回転割砕の魔導右腕(ライトアーム)   作:変色柘榴石

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なんとかクリスマスに間に合った……
今回は入り切らなかったけど、次回、次回こそは“彼(?)”を!

サンタさぁぁぁああん! (本編未登場のため伏字)みたいな彼女下さぁぁぁいッ!

サンタ「無 理 ☆」

(´;ω;`)ブワッ


A's8「白の0号」

 それがあるから幸福と感じられる。

 

 それがあるから希望は輝かしく、尊く感じられる。

 

 必要悪とは、はたして

 

 

配点(絶望)

 

 

 

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 魔術師カールクラフト……メルクリウスとブリッツが出した案は極めて単純明快。

 片っ端から魔力を、リンカーコアを核とした『死者の魂』――正確にはエイヴィヒカイトによる魂吸収で得た魔力――を闇の書に蒐集させるという、一見――否、どう考えても人道的に反しているとしか思えない案だったのだ。

 それに待ったをかけたのは、他でもない聖刃だった。

 

「いくら死んだ人だとはいえそれは――」

「正義、人道、倫理――実に美しいな。三聖剣」

 

 遮るように、芝居がかった声がする。

 メルクリウスに他ならない。その声。

 何が言いたい。そう問いかけようとするが、変わらず口角を上げてこちらを見るメルクリウスの深海の様な瞳に呑まれてしまう。

 

「ではその道を貫いて、彼は――君の知る物語は待っていてくれるかな」

「……ッ」

 

――解っている。そんなことを言われなくても、言っても、言わなくても、解っている。

 

 事は急を要する。気付けなかったからと言い訳するつもりはなかったし、誰かを責められるようなことでもない。本筋の要因を知っているからこそ、聖刃は何も言えなかった。

 悠長なことなど言っていられない。形振り構ってなどいられないのは、ここにいる誰もがそうだ――しかし、一度死んでいる人間だからこそ、死者の魂に何も感じずにはいられなかった。

 誰にも偽れない、心からの本音だ。

 

 だが、その所為で親友に何かあってはどうしようもない。そんな、ジレンマ。

 

「……だったら、聞かせてくれ」

「――如何様(いかよう)にも」

 

 即答に近い反応。

 待ち侘びていた。そう勝手に思うことにする。

 せめて聞かせて欲しい。自分たち(俺達)に、何が必要か。

 

「何人分で、副次結果と、決戦の時間を」

 

 

 その数、(リンカーコア)の有無合わせおよそ100万人分。とにかく100万。

 覚醒後の使用魔法の種類こそ多くはないが、エイヴィヒカイト以上の霊的装甲乃至(ないし)バリアジャケットは覚悟すること。

 

 決戦時刻、12月25日の日没。

 

 

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 執務官クロノ・ハラオウンは苦悩する。

 無理もない。魂とか魔術とか、自分達の世界の常識では考えられないようなオカルト話が飛び出してきたのだ。

 魔法の語源とかその他諸々もオカルト染みているが、結局は科学寄りの判定になってしまう。

 あの闇の書も、『転生機能』などついているが、転生と言う言葉でさえオカルトだろう。あるとすれば『記憶の転写』ぐらいか、と思ったところで脳内の話題が脱線していることに気付く。

 

……我ながら慣れてる気がする。

 

 地球(この世界)に来てからと言うもの、驚いて、戸惑って、狼狽えて、今では達観していると自覚できる。

 自信を客観的に見るとはこの事か、と少々思考がズレていながらも今の自分が『スッ』となっていることに納得する。

 少し前までは自分の信じる正義の為に邁進し、盲信していただろう。

 それが今ではこうだ。地球マジ人外魔境。

 

 ここまで考えて、現実逃避を止める。

 誰も思わないだろう――

 

「ぃよーうクロスケェー! がんばってるぅー?」

「久しぶりねクロノ。良い顔になってるじゃない――なんか色々と突き抜けた顔に」

 

 管理局を引退し、英国の名店喫茶『シュレディンガー』で大成している現民間協力者の使い魔二匹と、

 

「息災だったかクロノ。私か? 私はいつも通りさ」

「少年よ、何を呆けている。早く座らないか」

 

 その使い魔二匹の主と、デバイスマイスターの界隈で“神”と騒がれる有名人が自宅に来るなど。

 

 

 S級デバイスマイスター。

 この世に二人といない特級階位にして、実はその人物の為に造られた名誉階級との噂も絶たない人物。

 それが“彼女”……『マーリネル・アンブロジウス』

 ――自称『十八代目魔術師マーリン』

 

「……何故ここに?」

「んにゃ~? 海鳴に仮拠点作ったって聞いて遊びに来たんだけど? あと闇の書の件でちょいと」

「闇の書はついでか!?」

 

 仮に部下を失った要因じゃなかったのか。

 そんなクロノの考えを読むように髪の短めな方の使い魔、リーゼロッテは少し悩んで口を開く。

 

「確かに恨みはあるけど、“誰か”が原因って訳でもなしー、バグシステムに怒りぶつけようにも無駄。そういう技術もアタシら持ってなかったしなー」

「かと言って、現所有者のはやてちゃんに何の恨みも無いからね。ここで逆恨みしたら、引退するまで貫いた『私たちの正義』が崩れるような気がしてね」

 

 リーゼロッテに続き、髪の長い方の使い魔、リーゼアリアが言葉を繋ぐ。

 彼女たちの正義は普遍的。貫き続け、何時しか主である『ギル・グレアム』と共に“歴戦の勇士”と謳われ、最も信頼できる部下に後を任せて出身であるイギリスに帰省。喫茶店を開き、今に至る。

 

「……って、ちょっと待ってくれ。“バグシステム”とは何だ!?」

 

 聞き捨てならない言葉にクロノが気付き、その反応にリーゼロッテがきょとんとした顔になる。

 

「あれー? 知らなかったっけ……まぁいいや。友達が調べてくれるんでしょ? 先に聞いちゃったら可哀想だし、アタシらは黙っとくよん」

「ただ言えるのは『闇の書は意図的に壊された』ってこと。憶えておいて」

「――解った」

 

 我慢できる、と言えば正直嘘になる。

 特級ロストロギア“闇の書”の悪行の数々。それが狂わされた結果で、

 

……11年前、闇の書が突如暴走した真実、なのか――?

 

 考えれば考えるほど、符号していく事実。

 こうだったなら、不可解なあれも辻褄が合う。

 あれも、これも、過去の『闇の書事件』の不可解さが紐解かれていく。

 ユーノ程ではないものの、クロノの人より優れた記憶力(努力の結晶)が、雁字搦めのロストロギア事件を解いていく。

 ならば、今回の事件も――否、判断材料が足りない。“因”と“解”は埋まった。後は内容の“理”だが……

 

「ちゃーっす、三河――じゃなかった。セイバさんの情報お届けサービスでーっす、っと」

「お、騎士王の(せがれ)じゃないか」

「ゲェーッ!? マーリン!?」

 

 細かなノックの後、ハラオウン家のリビングに入ってきたのはミッド製のデータカードを手にした聖刃だった。

 それに反応したのはマーリンことマーリネルだった。

 

「そんなゆで卵な反応しなくてもいいじゃないか。 ほらほら、昔みたくぎゅーっと抱き()()()()

「俺の傍に近寄るなァァァァッー! 昔っからアンタだけは苦手なんだよ! つかアンタ――“女”なんだからそれを理解しろォォォッー!」

 

 そう、マーリネルは“彼女”なのだ。

 最初の一言から会話には参加しなかったものの、ギル・グレアムと共に孫自慢――否、“使い魔”自慢と“世話子(世話してる・してた子)”自慢に花を咲かせていたのだ。ちょうどマーリネルが聖刃のことを話し終えた瞬間に話題の本人が来た。

 その結果……

 

「女装しても違和感のない少年だー」

「マーリンと別れる時に大泣きした少年ね」

「ほー、彼が君をお嫁さんにすると毎日のように言っていた少年か」

「セイバ……」

 

 

「うぼぉぁあああああああああああああああああああああああああああァァァァァァァァァァァァッーーーーー!!」

 

 彼が立ち直るのに数時間。

 ユーノとカガミの調べものは無事クロノに届けられたトカ。

 

 ちなみにマーリネルは現在19歳独身。デバイスマイスター免許獲得は八歳。史上最年少だったそうな。

 実に十歳差であり、幼聖刃が告白したのは四歳、マーリネル14歳の時だったらしい。

 

 

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 作戦開始時刻から二週間。

 協力を申し出た月村すずかとアリサ・バニングスの両家の協力により、世界各地の墓地、霊地を回り、予備を含めおよそ100万の魂の回収に成功する。

 

 その中でも大きかったのは、三人目の黒円卓にして、海鳴の裏組織の仏道担当――黒円卓第十一位『法界の異端超人(ツァラトゥストラ・ハイデントゥーム)聖・白蓮(ひじり・びゃくれん)の活躍だった。

 

 彼女の生業(なりわい)は檀家や霊障に苦しむ人々に対する除霊活動など。受ける当人たちは真偽問わず『除霊関係は命蓮寺(みょうれんじ)』とまで言われるほどの量を(こな)している。

 実はこの除霊活動。除霊している本人も善意だが打算もある――そう。魂の回収である。

 白蓮曰く、エア巻物こと正式名称『魔人経巻』を形成した状態で袈裟の下に体に巻き付け、強化した『法力(物理)』で除霊(物理)……らしい。事象展開型とはなんだったのか。

 

 実にその数――何処から集めた25万。

 まさかの目標数の四分の一が一ヵ所で集まるとは誰も思っておらず、当の本人である白蓮とメルクリウスのみがニコニコ(にたにた)としていた。

 

「そこで改めてこう思った――寺生まれってスゲー……」

「“寺生まれのTさん”やのーて“寺生まれのHさん”やな……やだ、いやらしい……!」

「君の脳みそがいやらしいわ」

 

 とゆーわけで久しぶりや。おう久しぶり。

 何気ない会話。それすらも久々な気がして。

 改めて自分たちは互いに依存していたんだな、と再確認する。

 一ヵ所だけを除いてい何もない空間が二人を包み込んでいる。そこにはなぜかはやての膝枕で寝転ぶひなたの姿があった。

 

「膝枕なんて何年ぶりだろ」

「毎回私が乗る側やったもんなー」

「意外とふんわり。治り次第即リハビリ確定ですね」

「まじかー、まじやろなー……え、治るん?」

「気合かっこ魔法」

「まほうのちからってすっげー!」

「まぁとりあえず……」

 

 よいしょと立ち上がった『ひなた』の行く先には、蹲り(うずくまり)嘆く銀髪の女性。

 

 _(ころ)してくれ、_()なせてくれ。

 終わり(幕引き)を望むその声にひなたは――

 

「やかまシャスッ!!」

「ころ――じゃすッ!?」

 

――ジャーマンスープレックスで黙らせた。

 その光景に、はやては思わず、合掌、十字よりも先に、敬礼をした。

 それほどまでに綺麗に決まったジャーマンスープレックスだったのだ。

 

「さっきっから物騒なことをブツブツと! こっちが鬱になるわ!」

「いや、しかし――」

「わん、もあ、セッッ!!」

「あがががががッ!?」

 

 今度はアルゼンチン・バックブリーカーだ。

 訳の分からない怪力で上にあげられ反論も許されない様は、思わずはやても、うわぁ……となった。

 

「どうしようはやて!」

「なんや!」

「左手のふとももやわっこい! すっげーむちむちしてておれどきどきしてきた!」

「読みずらい! ……やのーてズルい! 私も思うとこあったからオパーイいただかせていただきます!」

「はやてもなんか違うッ!?」

「そ……」

「……そ?」

「荘厳なクッション……やと……!?」

「それ多分はやてがやっちゃいけない」

「えー」

「おろして……」

「「あっ」」

 

 

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「つまり君が闇の書……もとい、“夜天の書”の管制融合機と」

「はい。主な仕事は文字通り蒐集した魔法の使用補助と調整などの魔法管制などです」

 

 何もない空間。それは所謂(いわゆる)『闇の書の中』だと融合機は言う。

 はやてやひなたの異変は全て闇の書(自分)のせいであり、ようやく平和に過ごせるようになったヴォルケンリッターに顔向けができない。出来るはずがない。出す資格などないと自信を責めたてる。

 

「あの時の夢は……闇の書に残った記録やな」

「その通りです。かなり古い時代の……まだ私が“夜天の書”であった頃の、古き主。剣王、シグナム・アーデルハイトです」

「……まじかー……」

「まさか、他のみんなも?」

「――ご察しの通り。“紫電剣王(しでんけんおう)”シグナム・アーデルハイトをはじめ、“鉄槌剛姫(てっついごうき)”ヴィータ・ヴィルセン。“城塞堅狼(じょうさいけんろう)”ザフィーラ・ゲルトルート、“医風女王(いふうじょうおう)”シャマル・サイラシース」

 一息。

「かつての“夜天の王”の中でも、飛び抜けて優れた四人のデータが改修の際に使われたのが、『雲の騎士団(ヴォルケンリッター)』です」

 

 夜天の書を、闇の書に変えた改修。

 今までの闇の書の影響を考えると、それは許されることではないだろう――しかし同時に、その改修が無ければ、四人に会うことも、目の前の彼女に会うことも。もしかしたら、はやてとひなたが、互いに会うこともなかったかもしれない。

 複雑ではあるが、感謝もしなければならないだろう。

 今、この時に。

 

「さて、そろそろ起きようかね。あまり心配かけられんし」

「――できません」

 

 不意に、視界が歪む。

 

「このまま、お二方とも……お眠りください」

「な、にを……」

 

 意識が塞がれていく。

 抗えない、強制的な安らぎの奔流。

 

「このまま戻ってしまえば、辛い思いをしてしまいます。私には、それが絶えられません」

 

「せめてこのまま、優しい夢を」

 

 

「全てが終わる、その時まで」

 

 

「お休みください。我が主たち」

 

 

 

 意識は、オチル。




・つまりどういう作戦か
黒円卓組で魂を回収(殺しじゃなく墓場などで直接)→計およそ100万の魂で魔力の量も質も上々に→蒐☆集→一気に665ページ分獲得。あとは適当に魔力回収→暴走融合機との戦闘。以下決戦へ。

・おじさんたち何してるんすか
喫茶『シュレディンガー』、オカルト好きの店員たちがお出迎えする愉快な喫茶店として有名オカルト雑誌に掲載後大人気に。
ワーキャット役二人(リーゼロッテ・アリア)魔法使い(マーリネル)温和な吸血鬼(真祖)(ギル・グレアム)設定。
紅茶と紅茶クッキーが人気。
映画版でいなかった理由を管理局の都合ではなく、別の理由にするための口実だったり。

・クロノ式三段階
因:原因、始まりは何か。
理:理由、原理、どうやってそうなったか、そうしたか。
解:解決、どういう結果になったか

・幼き頃のせいばくん
結構舌足らず。「ねーちゃ、ねーちゃ」とマーリネルの後ろを付いて回ったり、「かしゃぅ!」と輝かしい目で母を見たり、「とちゃー……」と「なんでさ」と項垂れる父を慰めたり。
舌足らず時代は黒歴史らしい。

・聖☆おねえさん!
純正のリリなの世界人。
しかし来歴はほぼ変わらず、封印されたか否かの違い。
無論エア巻物こと魔人経巻は自作。第二の水銀である。

・耐えられなかったシリアス
書いててうざかった気がした。今は反省も後悔もしていない。
一つ言うなら(本編(ry)のオパーイ枕が欲しい。

・元夜天の王のヴォルケンズ
完全オリジナル……だと思う。
ちなみに“盟主”さんも同じくではあるが史上最短の一年半のみ。




 かくして、物語はいよいよ幕引き(休憩)に。
 ここまで壮大な休憩が在っただろうか。
 新たな役者を(まじ)えて、世界は物語を紡ぎだす。
 未強化の星、(いかづち)、聖剣。
 閉じ込められた夜と獅子。

回転割砕の魔導右腕A's(ライトアーム・エィス)
第九話「トライマジック」

 優しき夢か。等しき(うつつ)か。
 夢と現の果てに夜と獅子は何を見る。


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