Fate/Inferno Order 作:ハイカラ 一方通行
戦いの幕開け
side日番谷
目が覚めて起き上がってみると、街が燃え盛っている様子が確認できた。
うん…ここはどこデースカ?
「とりあえず、探索してみるか。」
立香とマシュ…ついでにロマンの奴の安否も気になるが今は探索に集中しよう。
「しっかし、何をしたらこんなに街が燃えるんだ?空からガソリンでも撒いたのかよ…。」
しばらく歩いていると、物凄くデカイ斬撃痕が見えた。
え?何これ…この世界に藍染様とかいないでしょ?もしいたら「いつから私がいないと錯覚していた?」とか言われそうで怖いんだけど…フラグじゃないよね?もしいたら絶対に勝てない自信があるよ?だって崩玉取り込んだヨン様は多少せこい手を使ったとはいえ、片腕をも犠牲にしてまで攻撃してきたボウボウおじいちゃんでも勝てなかったんだから。
そんなことを思っていると、いつの間にか俺の周りを骸骨集団が取り囲んでいた。これ1種のホラーだろ…
「見たところ、大したやつらじゃなさそうだな。強敵なら迷わず逃走を選択していたがな。それに、お前らならいい実験台になりそうだ。」
そう言って俺は1本の刀を取り出し、自身の体に魔力を回しはじめた。
ちなみに刀はあと2本あるのだが、1本はここらへん一帯をまとめて吹き飛ばしてしまうため使えず。もう1本は使い方によっては1対1なら使えるがこういう殲滅戦には向かない。よって消去法でこの刀になってしまうわけである。
「霜天に坐せ『氷輪丸』!」
俺が解号を唱えて、氷輪丸に魔力を注いだ瞬間、刀の先から氷の竜が飛び出した。
数匹?の骸骨が竜に飲み込まれ凍りつき砕け散る。
「まだまだいくぞ!氷竜旋尾!」
俺は刀を振り回しながら1回転をして俺の周りにいる骸骨をすべて凍らせた。
「フンッあっけなかったな骸骨ども。こいつで粉々にしてやる!群鳥氷柱!」
ドドドドドドドドドド!
大量の氷柱が地面に向かって飛んでいき凍った骸骨をすべて粉々にした。
「初戦闘にしては上出来か?しかしさすがは氷輪丸だな。作中でのあまりの扱いの悪さに、ネットでは氷雪系最強(笑)とか言われていたが、氷雪系最強になるかは使い方次第だろこれ…。」
まぁ、いくら氷雪系最強でもヨン様には地力が違いすぎて絶対に勝てないんですけどネ☆
「なんか、落ちてんな…これは骨か?魔力を帯びているからダヴィンチちゃんに見せたら何かに加工してくれるかもな。一応ポーチに入れておくか。」
俺は見た目は小さなポーチに入れるが、このポーチ実は魔術のおかげで見た目よりもずっと多くの物が入るのだ。魔術さまさまである。
「てゆーかこの斬撃痕…すごい量の魔力を帯びてるな。痕だけでこれだけの
俺が斬撃痕に夢中になっていると、上から魔力を感じ、空が急に光ったような気がした。
慌てて顔をあげると、とんでもない量の数の矢がこちらに向かって迫ってきていた。
「!?くっ!縛道の八十一!断空!」
ドガガガガガズドーン!
なんとか防げた…少しヒビが入ったけどな。
矢の雨が降り終わると俺はすぐに矢の飛んでに来た方向に向かって攻撃をした。
「破道の七十三!双蓮蒼火墜!」
俺の放った破道は青い光線となって突き進んでいき、着弾した場所一帯を吹き飛ばした。
「逃げたか…」
手応えが全くなかったので仕留められなかっただろうが、自分の放った破道の威力に驚いた。
「こんなに威力が出るなんて思わなかったな。」
ちなみに鬼道は前世の知識を利用して自力で習得していたりする。そのまま再現できているかどうかは別としてだが…
しかしこれほどの威力が出せても、全くヨン様を倒せる気がしないのは何故なのだろうか?
…なんか悲しくなってきた。
よし!探索を続けよう!(無理矢理感)
sideout
side???
なんだあいつは!?
英霊でもないはずなのに私の矢を防いだだけじゃなく、あんなにもデタラメな威力のものを打ち返してきた!
というか、あの矢の中には
私の硝子の心が砕け散りそうだ…しかし、これは…
「不味いな…まさか殺すつもりが殺されかけるとは。私もまだまだということか…。とりあえず、このことを彼女に報告しに戻らなければな…」
彼女に報告に行くため、私は急いでこの場を後にした。
sideout
side日番谷
先程の場所を後にした俺は探索を続けていたのだが…
「さっきから前を見たら骸骨。後ろを見ても骸骨。横を見ても骸骨って休める場所がどこにもないじゃないか!」
そう、どこを見ても骸骨でいっぱいなのである。
倒しても、なんか新しく出てくるし!こいつらはゴキブリかなんかなの!?もううんざりだよ!1匹いたら100匹どころじゃねーだろ!1匹いたら1000匹はいるぞこれ!
「まあいい…お前らがいるそこは今、罠の設置をすべて終えた場所だからな。食らえ!六衣氷結陣!」
俺の回りを隙間なく骸骨もろとも氷の柱で取り囲んだ。
汚物は消毒だ!ヒャッハー!!!
( ゚д゚)ハッ!また変な電波を(ry
「ハァ…やっと休める…ブラック企業並みにつらいぞこれ…」
俺が倒した骸骨は間違いなく1000匹を越えているのに、一向に減る気配を見せない。
当たってほしくはなかったが、さっき骸骨を倒している最中に立てた仮説は当たっているのだろう。
この地のマナが骸骨を生み出している。つまり、あいつらは倒しても減らない!
…ハイ!詰みましたーw減らない骸骨とか無理ゲーすぎっしょ!それプラス英霊とか…(天に)帰っていいデスカ?
そんな事を思っていると前方から急接近してくる、ものすごい魔力の塊を感じた。
「ん?なんだ!?すごい勢いで何か迫ってくるぞ!?」
バリィィィン!
俺を囲っていた氷のバリケードは紙のように破壊され、破壊した張本人が迫ってきた。
「グオオオオォォォォ!」
「ぬぉぉぉ!?ひ、氷輪丸!」
ガキィン!
「グゥ…な?グワァ!」
迫ってきた黒い靄のかかったようなそいつは、一気に俺に接近して刀を構えた俺を吹き飛ばした。
吹き飛ばされた俺は氷の壁を突き破り100メートルほど空を飛んだあと、地面に着地した。
「ぐっ!なんつー力だ…あれが英霊ってやつか?ちょっと強すぎねぇ?」
なんて言ってる間にあいつは距離を半分以上も詰めてきている。
これはたとえ逃げたとしても、逃げたところを斬られるのがオチだろう。
逃げられるのなら逃げるが、逃げられないのなら!
「戦うしかねぇなあ!いくぞ、氷輪丸!」
「グオオオオオアアァァ!」
ガギィィィィン!
お、重い!大型トラックを相手にしているみたいだ…!
「チッ!氷竜旋尾!オラァ!」
パキィン!
奴は凍りつくがこんな程度じゃ絶対に死なないだろう。
だが、多少の仕込みをする時間なら稼げるはずだ。
今のうちに大技を放つ準備をしておかないとな。
バリィン!
「予想してたよりも抜け出すのが早いな…だが恐らく理性がない分、やりやすい。」
「グオォ!」
「綾陣氷壁!!」
パキパキ…ガキィィ!
「くらいなぁ!群鳥氷柱!」
ズドドドドド!
奴の背後から氷を出現させ、氷柱を背中に撃ち込む。
「グルルルル…」
「そのまま凍ってろ!氷竜旋尾!」
ビキィン…
今のうちに仕込みをしねーと!
俺は刀を地面に突き刺し、大量のマナを送り込む。
「千年…氷牢」
俺がそう言うと、地面から10本以上のどでかい氷の柱が出現し、奴を取り囲み、凍らせた。
「フゥ…終わったか。予想以上の強敵だったな。」
奴を凍らせた氷は奴ごと砕け散り、それに安心した俺が踵を返して去ろうとしたところで、後ろからものすごい量の魔力を感じた。
「!?まさか!?」
慌てて振り向くと、目の前には斧のような剣を振り上げている奴がいた。
ズバァ!
「グッ!バ、カな!?蘇生した…だと?」
体が燃えるように熱い…痛い…意識が飛びそうだ。
だが…それは斬られたのが
パリィィン!
「危なかったな…一応警戒しておいてよかったぜ。ん?何がなんだか分からないって顔をしているな。まぁ、理性のないお前では分からんだろうが説明してやる。そいつは斬氷人形って言ってな。氷で作った俺の分身だ。服の皺とかも精巧に再現できるから結構便利なんだぜ?最初に打ち合った時があっただろ?あんときに入れ替わらせてもらった。」
「グルルルル…」
「さっきのお前の蘇生で、お前の正体にも気づいたぞ。俺がガキの頃に読んだ文献にお前の事が書いてあったんだ。お前のその能力は恐らく生前の逸話によるもの…ヘラクレスの12の試練だろう?だから12回殺すまで死なない。厄介な能力だ、底抜けにな。俺もガキの頃に過去の偉人をアホみたいに勉強してなかったら、警戒心なしで挑んで、今ので殺られていただろうからな。」
「グオォォォォ!!」
「人形が時間を稼いでくれてる間に仕込む時間は山ほどあった。お前の残りの命をすべて消すぐらいの威力を持った攻撃の準備をする時間がなぁ!」
俺は奴に向かって刀の切っ先を向け、生前にさんざん憧れたあの言葉を叫んだ。
「卍・解!!」
俺の背中から氷でできたドラゴンの翼の様なものがはえ、氷の鎧が全身を包んでいく。
「大紅蓮氷輪丸!!」
俺はこの刀の持つ天相従臨の能力を使い、半径12キロ圏内の天候を変化させる。
「氷天百華葬!」
俺が天相従臨によって発生させた雨雲に穴を空けると、そこから白い雪のようなものがたくさん降ってきた。
「グオ?(ピキピキピキピキピキピキ)グオァァ!?」
奴が降ってきた雪に触れると、雪は華のように凍り、やがて全身から華が咲き始めた。
「その雪は触れたものを凍りつかせる雪でな。その氷の華が百輪咲き終える頃には…もうお前の命はねぇ。仮に復活したとしてもこの雪が降ってる間はお前は死につづける。命のストックが尽きるまでな。仕上げだ…千年氷牢!」
俺がそう叫ぶと天まで伸びた氷の柱が100本程出現し、奴を取り囲んだ。
「これでお前はそこからは出られねぇ。消え行くまでそこで苦しんでろ。」
こうして、俺は辛くもヘラクレスとの戦いに勝利した。
sideout
side立香
マシュに起こされて目を覚ますとそこは、地獄だった。
辺り一面が火の海だ。
「ここは?」
「ここは冬木という街のようです。」
「そしてその格好は?」
「こ、これはレイシフトをした際にわたしのなかにいた英霊の方が力をわたしに託して消えてしまわれたので、こうなってしまっただけです。」
マシュ!私はあなたをそんな風に育てた覚えはないよ!
≪2人とも無事かい!?≫
「ドクター!無事だったのですね!」
≪ああ!なんとかね!ってマシュ!?その格好はなんだい!?ボクは君をそんな風に育てた覚えはないよ!?≫
私とおんなじことを思ってるし…なんかショック!
≪ていうか、マシュの霊基がサーヴァントのものになってるんだけど…まさか!?≫
「そうです。わたしのなかにいる英霊の方が力を貸してくださったんです!力を託してくださっただけで、真名などは教えてくださりませんでしたが…」
≪そうか…って通信が切れそうだ!予備電源に切り替えたばかりだから電力が安定していないんだな。立香ちゃん、マシュ。2人で霊脈がある所を探してくれ!そうすれば通信も安定するはずだ!≫
「分かりました!先輩!霊脈を探しましょう!」
「分かった!」
私達が霊脈を探している間に所長を骸骨の群れから救出したり、襲われていたところをキャスターことクー・フーリンに助けてもらったり、マシュが宝具を使えるようになったんだけど、そこは割愛させてもらうね。
ゴメンネ☆
そして私達は今クー・フーリンたちと一緒に作戦会議をしている。
「嬢ちゃんたちの他には誰かいないのか?」
「え?あ、そういえば重國さんは?」
「すっかり忘れていました先輩!重國さんはどこに行ったのでしょう!?」
≪マシュ…君は時々人の心にグサッとくるようなことを言うよね。今は本人がいないからいいけども、決して本人の前で言うんじゃないよ?分かったかい?≫
「?よく分かりませんが、了解ですドクター。」
「マシュたちがレイシフトする前まで一緒にいたのなら重國の奴はいったいどこに行ったのかしら?もしかしてレイシフトに失敗してしまったとか?」
≪縁起でもないこと言わないでくださいよ所長。彼ならきっと生きてますよ。しぶとそうですからね、彼は。≫
「じゃあここの探索をしつつ重國さんをみんなで探そう!」
「俺はそれでいいぜ。嬢ちゃんたちはどうだい?」
「わたしはそれで構いません。」
「私もよ。とりあえずしばらくはそういう方針でいきましょう。」
方針を固めた私達は再び歩き出した。
─────────────────────────
しばらく歩いたのだが見つかりそうな手がかりすらない…あるのは凍った骨の残骸だけだ。
「ほう…この氷、魔力で生み出されたものだな。この聖杯戦争に参加していた英霊で氷を使う英霊はいなかったはすだ。ったことはこの氷を生み出したのはその重國って奴かもな。」
え?この氷魔力でできてるの!?確かにここらへん一帯が凍ってるけど!?
「嘘でしょ!?この氷の魔力密度異常よ!?現代の魔術師でも生み出せないほどの魔力量をつい先日までただの一般人だった彼が生み出せるはずが…」
「そちらさんの事情は知らねぇが、客観的に分析すればそこら辺の骸骨を氷漬けにしてバラバラにしたのは重國って奴だろうさ。」
≪しかし本当にすごい密度の魔力だね!?これだけでも魔力リソースに用いれそうじゃないか。これくらいだとクー・フーリンのアンサズに匹敵するぐらいの密度じゃあないか?≫
「いや、こいつは俺のアンサズよりも多いな。もし俺が槍を持ってたら是非手合わせ願いたいところだったんだがな…つくづく今の自分が恨めしいぜ。」
「重國さんそんなにすごい人だったんだ…」
「わたしも知りませんでした。なんていうかすごく意外です…すごい噛ませキャラみたいな喋り方をするのに…」
マシュ…それは言っちゃダメだと思うんだよ…
話をしていると突然空が暗くなり広範囲にわたって雨雲が出現しだした。
「こいつぁ…天候を変えてやがるのか!?なんて魔力量だ!」
≪すごいぞ!この辺りの魔力数値がさっきまでの10倍にまで上がっている!そこら辺一帯はもう神代と同じかそれ以上の魔力濃度だ!≫
「なんなのよこれぇ!?助けてよレフゥ…」
私達が空を見上げていると(1名地面に座り込んで震えているが…)いきなりレーザーのようなものが雨雲に突き刺さり、空に穴が空いた。
「キレイ…」
するとそこから大量の白い雪が降ってきた。
「ほう…こいつはすげえな!」
「すごく…キレイです」
≪なんて幻想的な景色なんだ…≫
降った雪は地面に触れると氷の華を咲かせ、まるでそこ一帯が夢の国にでもなったかのような美しさだった。
1ヶ所だけ氷の華が柱のようになっている場所があり、少したつとそこから沢山の氷の柱が出現して華の柱を取り囲んだ。
5分後雪が降りやむと、辺り一面に氷の華が咲き乱れ、そこはまるで夢の景色のように美しい眺めだった。
「とりあえず、あそこに誰かいるのは間違いねぇ。いくぞ、嬢ちゃんたち。」
「はい!先輩!わたしのそばから離れないでくださいね!」
所長をクー・フーリンが抱き抱え、氷の華の道を進んで行くと、氷の柱の所にいたのは氷のドラゴンを纏ったような格好をして氷の柱を眺めていた重國さんだった。
sideout
主人公は無自覚チートです。
評価感想よろしくお願いします。