Fate/Inferno Order   作:ハイカラ 一方通行

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今回終盤にオリジナル展開いれてみました。

そしてタイトル詐欺ですごめんなさい。


竜の魔女と竜殺し

日番谷side

 

立香からこれまでの経緯を聞いた後、森を抜けた俺達はラ・シャリテに向かうことにした。

 

ちなみにサーヴァントには魔力節約の為、マシュを除いてすべて霊体化してもらっている。

 

「もうすぐでラ・シャリテに着きますよ。ここでオルレアンでの情報が得られない場合は、ここからさらにオルレアンに近づかなければなりませんが…」

 

「なるべくそうならないようにはしたいな。今の俺達の戦力で向こうに勝てるかも分からねーし。」

 

「勝てそうな気もするけどね。」

 

確かにゲイボルクの使い手が2人もいれば勝てそうな気もするが…

 

「それでもです。私も正直かなり焦っていますが、もう1人の私は正気ではない。戦えば下手をすれば全滅してしまうかもしれません。」

 

《妥当な判断じゃないかな?特異点の修復を急がなきゃいけないのも事実だけど、焦って全滅してしまっては元も子もないからね。ん?ちょっと待ってくれ、その先にサーヴァントの反応があるな。場所は君達が今から行くラ・シャリテだ。》

 

「敵か?反応はいくつだ?」

 

《えっと…うわっ3つもあるぞ!?けど、凄いスピードで離れていくぞ??》

 

「何が目的なんだろう?」

 

立香がそう呟いた瞬間、街から火の手が上がった。

 

「!?これは…。」

 

「急ぎましょう!!」

 

「マシュ!立香を抱えて運べ!!」

 

「了解です!先輩、失礼します!」

 

マシュが立香を抱えたのを確認すると、俺は瞬歩でラ・シャリテを目指した。

 

『お前らも準備はしておいてくれ。』

『了解です、マスター。しかし次から次へと事が起こりますね!?』

 

『それだけの異変ってことじゃないかな?とりあえず私達は臨戦態勢だけ整えておこう?』

 

『分かりましたブーティカさん。マスターは気をつけて下さいね?』

 

『ま、テキトーに頑張るよ。』

 

そう言ってサーヴァント達との念話を切り、ひたすら瞬歩で街を目指した。

 

 

ラ・シャリテに着いたがそこには誰もいなかった。

 

「まさか…!」

 

「ロマン!生体反応はあるか!?」

 

《ダメだ、そこには人間と思われる反応は1つもない。》

 

「人間じゃないのはいるってことか…」

 

最悪だな…

 

「あそこにいるのは…ワイバーン!?うっ…」

 

マシュが指を指した場所にはワイバーンがいた。

 

だが、あれは───

 

「死体を食べているのか…?」

 

「やめなさい!くっ…体が──」

 

「無理をしないでジャンヌ。今スカサハ達を向かわせたから。」

 

意外と冷静だな立香は…この状況でも的確な状況判断を下している。

 

これならきっとこれからも大丈夫だろう。

 

《一体何が起こっているんだ?》

 

「これをやったのも恐らくもう1人の私なのでしょうね…一体どれ程人を憎めばこれほどの事ができるのでしょうか…」

 

「ジャンヌ…」

 

ジャンヌを立香が励ましていると、ふと向こうから魔力の高まりを感じた。

 

「おい、ロマン…まさか──」

 

《ああ、そのまさかだ。向こうからサーヴァントが迫ってきている。なんの冗談か知らないが、数はさっき反応があった倍の6騎だ!しかも、速度が速い…これはライダーか何かか!?とにかくそこから逃げろ!》

 

「でも!!」

 

《立香ちゃんのサーヴァント達はマシュ以外すべて出払ってしまっている今、数で勝っていない以上は逃げるしかない!!撤退しよう!そうしよう!きっと三十六計さんも言っている!》

 

「…」

 

ジャンヌが動いていない!?まさかあの野郎!!

 

「ジャンヌさん、早く逃げないとサーヴァントが…」

 

「逃げません…せめて真意だけでも問い質さねば!」

 

《ダメだ!もう間に合わない!重國君、逃げることだけを考えるんだ!いいね!?》

 

「はなっからこいつらを逃がすことしか考えてねーよ。俺は死んでもいいかもしれないが、立香みたいなタイプの人間は人理修復において最も重要な人材だ。俺は無理でもせめてこいつらだけは逃がしてやらないとな。」

 

《何を言っているんだ!?君も─「もしもの場合だ。逃げれたら俺も逃げる。俺だって死にたくはないしな。」…分かった。頼んだよ!》

 

「ああ。」

 

「来ます──!!」

 

現れたサーヴァント達を見てみたが予想以上だ。

 

しかも1人異常に強そうな奴がいる。

 

「おい、マシュ。立香を抱えて離脱しろ。これは無理だ。俺とブーティカ達で足止めするから立香のサーヴァント達と一緒に逃げろ。」

 

「…え?」

 

「しかし!それでは──」

 

マシュが何かを言おうとしたところでクー・フーリンが戻ってきた。

 

「おいおい、大変な事になってるじゃねーか。」

 

「クー・フーリンか…他の2人はどうした?」

 

「俺は様子見に来ただけだ。他はまだ戦ってる。」

 

「それは好都合だ。お前はジャンヌ・ダルクを連れて他の2人と合流してから逃げてくれ。この場においてジャンヌ・ダルクは足手まといだ。」

 

俺がそう言うとクー・フーリンは厳しい目で俺を見た。

 

「…お前さん、死ぬつもりか?勇気と蛮勇は違えぞ?」

 

「ハッ死なねーよ。こっちにはまだ切り札もあるしな。」

 

「…そうか、分かった。ほら、いくぞジャンヌ・ダルク」

 

「私は行きません!彼らn──」

 

ジャンヌ・ダルクが何かを言おうとするとクー・フーリンはジャンヌの首に手刀を当て気絶させた。

 

「強情な女だな。漢の覚悟を無駄にするようなことを言うんじゃねーよ。おら、いくぞ嬢ちゃん達。」

 

クー・フーリンはマシュに視線を向ける。

 

「先輩…またも失礼します!」

 

一瞬躊躇ったマシュだったが、すぐに立香を抱き抱えて走り出した。

 

「え!?いやっ!重國は!?」

 

「…申し訳ありません、先輩。」

 

「そ、そんな…」

 

 

 

 

不思議なことに奴等は手を出さず、立香達が離脱していくのをただ見ているだけだった。

 

「意外だな。もっと手出しをしてくるのかと思ったが。」

 

「ふっ──うふふふふふふふふ!はっはっはっはっはっはっ!!」

 

何かいきなり笑いだしたぞこいつ。頭の中ハッピーセットなのかな?復讐ハッピーなのかな?べ○ータみたいな笑いかたしやがって…そんな笑いかたしてるから“ぶるルルルぁ”さんに「なーんちゃって」とか言われてすぐに再生されちゃうんだよ!

 

「何がおかしいんだ?何処にも笑える要素がないと思うんだが…」

 

いや、ホントに。今のやり取りで笑えるやつなんて狂人ぐらいだろ!…あっ!相手はフルルルルァァァァァンスに復讐することで快楽を感じる頭オッ○ッピーな奴だったわ。君は復讐することによって発情することができるフレンズなんだね?分かるとも!!(混乱)

 

「ええ──そうね。あの小娘があまりに惨めだったから、愉快すぎて指示を出すのを忘れてしまったわ!全く誰かに私の頭にむかって水をぶっかけてほしいぐらい──反吐が出るほどの友情ドラマっだったわよ?」

 

「……あ?」

 

こいつ人の話聞いてねぇぇぇ!?

 

しかも人の質問に答えてねぇくせして、自分の言ったセリフに酔ってやがる!

 

「まあ、いいでしょう。私は戻ります。バーサーク・アサシン、バーサーク・ランサー、そしてバーサーク・セイバーオルタ。私が狂化を施したあなた達はまさしく怪物。勇者達を平らげることがあなた達の存在意義。存分に貪りなさい。バーサーク・ライダーはあの小娘達を追いなさい。」

 

もう1人のジャンヌ・ダルクは踵を返し、バーサーク・ライダーと呼ばれた女は、立香達が向かった方角に凄まじいスピードで向かって行った。

 

「フッ。よろしい、私はあの桃色の着物を着た女の血をいただくとしよう。」

 

「ならば私はあの赤い髪の女の血と腸をいただくとしましょうか。セイバーオルタはあちらのマスターをおやりなさい。あなたのような狂犬にはそれがピッタリですよ。」

 

「…フンッ」

 

あのセイバーオルタって奴が一番ヤバそうだ。

 

特にあの剣がヤバい。何がヤバいってその剣がヤバいって言葉でしか表現できないってぐらいヤバい。

 

「沖田、ブーティカ。一旦別々で戦うぞ。こういう場合別々で戦った方が勝率が上がる。」

 

「私もそれに賛成だよ。」

 

「しかし…マスターは大丈夫なのですか?」

 

「心配ならさっさと片付けて俺のところに駆けつけてくれ。なに、大丈夫だ。お前らが駆けつけるまでぐらいの時間は稼げる。分かったならあの2人を連れてここから少し離れた場所で戦ってくれ。」

 

「「了解!」」

 

「では我々も行くと──ぬぅ!?「バーサーク・ランサー、だっけ?悪いけど付き合ってもらうよ?」くっ…」

 

「ランサー!?ハッ!?「余所見してていいんですか?私は今ちょーっと機嫌悪いんで余所見してると瞬殺しちゃいますよ?」チッ!!」

 

あの2人、あえてさっき相手が言ってた方と逆の相手に突っ込んでいったな…

 

さて、

 

「戦う前に真名を聞いておきたいんだがいいか?全身棘の鎧に包まれたお前じゃあ弱点なんかないみたいなもんだろ。」

 

「貴様に言う必要はない。剣を構えろ。」

 

セイバーオルタの魔力が高まるのを感じる。

 

気を抜くとすぐに呑み込まれそうだな…

 

「あっそ。まあ、はなっから期待してなかったけどな。」

 

そう言いながら俺は全力で魔力を回し、強化を全身に施す。

 

「ほう…自らサーヴァントを遠ざけて戦うなど愚の骨頂だと思ったが、訂正しよう。それに見合う実力は有しているようだ。俺に勝てるかは別としてな。」

 

こいつ、言いやがる…!

 

「違えよ。」

 

「…なに?」

 

「あいつらを遠ざけたのは俺1人で戦いたかったからじゃねえ。俺の攻撃に…巻き込まねぇ自信がなかったからだ!!卍解…!!」

 

俺がかつてないほど全力で魔力を上げると、自分の体から赤色の魔力が溢れ出た。

 

「なんだと…!?この魔力量は一体!?」

 

「大紅蓮氷輪丸!!」

 

俺の背中から生えた氷の翼の色はいつもの氷の色ではなく赤色。同じ刀でも使い手が違えば進化の仕方も違う。日番谷冬獅郎は氷華がすべて散ったとき大紅蓮氷輪丸は完成すると言っていたが俺のは違う。俺の氷輪丸は俺が魔力を注げば注ぐほど強くなる。故に俺の刀に完成形など存在しない。

 

これが今の俺の全力…!!!

 

「紅蓮氷竜牙!!」

 

赤いオーラを纏った竜が刀から飛び出し、セイバーオルタにむかって牙を剥く。

 

「…!!竜王・幻想失墜(バルムンク・オブ・ファヴニール)!!」

 

相手も宝具を用いて赤き氷の竜を相殺する。恐らく本気では放っていないだろうが…だが、今ので相手の真名が分かった。

 

「バルムンクって事はお前ジークフリートだな?」

 

「貴様…俺に宝具を使わせる為に不意討ちであれを撃ったと言うのか…!?」

 

「ああ、まあな。けど、今回は真名が分かったところで特に意味は無さそうだ。その全身の鎧。背中の弱点は隠せないはずなんだがな…どうやって隠したんだ?」

 

「隠すもなにも、再びファヴニールの血を浴びただけだが?」

 

絶対にそれだけではないだろう。聖杯もしくはその他の手段による呪いの浄化。これがなければ再び血を浴びたとしても意味はないはずだ。

 

「おんもしれぇ…!上等だ。いくぞ、ジークフリート!」

 

「ガッカリさせてくれるなよ。フッ!!」

 

こうして俺とジークフリートとの壮絶な死闘が始まった。

 

sideout

 

 

~ナレーション~

 

2人は共に魔力放出で飛び出し、数秒間で数十もの剣戟交わす。陸で打ち合ったと思えば空へと飛翔し、片や翼で飛びながら氷の斬撃を放ち、片や小回りはきかないものの聖杯からのバックアップによる圧倒的出力の魔力放出で空を飛び回り斬撃を避けつつも接近して切りつける。一方が斬撃を放てば空気を切り裂き、風が吹き荒れ、地面が削れる。そしてその斬撃を自らの斬撃をもって相殺すれば辺り一帯に暴風が吹き荒れ、家や岩などが竜巻に巻き込まれた時のように、空へと打ち上がる。

 

その様子はまさしく()()()()

 

化け物と化け物の衝突はこれだけではもちろん終わらない。2人は互いに接近しあうと相手にむかって何百回も剣を振るう。2人が数秒間打ち合うと辺りには竜特攻の効果を持った赤い氷の竜巻が発生し、周辺のワイバーン呑み込み、凍らせ、そして切り裂き、木っ端微塵に粉砕する。竜巻が止んだかと思えば、突然空に巨大な竜が出現し、ジークフリートを飲み込まんと牙を剥く。しかしそれをものともせず宝具でもって粉微塵に砕くジークフリートはまさに人間災害。そのジークフリートに全くひけをとらず剣戟を振るう日番谷重國もまた人外認定間違いなしの化け物。この2人の戦いは人間はもちろん、人間を超越した存在であるはずの英霊達であっても入ることを躊躇うほどの魔力の奔流を生み出している。地面は凍り、そして傷つき、また凍る。周辺に生物と呼べるものはすでにおらず、彼らの味方であるサーヴァント達もこの戦いに足に踏み入れることは叶わない。

 

 

────一体どれほど経っただろうか?本人達の体感では100年が経ったような気分だろうと予想するほどの剣戟の嵐。

 

しかしこの2人の戦いは意外な者によって幕を下ろすことになる───

 

~ナレーションsideout~

 

日番谷side

 

一体どれほどが経っただろうか…100年経ったようにも感じるし、たった数分しか経っていないようにも感じる。不思議な感覚だ。これが本気の戦い…まったくにやつきが止まらない。自分はこんなにも戦闘狂だったのだろうか?いや、もうそんなことはどうでもいい。俺は氷輪丸の全力をもってしても仕留めきれないあの男を1分1秒でも早く倒さねばならない。その為には…もっと速く、そしてもっと強い攻撃をくりださねばなるまい。

 

もっとだ!これでは足りない!もット…モットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットモットツヨイコウゲキヲ!!

 

「英霊でもないはずの人間がこれ程のパワーを持っているとは…だが力に呑まれかけているな。恐らくこれが初めての死闘か。それでは俺には勝てんぞ!フッ!!」

 

「…!?」

 

ギ…!?ハッ!危ねぇ!力を使いすぎて呑まれかけた!

 

つーか、

 

「…敵に塩を送るような真似をしていいのか?」

 

「フンッ折角面白くなってきたというのに、貴様の暴走でこの戦いが終わってしまっては興ざめにも程があるだろう?」

 

「そーかよ。てか俺も今やっと加減が分かったところだ。続きをしようz──」

 

グオオオオオオオオオォォォ!!!!!

 

「…あん?なんだあれは?お前の差し金か?」

 

「そんなわけがないだろう。あれはファヴニールだ。魔女め…余計な事を…!」

 

「はーん、まぁいいやとりあえず…」

 

俺とジークフリートはファヴニールにむかって剣を構える。

 

「「邪魔だ…失せろ!!」」

 

一閃すると駄竜が4分割された。

 

今の状態の俺ならばあんな駄竜一撃で切り伏せられる。

 

…なんか興奮状態かなんかよく分かんないけど、今の俺ってスゲー自信ありげなことばっかり考えてね?それって自意識過剰すぎじゃないですかヤダー

 

「おい。」

 

「んあ?何だよ?」

 

「貴様、名を何という?」

 

「日番谷重國だけど?」

 

「そうか…」

 

そう言ってジークフリートは俺に背を向けた。ってちょっと(;-ω-)ノい!!

 

「ちょっと待てい。何で背を向けてんだ?」

 

「先程の駄竜のせいで気分が冷めた。貴様との戦いは次の機会にする。次の戦いは貴様の持てる最高の力で挑んでこい。今回のような手抜きではなくな。」

 

「!?バレてたのか…」

 

「当たり前だ。暴走する前までの貴様には妙な余裕が感じられた。なめられたものだな、俺も。…ではな。」

 

「次の機会があれば全力でやってやるよ。次の機会があればな。」

 

そう言って俺は笑ってやる。

 

「チッ…」

 

ジークフリートは何も言わず、舌打ちだけして帰っていった。

 

「うーん、こんな序盤から流刃若火を使うことになるとは…先が思いやられるな。ハァ…」

 

俺はこの時知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の事をモーレツに心配して駆けつけたブーティカ達にしばかれるなんて…

 

 

日番谷sideout




≪紅蓮氷竜牙≫
主人公本気モードの時にのみ出せる赤い氷の竜。その威力は通常の卍解の3倍ぐらい…だといいな~

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