(ホール=ブンポン)
誰が、どのような判断をした結果なのかを知る者はいない。しかしそこは阿鼻叫喚の地獄だった。
避難誘導に慣れているPGたちがなんとか観客たちを非常口のほうへ誘導していく。バラル団事件で培われた彼らのスキルが混乱する人々を導き、将棋倒しの危機を回避した。そこまではまだいい。
問題は彼らの預かり知らないその後だった。
会場の外にはライブビューイングに集まった観衆が大勢いた。彼らはこの騒ぎにパニックになり、ある者はその場から離れようと、またある者はスタジアム内に様子を見に行こうとする。
そこへ野次馬や取材クルーも集まり、スタジアムの外に人の渦ができる形になった。そうなるとせっかく誘導されてきた避難者たちとぶつかって狂乱を巻き起こす。
PGたちもそこにまで対処する余裕はなかった。暴獣たちは待ってはくれないのだ。
炸裂音が爆風を呼ぶ。
アバリスの攻撃命令とともに『はかいこうせん』の帯がフィールドから観客席に向かって伸びた。その一つ一つからPGと彼らのポケモンたちが『まもる』や『ひかりのかべ』を駆使してなんとか観客たちを守っていた。
しかしそれらが有効なのは対面での勝負の場合だ。今回のように敵から一方的に攻められるのを防ぐというのには限界がある。当然消耗も激しくなる。
それでも戦線を維持できているのはミントやシンジョウ、コウヨウなどといった腕利きのトレーナーたちがPGの助太刀に入っているからだ。
周囲の味方を巻き込まないよう窮屈な戦いを強いられつつも彼らは目の前の敵を押し返していた。
大会委員長特別室ではフリックとその警護担当たちがモニターを見守っていた。
「賊の一部は観客席にまで来ているようですね。一般の方の避難が間に合えばよいのですが」
モニターには人々が置いて逃げた荷物を物色する姿が映っていた。
「なんと忌々しい。奪うことで足りることはないというのに」
フリックは眉を寄せたが冷静だった。
「観客席側に人員をまわしてください。こうしてはいられない、私が指揮をとります」
もちろんそんなわけにはいかない。
「フリック市長。ここなら安全です。今しばらく辛抱いただき、安全が確認でき次第避難していただきます」
「うむ、みなさんの邪魔になっては元も子もない。分かりました。私のことよりとにかくご来場の皆様の安全を優先してください」
警護担当が感心するくらい、フリックからは怒りや苛立ち、焦燥といったものは感じられなかった。
「そういえば」
口を開いたついでとばかりにフリックが続けた。
「カネミツ室長はどちらに? さっきからいらっしゃらないようですが」
「えーっと、連中が現れる数分前にここを出ていったみたいですね。話しかけられないような何か物々しい雰囲気でしたよ」
「一番最初に乗り込んできた暴獣頭領に向かっていったのを見たって無線連絡もあったみたいですが……」
警護担当者たちは顔を見合わせた。そういえばタイミングが良すぎるよな、と小声で話しているのがフリックの耳にも届いていた。
「ははは。それだけ彼は
笑いながらフリックの指はポケットの中の携帯端末を探っていた。
「ツキミ警部補、後ろきてます!」
「うわっ、マジ!? えっとえっと、ブーバーン、『かえんほうしゃ』!」
ブーバーンが迫る敵のポケモンたちを一掃した。警部補昇進を助けてくれた火力はこの状況でも頼りになった。
ツキミとフランシスカのコンビはシャルムの一件に引き続いてラフエルリーグの大会警備に派遣されていた。
「サンキューフラン。あっ、そっちもきてる!」
「ニャオニクス、『サイコキネシス』」
冷静な指示とともに放たれた強力な念力が敵を退けた。PGの上層にはこのようなフランシスカの手腕に期待をかけている者も少なくない。
ゆっくり時間をかければどんな人間でも最適解を導くことができる。フランシスカはそのための時間を常人より節約できているというのがツキミの見立てだ。
「それにしてもさ、バラル団に備えて張ってたのに暴獣って。偉い人たちはこうなることを知ってたのかな」
「いずれにしても超過勤務ですね。次の賞与査定にプラスに働くことを祈りましょう」
本来の業務に戻れたのは果たして喜ばしいことかどうか。ブラックな勤務環境に慣れつつあるツキミとフランシスカには判じ物のようにしか思えなかった。
そして後輩かつ部下にもかかわらず自分よりも落ち着いているフランシスカに対しツキミはもはや諦めと憧憬のようなものすら感じていたのだ。
その感慨を断ち切るかのように、ツキミの第六感が危機を告げた。
「フラン足元! 何かいる!」
歳の功かフランシスカよりも素早く反応したが、それでも間に合わなかった。
地面を突き破って、ドリルがニャオニクスとブーバーンを吹き飛ばした。予想外の攻撃をもらってしまった2体はそのまま動くことができない。
2人は戦闘不能となったポケモンたちをすぐさまボールに戻し、新手の登場に備えた。
「『つのドリル』。一撃必殺ってのは、分かりやすくていい。単純な破壊こそ至高だ」
ドリルの主、サイドンが姿を現した。もちろんトレーナーを伴っている。
見た印象は他の有象無象と変わらない暴獣構成員だった。しかし雰囲気が違う。
「わざわざ不意打ちとは天下の暴獣も堕ちたものだな」
言おう言おうと思っていたことを先にフランシスカに言われ、ツキミは間の悪さに下唇を噛んだ。
「PGも、むさい連中ばかりじゃないってことか。百聞は、一見に如かずだな」
その下卑た目が品定めするように2人を見つめていた。
嫌悪感は言うまでもないが、とはいえブーバーンとニャオニクスをまとめて撃破した相手だ。これまでの敵とは一線を画している。
「俺たちは依頼されたことを、やる。やりさえすれば、途中で拾ったもんは全部自分たちの好きにできる」
その口が紡ぐ言葉は不気味に辿々しい。
そしてここでいう全部、にはツキミとフランシスカも入っている。それを察することのできない2人ではない。
内心ビビっていたツキミだが、優秀な部下が彼女をカバーした。
「生憎だがこの世に悪を為す者の好きにできるものなどない。哀れなものだな」
「言うじゃねぇか。サイドン!」
ツキミもフランシスカも次のボールを手に取った。
「フライゴン!」
「リーフィア!」
観客席には逃げ遅れた一般人と彼らをなんとか逃がそうとする同僚たちがいる。彼女たちからみて、荷の重い相手だが援軍を期待するのが厳しい以上なんとか乗りきらねばならない。
「『だいちのちから』!」
「『リーフブレード』!」
数ではツキミたちが有利だ。先手から相性のよい技を次々に浴びせるというシンプルな作戦をとった。
まともに対面してしまえばサイドンの素早さなど知れている。フライゴンとリーフィアの連撃が決まった。
「たしかによく鍛えられてる。必死さも感じる。だけどよう、それだけじゃちいとも恐くない」
強がりではなかった。攻撃は通ったものの、思ったようなダメージは入っておらず、サイドンは即座に『ロックブラスト』で反撃してきた。
「『りゅうのはどう』!」
「『アイアンテール』!」
フライゴンが『ロックブラスト』を相殺し、リーフィアがサイドンを打ち据えた。
「まさか!?」
これも効果は抜群のはずだが、サイドンに怯んだ様子はない。
「しんかのきせきって知ってるか。サイドンは進化の余地を残している。それと引き換えに防御を固めるって寸法だ」
サイドンの元から高い防御力を高めると同時にやや心許ない特防を補うことができる便利な道具だ。
「そんな貴重なものをどこで!」
「俺たちには俺たちのつてがある」
フライゴンとリーフィアの2体がかりでも圧されてしまう。さらにサイドンのリーチに入れば『つのドリル』もある。そうなれば中長距離を保つしかない。
「『ロックブラスト』」
「フラン、くるよ!」
「はい!」
スピードならフライゴンとリーフィアに分がある。直線的軌道の攻撃ならば回避の指示も出しやすい。2人のコンビネーションなら容易だ。
「かかったな」
その連携が仇となった。
雑に放たれた『ロックブラスト』はトレーナーとポケモンを分断するための罠だった。
もはやサイドンはフライゴンもリーフィアも歯牙にかけていない。
「ポケモンを相手にしなきゃいけない道理は俺たちにはない。『つのドリル』!」
なんとトレーナーを直接狙う暴挙に出た。
屈強なポケモンでさえ一撃で倒れ伏すような技を人間が食らえばそのダメージは計り知れない。
サイドンがじりじりと迫る。ツキミもフランシスカもボールを手にしつつ後退せざるをえない。
冷や汗を垂らすフランシスカの脳内に転職の文字がネオンの点滅に照らされた。
「ツキミ警部補、こういうのって公務災害に入るんでしょうか」
「冗談きついよー!」
しかし転職よりも天職の女神が微笑んだ。
2人にとって幸運なことに本当に冗談になったのだ。
「ナットレイ、『パワーウィップ』」
嫌というほど聞き覚えのある声がした。
ロープのように太いツタに打たれたサイドンの巨体がぐらりと傾き、そして仰向けに倒れた。
その声の主はナットレイの陰から現れた。
「おや、これは悪いことをしたな。バラル団かと思ったらとんだ小物だったようだ」
パンツスタイルの黒いスーツに、似つかわしくない継ぎ接ぎだらけのコートを纏った長身の女性がそこに立っていた。
その姿を見てツキミが目を輝かせた。
「フィール警視! (珍しく本当に来てほしい時に)来てくれたんですね!」
上司に対する部下のような対応だが、実際フィールはツキミとフランシスカの上司にあたる。
喜ぶツキミに対してフランシスカは嫌な予感に冷や汗を垂らしていた。
「あのフィール警視。ハロルド氏の警護は……?」
今回の彼女の本来の任務は要人警護。つまりこの場に現れたということはあまり喜ばしい事態ではない。
フィールはカラカラと笑った。
「ああ、あの成金ダルマのことなら問題ない。無駄に高そうなジャケットなんか着て、いけ好かない輩とは思ってはいたがこの騒ぎに乗じて私のありがたい脚を触ろうとしてきたからスタジアムの外に放り出してやった」
さながらドラッグストアで台所洗剤が安かったから買ってきたと語る主婦。フランシスカは口角泡を飛ばす。
「いや問題しかありませんが! どうしてくれるんですか、書き終わってない警視の始末書がまだたくさんあるんですよ! 代筆はもう勘弁ですって!」
「そこは逆に考えろ、フランシスカ」
「ストレートに考えてください警視!」
このフィール、優秀な人物なのだがとにかく出世欲がない。表彰よりその強引な実績の積み上げによる始末書の枚数が多いのはそのせいである。
「数が集まってきたか。仕方がない」
男はサイドンの背に股がった。サイドンは自慢のドリルを今度は地面に向けた。その巨体が地中に消えるのに数秒もかからない。
「おっ逃げたか」
「逃げたか、じゃないですよ!」
フィールは誤魔化すように咳払いした。
「安心しろ。さっき観客席に乗り込んできた奴はちょうど手元に無駄に高そうなジャケットがあったからそれで捕縛してやった」
「それハロルド氏のやつ!」
「……とにかく私が来るまでよく堪えた。とりあえずこの辺の連中は粗方片付いたようだな。ツキミ、他に手応えのありそうな奴はいるか?」
過激なまでの現場主義であるフィールはとにかく好戦的だ。もしもPGではなく暴獣に所属していたらと考えツキミは恐ろしくなった。
ワルビアル使いの一際人相の悪い男が頭をよぎった。何事においても面倒なものには面倒なものをぶつけるに限る。
「あっちに頭領格がいます。本部のデータにあった暴獣頭領のアバリスと思われます」
フィールが分かりやすく喜んだ。
「でかしたフラン。暴獣からは聞き出したいことが山ほどある。この際だ、頭領もフルコースで締め上げて吐かせてやるとするか」
「『じしん』」
そのアバリスが今まさに周囲のPGを一掃した。
(だいぶ数が減ったな。まあ関係のないことだ)
三下たちには自分の判断で逃げるよう伝えてあった。いたところで大きな戦力にはならないし、自分だけで済む作戦だとすら考えていた。
遠くで炎が巻き上がるのが見えた。シンジョウだ。
(雑魚どもを相手にせず、俺を狙ってくればいいものを。秩序に縛られる奴らが気の毒でならねぇ)
加勢に来たPGたちも返り討ちにし、吼えた。
「歯応えがないぞ。大方モンスターボール級とスーパーボール級下位の寄せ集めってとこか。こんなんじゃ暴れがいがねぇなあ!」
彼の読み通り、役職の高いPGたちは主に来賓や客席の警護についている。人命を最優先にするという運営サイドの意向が反映されているということなのだが、配備が極端だったのかもしれない。
次の獲物を探そうとフィールドに目をやったアバリスは、トレーナーズサークルに棒立ちしているパンデュールに気がついた。
奇妙。
こういった場面なら逃げるのが普通だし、そうでないならシンジョウらのような使命感をもって自分たちに立ち向かうのがこれまで彼が経験したお約束だった。
にやりと笑った。
「どうした。ビビって動けないか?」
パンデュールはアバリスを見ていない。その視線は彼の向かいの選手入場口に向けられていた。
「僕が今戦いたいのは1人だけだ」
暴力の矛先を向けるにはあまりにも拍子抜けする態度に、アバリスは逆に興味をもった。
殴れば一発で沈みそうな体格。ポケモンを繰り出しての勝負でも負ける気がしなかった。だからこその余裕が彼を饒舌にした。
「対戦相手か。たしかヤシオとかいったか? 残念だがそいつは来ないぞ。なにせ俺が埋めてやったからな。多少抵抗はしたが大したことない奴だった」
アバリスはスタジアム外での一件について語った。何を思ったかパンデュールはそれを黙って聞いていた。
「よかったじゃないか。お前の不戦勝だ」
「僕はあいつを捩じ伏せる」
パンデュールは入場口から目をそらさない。
それをアバリスは蛮勇と結論付けた。
「話の通じねぇ奴だな。お前、この状況が分かっているのか?」
ここで初めてパンデュールがアバリスを見つめた。
「分かっていないのはどっちだ?」
その黒々とした瞳はアバリスを貫通してどこか遠くを見ているかのようだった。
そしてこの場でのそれは宣戦布告と受け取られた。
「はぁ? 度胸に免じて見逃してやってもいいと思ってたのにやっぱり俺とやろうってか。いいぜ、結局予定通りだ」
抑えられていた嗜虐の匂いが漂い始めた。アバリスの横に控えていたワルビアルが前に進み出て、その牙と爪をアピールした。
そこへフィールら3人が救援に駆けつけた。
「貴様、暴獣頭領のアバリスだな! その人に手を出してみろ、臭い飯すら食えない体にしてやる!」
「警視煽らないで……」
ツキミがパンデュールを背中で庇い、フィールとフランシスカがアバリスと対峙する形となった。
「お前ら、少しは遊べそうだな」
その瞬間、その場にいた全員の耳朶を爆音が叩いた。
「なんだ!?」
スタジアムの上空に複数の飛行物体が現れた。飛行機でもヘリコプターでもない。昨今では珍しくなりつつある飛行船だ。
そしてそれらに護衛されるかのように一際大きい飛行船が人々を見下ろしていた。
2つのガス袋と4つのプロペラで浮かぶその姿は飛行船というより巨大な建造物がそのまま浮遊しているかのようだ。そしてその側面には特徴的な”B”の文字。
「あれは……バラル団の飛行船か!」
説明されるまでもない。フィールにとっては忌々しさの象徴ともいえる存在だった。
驚きをストレートに表現していたアバリスだったが、何かに気がつき、笑いだした。
「ははははは! なるほどまんまと一杯食わされたというわけか! やっぱりあいつが、いやそれどころか――おいお前ら! 退くぞ!」
暴獣からしても目的を果たすことができていたようだ。それにあれだけの上空に構えられたのでは打つ手はない。
ワルビアルの背中に掴まりアバリスは地中に姿を消した。そしてそれに追従するかのように残っていた暴獣構成員たちもその場から逃亡した。
「パンデュールさん、逃げたほうがいいですよ。バラル団まで出てきたんじゃ保護にも限界がありますし」
「別にいい。僕はヤシオを待つ」
「いやそんなこと言わずに」
「ここを動くつもりはない」
ツキミとパンデュールが押し問答を繰り広げる。
腕組みしながらそれを眺めていたフィールだったが、パンデュールの腕を掴んで引っ張ろうとする部下を止めた。
「ツキミ、その手合いに余計な体力を使うな。よし、パンデュールといったな。今この瞬間から特・特・特別にPG見習いに任ずる。リーグに出るくらいだし自分の身だけなら守れるだろう。ここにいて構わないが、自分の言葉には責任を持て」
「分かった」
「始末書チキンレースやめてください! パンデュールさんも、ひとつしかない命を大切にして!」
ヒトは自らを突き動かすものについて考えずにはいられない生物だとフィールは思っていた。
自分であれば悪を排除する不屈の精神。ツキミには悪を憎む心。フランシスカには秩序を保とうとする想いがあるというのが彼女の見立てだ。
ではパンデュールは?
考えがまとまらないうちに飛行船に動きがあった。
「フィール警視、何かきます!」
ゴンドラから青い鳥ポケモンが大きく羽ばたきながら舞い降りてきた。その翼をはためかせるたび、ひんやりとした冷気が降り注いでくる。
ツキミもフランシスカもその姿を直接目にするのは今日が初めてだった。
「フラン、あのポケモンって」
「はい。小さい頃デコキャラシールで出たことがあります」
「今その情報いるかな!?」
「フリーザーか。イズロードめ、ノコノコ出てきたな」
フィールの推察通り、目を凝らして見るとフリーザーの脚に掴まれて誰かが地上を見下ろしている。
「お集まりいただき恐縮だ。ポケモンリーグなどよりも心踊る催しをご覧にいれよう」
特殊な音声機器を仕込んでいるのか、その声は遥か下へと響く。そしてその声にも聞き覚えがあった。
「私はイズロード。バラル団の幹部を代表してご挨拶申し上げる。PG諸君、その節は世話になった」
地上から顔は見えないが、その表情には察しがつく。
今度は飛行船の底面が開き、さらに何かが飛び出してくる。
「さて、ご覧いただく演目は豊穣の神による人間への戒めだ。これは天の配剤ともいえるだろう」
『何か』が地上でも視認できるほどになった。
地震雷火事親父という言葉がある。
恐ろしいものを七五調で列挙したものだが、ここでいう親父は
どちらの説が正しいかはどうでもいい。問題は大山風を司る親父然としたポケモンが存在することだ。
さらに都合がいいことに、ご丁寧に地震や雷を担当する親父もいる。
「あれは、また伝説のポケモン!?」
「フリーザーだけでも相当なのにこれは……」
慌てる部下たちを尻目にフィールが無線機を手にした。そして腹式呼吸で全PGにむけてがなりたてる。
「聞こえるか。バラル団は戦力としてボルトロス・トルネロス・ランドロスを加えている! しかし怯むな! イズロード含め逮捕の好機だ! フィール班4人、連中の無力化を目的とし行動開始する!」
「ナチュラルにパンデュールさんを数にいれないで!」