Fate/Inferno Order   作:ハイカラ 一方通行

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主人公に原作知識はありません。


はじまり

はじまり

side日番谷

 

俺がカルデアにやってきて1週間程が経ちここの職員ともある程度打ち解け、ここでの生活にも少しずつ慣れてきた。

 

そんな俺が昼食を食べようと食堂に向かう途中、通路に倒れている少女と、その少女を心配そうに見つめているカルデアの癒しキャラであるマシュとフォウがいた。

 

「マシュ」

 

「あっ重國さんこんにちは。」

 

「フォーウ!」

 

「あぁ、こんにちは…。その子どーかしたのか?力尽きたように眠ってるけど…」

 

「わたしにも分かりませんが恐らく入館の際に行われる戦闘シミュレーションで疲れてしまったのではないでしょうか?」

 

「あー…ありうるな。あれ最初はものすごく疲れるからなぁ…」

 

「重國さんも最初はヘロヘロになってドクターに支えられながら部屋に戻ってましたよね。」

 

「嫌なこと思い出させないでくれよ…あそこまで消耗するとは俺も思ってなかったんだよ。」

 

あれは俺の人生でもトップスリーに入るレベルの黒歴史だ、天然なマシュだから仕方ないとはいえ出来ればほじくりかえすのはやめてほしい。

 

ていうかあれは調子にのって余裕ぶっこいてた俺も悪いけど、俺に対抗して敵のレベルを最大にまで引き上げたダヴィンチちゃんがいけないんだとお兄さん思うんだよね~。

 

「フォウ!フー!フォウ!」

 

「ん?その子起きたぞマシュ。」

 

「…ここは?」

 

「あの…朝でも夜でもありませんから起きてください先輩。」

 

「あなたたちは…?」

 

「いきなり難しい質問なので、返答に困ります先輩。ここは、名乗るほどの者ではない――とか?」

 

「何を言ってるんだマシュ…こういうときは普通に名乗ればいいんだよ…あ、俺は日番谷重國だ。あだ名とかは無いからテキトーに呼んでくれ。よろしく。」

 

「なるほど…しかし、ドクターは初めての人にはこのように自己紹介をしろと言っていたのですが、間違っていたのでしょうか?」

 

「あのドルオタ野郎の言ってることは基本的に信じるな。ほとんどがアニメとかから引っ張ってきたテキトーな事だからな。」

 

「そうだったのですか!以後気をつけます。あとわたしはマシュ・キリエライトです、マシュと呼んでください。よろしくお願いしますね先輩。」

 

「フォーウ!キューウ!」

 

「…失念していました。フォウさんの紹介をまだしていませんでしたね。このリスっぽい方はフォウ。カルデアを自由に散歩している特権動物です。わたしはフォウさんに誘導されてここで倒れている先輩を発見したんです。」

 

「フォーウ!キュウ!」

 

「あっ、また何処かに行ってしまいました。あのようにフォウさんは特に法則性もなく散歩しているんです。」

 

「見たことがない動物だけど、不思議な感じがしたね。」

 

「はい。普段は私以外にはあまり近寄らないのですが、先輩はフォウさんに気に入られた見たいですね。おめでとうございます!フォウさんのお世話係2号の誕生です!」

 

そんな風に話していると向こうから全身緑の変態紳士ことレフが歩いてきた。

 

「マシュ…勝手に出歩いてはダメだと言ったじゃないか…。ん?そこにいるのは重國君と…あぁ君が今日から配属される新人さんだね?私はレフ・ライノール。ここで働かせてもらっている技師の1人だ。君の名前は何ていうんだい?」

 

「藤丸立香と言いますレフさん。」

 

「ふむ、藤丸立香君か。いい名前だね。そして君が招集された48人のレイシフト適合者、その最後の1人というわけか。ようこそカルデアへ、歓迎するよ。」

 

「何をしに来たんだレフ?お前はオルガマリーの奴の子守りがあるんじゃないのか?」

 

「随分と辛辣だね重國君。彼女はもう一人でも十分やっていけてるよ。」

 

「フンッ…どうだかな。俺はここで失礼させてもらう。それと、藤丸立香…だったか?ここでの生活は中々に大変だと思うが…まぁ、頑張れよ。」

 

俺はレフから漂ってくる胡散臭さが好きではないので、その場を後にし、自分の部屋に戻った。

 

sideout

 

side立香

 

私が目を覚ますとそこは床だった。

 

そして目の前には中々に背の高い白髪のお兄さんと後輩属性を持ってそうな子が私を見て立っていた。

 

二人が私に挨拶するとどこからかリスに似た、今までに見たことのない動物が私の前に出てきた。

 

「フォーウ!キューウ!」

 

マシュという子が言うには、この動物はフォウと言って中々他の人にはなつかない…らしい。

 

なんか勝手にお世話係に任命されてしまった…。

 

モフモフしたいなぁ…と考えていると、全身緑の人が向こうから歩いてきて私に挨拶自己紹介をした。中々いい人そうなので安心したよ~。

 

けど、なんで重國さんはあんなにも辛辣なんだろう?

 

「随分と辛辣だね重國君。彼女はもう1人でも十分やっていけてるよ。」

 

「フンッ…どうだかな。俺はここで失礼させてもらう。藤丸立香だったか?ここでの生活は中々に大変だとは思うが…まぁ、頑張れよ。」

 

そう言って重國さんは何処かに行ってしまった。

 

「重國さんもフォウさんと同じで中々他の人に心を開きませんね…」

 

「ハハハッ。時間がなかったとはいえ、彼にはここに連れてくるときにかなり乱暴な扱いをしてしまっただろうからな、所長が。それに我々に対する不信感もまだ抜けきってはいないだろうしね。けど、マシュにはある程度心を開いているようにも見えるがね。」

 

「そうだといいんですが…」

 

「おっと、もうこんな時間か。もうすぐ所長の説明会がはじまる。君も急いで出席しないと。」

 

「…所長?」

 

「所長は所長さ。カルデアの責任者にして、ミッションの司令官だよ。君は一般公募で来た新人だからもしかしたらパンフレットしか見てないのかもしれないな。」

 

「そのようですね。所長のプロフィールは一般公開されてませんからね。アニムスフィア家に敬意を示すのは100年以上続いている魔術師の家系だけです。」

 

「そうか、まぁマスターとしての仕事に影響はないだろうから特に問題はないだろう。だが、些細なことで目をつけられるのも良くない。君の今後の安寧の為にも急ぎたまえ。5分後に中央管制室で説明会がある。君たち新人にたいしての、ちょっとしたパフォーマンスだ。」

 

「レフ教授。わたしも参加していいでしょうか?先輩をこのまま放っておくとまた通路で熟睡しまいそうで。」

 

「隅っこで立っているぐらいなら構わないだろうが…君をひとりにすると所長に叱られるからなあ…結果的に私も同席する、ということだね。」

 

「な、なんか色々すいません。」

 

「なあに、構わないさ。それより管制室に急ごう。もう時間があまりないからね。」

 

「分かりました。」

 

管制室についた私は自分の番号が書かれている最前列に座ったんだけど…眠たい。

 

どれぐらい眠たいのかって?そうだな~なにも考えないとマシュが眠らせてくれない悪魔に見えるぐらいには眠たい。

 

「先輩…大丈夫ですか?顔色が優れないようですが…」

 

「だ、大丈夫ダヨ…多分。」

 

「全然大丈夫そうに見えないのですが…とにかくねないようにだけはしないでくださいね?」

 

「う、うん。」

 

「話はそこまでにしたまえ。これ、もう始まってるみたいだぞ?」

 

「…時間通りとはいきませんでしたが全員そろったようですね。特務機関カルデアにようこそ。私が所長のオルガマリー・アニムスフィアです。あなたたちは―――」

 

眠い…もうダメだ…意識が落ちt(バチーン!)

 

「…大丈夫ですか先輩?」

 

「もしかして私、寝てた?」

 

「はい、寝てました。誰がなんと言おうとも寝てましたよ先輩。どことなくレム睡眠に近い状態でしたが。ともあれ、所長の平手打ちで完全に覚醒されたようでなによりです。先輩はファーストミッションから外されてしまったので先輩を部屋に案内していたところです。わたしは、ファーストミッションのAチームなので戻りますね。運が良ければまたお会いできると思います。ではまた。」

 

そう言ってマシュは管制室に走っていってしまった。

 

とりあえず部屋に入ろうかな…。

 

(ウィーン)

 

「うわぁ!ビックリしたぁ!誰だ君は!?ここは空き部屋でボクのサボり場だぞ!?誰のことわりがあって入ってきたんだい??」

 

なんかいた…パソコンにネットアイドルっぽいのが映っているが気にしないでおこう…

 

「私の部屋だと言われて案内されたんですけど…ていうかあなたは何者なんですか?」

 

「何者って、どこからみても真面目に働くお医者さんじゃあないか!」

 

「サボっている人を真面目とは言わないんじゃないかな?」

 

「うっ!は、ははは…じ、冗談はここまでにして、はじめまして立香ちゃん。予期せぬ出会いだったけど、改めて自己紹介をしよう。ボクはロマニ・アーキマン。みんなからはDr.ロマンと言われていてね。これでも一応医療部門のトップをやらせてもらっているんだ。君もロマンと読んでもらって構わないよ、むしろそう呼んでくれ。ロマンって響きがいいしどことなく甘い感じもするからね。」

 

「ああ!あなたが重國さんが言っていた、ドルオタさんなんですね!」

 

「ちょっと重國君!?ボクのことなんて言ったんだ彼は!」

 

「アニメとかからテキトーな知識を引っ張ってきてマシュに与えるドルオタ野郎って言ってましたけど…。」

 

「なんて言い草だ!いや、ほとんど間違ってないのが残念なところだけども!」

 

「私は藤丸立香です。よろしくドクター。」

 

「なんでさらっと自己紹介したの!?…コホンッうん、はじめまして。今後ともよろしく。」

 

さらっと今の流れを有耶無耶にしたなこの人…。

 

「そんなジト目で見ないでくれ…。と、とにかくある程度の事情は把握したよ。君は今日来た新人さんで、所長のカミナリを受けたってところだろう?」

 

「よく分かりましたね。さすがドクター。」

 

「褒めたって何も出ないよ立香ちゃん。もしそうならボクと同類だって話さ。何を隠そう、ボクも所長に怒られて待機中だったのさ!もうすぐレイシフトが始まるから他の職員はみんな駆り出されているんだけど、ボクはみんなの健康管理が仕事だからね。正直やるコトがなかった。それでボーッとしてたら所長に“ロマニが現場にいると空気が緩むのよ!”って追い出されて、仕方なくここで拗ねてたんだ。いやぁ~話し相手ができて助かったよ。所在のないもの同士、ここでのんびり親睦を深めようじゃあないか!」

 

「というかここ、私の部屋なんデスケドネー。」

 

「まあまあ!細かいことはいいじゃないか!とりあえずここの構造を説明しよう!」

 

説明中…

 

「…とまあ、以上がカルデアの構造だ。あとはカルデアの場所なんだけど…」

 

≪ロマニ、あと少しでレイシフト開始だ。万が一のこともあるから管制室に来てくれないか?Aチームの状態は万全だが、Bチーム以下のバイタルに不安ともとれるものが現れている。医務室にいるなら2分でこちらに到着できるはずだ。≫

 

「ここ、医務室じゃないよね?」

 

「う、それを言わないでほしい立香ちゃん。ま、まあ少しぐらいの遅刻なら許してくれるヨネ☆」

 

「とりあえず急いだ方がいいんじゃ…」

 

「そうだね、それじゃあ行こうかnガシャン!なんだ!?いきなり明かりが消えるなんて何か――」

 

ドオォォォン!

 

≪緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所、及び中央管制室で火災が発生しました。中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかにゲートから待避してください。繰り返します。中央発電所及び――≫

 

「いったい何が起こっているの!?」

 

「さっきの爆発音に何か関係がありそうだ。急いで管制室に向かわないと!モニター!管制室の映像を送ってくれ。なっ!?これは――」

 

「管制室って、そこにいるマシュは…?」

 

「立香ちゃん。ボクは管制室に行くけど君は避難してくれ。もうじき隔壁が閉鎖するからねその前に君だけでも外に出るんだ!」

 

ドクターはそう言って走っていってしまった。

 

「私もこんな所でじっとしてないでマシュを助けに行かなきゃ!」

 

私はドクターの後を追って管制室にはしりだした。

 

sideout

 

side日番谷

 

「そろそろ、ファーストミッションのレイシフトがはじまるな…」

 

マシュたちと別れた俺は自分の部屋に戻り自分の魔術礼装の整備をしていた。

 

俺の勘からしてあと1週間以内に原作が始まるだろう…その後の内容は全く覚えてなどいないケドネ。

 

転生する際に原作知識を消された俺はこの世界の事についてほとんど何も知らないため、事前に出来ることは何もないと言っていい。

 

つまりは出たとこ勝負ってことだ…

 

自分の実力がないとは思わないが、過去の英霊やら何やらが出てくる時点で自分が敵わないという可能性は十分にありうる。

 

もし実力や能力が現代に伝えられている通りならば出てきた時点で詰みゲーということもあるだろう。

 

世界を切り裂く剣とか、絶対に心臓を貫く槍とかどんなチートだよ。

 

…勝てるわけがない!!逃げるんだぁぁ…( ゚д゚)ハッ!変な電波を受信してしまった…

 

「とにかく急いで装備を整えないとな。回復アイテムもまだそんなに用意できてないsガシャン!なんだ!?」

 

ドオォォォン!

 

「爆発音!?何が起こっている!?」

 

≪緊急事態発生。緊急事態発生。中央発電所及び、中央管制室で火災が発生しました。中央区画の隔壁は90秒後に閉鎖されます。職員は速やかにゲートから待避してください。繰り返します。中央発電所及び――≫

 

「チッ!こんな時に!オルガマリーやレフの野郎は何をしているんだ!」

 

管制室っていったらマシュの奴もあそこでレイシフトをするために待機をしていたはず…クソッ!

 

「とりあえず管制室に向かわねーと!」

 

俺は職員たちの救出に向かうため管制室に向かって走り出した。

 

 

 

管制室に着いたが…なんだこれは…!?辺り一面火の海じゃないか!

 

こんな風になってしまっては生存者などいるわけが…

 

「ん?」

 

≪システム レイシフト最終段階に移行します。

座標 西暦2004年 1月 30日 日本 冬木 ラプラスによ

転移保護 成立。特異点への因子追加枠 確保。

アンサモンプログラム セット。マスターは最終調整に入ってください。≫

 

「レイシフト…だと?くっ生存者は!?」

 

生存者を探すべく辺りを見回すと、30メートル程が先にいる立香と体が酷い有り様になっているマシュが見えた。

 

「マシュ!立香!」

 

「重國さん!?どうしてここに!?」

 

「あ……重國さん…カルデアスが真っ赤に、なっちゃい、ました。」

 

「その体で喋るなマシュ!死を早めるぞ!」

 

マシュの体の状態ではどうみても助からないだろう…おそらくもってもあと1分といったところか。

 

部位欠損でも治せるようなものがあれば…あっ忘れてた!部位欠損を治すなら俺が作り出した仙豆があるじゃないか!

 

「マシュ!これを食べろ!」

 

「これ、は…豆…?」

 

「いいから早くしろ!」

 

そう言って俺は仙豆をマシュの口の中に捩じ込んだ。

 

「これは、怪我が治って…なにをしたのですか!?」

 

「それは後で説明する。生きていればだけどな…」

 

≪レイシフト定員に達していません。該当マスターを検索中……発見しました。適応番号47番、適応番号48番藤丸立香をマスターとして再設定します。アンサモンプログラムスタート。霊子変換を開始します。≫

 

「先輩、重國さん手を握ってもらっていいですか?」

 

「うん…」

 

「あぁ…」

 

≪レイシフト開始まで…残り3 2 1 全工程完了。ファーストオーダー実証を開始します。≫

 

そのアナウンスとともに俺の意識はなくなった。




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