Fate/Inferno Order   作:ハイカラ 一方通行

10 / 13
模試の結果が悪すぎて意気消沈してたらこんなに遅くなってしまった…


竜の大地2

side立香

 

 

気がつくと私達は草原の上に立っていた。

 

どうやら無事にレイシフトが成功したようだ。

 

前回の時はいっぱいいっぱいだったからわからなかったけどいきなり違う場所に転移しちゃってるから結構怖いなぁコレ…

 

「無事にレイシフト出来ましたね、先輩。前回とは違いコフィンを使用してのレイシフトだったのでそこまで心配はなかったのですが無事でなによりです。」

 

「う、うん…ついでにフォウ君もいるけどね…」

 

私はマシュの下にいるフォウ君を指差して言った。

 

「フォーウ!」

 

「フォウさん!?ついてきてしまったのですか!?」

 

「コフィンの中に忍び込んでたのかな…?」

 

「恐らく…ですが、わたしたちのどちらかに固定されているはずですから、わたしたちが帰還すれば自動的に帰還できるはずです。」

 

「…そういうことなら問題ない…かな?」

 

「はい。わたしたちは運命共同体ということになりますね。」

 

そ、そうなのかな?よくわかんないけど…

 

「?──マスター。時間軸の座標が確認できました。ここは1431年のフランスのようですね。」

 

「15世紀のフランスって言ったらえーと、…なんだったっけ?」

 

「現状、百年戦争の真っ最中のはずです。ただ、今は休戦中だったはずです。」

 

「へー、さすがマシュ!できる子は違うね!」

 

「い、いえ…それほどでもありません。」

 

「ん?あれは…マシュ、空を見て。」

 

「何が…え?」

 

《よーし!回線が繋がったぞぅ!ついでに画像は粗いけど映像も通るようになった!ってどうしたんだい?立香ちゃんもサーヴァントの皆もそろって空なんか見上げちゃって…ってうわぁ!?なんだあれは!?…光の輪?》

 

「いーや、違うな。あそこから魔力を感じるってことは何者かの仕業だろーよ。」

 

「ふむ、衛生軌道上に展開した何らかの魔術式のようだな。」

 

「とんでもない大きさです…」

 

ホントになんなんだろうあれは?この特異点に関係あることは間違いないと思うんだけど…

 

《1431年にこのような事象が起こったなんていうのはどこの記録にもない。間違いなく未来消失の理由の一端だろうね。アレはこちらで解析するしかなさそうだ…とりあえず君達は現地の調査に専念してくれ。それと霊脈なんだけど幸いにも霊脈はそこの近くにある。とりあえずはここから3キロほど歩いてもらえるかい?》

 

「分かった。行こうみんな。」

 

 

 

しばらく歩いていると100メートルほど先に人影が確認できた。

 

「先輩、あれはフランスの斥候部隊のようです。コンタクトをとってみますか?」

 

「そうしよう。そうしないと何も始まらないし。」

 

私がそういうとマシュ、スカサハ、クー・フーリンそしてエミヤが私のことを囲んでくれた。

 

「フッ。それでこそ我がマスターだ。」

 

「いいねえ。そういう選択は嫌いじゃねぇ。」

 

「私はこういう選択は好まないのだがね…まあ、時にはこういう選択も必要だろう。」

 

「守りは任せてください。先輩には傷1つつけさせません!」

 

「うん!ありがとう!」

 

「Hey,Excuse me.こんにちは旅のものなのですが─」

 

「ひ、ひいぃ!敵襲!敵襲!」

 

《やっほー。ちょっと手が空いたから見にきたよーってなんで周りを武装集団に囲まれてるのさ!?いきなり荒事!?しかもフランス軍の精鋭!どうしよう!?その世界はすでに隔離されているから何が起きてもタイムパラドックス発生しないし、戦闘しても問題はないと思うけど…》

 

「何かないの!?こういうときのフランスジョークとかさ!?」

 

《そんなものあるわけないでしょ??大体戦争中にジョーク言う国なんて何処にもないよ!》

 

「ドクターに期待したらいけません先輩。こうなったら峰打ちで制圧するしかありません!」

 

「わ、分かった!じゃあみんな頼んだよ!」

 

「「「了解(した)!」」」

 

そう言うとみんなは次々と兵士達を制圧し始めた。

 

マシュは盾を使うのを諦めて素手で気絶させてるけど…

 

そしてさすがは英霊。50人ほどの兵士を10秒かからずに無力化してしまった。

 

「みんなお疲れ様!」

 

「肉体的にではなく、精神的にものすごく疲れました。」

 

「うん、結局素手でやってたもんね…」

 

「そ、それは言わないお約束です先輩!ですが峰打ちが少々甘かった為か撤退されてしまいました。」

 

「ふむ、すぐに後を追った方がいいだろう。」

 

「うん!行くよ!」

 

そう言うとすぐに私達は兵士の後を追った。

 

 

 

私達が兵士を追ってたどり着いたのはボロボロになった砦だった。

 

「これは…」

 

《砦がボロボロじゃないか!?今戦争は休止中のはずじゃあないのか!?》

 

「休止中のはずだったが正解のようだな。ここはもうすでに正規の歴史の流れからは随分とはずれてしまっているようだ。」

 

あの兵士の怯えようを見ても何かあったのは明らかだしね。

 

「ひぇっ…!ま、また来たぞ!」

 

「先輩、とりあえず兵士達の誤解を解くのが先です。ボンジュール。わたしたちは旅の者です。あなた方に危害を加えるつもりはありません。どうか、武器を置いてくださいムシュー。」

 

「敵…ではないのか?」

 

随分簡単に信用しちゃうんだね!?

 

《もしかして…萎えきって戦う気力すらも残っていないとか…?》

 

「シャルル七世は休戦条約を結んでいないのですか?」

 

「シャルル王だって?アンタ、旅の者だから知らないのか?」

 

「…え?」

 

「シャルル王ならとっくにくたばっちまったよ。魔女の炎に焼かれてな。」

 

…え!?魔女が焼きつくしちゃったの!?

 

「その魔女の名は()()()()()()()()だ。」

 

「ジャンヌ・ダルク…ですか?」

 

「ああ。あの方は蘇ったんだ、魔女となってな。イングランドはとうの昔に撤退した。だが、俺達は何処に逃げればいい?俺達にはどうすることもできないんだよ畜生!」

 

「ジャンヌ・ダルクって言ったら…」

 

「ええ、世界で最も有名な聖女です。その信仰心は凄まじく、火刑に処される時でさえ信仰心を手放さなかったとも言われています。」

 

「そうだ。その聖女様が蘇り、自分を見捨てたフランスに復讐をしようとしているんだ!悪魔と取引して!」

 

「悪魔、とは先ほど道中で襲ってきた骸骨兵のような?」

 

「違う。それぐらいならば俺達でも対処が可能だ。だが──」

 

─グオオオォォ!!

 

「来やがったか…みんな立て立て!抵抗しないと食われちまうぞ!」

 

《周囲に大型の生体反応!しかも、速いぞ!?》

 

「マシュ…あれって…ワイバーン!?」

 

「ええ。間違っても15世紀のフランスにいていい生物ではありません!」

 

《来るぞ!!》

 

「クー・フーリン!スカサハ!お願い。エミヤはここで狙撃して!」

 

「任せなぁ!」

 

「あまり突っ走るなよ、バカ弟子。」

 

ワイバーンに向かって行ったクー・フーリン達を見つめていると砦の上から声が聞こえた。

 

「兵達よ!水を被りなさい!彼らの炎を一瞬ですが防げます!」

 

「…え?」

 

「そこのあなた!どうか武器をとってください!──そして私に続きなさい!」

 

《彼女、サーヴァントだ!けど反応が弱いな。一体何者なんだ…?》

 

「ドクター!それよりもワイバーンの数が多いことの方が問題です!」

 

《え!?うわっホントだ。100匹以上はいるぞコレ!?》

 

「呑気にそんなこと言ってる場合じゃありません!」

 

マシュの言うとおりクー・フーリンたちも頑張ってくれてはいるが如何せん数が多い!

 

「チッ!数が多いな!」

 

「おい、クー・フーリン。今お主の槍を大軍仕様にしておいた。宝具を使え。」

 

「ホント出鱈目だなアンタ!?まあいい、マスター!宝具を使うぞ!」

 

「分かった!やっちゃって!!」

 

「よっしゃあ!いくぜぇ!突き穿つ死翔の槍(ゲイボルク)!!」

 

クー・フーリンがそう言うと、私の中の魔力がごっそり無くなるのを感じる。

 

けどその甲斐あってか、クー・フーリンの宝具でほとんどのワイバーンを串刺しにして倒せた。

 

「やった!!」

 

「残りは私に任せろ!!───フッ!!」

 

エミヤの矢が残りのワイバーンに命中し、ワイバーンの体が爆散する。

 

うわっ…グロッ!!

 

「あっ…すまないマスター。嫌なものを見せてしまったな…」

 

「ううん、大丈夫だよ!私こういうの意外といけるから!」

 

「それもそれで問題だと思うのだが…」

 

エミヤが落ち込んでしまった…どうしよう…?

 

…うん、放っておこう!

 

こういうのは、本人が忘れた頃にいじってあげるのが面白いからね!(ゲス顔)

 

「どうやら今ので最後のようです。お疲れ様でしたせんp──「そんな…!貴女は!?いや、お前は!みんな逃げろ魔女に焼かれるぞ!」え?」

 

あの金髪の女の人を見たら、兵士達は走って逃げてしまった。

 

「……あの…ありがとうございました。」

 

「いえ、おきになさらず。それより、貴女の名を─」

 

「私はサーヴァントルーラー。真名をジャンヌ・ダルクと申します。」

 

「ジャンヌ・ダルク!?亡くなったはずでは!?」

 

「その話はまた後で。彼らの前でするような話ではありませんから…ついてきてください。お願いします。」

 

「…誘われてしまいました。どうしますか、先輩?」

 

「手掛かりだ。行こう。」

 

《ボクも賛成だ。この時代のサーヴァントならこの時代にも精通しているだろうからね。》

 

私達はとりあえずジャンヌの話を聞くためについていくことにした。

 

 

 

どうやら彼女はサーヴァントとしては未熟らしく、ステータス面などでランクダウンしてしまっているようだ。

 

そしてこの時代にはもう1人ジャンヌがいるらしく、もう1人の方がシャルル七世を殺し、オルレアンにて大量虐殺を行ったようだ。

 

人理焼却の事を話すついでに、魔獣を倒しながら森を抜けると遠くの方にワイバーンの群れがあった。

 

《すごい数だ…さっきの3倍ぐらいいるぞ。一体何があったんだ?》

 

「!?フム…今ようやく思い出したが、重國の奴があそこの中にいるようだ。」

 

(゜ロ゜;!確かに言われるまで完全に忘れていた!

 

…普通だったら忘れるはずがないのになんでだろう?

 

「ほう…なるほどな。どうやら抑止力があの者の排除をしようとしているようだ。今まで奴のことを忘れていたのも抑止力が原因だろう。人理焼却で混乱している為にそこまで直接的な排除行動には出ていないようだがな。」

 

「奴の力は現代においては過ぎた力だからな。恐らく、本人もそれを分かっていたから今まで力を使ってこなかったのだろう。」

 

そ、そんな…

 

「あいつなら大丈夫だ、マスター。今回の件で抑止力も奴の力が人理修復に必要だと理解するだろうからな。少なくとも人理修復の間は排除されることはねぇだろうよ。」

 

「それでも良くないけど…」

 

「そんなことをいっている場合ではありません!一刻も早く助けないと!」

 

「その必要はないぜ聖女様。すぐに終わるはずだ。」

 

「しかし…!」

 

「危なくなったら助けに入るからよ、今はあいつのお手並み拝見といこうぜ。よっこらせっと…」

 

うちのサーヴァントはマシュを除いて全員座ってしまった…あっ、エミヤは立ってた。ごめんエミヤ。

 

…仕方ないから私も見ることにしよう…

 

最悪令呪で命令するしかないと思いながら私も座って戦いを見物することにした。

 

 

 

side日番谷

 

沖田に説教された後、俺達は少し休憩してから立香達を探すために出発したのだが、ここに来るまでの間にもう3回も蜥蜴どもに襲われている。さすがにいい加減にしてほしい。

 

俺は先程沖田とブーティカに近接戦闘を禁止された為、鬼道で彼女達の援助をしながら戦ったのだが、数が多すぎて中々全部倒せず、沖田の病弱スキルも発動したため、予想以上に時間をくってしまった。

 

これはBLACKすぎる!このままいったら俺がBLACKコーヒーのCMを独占できるぐらいにはBLACKだ。もしかしたらついでに仮面ラ○ダーにもなれちゃうかもしれない…

 

「ここから少し先の森からサーヴァントの気配を感じるよマスター。行ってみる?」

 

「そうだな。恐らく立香達だろう…行くか。」

 

そう言って1歩踏み出そうとしたその時──

 

「!?マスター!後ろからまた大量にくるよ!!」

 

≪いじめかな?いじめじゃないよ?いじめだよ!!≫

 

“重國 心の一句”

 

なんて考えてる場合じゃねーな…俺頭大丈夫かな?

 

「くそっ!とりあえず侘助を沖田に渡すからワイバーンを全部叩き落としてくれ!あと、全部叩き落としたらこの場から離れろよ!ブーティカは俺を抱えて走ってくれ!」

 

「「了解!!」」

 

沖田が戦闘に向かうと同時に、俺は沖田とは逆の方向にブーティカに抱えられながら走り、ワイバーンと戦っている場所から離れたところで待機した。

 

「何をするつもり?」

 

待機しながら魔力を練っているとブーティカがそう聞いてきた。

 

「さっきからお前らに任せっぱなしだからな。それに一応仙豆を持たせてはいるけど、沖田の体調もいつ悪くなるか分からないしから一気に終わらせたいんだよ。」

 

「普通サーヴァントとマスターってそういうものだと思うんだけど…それで?」

 

「だから1発でかいの撃って終わらせるんだよ。なぜかあっちの森の方にいるサーヴァント達は手伝う気が無さそうだしな。」

 

「それ、重國は大丈夫なの?」

 

「ああ、大丈夫だ。遠距離攻撃だしな。それに魔力なら有り余ってる。」

 

「ならいいけど、無理はしないでよ?」

 

「いざとなったら令呪でも使ってこっちに転移してきてもらうさ。」

 

なんて話している間に沖田は全部叩き落としたようだ。

 

「ブーティカ。」

 

「どうしたの?」

 

「行ってくる。」

 

「うん、行ってらっしゃい。」

 

ブーティカの返事を聞くと俺は瞬歩で一気に蜥蜴どもの真上に移動した。

 

「これで散れ──飛竜撃賊震天雷砲!!」

 

そう言いながら俺は手を突きだして鬼道を打ち出した。

 

sideout

 

 

side立香

 

「ヒュー!さすがは出鱈目坊主だ。ワイバーンの群れを遠距離魔術で塵にしちまうなんてエグいことしやがる!」

 

「すごいです…!先輩、彼は本当に何者なんでしょうか?」

 

「ごめん、マシュ。そんなの私にも分からないよ。」

 

先程重國が放った一撃が強烈すぎてみんな10秒ほど言葉を失っていた。なんでワイバーン約300匹を纏めて塵にできるの!?訳が分からないよ…

 

≪本当に人間だよね彼?≫

 

≪さあねぇ?もしかしたら神様か何かかもよ?≫

 

「神代でもあそこまでの魔術を扱う輩はそうはおらん。あれほどの魔術を扱えるのはそれこそキャスター最高位とも呼ばれるキングメーカーや裏切りの魔女ぐらいだろう。」

 

「控えめに言っても化け物だ。あんなもの現代の人間が扱えるような代物ではない。」

 

みんなひどい言いようだね…分かるけども!

 

「あっ、重國さんを確認しました。あのスピードならあと10秒ほどでこちらに着きます。」

 

マシュの言葉で、先程の爆発で更地になって煙の上がっている所から重國達が物凄いスピードでこっちに来ているのが見えた。

 

「ありゃああいつかなり怒ってんな。」

 

「おい、大丈夫かジャンヌ・ダルク?固まっているぞ?」

 

「え、ええ…大丈夫です。あれは人間なのでしょうか?あんなのありえません。あぁお腹すいた…

 

ジャンヌが死んだ瞳で何かをボソボソと呟いてるけど怖いよ!?

 

「おい、テメエら。見てたんなら手伝えや。」

 

重國いつの間に!?しかも凄い怒ってる…

 

「わりぃ、わりぃ。お前さんの実力を見たくてな。」

 

「私は行こうって言ったんだけど聞かなくて…」

 

「あー、そう。もうなんかどーでもいいや。で?そちらの金髪美女は?」

 

「び、美女!?…コホン…私はクラスルーラーのジャンヌ・ダルクです。ええと…貴方のお名前は?」

 

「俺は日番谷重國だ。で、こっちの髪が赤い方がブーティカでピンクの方が沖田総司な。」

 

重國がジャンヌの事を美女って言ったとき、重國の後ろから凄い殺気が飛んできた気がしたんだけど気のせいかな?

 

…気のせいであってほしいナー

 

「とりあえずこれまでの経緯を説明してくれ。俺達は蜥蜴狩りしかしてなかったもんでな。」

 

「う、うん。分かった。とりあえず、歩きながら話そうか。」

 

そうして呆れながらも私は歩きながらこれまでの経緯を重國達に話すのだった。

 

sideout




評価感想よろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。