンディ提督……? クロノくんやエイミィさん、プレシアさんまでぐったりしてる……」
「ああ、なのはさん……他の皆もいらっしゃい」
少しばかり生気の抜けた顔をしているリンディの様子に狼狽えるなのはだが、他の面子は苦笑を呈していた。
その様子を見たなのはが、どういうこと!? と
それに見かねたアリサが、あのね、と切り出す。
「
「ふ、不法侵入、だよね」
でもでも! と言おうとするなのはの口を摘んで遮る。
「前は事件があったし、住み着く訳じゃなかったから何も言われなかったけど……」
「フェイトたちの事情などを考えて、ミッドチルダだと色々あるんだろうさ。出自経歴、前科に裁判後……悪気の有り無しに関係なくヤバいこと間違いなしだろ」
「ひなの言う通りや。ぶっちゃけた話うち等みたいな人種が特異特殊なんよ……
突きつけられる現実になのはだけでなく、管理局組までも表情に陰りが入る。
被害者、加害者、関係者の見境無しに自分が「悪いもの」、「かわいそうなもの」だと決めつければ人に伝染し、徐々に状況は変わってくる。
アリサ自身、そういう覚えもある。
入学当初、日本人らしからぬ金髪と、頭の良さから来る周囲への失望、素直になれない性格が災いして一時期クラスから孤立していた時期がある。
止まらぬ陰口に止まぬ視線に、厳しくなるアリサの顔と、悪循環が進む中で事件は起きた。
当時、今以上に引っ込み思案だった月村すずかのカチューシャを強引に取り、仮してと返しての取り合いが起きたのだ。そこに止めに入ったのが高町なのはだった。……が、その方法はまさかの武力介入。アリサへのビンタから小一らしからぬ「痛み理論」が飛び出したのだ。
叩かれたことに文句を言おうとするアリサが目にしたのは、男子生徒に音も無く頭を
『叩いた方も痛くなるようなアホが言うなっつの。この
『走んの
『人使い荒れーおこの女顔。……おーおーバニングスさん頬は赤くなってるけど腫れてないおね。逆にスゲーお』
未だ混乱する頭を必死で動かしていると、泣いて目元を真っ赤にしたすずかが落ち着いた声で三人の男子生徒の名を言う。
『日野くんに、古城くん……磯田くん?』
『はーい、校舎裏で女子の喧嘩を見てたけど友人が武力介入したのでさらに武力介入した方、ひなたでございますです』
『hai! そのバカに手を引っ張られ途中で振り落された方、セイバです』
『はい、代わりに拉致られた方。“やるお”と書いて“はるお”と読むやる夫ですお……あーあーこんなに目ェ腫らして……セイバー! ハンカチ濡らしといてくれおー』
『名前伸ばすなつってんだろ白饅頭!』
そう。当時まだ両親が健在だった頃の日野ひなた、
それから女子組が話し合い、共に親友となり、男子組を交えて六人が親友となり、男子組の妙なカリスマスキルでクラスに色々と事情を説明。喧嘩両成敗として、当時の同級生全員が一気に友達となったのは、女子組三人の中でも大きな思い出で、後にそこへ遅れて一人の女の子が加わったのもまた――
――だからこそ。
「私たちが支えなきゃ、じゃない?」
「……え?」
アリサの言葉に戸惑うフェイト。
自分は受け入れてもらえない。普通の子じゃないから。悪い事をしたから、みんなに加われないのか。――そうじゃないのか。
ひなたの家で騒いだときの様な、戦った時の様な
――違うぞ。我が友よ。
声が聞こえた。
響く低音、重厚な雰囲気を見せる声に重なって、強く硬い、そして知っている声が重なっている。
「無意識に念話で漏れてたぜ、フェイト。それを否定する権利は周りにない。肯定も、拒否も、お前が決めていいことなんだ」
「日野に全部言われた感。だが俺は言う。苦あれば楽ありってな。苦しけりゃ助けてやるし、楽しけりゃもっと楽しくしてやるさ」
いつもの無表情でサムズアップするひなたに、胸を張る聖刃。
続くようにすずかとなのはがフェイトの手を握る。
「大丈夫。貴女は一人じゃない。ここにいるみんなが、フェイトちゃんの友達だよ」
「親しき仲にも礼儀あり、ってあるけど……遠慮しないで何でも言ってねフェイトちゃん!」
「――」
じわり。
滲んでくる涙が止まらない。
ぽろぽろと頬を伝って落ちる涙が止められない。
悲しくないのに。嬉しいはずなのに。笑いたいのに涙が出る。
母も前のように笑ってくれるようになった。辛いことも、悲しいことも、知りたくないはずだったことも、色々苦しい事があったけど、前みたいに笑い合える時間になったのに。
たくさんの友達ができて、たくさん戦って、たくさん話して、また新し日々が始まるんだ。これからなんだ。
――なのに。
「――なんで、かな? 涙、止まらないよ……もっと、
不意に、温かさが背中を包んだ。知っている。母の温かさだ。
すずかとなのはが手を放し、背中のプレシアへと向き直る。
先程以上に抱きしめられる。
「それはね、嬉しいときの涙。その涙は我慢しなくてもいいのよ。悲しいときだって、嬉しいときだって、大人は子供に頼ってほしいものよ」
「あ、ああ……――ッ」
大声で、泣いた。
今まで泣けなかった分を、泣きたかった分を、会えない
いっぱい、いっぱい、大きな声で、言葉にならない声で、今までの辛いことを流すように、これから起きる日々のために、いっぱい泣いた。
・剣王と
その男の髪は翡翠色で、拳にて覇を唱えたとか。
・ハラオウン家&テスタロッサ家、地球へ
後半空気だけどほっこりしてます。
地球って裏社会が複雑だから(白目)
・小一のカチューシャ事件
まさかのやる夫さん関与。流石白饅頭だ。
なのはさん(精神年齢○○歳)、殴った後に、あっ、となったそうです。
・男子三人のカリスマ
聖刃のヒント=母親
ひなたのヒント=父親の元ネタ
やる夫のヒント=やる夫
・お迎え改変
どうせなら合流場所でゆっくりしようと言うこと……と言う設定。
人数が多いのと引越しの手伝いもかねて。まだ残暑がきつい季節です。
・プレシアさん
穏やかな口調ってなんだっけ(錯乱)
※2015/03/27:やる夫の自己紹介の言葉と謎の声の台詞修正
守護騎士とは何か。
守護獣とは何か。
騎士とは何か。家族とは何か。
真に問われるべきは、一体何なのか。
回転割砕の
第五話「悲しむ魔の侵食者」
私は一体、何のためにあるのか。
待て、而して希望せよ。