回転割砕の魔導右腕(ライトアーム)   作:変色柘榴石

50 / 70
お ま た せ

クロスしてんのがいやに多い……まぁ積極的に関わるのは元を除いて三つなんですが。
不定期なこの作品に関わる全てに、ありがとう((エヴァ)(並の)(感謝)

A's8からある人物が介入。
一話のみ書いた“アレ”です。
A's編終了次第、執筆予定。


A's7「霊魔の王と子狐少年(リトルフォックス)」

 さぁ、開戦の時だ。

 

 配点(集まる力)

 

 

 

/>

 

 

 

 卒塔婆を剣にしたようなブランクの汎用武器『ソクトーバー』を肩に掛け、あくまで自然体のブランクに対し、バクグモは過剰なまでに警戒の姿勢を示していた。

 

『あーらら。随分と嫌われてる……先代ってば何したのさ』

『黙れェ!』

 

 恐怖を振り払うようにブランクへ突撃を仕掛けるバクグモだが、柳のように揺れ動いて避けるブランクに拳は当たらない。

 業を煮やしたバクグモは、バックステップから網のような糸を吐き、突き出した両腕からは糸の塊でできた弾を連射する。

 

『おっとこりゃまずい』

 

 ベルト……イカイドライバーの上部に突き出ている三つのボタンの内、真ん中のボタンを押し込んだ瞬間、何処からともなく笛の音と声が聞こえてくる。

 

《ヒュー・ドロ――ヤ・ナ・ギ》

 

 その瞬間、バクグモの攻撃でブランクの足場が弾け、土煙がたつ。

 他愛ない、と意識を逸らしたバクグモに青白い火を纏った攻撃が襲いかかる。

 

『バカな!? 貴様!』

『死亡確認しないのは復讐フラグだぜ、お前のな』

 

 土煙が晴れた先には、ボロボロのお化け提灯が銃倉となった汎用銃、『ヒノタマガン』を構えるブランクの姿。

 トリガーに指を掛け、巧みにヒノタマガンを回すと提灯の中に六つの火が灯り、再びバクグモに向けて連射される。

 銃弾は当たらないものの、バクグモの体勢を崩すには十分だった。

 

『んじゃ、こっちのターン!』

 

 軽く踊るかのような連続剣戟。一つの攻撃が次の攻撃に繋がる様は、さながら風のようだ。

 今までに高町家の『御神流』、湊斗家の『吉野御流合戦礼法』、聖刃の『騎刃想剣流剣術』、シグナムの『我流騎士剣術』。それぞれを目にしてきた日野ひなたの目には異様ともとれる動きだったのだ。

 柔とも剛とも違う――いわば『軽剣』。『剣の鋭さのみ』で斬るかのような動きだと感じた。

 

『グッゥゥゥゥ……分が悪い、か。ここは退かせ――』

『られないね、っと!』

 

 ブランクがヒノタマガンの提灯の中に六角柱のクリスタルを嵌め込み、バクグモの足下を撃つ。

 

《召・喚――ス ネ コ ス リ》

 

 飛び退こうとするバクグモの足に毛むくじゃらの『何か』が取り付くと、バクグモの体がガクンッと落ちる。

――重いのだ。尋常ではないほどに、バクグモの足に絡む毛むくじゃらは重いのだ。

 

『こんな……! 毛玉如きにィィィッ!!』

 

 その時、割れる音がした。大きく、巨大なガラスが割れたような音が。

 

『お、やるねェ。霊魔結界(この結界)をぶっ壊すなんて……さぁーて、こっちは朝の時間だぜ』

《必・殺――サン・サン・サンズゴー! サン・サン・サンズゴー!》

 

 イカイドライバー中央に嵌め込まれたクリスタルをソクトーバーの柄部分の窪みに嵌め込むと、再び周囲に声が聞こえてくる。

 バッティングフォームのような剣の構えから、下から斬り上げられる剣戟がバクグモに飛来する。しかし、本命はその後にあった!

 

『なーむっ、っさぁぁぁぁあああああんッ!』

 

 ブランクは手の中で円を描くように一回転するソクトーバーを強く握り直し、打ち払うように、回転切り……『サンズゴースラッシュ』でバクグモを斬る。その剣の軌跡は『あの世』の地平線を思わせる光を放っていた。

 その光は、バクグモの背後の空間を裂き、今にもバクグモをその中に引き摺り込もうとしているのは、意識を失い掛けているひなたたちにも目に見えて解っていた。

 しかしそれを耐えるようにバクグモは、傷付いたザフィーラと共にいるひなたに指を向ける。

 

『ぐ、今に、見ていろ……小僧。“夜の力”は『奴ら』を引き寄せ、『奴ら』のものとなる……人間如き、我らの知ったことではないが、出し抜かれるのは屈辱だ』

「……?」

『高々『生まれ変わった』“程度”の人間に意趣返し代わりだ……“夜天を守れ”。全てそこに収束している……ああ、ああ。これでいい。いい気味だ『輪廻に見放された孤児(みなしご)』よ。地獄で見ているぞ』

 

 そう言い残し、バクグモは岩のような紋章となって、姿を空間の亀裂の中に消して行った。

 

 

<>

 

 

 バクグモの謎の忠告の後、

『じゃ、面倒事になる前に帰るわー! 小玉くんアトよろー』

――と、狐耳と尻尾を兼ね備えた少年にひなたたちを預け、高笑いと共にバイクで何処かへと立ち去って行った男。

 その直後にやってきたのが完全武装状態のヴォルケンリッターと、なのはたち地球魔導師組とフェイトを含めた武装局員数名。さらにそこへ、黒い軍服を着た金髪ウェーブ碧眼の少年と黒髪のショートカットの少女がやってきたのだ。

 

 即刻、管理局の本局直属病院に移されたひなたとザフィーラ。

 ザフィーラは打撲など軽傷で済んだものの、ひなたは検査の時点でリンカーコアの異常と体の不調が明るみになり即強制入院。後のお説教祭りにげんなりしながら、ひなたは首を縦に振るのだった。

 

 その一方で、それぞれの話が成されていた。

 

 一つ目は管理局側。

 現状犯罪を犯していないヴォルケンリッターよりも、闇の書を狙っているとされる者たちがいる事の方に目標を集中させ、犯罪を(起こすとも思えないが)犯さない限りは護衛、協力すると相成った。

 

 二つ目に謎の勢力である黒い軍服の少年少女二人。

 彼らは自らを『聖槍十三騎士団・黒円卓』と名乗り、その正体は地球のドイツ辺境を拠点とし、各次元世界に派遣できるほど大きな傭兵組織であること。その首領が管理局の元中将であったこと。管理局とも密接な関係にあると知った。――少年は『ブリッツ・ヴァルトルート・キルヒアイゼン・サクライ』、少女は『ミコト・イブスキ・サクライ』または『指宿命(いぶすきみこと)』。念話で転生組に話されたのはブリッツが原作介入型魔眼能力転生者。ミコトが自由型妖怪能力転生者、モデル『射命丸文』であることを告白した。

 その目的は、元黒円卓所属の血族である『日野ひなた』、『八神はやて』の手助け。あわよくば黒円卓への勧誘と、今回の事件の第三勢力の撃退(せいしとわず)を首領から自ら命令されたのだとか。

 

 三つ目は狐耳尻尾の少年。

 名を『小玉常椎(こだまとこつち)』といい、寝て起きたらこの状態で、『八束神社』の奥の森で倒れ、今はさざなみ寮で居候をしているという。見た目こそなのはたちと同年代に見えるが既に成人だと言う。

 管理局組の見解では『次元漂流者』ではないか、とのこと。

 しかし当の本人は、元の世界に変えても家族はいないから意味が無い。妹分もいるし、と言い、僅かな疑問を残しつつ現状維持と言うありがたい言葉を貰っていた。

 

 そして最後は――

 

「八神はやてさんと日野ひなたさん。両名の検査をしたところ、主であるはずの八神はやてさんよりも、リンカーコアの消費量、身体における影響が日野ひなたさんの方が上です。我々は、先に事情を知っていたザフィーラさん曰く『魔導適正の違い』と言う推測と、我々の見解である『闇の書にとっての“主の継続能力”の優先順位』によるものとの、『両方』と仮定しています」

 

 淡々と話す本局直属魔力精神内科医の言葉に、ばつが悪そうな表情で魔力内科医が言葉を引き継ぐ。

 

「我々も言うのは辛いが……どちらも『闇の書』が蒐集をしていない魔力分を補うが故に強制蒐集されている。それにより起きたリンカーコアの負荷が顕著に表れている。こんな状態になってまで家族を想えるのはすごい事だよ、僕個人としてはね」

 

――心底尊敬するよ、色んな意味で。

 そう呟く魔力内科医の表情は、複雑そのものだった。

 そこに、俯いていたヴィータが言った。

 

「――まるで、まるでひなたが、体の良い生贄みたいじゃねーかそれッ!」

「……ヴィータ」

「なんでだよ……なんにもしてねーじゃんか! なんにも悪くねぇひなたが、どうして……どうして……ッ!」

 

 誰に対する怒りか。誰に対する嘆きか。誰に対する慟哭か。

 それはヴィータと同じヴォルケンリッターも、管理局側でさえ、それを理解していた。

 その答えに応える者、応えられる者は――ここにいなかった。

 

「――手伝えないか。俺たちに、何か」

 

 いなかった、はずだった。

 

 

<>

 

 

 応えたのは、ブリッツ。

 黒い軍服に身を包み、鉤十字の腕章、金髪碧眼の、日野ひなたとは直接的に関係のない人物だった。

 

「魔力……つまり、リンカーコアから発せられるエネルギーが必要なんだろ?」

「トール……!」

 

 質問するブリッツに対し、なぜか別名でブリッツを呼ぶ命。

 少し待てと言わんばかりに手で遮るブリッツは続けた。

 

「俺たち黒円卓が扱う聖遺物……いや、扱う為の特殊術式“エイヴィヒカイト”の燃料は魂そのもの。腕吹っ飛ばされようがどてっぱらに風穴開こうが、回収した死者の魂を消費して全快状態に戻す。その(かなめ)の聖遺物ってのが必要なんだが……」

 

 まぁ新団員のは改良版らしいけど、とあっけらかんと話すブリッツ。

 いきなりの話が魂とか聖遺物。もろもろオカルトすぎて話についていけないのだろう。黒円卓組二人を除いた全員が唖然としている。

 

「聖遺物は聖遺物でしか壊せないし、ロストロギアだー、って言われても渡せない融合してるし……」

「……ハァッ!?」

「おっといけねっ――んでもって、ウチの副首領曰く「リンカーコアとは魂の核。人の色だ。要は魂イコールリンカーコアと思ってくれて構わないよ」とのことなんで、近場の慰霊碑から魂を拝借してそこな……えっと――シャマルゥさんだっけ」

「ぶっ……!」

「シャマルです! あとはやてちゃん笑わないで!」

 

 シャマルに涙目で睨まれ、すまんすまんと謝るブリッツ。

 気を取り直して語られた話の内容は、あらゆるものを本筋へと戻す内容だった。

 

「シャマルさんのぶっこ抜き――」

「ぶっこ抜き!?」

「……『旅の鏡』のことじゃないか?」

「……そ、それで、回収した分の魔力()を闇の書に蒐集させる。あとは――」

「――出てきた闇の書の管理人格をぶっ叩いて、管理権限のある八神はやてに停止させる。だろ?」

 

 口を挟んだのは、聖刃だった。

 そこに待ったをかけたのはクロノ。ブリッツと聖刃が言う作戦の内容……それはつまり、

 

「――闇の書を、一時的に完成させると言うのかッ!?」

「封印状態で無理に手を出したら転生機能で逃げられ、下手な作戦も自己再生機能で無効化される。それこそ、バグだけを確実に殺せる魔眼と技術、そして適合率か、最低限でも“次元世界最高以上の技術力”が必要になるんじゃないか」

「闇の書のバグ――謂わばそれは、正しく混沌。奇跡的に積み重なった砂上の城とでも言っておこうか」

「バグがバグを食いつぶさないとか無駄に幸運だなちくせう」

「トールとそこの剣王さんが混ざっても確実にわかるぐらいですね」

「いやわかりづれぇよ」

 

 ――いやちょっと待て。

 今なんだか胡散臭そうな声がした、と誰かが言う。

 というかさっきに会話に誰かが混じった。

 どこのちくわ大明神だそれ。

 それこそ誰だ。

 

「――私だ」

「お前だったのか……ってギャーッ! 副首領!」

 

 扉に背を向けるように、それはいた。

 影絵の男。

 存在希薄の存在。

 襤褸布(ぼろぬの)を纏う水銀。

 

「然り然り――変わらず良い反応をありがとう、ブリッツくん」

 

 薄ら笑いを浮かべる影に対し、不快感が心中に漂う。

 ただ直感でわかったことは一つ。

 ろくでもない存在であること。ただ一つ。

 

「さて、自己紹介をしよう。サン・ジェルマン、パラケルスス、トリスメギストス、ノストラダムス――名は数多あるが、こう名乗らせてもらおうか」

 

 

 

――聖槍十三騎士団副首領、黒円卓十三位『水銀の王(メルクリウス)

 

「カール・エルンスト・クラフト。しがない魔術師だよ」




・劇場版ブランクさん
後日設定を番外図書に投稿予定

・傭兵(震え声)組織『聖槍十三騎士団』
お前らの様な傭兵がいるか、と言いたくなるが我慢。
感想でも言ったように丸くなってる(はず)。
鬱成分緩和。ヒャッハーさんが増えてる。(現在指導官の一人)

・小玉常椎くん
お分かりかと思いますが、『彼』です。
こだま とこつち
 たま   しい
き   つね

・シャマルゥ・ぶっこ抜き
もはや定番ネタ

・エイヴィヒカイト
永劫破壊の意味合いが変わりました。

・いつもニタニタ女神に這い寄る水銀の王(ry
幾分か丸い人。あの変態性を俺は書けるのか……
実は『座』は別の人。
みんなが知ってる『座』=監視室
ここの『座』=まさかのアパート(本『座』ベースに準『座』の理が流れてる)
これでいいのか神座システム……



 幕引き迫る時。恐れていた事態へと事は進む。
 幸福ばかりなど許されない。悲観せよ。この恐怖劇を彩る礎となれ。
 ここに『白』は侵食する。

回転割砕の魔導右腕A's(ライトアーム・エィス)
第八話「白の0号」

 しかし恐れるな怖がるな。
 この『世界』は、踏み出す者に力を与える。


待て、而して希望せよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。